東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)52号 判決
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本件発明の要旨)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。
1 成立に争いのない甲第一六号証(本件公報)によれば、本件発明の技術的課題(目的)、構成及び作用効果は、次のとおりであると認められる。
本件発明は、バカスを基材とする固体培地上で椎茸菌などの担子菌類を増殖させて得られる菌糸体を含む固体培地からなる各種有効成分を含有する保健飲料の製造方法に関するものである(本件公報第一頁第一欄第一六行ないし第二〇行)。
椎茸などの担子類菌糸体に関する薬効については広く研究されており、また椎茸菌糸体から薬効成分あるいは栄養的に価値ある有効成分を抽出する方法については種々の方法が提案されている。しかしながら、従来の方法では、苦味が強く、飲料としては不適当であること、椎茸菌糸体を含む固体培地から有効成分を抽出する際にPHの調整をする必要があり、しかも三〇ないし五五℃の温度に長時間保つ必要があるため、工程管理が複雑で時間がかかること、さらに固体培地として用いられたバカスは繊維素が固いため有効成分を含有するにもかかわらず、その利用が図られず廃棄せざるを得ないという欠点があつた(同第一頁第一欄第二一行ないし第二頁第三欄第三行)。
本件発明は、前記の欠点を解決しようとするものであり、椎茸菌糸体などの担子菌類菌糸体を含有するバカスを基材とする固体培地から、薬効成分あるいは栄養的に価値あるいは成分を含有する保健飲料をPHを調整することなく、しかも短時間で得ることができ、かつ副生物であるバカス繊維を主成分とする固形残査の肥料、飼料あるいは食料への有効利用を図ることができる保健飲料の製造方法を提供することを目的とし(同第二頁第三欄第三行ないし第一二行)、本件発明の要旨記載のとおりの構成を採用したものである(同第一頁第一欄第二行ないし第一四行)。
本件発明は、右構成、すなわち、解束された固体培地に、セルラーゼ、プロテアーゼなどの酵素を添加することにより、固体培地の分解及び菌糸体自体の酵素反応を速めているため、短時間で固体培地から薬効成分あるいは栄養的に価値ある成分を含有する保健飲料を得ることができ、また、解束された固体培地、水及び酵素を含む混合物に、粉砕及び擂潰作用を加えるため、薬効成分あるいは栄養的に価値ある成分を速やかに抽出することができる。一方、解束された固体培地繊維素は、酵素並びに粉砕及び擂潰作用により充分に細かくかつ軟らかくされ、このため肥料、飼料あるいは食料に供することができるという作用効果を奏するものである(同第三頁第五欄第二八行ないし第四〇行)。
2 取消事由一 (明細書不備の主張について)
(イ) 原告は、本件明細書中の「解束」なる語の意味は不明であり、審決がこれを単に「束状のものを解く」との意であると認定したのは誤りである、と主張している。
しかしながら、前掲甲第一六号証によれば、本件明細書の詳細な説明には、「バカス培地の繊維素を解束して一二メツシユ通過分が三〇重量%以下となるようにする。このバカス繊維素を解束する場合に、一二メツシユ通過分を三〇重量%以上とするには、特殊な粉砕機などが必要となるため好ましくない。換言すると、バカス培地を特殊な粉砕機などを用いることなく解束した場合には、一二メツシユ通過分は三〇重量%以下となる(本件公報第二頁第三欄第四一行ないし第四欄第四行)。」と記載されており、右記載事項からすると、「解束」なる語の意味するところは、特殊な粉砕機を用いることなく、バカスを基材とする固体培地をほぐす、すなわち、バカス培地の繊維素の束を解く、と文字どおり解釈し得るものであり、このように解することによる矛盾点も認められず、右の点における審決の認定、判断に誤りはない。
原告は、菌糸体の蔓延した塊状の固体培地を水に溶解せしめるためには微細に粉砕あるいは解束しなければならず、「解束」を単に「束状のものを解く」と解したのでは、砕いた皮膜が残存して水との溶解性に劣ることは明らかであるから、右のような理解は水との溶解性及び菌糸体から有効成分を抽出するに当つての基本的メカニズムを無視した不当なものである、と主張している。
しかしながら、前掲甲第一六号証によれば、本件明細書の特許請求の範囲には、「一二メツシユ通過分が三〇%以下になるように解束し、この解束された固体培地に、水およびセルラーゼまたはプロテアーゼから選ばれる酵素の一種またはそれ以上を、(中略)添加し、そして、前記固体培地を酵素の存在下で粉砕および擂潰して(本件公報第一頁第一欄第四行ないし第九行)」と記載されており、右事実からすると、固体培地は、まず解束され、さらに次の工程において粉砕及び擂潰するとの構成からなるものであることが認められる。また前記証拠によれば、本件明細書の詳細な説明には、「粉砕および擂潰されたバカス繊維はその少なくとも七〇重量%が一二メツシユ通過分であるようにしなければならない。一二メツシユ通過分が七〇重量%以下である場合には、固体培地中の有効成分の抽出が充分でないばかりか(本件公報第一頁第四欄第三一行ないし第三六行)」と記載されており、解束した後の粉砕及び擂潰という工程が有効成分の抽出に係るものであることは明らかであるから、「解束」なる語の意味を前記判示したように理解して何ら不都合はなく、原告の右主張は採用し得ない。
また、原告は、一二メツシユ通過分が三〇重量%以下なる条件は、全く通過しない場合、すなわち零の場合を含むものである。このことは塊状の培地をほとんどそのままタンク中に充填することを意味するが、このような解束状態の固体培地は、水との溶解性に劣り、効率良く菌糸体中の有効成分を抽出することは技術的に不可能である、と主張している。
しかしながら、本件発明は前記認定したとおり、まずバカス培地の繊維素の束を粉砕機を用いないでときほぐし、次の工程においてこれを粉砕、擂潰して細かくすることによつて有効成分の抽出をしているものであり、例え通過分が零の場合があるとしても繊維素の束をときほぐしている事実に変わりはなく、このことが塊状の培地をそのままタンク中に充填することを意味するとはいえないし、有効成分の抽出が不可能になるものでもない。
(ロ) 原告は、本件発明におけるPH調整不要、密封不要、長時間の温度調整不要の技術的課題は解決されておらず、特許請求の範囲の記載の構成からはその作用効果は奏し得ない、と主張している。
しかしながら、前掲甲第一六号証(本件公報)によれば、本件明細書の発明の詳細な説明には、実施例一として保健飲料の抽出が、PHの調整を行うことなく、密封することなく、また長時間の温度調整を要することなく行われており、このようにして得られた抽出液についての各種有効成分の量を示す表ⅰ(別紙表1参照)によれば、バカス含有混合物の粉砕及び擂潰を行わず、しかもセルラーゼを添加しない従来法による比較例に対し、本件発明による方法では格段に高濃度の有効成分を抽出していること(本件公報第三頁第六欄第一行ないし第四頁第七欄第五行)が認められる。してみると、PH調整、密封、長時間の温度調整等を要しない本件発明の構成からその作用効果を奏し得ないとする原告の主張は採用できない。
(ハ) 原告は、「実施例一に二〇〇分程度」と記載されているのは、粉砕及び擂潰作用に要する時間であつて、酵素反応に要する時間ではなく、また、仮に、右二〇〇分が酵素反応に要した時間としても、この時間は第一引用例記載のものにおける時間と比して短時間とはいえない、と主張する。
しかしながら、前掲甲第一六号証によれば、本件明細書の発明の詳細な説明には、「解束された固体培地、水および酵素を含む混合物に、粉砕および擂潰作用を加えるために、薬効成分あるいは栄養的に価値ある成分を速やかに抽出することができる(本件公報第三頁第五欄第三三行ないし第三七行)。」「この解束された培地一・〇kgに、純水三・五lおよび精製セルラーゼ二・〇gを固体培地を四〇℃に保ちながら加えてバカス含有混合物とした。次いで培地含有混合物を変速付ギヤーポンプにより循環させながら、固体培地にギヤー部分において粉砕および擂潰作用を二〇〇分間程度加えバカス繊維の約八〇重量%程度が一二メツシユ通過分となるようにした(同第三頁第六欄第七行ないし第一四行)。」と記載されており、右記載からすると前記二〇〇分間とは、粉砕及び擂潰に要する時間であると同時にこの間に酵素反応も進行していることが認められ、したがつて、前記二〇〇分間が単に粉砕及び擂潰のみに要する時間にすぎないとする原告の主張は採用し得ない。
また、二〇〇分という時間のみをみるとこれが第一引用例記載のものと変わらないとしても、前記認定したとおり、実施例一の表1に示されるように抽出された有効成分の量をみれば、本件発明においては抽出に二〇〇分を要することによつて高濃度の有効成分のものが得られるのであり、これを従来の方法と同濃度の有効成分(比較例が示す量)が得られるまでの時間としてのデータとしてみると、本件発明は短時間で高濃度の有効成分の抽出が可能であるという効果を認めることができるものである。
3 取消事由二(新規性ないし進歩性の判断について)
成立に争いのない甲第三号証によれば、第一引用例には、落花生の表皮、又はバガス(砂糖キビのシボリカス)を用いて培地とし、この培地中の椎茸菌糸体から保健上有効な成分を抽出し、この抽出液を飲料剤とした保健飲料剤の製造方法に関し(第一頁第一欄第二六行ないし第三〇行)、落花生表皮を基材とし、これに米糖を添加してなる培地、あるいはバガスを基材とする培地に椎茸菌を接種し、菌糸体を増殖せしめた後、菌糸体を含む培地を粉砕して水を加え、容器中に密封し加温して菌糸体の代謝を促進すると共に酵素反応を十分に行わせた後、この懸濁液を濾過させて保健飲料を製造すること(第一頁第一欄第一七行ないし第二四行)、該粉砕は粉砕機により微細に粉砕し、また加温は三〇ないし五〇℃で一時間、その後四五ないし五五℃で一ないし二時間行う(第二頁第三欄第三四行ないし第四〇行)と記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第四号証によれば、第二引用例には、椎茸の菌糸体から薬効成分を含有する細胞液及び代謝物質を抽出する方法に関し(第一頁第一欄第二六行、第二七行)、椎茸を常法により培養した後、培地中の菌糸体を培地と共に微細に粉砕し、これに椎茸菌糸体から抽出したβ―一・三グルカナーゼ、キチナーゼの酵素液を添加し、かつこれを容器中に密封、加温(四五ないし五五℃)して代謝物質の代謝を促進させると共に、酵素反応を充分行わせ、これにより菌糸体細胞膜を溶解し、その懸濁液を濾過袋に入れてこれを加圧し、濾過し、これによつて薬効成分を含有する細胞液及び代謝物質を抽出する(第一頁第一欄第一五行ないし第二四行、第二頁第四欄第一二行ないし第一五行)と記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第五号証によれば、第三引用例には、キノコ類の酵素としてセルラーゼが存し、セルローズに作用すると記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第六号証によれば、第四引用例には、菌蕈類には細胞膜たる繊維素を分解するセルラーゼの存在すると記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第七号証によれば、第五引用例には、繊維素分解酵素であるセルラーゼを添加し、食用きのこの細胞膜を分解して、食用きのこのうまみ成分及び有効成分を溶出させると記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第八号証、甲第九号証によれば、第六引用例及び第七引用例には、食用茸の栽培が終了した後のバカスを主体とする廃培養基を利用して、飼料添加剤及び肥料を製造すると記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第一〇号証によれば、第八引用例には、椎茸菌糸体より産出されるβ―一・三グルカナーゼ及びキチナーゼにより椎茸菌糸体の細胞膜を溶解させて椎茸風味成分を抽出せしめると記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第一三号証によれば、第九引用例には、バカスを主体とし、これに脱脂米糖を加えた培養基に食用茸の種菌を接種してこれを培養し、その菌糸体から有効成分を抽出すると記載されていることが認められる。
成立に争いのない甲第一四号証によれば、第一〇引用例には、椎茸菌をバカスで長時間、低温増殖して椎茸菌糸体を作り、その硬い細胞膜を分解して有効成分を抽出すると記載されていることが認められる。
右事実からすれば、第一ないし第一〇引用例には、椎茸の菌糸体から有効成分を抽出し、保健飲料を製造する方法において、菌糸体を増殖させる培地基材としてバカスを用いること、栽培を終了した後のバカス基材からなる廃培養基を有効利用すること、椎茸の菌糸体の細胞膜を容易に溶解するために、菌子体中に存する酵素とに別にβ―一・三グルカナーゼ、キチナーゼ等の酵素を添加すること、きのこ類にはセルラーゼが存在し、これが細胞膜質たる繊維素を分解する働きをすること等が開示されている。
しかしながら、前記各引用例、殊に、第二引用例あるいは第一引用例の記載をみても、椎茸菌糸体を含有するバカスを基材とする固体培地から保健飲料を製造する方法において、前記1で認定したところの、本件発明の技術的課題である、PHを調整することなく、しかも短時間で得ることができ、かつ副生物であるバカス繊維を主成分とする固形残渣の有効利用を図ることを目的とし、その発明の要旨記載の構成要件である「固体培地を一二メツシユ通過分を三〇重量%以下となるように解束し、この解束された固体培地に水及びセルラーゼ又はプロテアーゼから選ばれた酵素の一種又はそれ以上を添加し、そして固体培地を酵素の存在下で粉砕及び擂潰してバカス繊維の少なくとも七〇重量%が一二メツシユ通過分であるようにする」点については何ら開示されていないし、これを示唆する記載も認められない。
したがつて、本件発明は、第一引用例、第二引用例、第九引用例記載のものと同一であるとはいえず、また、第一引用例ないし第一〇引用例の記載から当業者が容易に発明することができたものであるとはいえないとした審決の認定、判断に誤りはない。
原告は、本件発明でセルラーゼを添加するのは、菌糸体細胞膜を効率良く分解、溶解させるためのものであり、一方、第二引用例には、糸状態の細胞膜がβー一・三グルカナーゼ、キチナーゼの添加により分解、溶解されることが記載されていて、前記各酵素はいずれも菌糸体細胞膜を分解、溶解する作用を営むものであるから、本件発明と第二引用例記載のものはいずれも酵素液を添加することにより菌糸体の酵素反応を促進させることで同一であり、かつ、セルラーゼは本来きのこ類に含まれていることは本件出願前周知のことであるから、第二引用例記載のものにおいても当然セルラーゼ等の酵素類を含むものであつて、本件発明の酵素類を固体培地に三〇ないし五〇℃に保ちながら添加する工程は何ら新規ではない、と主張する。
確かに、第二引用例には、糸状菌の細胞膜がβ―一・三グルカナーゼ、キチナーゼの酵素液の添加により分解、溶解されることが記載されていることは前記認定したとおりである。しかしながら、前掲甲第一六号証によれば、本件明細書の発明の詳細な説明には、「本発明においては、解束された固体培地に、セルラーゼ、プロテアーゼなどの酵素を添加することにより、固体培地の分解および菌糸体自体の酵素反応を速めているため、短時間で固体培地から薬効成分あるいは栄養的に価値ある成分を含有する保健飲料を得ることができる。また、解束された固体培地、水および酵素を含む混合物に、粉砕および擂潰を加えるため、薬効成分あるいは栄養的に価値ある成分を速やかに抽出することができる。一方、解束された固体培地繊維素は、酵素ならびに粉砕および擂潰作用により充分に細かくかつ軟らかくされ、このため肥料、飼料あるいは食料に供することができる(本件公報第三頁第五欄第二八行ないし第四〇行)。」と記載されており、右事実からすると、本件発明においてセルラーゼを添加するのは、菌糸体自体の酵素反応を促進するとともにバカスを基材とする固体培地の分解をも意図しているものであり、しかも前記認定したとおり、第二引用例記載のものにおいては、培地を粉砕した後に酵素を添加しているのに対し、本件発明では、酵素は固体培地を粉砕及び擂潰する際に存在させるものであるから、本件発明のセルラーゼ等の酵素類を固体培地に添加する工程が第二引用例に開示されているとはいえない。
原告は、また一二メツシユ通過分が三〇重量%以上に粉砕できる粉砕機が廉価に入手できれば、本件発明における粉砕及び擂潰の工程は必要なく、このような粉砕機を採用することは当業者にとつて周知のことであり、また粉砕、擂潰はいずれも機械的、物理的加圧作用を伴うものであり、この工程における固体培地はその前段階から懸濁状態下にあるからこのような状態で加圧されるものである。一方、第二引用例記載のものも懸濁状態下にある菌糸体を含む固体培地を加圧するものであり、両者はこの点においても同一である、と主張する。
しかしながら、本件発明は前記認定したとおりバカスを基材とする固体培地から有効成分を効率良く抽出するとともに、バカス基材の有効利用を図ることを目的として、解束工程及び酵素の存在下に粉砕及び擂潰する工程を必須の構成要件とすることによつて前記1で認定したとおりの作用効果を奏することができたものであり、固体培地を単に一二メツシユ通過分が三〇重量%以上になるように粉砕機で粉砕すればよいというものではない。また、前掲甲第四号証によれば、第二引用例には、「懸濁液を濾過袋に入れてこれを加圧し、濾過して薬効成分を含有する液を抽出し(第二頁第四欄第一九行、第二〇行)、」と記載されているだけであり、右記載の意味するところは、懸濁液を濾過し、薬効成分を抽出するために加圧するものであることをいうのであつて、懸濁状態下における菌糸体を含む固体培地を加圧することを示唆するものではなく、本件発明における粉砕及び擂潰工程と同一とはいえない。
さらに、原告は、本件発明の奏する表1の効果について、第二引用例記載のものも本件発明と同等量の有効成分を含有しているものであつて、本件発明の右効果は格別のものではない、と主張する。
しかしながら、前掲甲第四号証によれば、第二引用例には、抽出液中にいかなる有効成分が含まれているかについては記載があるが、その含有量については何ら記載がない。してみると、このような記載の内容をもつて本件発明の右効果の格別性を否定することはできない。
4 以上のとおりであるから、本件明細書の記載は、当業者が容易に理解し、実施し得る程度に記載されているものであり、また、本件発明は、第一引用例、第二引用例、第九引用例記載のものと同一であるとはいえず、また第一引用例ないし第一〇引用例の記載から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないとした審決の認定、判断は正当であつて、審決に原告主張の違法はない。
三 よつて、審決の取消しを求める原告の本訴請求は失当として棄却することとする。
〔編注〕本件発明の要旨は左のとおりである。
バカスを基材とする固体培地上に椎茸菌を接種し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体培地を、一二メツシユ通過分が三〇重量%以下となるように解束し、この解束された固体培地に、水およびセルラーゼ又はプロテアーゼから選ばれる酵素の一種またはそれ以上を、前記固体培地を三〇~五〇℃の温度に保ちながら添加し、そして前記固体培地を酵素の存在下で粉砕および擂潰してバガス繊維の少なくとも七〇重量%以上が一二メツシユ通過分であるようにし、次いで九五℃までの温度に加熱することにより酵素を失活させかつ滅菌するとともに、得られた懸濁状液を濾過することを特徴とする保健飲料の製造方法。