東京高等裁判所 昭和63年(行コ)44号 判決 1989年1月31日
浜松市下石田町一八二二番地
控訴人
馬渕美江
同所
控訴人
馬渕君夫
浜松市下石田町一三七〇番地
控訴人
馬渕澄司
右控訴人ら訴訟代理人弁護士
黒木辰芳
浜松市元目町一二〇番地の一
被控訴人
浜松税務署長
北村壽市郎
右指定代理人
林菜つみ
同
安達繁
同
小川知洋
同
新田善男
主文
一 本件各控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が昭和五八年二月二八日付けで控訴人らに対してした昭和五六年三月五日相続開始に係る相続税の各更正処分及び各過少申告加算税の賦課決定処分(原判決別表一の更正処分欄に記載のとおり)のうち、各控訴人について、別表一の修正申告欄に各記載の課税価格及び納付すべき税額を超える部分及び控訴人馬渕澄司及び同馬渕君夫に対する別表一の更正処分欄記載の過少申告加算税賦課決定をいずれも取り消す。
3 訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
本件控訴を棄却する。
第二当事者の主張
当事者双方の主張は、次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決の事実摘示中の「第二当事者の主張」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一一枚目表五行目の「抜粋」」の次に「(その2)二の(2)により、同(その1)」を加える。
2 同一三枚目裏一〇行目の「<3>は認め」を「<3>のうち本件土地Bが本件相続税の課税時期当時既に埋立及び整地されていたこと、控訴人澄司が本件土地B以外に代替すべき土地を所有していないことは認め、その余は争い」に改める。
第三証拠関係
原審記載中の書証目録及び当審訴訟記録中の証人等目録に記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、控訴人らの本訴請求は理由がないからこれを棄却すべきであると判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決理由説示欄に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一六枚目裏四行目の「自用地として評価する」を「自用地の価額から控除すべき権利の価額を零として評価する」に改め、同一〇行目の「被告」の前に「本件土地Aは控訴人君夫の使用貸借による使用権の目的とされていたものであるが、」を加える。
2 同一七枚目表四行目の「困難である」を「困難であり、その価額は零として評価するのが相当である」に、同七行目の「その評価」を「それと同様の評価」に改める。
3 同裏一、二行目の「借家法の制限を受けずに土地の返還請求ができるから」を「建物退去土地明渡の請求をするについて借家法等の制限を受けず、本件において被相続人宮司の右請求を不可能とする事由を認めるに足りる証拠はないから、本件土地Aの場合を貸家建付地の場合と同視することは相当でない」に、同三行目の「本件土地A」から同四行目の「評価した」までを「本件土地Aを自用地としての価額から控除すべき権利の価額を零として評価した」に、同八行目の「評価するする」を「評価する」にそれぞれ改める。
4 同二〇枚目表四行目の「前掲乙第一〇、第一一号証」を「原本の存在及び成立に争いのない乙第一〇号証、前掲乙第一一号証」に改め、九行目の「抜粋」の次に「(その2)二の(2)により、同(その1)」を加える。
5 同二二枚目表一行目の「成立に争いのない」から八行目末尾までを次のとおり改める。
「証人倉田信昭は、本件土地Bは市街化調整区域内で、かつ、農業振興地域内にあつて農用地に指定されており、しかも、袋地である等の現況からみて、指定区域の除外申請や宅地への転用申請が認められる条件が見当たらないから、宅地としてはむろん農地としての取引も困難であり、土地の評価としては農地に準じてこれを行うべきである旨証言し、甲第一六号証にもこれに沿う記載がある。しかしながら、前述のように、本件土地Bは市街地に近接する地域にあり、その周囲の土地は宅地化されており、しかも、同一所有者の隣接宅地(現況)と一体として庭等に利用されているものであることなどに鑑みると、本件土地Bの宅地への転用が不可能とは考え難いから、これに反する証人倉田信昭の証言、甲第一六号証の記載部分は採用することができない。」
二 よつて、原判決は相当であつて本件各控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 越山安久 裁判官 鈴木經夫 裁判官 浅野正樹)