大判例

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東京高等裁判所 昭和24(を)新1031 高裁判例

主 文

原判決を破棄する。

本件を浦和地方裁判所に移送する。

理 由

本件控訴の趣意は末尾に添付してある弁護人林頼三郎同小林貫司各作成名義控訴

趣意書と題する書面記載の通りである。(但し林弁護人の論旨第二点以外の論旨は

省略する)これに対し当裁判所は左の如く判断する。

林弁護人論旨第二点について、

刑事訴訟法第三三五條の規定は戰時刑事特別法第二六條の規定を受継いで來たも

のであるがこれ等の規定は旧刑事訴訟法第三六〇條の規定を改正したものであるか

ら同規定の趣意を明かにすることによつてその如何なる点が改正せられたものであ

るかが明瞭になる、右旧規定に「証拠に依り之を認めたる理由を説明し」とあるの

は先ず第一に如何なる事実を如何なる証拠によつて認めたかというとと即ち事実と

証拠との形式的関聯を示し次に証拠の内容を掲記してその証拠によつてとれと関聯

せる事実を証明し得ることの合理性を説明せよという意味である。而してこれを改

正した新規定の「証拠の標目を示せ」とあるのは只証拠内容の写録の繁を排し右証

拠の内容を逐一挙示するに及ばぬことにしただけである。

従つて証拠の内容は逐一写録する必要はないこととなつたが如何なる事実を如何

なる証拠によつて認めたかという形式的関聯は尚これを明示しなければならない只

証拠の標目を漫然羅列したら事足りるという意味ではないのである。

惟うに旧規定のもとにおいては形式的関聯を示すことに多く意を用いなかつたが

これは証拠の内容を掲示することによつて間接に形式的関聯は判明したからであ

る、而しながら新規定のもとにおいて右内容の掲示を省略するようになれば自然形

式的関聯を示すことに十分の注意を注がねばならないこととなる。

<要旨>従つて数個の独立せる事実認定の証拠を挙示するにあたつては各事実毎に

これを認めた証拠の標目を示さなけ</要旨>ればならない、数個の独立せの事実る認

定にその採用した証拠を区別を示さず漫然羅列するのは違法である。斯くの如き証

拠説示は本件記録によりこれを認めるというと大差なき結果となり「証拠の標目を

示せ」とある注意が没却せられる(昭和十九年(れ)第四四五号同年十月十二言渡

大審院判例参照)原判決が第一と第二と独立の事実を判示しその認定に用いた証拠

を第一、第二事実に区別関聯せしめることなく全証拠を漫然列挙したのは違法であ

る、論旨は理由があり原判決は破棄を免れない、已にこの点において原判決を破棄

する以上他の論旨に対する判断は不必要であるからこれを省略し刑事訴訟法第三七

八條第四号第四〇〇條本文の規定に従つて主文の如く判決する。

(裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

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