大判例

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東京高等裁判所 昭和24(を)新1359 高裁判例

主 文

本件控訴はこれを棄却する。

理 由

弁護人森山邦雄の控訴趣意は同人作成名義の控訴趣意書と題する末尾添附の書面

記載の通りである。これに対し当裁判所は次の通り判断する。

第一点 論旨は本件は農林省栃木県資材調整事務所作成名義の木材輸送証明書中

の輸送数量八石を一八〇石に期間欄中昭和二十四年三月九日迄とあるを一九日と変

更しただけであるから文書の変造と解しなければならないのに原判決はこれを偽造

と解し刑法第一五五条第一項後段に該当するものと判示したのは判決に影響を及ぼ

<要旨>すべき違法があるから原判決は破棄を免かれないというにある。よつて記録

並びに原審が取調べた証拠に現わ</要旨>れた事実によると所論の証明書は昭和二十

四年三月九日附同日限り有効であつて該期限経過後は直ちに当局に返還すべきに拘

らず被告人はこれを返還しないでなお所持しておつた処偶々昭和二十四年三月十八

日は雨天のため輸送中止の予定であつたが予期に反し同日輸送するしことになつた

ので輸送証明書交付手続をなさず右使用済で返還すべま証明書に所論のような記入

をしたものである。而して効力の消滅した既存文書を利用して新らたな文書を作成

した場合は文書の変造でなく偽造であると解すべきである。(大審院明治四〇年

(れ)第一七九七号同年十一月九日言渡事件参照。同旨昭和十二年(れ)第一四七

〇号同年十月二六日言渡事件参照。)

然るに前掲の通り所論証明書は既にその効力を失いしものであるのに被告人はこ

れを利用して新らたな証明書である如く装うため所論のような記入をしたものであ

るから文書の変造でなく文書の偽造であると認むべきである。これと見解を同じう

する原判決には所論のような違法はない。論旨理由ないものである。のみならず文

書偽造と、文書変造とは元来その罪質を同じうするからその孰れに従うもこれがた

め原判決を破棄すべき事由とならないことは既に古くより確立された原則であるし

(前掲明治四〇年(れ)第一七九七号及び同年(れ)第二〇九二号参照)今なおこ

れを変更する必要ないものであるから原判決には所論のような法の適用を誤つた違

法はない。論旨理由ないものである。

(その他の判決理由は省略する。)

(裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

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