大判例

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東京高等裁判所 昭和24(を)新343 高裁判例

主 文

原判決を破棄する。

本件を浦和簡易裁判所に移送する。

理 由

本件控訴の趣意は末尾に添付してある弁護人千葉律之作成名義控訴趣意書と題す

る書面記載の通りである。これに対し当裁判所は左の如く判断する。

論旨第二点について。

原判決は国家地方警察埼玉県本部刑事部鑑識課地方警察技官関根政一作成の掌紋

の鑑定書を証拠に引用してあるが、この鑑定書は刑事訴訟法第三百二十一条第四項

の書面であるから同法第三百二十六条による被告人の同意した場合でなければ鑑定

人を公判期日に証人として尋問した上でなければ証拠とすることは出来ないもので

<要旨>ある。原審公判調書を見ると弁護人は「鑑定書は証明力を除いた他逮捕手続

書前科調書云々については夫々そ</要旨>の成立に異議なし」と述べた旨の記載があ

るが、これでは被告人が右鑑定書を証拠とすることに同意したと見ることができな

いから原審は鑑定書の作成者を証人として喚問しなければこれを証拠とすることは

できないに拘らず、右喚問なくして直ちに証拠に採用したのは違法であり、この違

法は判決に影響を及ぼすものであることは明かであるから原判決はこの点で破棄せ

らるべきであり論旨は理由がある。

(裁判長判事 吉田常次郎 判事 保持道信 判事 鈴木勇)

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