東京高等裁判所 昭和27(う)85 高裁判例
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
抗告人は相手方のソ連行旅券発給拒否なる行政処分につき執行停止を求めるもの
であり、その抗告の要旨は末尾添付の別紙記載のとおりである。
<要旨>惟うに行政処分がこれを受ける者に対し、直接作為又は不作為を命ずると
か、又は当該処分の結果として現</要旨>在の法律状態に変更を来すような積極的効
果を生ぜしめる場合には、必要あれば行政事件訴訟特例法第十条の規定により、当
該処分の執行そのもの又は処分の効力の発生を停止すべきことを求めうるも、行政
処分が何等かゝる積極的意味を持つものでなく、単に消極的な効果を有するに止る
ときは、同条に基く執行停止なるものは存し得ないというべきである。しかるとこ
ろ、本件旅券発給拒否処分はかかる積極的効果を生ぜしめるものでなく、又これが
執行を停止して見ても抗告人等の旅券発給申請に対し未だ許否の処分が為されなか
つたと同一の状態を作出するにすぎず、それによつて相手方外務大臣が今後旅券発
給の義務を負担するに至るものではないから、該効力の発生停止は抗告人等に取り
何等実質的の意味を有しないことが明かである。それ故右停止申請は許すべきでな
く、これを却下した原決定は相当で、本件抗告は到底採用に値しない。
よつて主文の通り決定する。
(裁判長判事 松田二郎 判事 岡崎隆 判事 奥野利一)