松山地方裁判所 平成12年(行ウ)7の1号 判決 2003年6月24日
原告
A協同組合
同代表者代表理事
甲
同訴訟代理人弁護士
南健夫
同
曽我部吉正
被告
松山税務署長 森川東一
同指定代理人
片野正樹
同
藤本義文
同
富﨑能史
同
小川満
同
今井優
同
西山峰子
同
松田修治
同
大澤玄瑞
同
和泉康夫
同
坂東利定
同
鈴木久市
同
倉本幸芳
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1 被告が原告に対してした次の各処分をいずれも取り消す。
(1) 平成7年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成10年2月27日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定処分
(2) 平成8年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成10年2月27日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、寄附金の損金不算入額6099万0806円、繰延資産償却費の損金不算入額817万1333円及び雑収入の計上漏れ450万円とした部分
(3) 平成9年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成13年1月26日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、繰延資産償却費の損金不算入額1225万7000円、雑収入の計上漏れ690万円及び寄附金の損金不算入額7万3788円とした部分
(4) 平成10年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成13年1月26日付けでした更正処分のうち、繰延資産償却費の損金不算入額1225万7000円及び雑収入の計上漏れ800万円とした部分
(5) 平成11年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成13年1月26日付けでした更正及び無申告加算税賦課決定処分
2 訴訟費用は被告の負担とする。
第2事案の概要等
1 事案の概要
本件は、青色申告の承認を受けている漁業協同組合である原告が、平成7年1月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「平成7年12月期」という。以下、事業年度については、これと同様に「平成何年12月期」と表示する。)、平成8年12月期、平成9年12月期、平成10年12月期及び平成11年12月期(以下、これらを「本件各事業年度」という。)の法人税の確定申告書をそれぞれ提出したところ、被告が、<1>繰延資産として計上されていた財団法人B振興協会(以下「B振興協会」という。)に対する出捐金(以下「本件出捐金」という。)を寄附金と認定し、また、<2>仮受金として計上されていた別紙1ないし5記載の金員(以下「本件漁業協力金等」という。)を雑収入と認定したことを主な理由として、本件各事業年度における各法人税の更正処分及び過少申告加算税等の賦課決定処分(以下、これらを併せて「本件各処分」という。)を行ったことから、これらの取消しを求めた事案である。
2 争いのない事実等(証拠を掲記したもの以外は、当事者間に争いがない。)
(1) 当事者等
原告は、水産業協同組合法により設立され、伊予灘海域において共同漁業権を有している漁業協同組合であり、法人税の申告につき青色申告の承認を受けているものである。
B振興協会は、昭和62年9月19日に愛媛県知事の許可を受け、原告を含む伊予灘海域の漁業協同組合によって設立された公益財団法人である。
B振興協会の寄附行為では、B振興協会は、伊予灘地区において漁業の振興に関する事業を実施することにより、漁業の発展と漁業者の生活安定に寄与することを目的とし、この目的を達成するため、<1>水産動物の保護及び育成、<2>遊漁者に対する指導、<3>漁業者に対する経営指導及び経営対策の助成、<4>漁業に関する教育及び情報提供、<5>公害対策に関する事業、<6>その他必要な事業を行うこととされている。また、B振興協会の寄附行為では、その資産に基本財産と運用財産の2種があり、基本財産は、<1>設立当初の財産目録中基本財産の部に記載された財産、<2>基本財産とすることを指定して寄附された財産、<3>理事会で基本財産に繰り入れることを議決した財産をもって構成されることとされ、原則としてこれを処分したり担保に供することができないこととされている(平成12年(行ウ)第7号の1事件の甲23。以下、書証については、特に断りのない限り、同事件の書証を指す。)。
(2) 本件各処分等の経緯
ア 平成7年12月期の法人税について
原告は、別紙1のとおり、平成7年4月1日から同年12月7日までの間に、C組合等から入港協力金等として金員(以下「別紙1の金員」という。)の支払を受け、これを仮勘定として経理した上、平成8年2月26日、平成7年12月期の法人税につき、所得金額0円、納付すべき法人税額0円とする青色確定申告をした。これに対し、被告は、別紙1の金員を雑収入であると認定し、次のとおり、法人税額の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
(ア) 所得金額 527万0108円
(内訳)
(a) 確定申告における所得税額 0円
(b) 雑収入の計上漏れ額 590万円
原告が仮受金として記帳していた別紙1の金員は、入港協力金や漁業補償金等の名目のものであり、受領時において既に原告の確定した収入であると認められるため、合計額590万円を雑収入の計上漏れ額として所得金額に加算した。
(c) 繰越欠損金の損金算入額 62万9892円
(計算)
(a)+(b)-(c)=527万0108円
(イ) 法人税額 96万9200円
(内訳)
(a) 所得金額に対する法人税額 142万2900円
(b) 控除所得税額 45万3664円
(計算)
(a)-(b)=96万9200円
(ただし、国税通則法119条1項により100円未満切り捨て)
(ウ) 過少申告加算税 11万9000円
イ 平成8年12月期の法人税について
原告は、別紙2のとおり、平成8年5月8日から同年12月11日までの間に、D協同組合等から漁業補償金等として金員(以下「別紙2の金員」という。)の支払を受けた。また、原告は、同年12月17日、B振興協会に対し、B振興協会の基本財産とすることを指定して6128万5000円を支出し(本件出捐金)、B振興協会は、これを基本財産に組み入れた。
原告は、別紙2の金員を仮勘定として経理するとともに本件出捐金については法人税法2条25号(平成13年法律第6号による改正前のもの。以下同様。)、法人税法施行令(以下「施行令」という。)14条1項9号(平成13年政令第135号による改正前のもの。以下同様。)所定の繰延資産に該当し、その償却期間を5年間であると考え、平成9年2月26日、平成8年12月期の法人税につき、所得金額623万0728円、納付すべき法人税額114万0300円とする青色確定申告を行った。これに対し、被告は、別紙2の金員を雑収入であると認定し、本件出捐金については法人税法37条6項(平成14年法律第79号による改正前のもの。以下同様。)所定の寄附金であると認定して、次のとおり、法人税額の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
(ア) 所得金額 2123万2468円
(内訳)
(a) 確定申告における所得金額 623万0728円
(b) 雑収入の計上漏れ額 450万円
原告が仮受金として記帳していた別紙2の金員は、漁業補償金や漁業振興協力金等の名目のものであり、受領時において既に原告の確定した収入であると認められるため、合計額450万円を雑収入の計上漏れ額として所得金額に加算した。
(c) 繰延資産償却費否認額 817万1333円
被告は、原告が繰延資産として処理するB振興協会に対する本件出捐金を法人税法37条6項所定の寄附金であると認めたため、原告が本件出捐金を繰延資産であることを前提として処理した繰延資産償却に係る金額を損金の額に算入することができないものとした。
(d) 減価償却超過額 234万6309円
(e) 寄附金の損金不算入額 6099万0806円
被告は、本件出捐金を法人税法37条6項所定の寄附金であると認め、同条2項及び施行令73条1項の規定に基づき、この損金不算入額を6099万0806円とした。
(f) 繰越欠損金の控除過大額 62万9892円
平成7年12月期の法人税の更正処分により、前事業年度から繰り越した欠損金額が0円となるため、被告は、原告が当期に控除した欠損金62万9892円を控除過大額として損金の額に算入することができないものとした。
(g) 寄附金の認容額 6128万5000円
被告は、原告が本件出捐金の全額を繰延資産として所得金額に加算していたため、これと同額を寄附金として損金の額に算入すべきものとした。
(h) 事業税の認容額 35万1600円
(計算)
(a)+(b)+(c)+(d)+(e)+(f)-(g)-(h)=2123万2468円
(イ) 法人税額 450万4200円
(内訳)
(a) 所得金額に対する法人税額 573万2640円
(b) 控除所得税額 8万8100円
(c) 納付済みの本税額 114万0300円
(計算)
(a)-(b)-(c)=450万4200円
(ただし、国税通則法119条1項により100円未満切り捨て)
(ウ) 過少申告加算税 59万1000円
ウ 平成9年12月期の法人税について
原告は、別紙3のとおり、平成9年4月3日から同年12月29日までの間に、C組合等から入港協力金等として金員(以下「別紙3の金員」という。)の支払を受け、これを仮勘定として経理するとともに、本件出捐金が繰延資産に該当し、償却期間が5年となるものと考えて、平成10年2月27日、平成9年12月期の法人税につき、欠損金額1076万7415円、納付すべき法人税額0円、翌期に繰り越す欠損金1076万7415円とする青色確定申告を行った。これに対し、被告は、別紙3の金員を雑収入であると認定し、本件出捐金については法人税法37条6項所定の寄附金であると認定して、次のとおり、法人税額の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
(ア) 所得金額 671万5797円
(内訳)
(a) 確定申告における欠損金額 1076万7415円
(b) 雑収入の計上漏れ額 690万円
原告が仮受金として記帳していた別紙3の金員は、入港協力金や漁業補償金等の名目のものであり、受領時において既に原告の確定した収入であると認められるため、合計額690万円を雑収入の計上漏れ額として所得金額に加算した。
(c) 繰延資産償却費否認額 1225万7000円
被告は、原告が繰延資産として処理するB振興協会に対する本件出捐金を法人税法37条6項所定の寄附金であると認めたため、原告が本件出捐金を繰延資産であることを前提として処理した繰延資産償却に係る金額を損金の額に算入することができないものとした。
(d) 雑収入の重複計上額 160万円
原告が雑収入として計上した市場迷惑料160万円は、平成7年12月期の所得に加算された収入であることから、被告はこれを所得金額から減算した。
(e) 寄附金の損金不算入額 7万3788円
上記(b)ないし(d)による所得の増加に伴い、寄附金の損金算入限度額が増加することから、被告は、法人税法37条2項及び施行令73条1項の規定に従い、寄附金の損金不算入額を0円と算定し、原告が損金不算入とした7万3788円を損金の額に算入し、所得金額から減算した。
(計算)
-(a)+(b)+(c)-(d)-(e)=671万5797円
(イ) 法人税額 174万2100円
(内訳)
(a) 所得金額に対する法人税額 181万3050円
(b) 控除所得税額 7万0900円
(計算)
(a)-(b)=174万2100円
(ただし、国税通則法119条1項により100円未満切り捨て)
(ウ) 過少申告加算税 23万6000円
エ 平成10年12月期の法人税について
原告は、別紙4のとおり、平成10年4月1日から同年12月25日までの間に、株式会社E等から協力金等として金員(以下「別紙4の金員」という。)の支払を受け、これを仮勘定として経理するとともに、本件出捐金が繰延資産に該当し、償却期間が5年となるものと考えて、平成11年3月1日、平成10年12月期の法人税につき、欠損金額2222万3268円、還付すべき税額7万2100円、翌期に繰り越す欠損金3290万0683円とする青色確定申告を行った。これに対し、被告は、別紙4の金員を雑収入であると認定し、本件出損金については法人税法37条6項所定の寄附金であると認定して、次のとおり、法人税額の更正処分を行った。
(ア) 欠損金額 208万1868円
(内訳)
(a) 確定申告における欠損金額 2222万3268円
(b) 雑収入の計上漏れ額 800万円
原告が仮受金として記帳していた別紙4の金員は、協力金や漁業補償金等の名目のものであり、受領時において既に原告の確定した収入であると認められるため、合計額800万円を雑収入の計上漏れ額として所得金額に加算した。
(c) 繰延資産償却費否認額 1225万7000円
被告は、原告が繰延資産として処理するB振興協会に対する本件出捐金を法人税法37条6項所定の寄附金であると認めたため、原告が本件出捐金を繰延資産であることを前提として処理した繰延資産償却に係る金額を損金の額に算入することができないものとした。
(d) 事業税の否認額 35万1600円
(e) 事業税の認容額 46万7200円
(計算)
-(a)+(b)+(c)+(d)-(e)=-208万1868円
(イ) 法人税額 0円
オ 平成11年12月期の法人税について
原告は、別紙5のとおり、平成11年1月22日から同年12月10日までの間に、有限会社F等から協力金等として金員(以下「別紙5の金員」という。)の支払を受け、これを仮勘定として経理して、平成12年3月14日、平成11年12月期の法人税につき、欠損金額45万8513円、還付すべき税額4万2100円、翌期に繰り越す欠損金3344万9196円とする青色確定申告を行った。これに対し、被告は、別紙5の金員を雑収入であると認定して、次のとおり、法人税額の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分を行った。
(ア) 所得金額 1044万4619円
(内訳)
(a) 確定申告における欠損金額 45万8513円
(b) 雑収入の計上漏れ額 1298万5000円
原告が仮受金として記帳していた別紙5の金員は、協力金や海上工事協力金等の名目のものであり、受領時において既に原告の確定した収入であると認められるため、合計額1298万5000円を雑収入の計上漏れ額として所得金額に加算した。
(c) 繰越欠損金 208万1868円
(計算)
-(a)+(b)-(c)=1044万4619円
(イ) 法人税額 261万1000円
(内訳)
(a) 所得金額に対する法人税額 261万1000円
(b) 控除所得税額 4万2100円
(c) 確定した還付税額 4万2100円
(計算)
(a)-(b)+(c)=261万1000円
(ただし、国税通則法119条1項により100円未満切り捨て)
(ウ) 無申告加算税 39万1500円
(3) 異議・審査決定
ア 平成7年12月期及び平成8年12月期の各法人税について
原告は、平成10年4月23日に被告に対して異議申立てをしたが、同年7月9日に棄却され、同年8月6日に国税不服審判所長に対して審査請求をしたが、平成11年12月22日付けで棄却された(平成12年1月13日送付)。
そこで、原告は、平成12年4月10日、平成12年(行ウ)第7号の1事件の訴えを提起した。
イ 平成9年12月期ないし平成11年12月期の各法人税について
原告は、平成13年3月22日に被告に対して異議申立てをしたが、同年6月21日に棄却され、同年7月18日に国税不服審判所長に対して審査請求をしたが、平成14年4月8日付けで棄却された(同月17日送付)。
そこで、原告は、平成14年6月20日、平成14年(行ウ)第8号事件の訴えを提起した。
第3争点
1 本件出捐金が、法人税法37条6項に規定する寄附金に該当するか、同法2条25号、施行令14条1項9号に規定する繰延資産に該当するか。
(1) 原告の主張
ア 本件出捐金は、B振興協会の基本財産に繰り入れられ、その事業活動の原資となっているものであり、このB振興協会の事業により、原告が漁場としている伊予灘の水産動植物の個体の増加、質の向上が見込まれ、ひいては原告及び原告の組合員の漁獲量及び漁獲高の増加という、原告及び原告の組合員のみに帰属する排他的専属的利益がもたらされている。とすれば、本件出捐金は、かかる利益の対価として支払われたものであるということができるから、法人税法所定の寄附金には該当せず、同法2条25号、施行令14条1項9号イ又はホに規定する繰延資産に該当する。
記
施行令14条1項9号前各号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの
同号のイ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
同号のホ イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用
イ 施行令14条1項9号イの「共同的施設」は物的施設に限定されるわけではなく、団体であっても、その主要な目的と活動が当該団体の所属する協会、連合会等の本来の目的、活動に沿い、かつ、実質的に当該団体の利便につながるものであれば、当該団体は「共同的施設」である。B振興協会はかかる要件を充たしており、「共同的施設」に該当する。
ウ また、施行令14条1項9号ホの例示である法人税基本通達8―1―11(同業者団体等の加入金)では、同業者団体等の加入金は、自己が便益を受けるために支出する費用であることから、繰延資産に該当する旨定められている。当該同業者団体の運営は、加入金の収益によりその費用を支出し、やむを得ない場合には加入金を取り崩し費用に充てて運営しているところ、B振興協会の経費についても寄附行為により運用財産(基本財産の収益)をもって支弁し、やむを得ない事由あれば、理事の同意等により基本財産の一部を取り崩して支出することができると規定されている。したがって、B振興協会に対する本件出捐金の目的、その効果及び便益の内容等は、当該同業者団体等の加入金と酷似しているというべきであるから、本件出捐金は、自己が便益を受けるために支出する費用(施行令14条1項9号ホ)であり、繰延資産に該当する。
(2) 被告の主張
ア 財団法人は、民法34条に設立の根拠をおく公益法人の一つであり、祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益を目的とするものに限り設立が認められるもので、営利を目的とせず、広く一般にその利益ないし恩恵を与えることを目的としている。したがって、財団法人であるB振興協会も、特定の団体又は個人に排他的専属的利益を供与することを目的として設立されたものではない。
本件出捐金については、出捐先であるB振興協会が「基本財産とすることを指定して」寄附を受けたとしており、B振興協会の決算においても基本財産として受入処理されているほか、B振興協会は、寄附行為において本件出捐金を拠出者に返還しないことを明らかにしている。
上記の事情に照らせば、本件出捐金は、原告が主張するように、将来にわたって原告を含めた24の関係漁業協同組合及びその構成員たる漁民らが便益を受けるために支弁されたものであるということはできず、むしろ、法人税法37条6項所定の「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」として、寄附金に該当するものとして処理すべきである。
イ 施行令14条1項9号イの「共同的施設」とは、法人が所属する協会等が建設又は改良を行う物的な施設(会館等)が想定されているのであり、財産の集合体である財団法人がこれに含まれないことは明らかである。
ウ 原告は、本件出捐金が法人税基本通達8―1―11により繰延資産に該当するとされる同業者団体等の加入金と酷似しているとし、本件出捐金もこれと同様に繰延資産に該当するというべきであるとする。しかし、この解釈は正しくない。加入金には出資としての性質を有するものとそうでないものとがあり、出資の性質を有する加入金については有価証券の一種として資産計上することになるが、それ以外のものの処理について明らかにする通達等は存しなかった。そこで、上記通達は、出資の性質を有しない加入金につき、それを支出することによりはじめて同業者団体等に加入することができ、以後引き続いて当該団体から会員としてのサービスの提供を受けることになるので、その支出の効果は一時的なものではないとして、繰延資産に該当することを明らかにしたものである。
それゆえ、上記通達は、出資としての性格を有しない「加入金」のうち、当該加入金が「同業者団体等の加入金」としての実質を有する場合については、加入金の支出と当該団体等への加入との間に対価関係を認めるとともに、当該加入に基づき、加入後、当該団体等から会員としてのサービスの提供を受けることを、加入金の支出もしくは加入の効果と見て、そのような実質を有する加入金について繰延資産性を肯定したものなのであって、本件出捐金のように、そのような実質を有しない単なる費用支出(すなわち、その費用支出により、単に将来的に何らかの利益を享受し得るという関係にあるにとどまるような場合)にまで一般的に繰延資産性を肯定したものではない。
しかも、本件において、B振興協会は財団法人として設立され、公益法人として社会一般の利益となる事業を行うことが期待されているのであるから、B振興協会が同業者団体に該当するということ自体が問題である。また、B振興協会に対する原告の出捐は、本件出捐金のほかにB振興協会の設立時である昭和62年9月17日(140万円)に行われているところ、原告の当時の代表理事がB振興協会の評議員に就任している(任期は平成7年6月1日から平成10年5月31日まで。したがって、本件出捐金は上記評議員在任中に支払われたことになる。)ことなどからすると、本件出捐金が新たにB振興協会へ加入するために支払われた金員であるとするのは困難である。
2 原告が仮受金として経理処理した本件漁業協力金等は、これを収受した事業年度の益金の額に算入すべきか否か。
(1) 原告の主張
以下のとおり、本件漁業協力金等は、本来組合員に帰属するものであり、原告において、その益金として計上することなく、仮受金として仮勘定経理することができるものである。
ア 本件漁業協力金等は、松山市からの水揚荷役料を除き、その実体は、原告が有する共同漁業権の行使を一部制限し、悪影響を及ぼす対価として支払われた影響補償金(公共用地の取得に伴う損失基準要綱22条参照。なお、消滅補償金については同要綱17条参照。)、あるいは漁業者たる原告組合員による操業への影響に対する補償であり、その名目のいかんにかかわらず、影響を受ける漁業者、すなわち各組合員に帰属するものである。組合員個々が操業に影響を及ぼす関係者と交渉することは事実上不可能なため、原告が代表して交渉・受領しているものである。
実際にも受領した本件漁業協力金等は組合員に配分されており、原告の益金として認識することはできないものである。
なお、松山市からの水揚荷役料は、松山市の開設した中央卸売市場に水揚げする際、原告の組合員が負担する荷役料の一部補助として支払われる金員であり、荷役に従事する組合員に支払うべきものを原告が代理して受領しているのであって、本来組合員に帰属すべきものである。
イ 租税特別措置法関係通達64(2)―29(共同漁業権等の消滅等による補償金の仮勘定経理。以下「本件通達」という。)によれば、漁業協同組合がその有する共同漁業権等の消滅又はその価値の減少により補償金を取得した場合において、漁業を営む権利を有する組合員にそれを配分することを予定している場合には、その部分の金額について仮勘定経理が認められている。そして、本件漁業協力金等は、その名義如何にかかわらず、いずれも原告の組合員らの行う操業に悪影響を及ぼし、共同漁業権の価値を減少させる行為の補償とし、かつ組合員たる漁民に配分すべきものとして受け入れたものである。したがって、本件通達による取扱いを前提にすれば、本件漁業協力金等についても、仮勘定経理が認められるべきである。
ウ 仮受金の取扱いについては、課税当局もこれを認めて、原告が行った税務会計上の処理は長年の慣行によって既に税務会計原則として確立されていた。また、昭和50年代初頭から平成8年度までの間、各事業年度における税務申告を適正に行うため、松山税務署担当官の同席の下で、各漁業協同組合を対象にした集合申告会が実施されており、この集合申告会においては、原告も関係帳簿書類等を持参して指導を受け、仮受金処理についても確認した上で税務申告を行ってきた。
(2) 被告の主張
本件漁業協力金等は、原告の当該事業年度における益金にほかならない。
ア 本件漁業協力金等は、現に直接原告に入金されたものであり、かつ、その金員の性格も「資本等取引以外のもの」(法人税法22条2項及び5項)に該当するものであるから、原則として、原告の当該事業年度における益金として認識されるべきものである。
イ 本件漁業協力金等の内容を証する書面(甲1ないし11)において、いずれも原告がその当事者となっていることや本件漁業協力金等の具体的内容等からすれば、本件漁業協力金等は、原告に確定的に帰属するものというべきであり、各組合員が被った具体的・個別的な損害等への対価として原告の組合員に帰属するものではないのであって、結果的に各組合員に配分されていたとしても、それは、原告が、自らに確定的に帰属する金銭について、原告の判断において、各組合員に配分したに過ぎないものというべきである。
なお、本件漁業協力金等のうち、松山市からの水揚荷役料については、補助金の請求、受領及び配分をG協同組合連合会が行うことになっている点が他の協力金等と異なっているが、水揚荷役料の授受に係る覚書(甲10)において原告が当事者の一員となっていることなどからすると、水揚荷役料についても、他の協力金等と取扱いを異にすべき理由は認められない。
ウ 本件通達は、公共事業の施行に伴う共同漁業権等の消滅等による補償金等は共同漁業権等の権利主体である漁業協同組合等に帰属するが、実際上、漁業協同組合等が、補償金等の受領後、その全部又は一部をその組合員たる個々の漁業者に配分するのが通常であり、また、その配分に際して内部的な調整に相当の時間を要することも多いことから、消滅補償金等を受領した法人たる漁業協同組合等が、当該補償金等の全部又は一部を組合員たる個々の漁業者に配分することを予定している場合には、その配分予定金額について、一定期間に限り、法人の収益として確定させず、仮勘定経理をすることを許容した規定と解される。このように、本件通達は、そこに示された消滅補償金及び減価補償金に限り、上記の一定の期間に限り、組合員に配分することを予定しているものについて仮受金経理を認めるとの例外的取扱いを容認する規定であって、漁業補償金がその名目のいかんにかかわらず組合員たる個々の漁業者に帰属することを理由として規定されたものではない。したがって、本件通達があることにより、本件漁業協力金等の仮受金処理が許容されるものではない。
エ なお、平成8年度までの集合申告会においては、松山税務署法人課税部門の指導担当者(2名)が、各漁業協同組合からの要望に応じて、法人税の確定申告書別表の記載方法等について指導を行っていた(いつから出席していたかは不明である。また、帳簿書類等に目を通した上での指導は行っていない。)。平成9年度以降は、H協同組合連合会の指導課長から出席を遠慮願いたい旨の申し出があり、松山税務署からは参加していない。
第4当裁判所の判断
1 争点1(本件出捐金)について
(1) 寄附金とは、その名義のいかんを問わず、法人がする金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をいうところ(法人税法37条6項)、前記第2の2(1)の事実に証拠(甲24)及び弁論の全趣旨を総合すると、B振興協会は、伊予灘地区において漁業の振興に関する事業を実施することにより、漁業の発展と漁業者の生活安定に寄与することを目的とする公益法人として、原告を含む24の漁業協同組合により設立されたこと、B振興協会においては、基本財産の運用収入をもって事業が実施されているが、設立当初から関係漁業協同組合の合意の下、20億円を目標として基金造成を行うこととされ、この一環として本件出捐金が基本財産に拠出されたこと、これに対し、B振興協会から原告に対する金銭の供与、役務の提供などはなく、原告が本件出捐金を支出したことにより、B振興協会から何らかの役務の提供等を受け得る法的地位を取得したという事情もないことが認められる。このことからすれば、本件出捐金は、原告が無償でB振興協会に供与した金銭であるというべきである。
この点、原告は、本件出捐金がB振興協会の基本財産に繰り入れられ、これを原資として行われたB振興協会の事業活動により、原告が漁場としている伊予灘の水産動植物の個体の増加、質の向上が見込まれ、ひいては原告及び原告組合員の漁獲量及び漁獲高の増加という、原告及び原告組合員のみに帰属する排他的専属的利益がもたらされており、これが本件出捐金の対価であるから、本件出捐金は、寄附金ではなく、むしろ、法人税法2条25号、施行令14条1項9号イ又はホの繰延資産に該当すると主張する。
しかし、B振興協会が、伊予灘地区における漁業の発展と漁業者の生活安定に寄与することを目的とする公益法人であり、その基本財産として本件出捐金が拠出されたことは前記のとおりである。とすれば、B振興協会の事業活動は、あくまで公益、すなわち社会全般の利益のために行われるものであり、本件出捐金も、この公益目的を遂行するための財産的基礎を形成するものとして拠出されたものというべきであって、B振興協会の事業活動の成果の多くを原告及び原告組合員が享受する関係にあるとしても、これはいわば反射的な効果に過ぎず、本件出捐金の対価であるということはできないから、原告の主張には、理由がないというべきである。
以上によれば、本件出捐金が繰延資産に該当しないことは明らかである。
なお、原告は、本件出捐金の目的、その効果及び便益の内容等は、施行令14条1項9号ホの例示として法人税基本通達8―1―11に規定されている同業者団体等の加入金と酷似しているとして、本件出捐金は繰延資産に該当すると主張する。
しかし、同通達は、出資の性質を有しない加入金につき、加入金の支出の対価として、はじめて同業者団体等に加入することができるとともに以後引き続いて当該団体から会員としてのサービスの提供を受けることになり、このような支出の効果は一時的なものではないことから、繰延資産に該当するとしたものである。そして、本件においては、原告が、本件出捐金を支出したことにより、その対価としてB振興協会から何らかの便益を享受するということができないことは前に説示したとおりであるから、本件出捐金を同通達所定の同業者団体等の加入金と同列に扱うことはできず、原告の主張は理由がないというほかない。
(2) 争点1の結論
以上のとおり、本件出捐金は寄附金に該当し、繰延資産には該当しない。
2 争点2(本件漁業協力金等)について
(1) 前記第2の2の争いのない事実等に証拠(甲1、2の1、2の2、4、5、10、11、66及び原告代表者本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、本件漁業協力金等に関し、次の事実が認められる。
ア 原告は、平成7年4月1日、平成9年4月3日、平成11年5月1日及び同年11月1日、C組合から入港協力金として各20万円を受領した。これは、港の中に木材チップが散乱するなどのため操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
イ 原告は、D協同組合から漁業補償金として、平成7年4月14日に80万円を、平成8年5月8日、平成9年5月6日、平成10年5月25日及び平成11年6月1日に各100万円をそれぞれ受領した。これは、砂の採取及び荷揚げにより操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
ウ 原告は、平成7年7月25日、平成8年7月29日、平成10年8月1日及び平成11年7月23日に、I協同組合から漁業振興協力金として、各60万円を受領した。これは、木材の洗浄による排水のために漁場が汚濁し、操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
エ 原告は、平成7年8月3日、松山市から荷役料として160万円を受領した。これは、松山市が開設する中央市場の移転に伴い、原告組合員が海上から直接市場に水揚げができなくなったことから、その補償の趣旨で支払われたものである。
オ 原告は、平成7年11月6日、平成8年11月21日、平成9年11月1日、平成10年12月2日及び平成11年12月1日にJ株式会社等により構成されるK協議会から協力金(ただし、平成10年分は助成金)として、各50万円を受領した。これは、同協議会を構成する企業による共同漁業権内への排水によって操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
カ 原告は、平成7年9月4日、平成8年9月9日、平成9年9月11日、平成10年9月8日及び平成11年9月17日、J株式会社及びL株式会社から、M会費として各130万円を受領した。Mは、原告が共同漁業権を有している海域を生産活動に利用する上記2社と原告とが良好な関係を築くために結成された親睦団体であるが、上記会費は、上記2社の工場からの工業廃水によって操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
キ 原告は、平成7年12月1日、平成8年12月3日、平成9年12月1日、平成10年12月2日及び平成11年12月2日、N株式会社から漁業協力金として各50万円を受領した。これは、海砂洗浄による排水によって操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
ク 原告は、平成7年12月7日、平成8年12月3日、平成9年12月15日、平成10年12月8日及び平成11年12月8日、O株式会社、P株式会社及びQ株式会社から、助成金として各40万円を受領した。これは、上記3社の工場廃水の排出により操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
ケ 原告は、平成8年12月11日、平成10年12月25日及び平成11年12月10日、株式会社Rから漁業協力金として各20万円を受領した。これは、鳥肉処理に伴う排水により操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。
コ 本件漁業協力金等の支払に関する契約ないし合意は、いずれも原告が当事者となっており、原告が組合員を代理し又は組合員の委任を受けて行ったものはない。
サ 本件漁業協力金等は、すべて原告が現実に受領しており、原告の受領後、配分案について総会の議決を経た上で組合員に配分されるが、原告が本件漁業協力金等に関する契約ないし合意をする前に原告に支払われる金額や組合員への配分等につき総会の議決を経るなどの形で組合員の了承を得たことはない。
(2) 法人税法22条2項は、「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」として、法人の取引に係る収益は広く益金に含まれることを規定する。
上記(1)の認定事実からすると、本件漁業協力金等のうち、松山市からの荷役料を除いたものについては、いずれも、工場廃水の排出等により漁場での操業に影響が生じることからその補償の趣旨で支払われたものであると認められるところ、原告組合員の操業は、共同漁業権を有する漁業協同組合という団体の構成員としての地位に基づくものであって、その漁業を営む権利は漁業協同組合の有する共同漁業権の範囲内で認められるに過ぎないこと(漁業法8条1項参照)からすれば、本件漁業協力金等は、個々の組合員の操業ではなく、原告の有する共同漁業権への影響ないし制約に対する補償と解すべきものである。
また、本件漁業協力金等に関する契約ないし合意は、いずれも原告が当事者となっており、原告が組合員を代理し又は組合員の委任を受けて行ったものでないことは前記認定のとおりである。さらに、前記のとおり、原告内部における本件漁業協力金等の処理についても、一旦原告が金員を受領した後、総会の議決を経て組合員への配分及びその具体的な金額が決まるのであって、原告が本件漁業協力金等に関する契約ないし合意を行うに先立ち、受領した金員を組合員に配分することが組合員により了承されていたわけではなく、場合によっては、金員の受領後、総会の議決により組合員には配分しないことになる事態もあり得ると考えられる。
以上のような本件漁業協力金等の趣旨、本件漁業協力金等に関する契約ないし合意の形式、本件漁業協力金等の原告内部での取扱い等に鑑みると、本件漁業協力金等は、原告組合員に対する配分が当然に予定されるなど形式上原告が受領したに過ぎないものということはできず、原告が受領した段階で原告に確定的に帰属しているというべきである。
なお、前記のとおり、本件漁業協力金等のうち、松山市からの荷役料は、市場への水揚げが海上から直接できなくなったことに対する補償の趣旨で支払われたものであるから、共同漁業権への影響ないし制約に対する補償とはいい難いが、これに関する契約ないし合意の形式や原告内部での取扱いは他の協力金等と同じであることに照らすと、荷役料についても原告に帰属するものと解するのが相当である。
(3) この点、原告は、本件漁業協力金等は、本件通達の定める補償金と同様、いずれも原告組合員の行う操業に悪影響を及ぼし、共同漁業権の価値を減少させる行為の補償とし、かつ組合員に配分すべきものとして受け入れたものであるから、仮勘定経理が認められるべきであると主張する。しかしながら、前記説示のとおり、本件漁業協力金等は、原告に確定的に帰属するものというべきであり、組合員に配分すべきものとして受け入れたということはできないから、原告の主張は前提を欠くというべきである。
(4) また、原告は、本件漁業協力金等の仮受金処理は、長年の慣行によって既に税務会計原則として確立されており、昭和50年代初頭から平成8年度までの間、各事業年度における税務申告を適正に行うために松山税務署担当官の同席の下で実施された集合申告会においても、原告は関係帳簿書類等を持参して指導を受け、仮受金処理についても確認した上で税務申告を行ってきた旨主張する。
原告の上記主張は、本件漁業協力金等の仮受金処理が慣習法として確立していた、又は信義則ないし禁反言の法理により本件各処分が許されない旨の主張と解しうるところ、確かに、平成8年度まで、H協同組合連合会主催の集合申告会において、松山税務署職員が、原告を含む漁業協同組合に対して、その確定申告のための指導を行ってきていたが、上記仮受金処理に関して、特に問題とされたことがなかったことは当事者間に争いがない。
しかし、松山税務署職員による指導が昭和50年代初頭から行われていたという原告主張を前提としても、これらはいずれも公式のものではなく、いわば原告ら漁業協同組合の便宜のため、事実上相談に応じていたというものに過ぎないとみるのが相当であるから、これらのみをもって当該取扱いが慣習法の域に達していたとは解し難く、租税法律主義の原則に照らしても、原告の主張は失当というべきである。また、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、信義則ないし禁反言の法理の適用については慎重でなければならないところ、上記事実をもって、被告あるいは課税庁としての公的な見解が示されたものとはいえないことからすると、本件においては上記法理を適用する前提を欠くというべきである(最高裁第三小法廷判決昭和62年10月30日・裁判集民事152号93頁参照)。
(5) 争点2の結論
以上によれば、本件漁業協力金等は、いずれも原告に帰属するというべきであるから、これらを収受した各事業年度の益金の額に算入すべきものと認められる。
3 結論
以上のとおり、争点1及び争点2のいずれにおいても、原告の主張には理由がなく、本件各処分の根拠のうち、これら以外の点については、当事者間に争いがないから、本件各処分は、いずれも適法であるということができる。したがって、原告の請求には理由がないからいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 坂倉充信 裁判官 角谷昌毅 裁判官 大嶺崇)
別紙1
雑収入の計上漏れ額(平成7年12月期)内訳
<省略>
別紙2
雑収入の計上漏れ額(平成8年12月期)内訳
<省略>
別紙3
雑収入の計上漏れ額(平成9年12月期)内訳
<省略>
別紙4
雑収入の計上漏れ額(平成10年12月期)内訳
<省略>
別紙5
雑収入の計上漏れ額(平成11年12月期)内訳
<省略>