松山地方裁判所 平成17年(わ)23号 判決 2006年10月12日
被告人
本店の所在地
奈良県御所市a番地
法人の名称
A有限会社
代表者の住居
神戸市b区c町d丁目e番f号
代表者
B
主文
被告人を罰金500万円に処する。
理由
(犯罪事実の要旨)
被告会社は,奈良県御所市a番地に本店を置き,軽油精製事業等を営むものであるところ,被告会社の当時の代表取締役としてその業務全般を統括管理していたCにおいて,被告会社の業務に関し,特別管理産業廃棄物処分業の許可を受けておらず,かつ,特別管理産業廃棄物の処分を委託できるものとして環境省令で定める者でないD株式会社に対し,
第1 別紙一覧表記載のとおり,平成14年1月5日ころから同月18日までの間,前後6回にわたり,岡山県g市h番地の同社が管理する倉庫において,被告会社の軽油精製事業活動に伴って生じた特別管理産業廃棄物である廃酸と廃油の混合物合計約16,800リットルの入ったドラム缶合計約84本の処分を代金合計134万4,000円で委託し,
第2 別紙一覧表記載のとおり,平成15年1月10日ころから同年12月17日ころまでの間,前後117回にわたり,兵庫県i市j町k番所在の工場又はl市m番所在のD株式会社l事業所において,被告会社の軽油精製事業活動に伴って生じた特別管理産業廃棄物である廃酸と廃油の混合物合計約35万5,000リットルの入ったドラム缶合計約1,775本の処分を代金合計3,550万円で委託し,
もってそれぞれ産業廃棄物の処分を委託することができない者に処分を委託したものである。
(別紙一覧表 省略)
(量刑の理由)
本件は,軽油精製事業等を営む被告会社が特別管理産業廃棄物処分業につき許可を有していないD株式会社(以下「D」という)に対して,平成14年1。月5日ころから平成15年12月17日ころまでの間,前後123回にわたり,被告会社の事業活動に伴って生じた特別管理産業廃棄物である廃酸と廃油の混合物(以下「硫酸ピッチ」という。)合計約37万リットル余りの入ったドラム缶合計約1850本余りの処分を委託したという廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の事案である。
被告会社は,約1年11か月の間,前後123回にわたって,合計約37万リットル余りの硫酸ピッチの処分を無許可業者に委託していたという極めて大胆かつ常習的な犯行であって,硫酸ピッチが強酸性の極めて危険な物質であることから,その適正な処理を確保するため特別な規制を設けた法の趣旨をないがしろにする悪質な犯行である。被告会社は,軽油精製事業を継続するため,Dが特別管理産業廃棄物処分につき無許可であることを知りつつ,許可の不要な自社処理を装って判示第1の各犯行を敢行し,平成14年7月ころ,l市長から自社処理とは認められずDのl事業所に硫酸ピッチを搬入しないよう指導された後も判示第2の各犯行を敢行しており,その刑事責任は重大である。
他方,被告会社は,許可業者に依頼して自らの関与した硫酸ピッチのうちドラム缶約40本分及び約2万キログラム余りを処理したこと,不法に放置された硫酸ピッチを行政代執行により除去したn県に対してその費用の一部として735万円余りを分割納付する旨誓約し,実際に合計250万円余りを納付したこと,前科前歴がないことなどの事情も認められる。
そこで,上記諸事情を総合考慮の上,主文のとおり判決する。
(求刑 罰金500万円)
(裁判長裁判官 前田昌宏 裁判官 武田義德 裁判官 酒井英臣)