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松山地方裁判所 昭和46年(わ)512号 判決

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官石川達紘出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人日進工業株式会社を罰金四〇〇万円、被告人根上正夫を懲役六月に処する。

被告人根上正夫に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日進工業株式会社(以下「被告人会社」という。)は、資本金三、〇〇〇万円で、肩書地に本店を置き、諸機械の据付工事などを営業目的とするもの、被告人根上正夫は、右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人根上は同会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、架空経費を計上して、簿外預金を蓄積するなどの不正の方法により、その所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四三年四月一日から昭和四四年三月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が九二七〇万三一五五円であつたにもかかわらず、昭和四四年五月三一日、新居浜市一宮町一丁目五番四号所在の所轄新居浜税務署において、同税務署長に対し、同会社の所得金額が四四四七万二四四四円であり、これに対する法人税額が一四八八万六一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額三一六九万一一〇〇円と右申告税額との差額一六八〇万五〇〇〇円をほ脱し

第二、昭和四四年四月一日から昭和四五年三月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が八一三八万〇五〇九円であつたにもかかわらず、昭和四五年五月二九日、前記所轄税務署において、同税務署長に対し同会社の所得金額が五二二四万一八二二円であり、これに対する法人税額が一七五七万一五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額二七六八万八七〇〇円と右申告税額との差額一〇一一万七二〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、合田津弥子の大蔵事務官に対する質問てん末書二通および検察官に対する昭和四六年一一月六日付供述調書

一、川上浩一、小野猛志の大蔵事務官に対する質問てん末書各一通

一、高橋弘、中路盂志、武内千根の検察官に対する供述調書各一通

一、高橋弘ほか一名、合田津弥子、原田繁男、小野猛志、小野平および大蔵事務官作成の上申書各一通

一、大蔵事務官作成の簿外預金調査書、簿外社債調査書および所得金額調査書各一通

一、森実明美、小野猛志、増井博志および被告人根上正夫作成の確認証各一通

一、藤原弘也作成の証明書一通

一、大蔵事務官作成の脱税計算書二通

一、松山地方法務局新居浜出張所登記官作成の商業登記簿謄本一通

一、被告人根上正夫作成の被告人会社定款(写)一通

一、被告人根上正夫の検察官に対する供述調書一通

(法令の適用)

被告人根上正夫の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するが、右はいずれも被告人会社の代表者が同会社の業務に関して犯した場合であるから、被告人会社に対しては法人税法一六四条第一項により同法一五九条一項所定の罰金刑を科すべきところ、本件脱税総額は、相当多額に及ぶうえ、秘匿した所得を会社役員の特別賞与にあてるなど私利私欲を図つた面もないではないが、被告人会社において本件各犯行に及んだ動機は、会社の業務収益の不安定性などに対処し、金融機関に対する信用を確固たらしめて、その存続の安定を図るにあつたともみられること、その犯行手口も単純で、所得の秘匿方法も明確であつたこと、すでに本件のほか昭和四一年、四二年各事業年度の修正申告をし、右に伴う国税、地方税を納付済であることなどの情状を考慮し、被告人根上正夫についてはいずれも所定刑中懲役刑のみを科すこととし、右両名の各罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪なので、被告人会社については同法四八条二項により各罪所定罰金額を合計した範囲内で、被告人根上正夫については同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人会社を罰金四〇〇万円に、被告人根上正夫を懲役六月にそれぞれ処することとし、なお右情状により被告人根上正夫に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鍵山鉄樹 裁判官 緒賀恒雄 裁判官 木村奉明)

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