松江地方裁判所 昭和36年(ワ)9号 判決 1962年9月28日
主文
被告は別紙目録記載の株券について原告を譲受人とする裏書をし、かつその株券を原告に引き渡すこと。
原告その余の請求を棄却する。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実
原告訴訟代理人は、主文第一、三項と同旨並びに「第一項の履行ができないときは、被告は原告に対し金一八万七、〇〇〇円を支払うこと。」との判決を求め、その請求の原因として
一、訴外島根証券株式会社は証券の取引を業とする法人であつたところ、原告は昭和三四年一〇月二一日同訴外会社に対し、日本通運株式会社株式一、〇〇〇株を単価一八七円で、他の株式とともに買付け方を委託し、同訴外会社において遅滞なく買付けをしたうえその株券を昭和三五年一月一日までに原告に引き渡す約のもとに、代金の引き当てとして金三一万円を預託した。
二、右訴外会社は約旨に従い昭和三四年一二月一五日別紙目録記載の株券を買い付けたが、その引渡しをせぬまま保管中、昭和三六年二月一七日破産宣告を受けたので、同訴外会社破産管財人である被告が右株券を占有して今日に及んでいる。
三、以上の次第で、原告は右株券の所有者であるから、破産取戻権に基づいて被告に対し、右株券の原告への裏書と引渡しを求める。もしその履行ができないときは、株券の時価相当額である一八万七、〇〇〇円の賠償を求める。
と述べ、破産管財人の地位についての被告の主張を否認して「破産管財人は純然たる第三者の地位に立つものでなく、破産者が主張しうる権利以上の権利を主張しえない。」と争い
立証(省略)
被告は、「原告の請求を棄却する。」との判決を求め、原告主張の請求原因事実中、訴外島根証券株式会社が証券の取引を業とする法人であつたこと、同訴外会社が昭和三四年一二月一五日別紙目録記載の株券を買い付けたが、昭和三六年二月一七日破産宣告を受けた結果、破産管財人である被告が右株券を占有していること、以上の事実を認めてその余の事実を争い、右株券は破産者島根証券株式会社の破産財団に属すると述べ、「破産管財人は破産者の法定代理人ではなく、公の機関としてその名及び責任において破産事務を処理せんとするものであつて、原告及び破産者に対しいわゆる第三者たる地位にあるから、本訴請求には応じられない。」と抗争した。
立証(省略)
別紙
目録
一、日本通運株式会社株式 一、〇〇〇株
内訳 (イ) 五〇〇株券 Bほ第二六三〇六号 一枚
(ロ) 五〇〇株券 Bほ第二六三〇七号 一枚