松江地方裁判所 昭和59年(わ)79号 判決 1985年1月17日
本店の所在地
島根県大田市久手町刺鹿五一四番地四
法人の名称
有限会社 石東開発工事
右代表者代表取締役
藤原誠
本籍
島根県大田市大田町大田イ七六三番地一
住居
同市久手町刺鹿五一四番地四
会社役員
藤原誠
昭和一二年八月一一日生
右の者らに対する各法人法違反被告事件について、本裁判所は検察官野々上尚出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社石東開発工事を罰金八〇〇万円に、被告人藤原誠を懲役一〇月に処する。
被告人藤原誠に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人会社は、島根県大田市久手町刺鹿五一四番地四に本店を設置して粘土の採掘販売等を目的とする資本金六〇〇万円の有限会社であり、被告人藤原誠は同社の代表取締役として同社の業務全般を統括していたものであるが、同人は、同社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における同社の実際の所得金額が四、一七九万一、一七七円であり、これに対する法人税額が一、五八三万四、六〇〇円であったのにかかわらず、売上の一部を除外したり、外注費を水増ししたりするなどの不正な方法により所得の一部を秘匿した上、同五六年六月一日同市大田町大田イ二八九番地二所在の石見大田税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が一、一〇七万〇、一四三円であり、これに対する法人税額が三一四万三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同社の右事業年度の正規の法人税額との差額一、二六九万一、一〇〇円を免れ
第二 同五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における同社の実際の所得金額が八、三〇八万七、四六九円であり、これに対する法人税額が三、三七八万四、八〇〇円であったにもかかわらず、前同様の不正な方法により所得の一部を秘匿した上、同五七年五月三一日、前記石見大田税務署において、同税務署長に対し、同社の右事業年度の所得金額が一、五〇六万八、八二一円で、これに対する法人税額が四一八万二、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同社の右事業年度の正規の法人税額との差額二、九六〇万一、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人兼被告人会社代表者藤原誠の当公判廷における供述
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料
一 大蔵事務官作成の売上高調査書、材料費調査書、労務費調査書、外注費調査書、修繕費調査書、燃料費調査書、車輌費調査書、減価償却費(売上原価)調査書、雑費(売上原価)調査書、給料手当調査書、福利厚生費調査書、公租公課調査書、通信費調査書、接待交際費調査書、雑費調査書(請求番号18のもの)、雑収入調査書、受取利息調査書、支払利息調査書、交際費の損金不算入額調査書、事業税調査書、特別償却費調査書及びその他所得P/L調査書
一 被告人藤原誠の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通
一 藤原睦恵(三通)、川上實(一〇通)、岩谷久美子(三通)、三谷丈夫、森山幸男、竹下績、伊藤章雄(二通)、舩木一成、水田哲夫、盛博、森上頼江、樋ケ武徳、井上恵市、千葉マスミ、菅勝彦、長谷川重信、岩谷甚七及び石飛熊次郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 被告人藤原誠の検察官に対する供述調書八通
一 川上實の検察官に対する供述調書四通
一 登記官河本秋太郎作成の商業法人登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 昭和五六年三月期の修正申告書謄本
判示第二の事実につき
一 昭和五七年三月期の修正申告書謄本
(法令の適用)
一 判示第一、第二の各所為
(1) 被告人藤原につき
法人税法一五九条一項
(2) 被告人会社につき
同法一六四条一項、一五九条一項
一 刑種の選択
被告人藤原の各罪につきいずれも懲役刑を選択
一 併合加重
(1) 被告人藤原につき
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)
(2) 被告人会社につき
同法四五条前段、四八条二項
一 刑の執行猶予
被告人藤原につき同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 吉田昭)