松江家庭裁判所 昭和32年(家イ)63号 審判 1958年6月24日
申立人 中西保子(仮名)
相手方 中西新一(仮名)
主文
申立人と相手方とを離婚する。
当事者間の長男俊一及び二男俊二の親権者を申立人とする。
調停及び審判の費用は各自弁とする。
理由
申立人は主文第一、二項同旨の申立をなしその要旨として、
一、申立人と相手方とは昭和二三年○月○○日婚姻し、夫婦の間に長男俊一(昭和二六年○月○○日生)、二男俊二(昭和三〇年○○月○日生)があるが、次のような実状で結婚生活は早くから破綻し、到底回復しがたい状態にて現在別居中である。
二、相手方は大酒を呑み、生活費を殆ど家庭に入れない。その上酒癖が悪く、酔えば申立人に暴行を加え、時には刃物を振り廻す等、同居に耐えない乱暴が絶えない。
又近来余り仕事をせず、家庭生活を維持するに足る収入もない。
三、申立人は再三逃げだして姿をかくしたこともあるが、その都度つれもどされたが結局同じ有様で、今後到底家庭生活を継続する見込がないので、昭和三二年一一月初より別居し、申立人は神戸市内で働き、子供二人は申立人の母の手許に引取り、申立人の送金で、養育している。離婚後も子供は申立人の手許で養育したい。
と言うのである。
よつて、当裁判所に於ける数回に亘る調停の経過に徴して、按ずるに、申立人と相手方との結婚生活は相当以前から破綻し、すでに長期に亘り別居生活が続いており、申立人に於てはもはや離婚より外なしとの決意固く、相手方も亦申立人に離婚の意思なれば、離婚そのものには反対でないとの意向が窺われる。殊に当裁判所調査官補佐々木達雄の調査報告書中の、相手方との面接(昭和三三年五月二七日)の際のその陳述の要旨によれば、事実上離婚同様の状態にある現在、離婚となるも致し方なく、むしろ一層のこと裁判所の裁判で離婚を命じて貰えば、これに対し文句は云わない旨、且つその際には子供の親権者を申立人とすることに異存なき旨を表明しているところである。
申立人は最近二回の調停期日に、引続き神戸市より遙々帰省して出席したのであるが、相手方はその日の生活に追われている為か、引続き二回とも右調停期日に出頭しない。このため先に(調停期日前の)面接の調査官に対しては上記の如き離婚に応ずる意向を洩らしながら結局調停は成立するに至らなかつた実状である。
よつて、調停委員佐々木二力、同原明代の意見を聞き、双方の経済状態、生活形態、その他一切の事情と衡平とを考慮した上、家事審判法第二四条を適用し主文の通り審判する。
(家事審判官 西村哲夫)