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桐生簡易裁判所 昭和57年(ハ)16号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二<証拠>を総合するとつぎの事実を認めることができこの認定を左右する証拠はない。

1 訴外日本設備株式会社(以下日本設備という)水戸営業所のセールス係柴田某は昭和五五年八月二五日被告方を訪れ太陽温水器スカイピアを購入取付することをすすめ、条件として長期割賦とし、契約後一週間以内に取付すること、取付代金は別計算だが他の客にスカイピアを宣伝するため被告方の取付工事代は無料とすること、ローンは日本設備とタイアップしている原告会社とする旨説明し、被告方では妻の中里光が柴田と話合い右条件を了承し、右柴田は直ちにハウジングローン契約の用紙を出し右条件を含む契約内容(その他は請求原因第一項引用)を記載し、中里光は夫を代理して右契約に捺印した。

2 その後右契約は原告の了承のもとに原被告と日本設備の三者の契約が成立し、日本設備は原告より代金の立替払をうけ、被告方にスカイピアを取付けて使用できるようにし、被告は割賦払することとなり、日本設備は商品を送付し右は昭和五五年九月ころ被告方に到着した。

この商品所有権は債権の担保として割賦金の完済迄原告に移転した。

3 被告は日本設備に対し条件となつている取付工事をなすよう再三にわたり連絡し、同年一二月に工事をする旨の返事を得て同年一一月から原告に対し支払を開始した。

4 ところが右約束に反し工事はなされず被告はやむなく昭和五六年六月一一日日本設備に対し催告の内容証明郵便を発したが日本設備はこれにも応じなかつたため、被告は昭和五六年八月二〇日日本設備と交渉の末契約を合意解除し、日本設備を通じ原告にも連絡し、同日商品を日本設備に返送した。

5 その後被告は再三の原告の請求に対しても支払をせず(昭和五六年一〇月の支払は証人中里光の供述から日本設備がしたものと推認する。)今日に至つている。

三以上の事実によれば原告主張事実は一応認められるので被告の主張について検討するに被告の主張はやや不明の点もあるが善解するに原告と訴外日本設備は別企業であるが本件取引については営業活動、契約について一体として行動しているのであるから被告の日本設備との合意解除は同時に原告とも合意解除が成立するという主張とみられる。そこで判断するに前示の事実によると原告は日本設備と連携してセールスマンに原告と顧客との契約用紙を持参させ顧客の信用調査は原告が行うにせよその他は一切任せており原告と日本設備は経済的には商品の販売、工事、立替金契約、立替金の支払、商品所有権の原告移転、立替金の徴収と一体となつて営業活動をなしており前示の状況よりみて法的にも両者の平素の取引から黙示的に代理権の援与を認めることが相当である。従つて日本設備の不当な債務不履行を原因として被告と原告の代理人たる日本設備との合意解除が有効になされたと認めることができる本件では併せて原被告間の立替払契約も合意解除されたと推認することが相当である。

ここに甲第一号証のハウジング契約書裏面の第九条の特約による抗弁権の切断が問題となるが、この種契約書は印刷物であつて販売店より顧客に対し説明しないのが通例でありその数量、社会的影響性を考察すると不動産賃貸借における市販の書面による契約と同様に例文とみることが相当である。よつて顧客を不当に害し販売店を益する場合はこの条項は適用しないとすることが相当である。

本件は不適用の一事例である。(被告から日本設備に対する損害賠償請求の方法は迂遠であり被告は救済されない。)

よつて被告の主張は理由がある。

(桂木健)

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