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横浜地方裁判所 平成元年(ワ)2624号 判決 1992年4月20日

原告

河野礼助

被告

阿部秀晃

ほか一名

主文

一  被告らは連帯して原告に対し、一一一〇万六三八四円及び内一〇一〇万六三八四円に対する昭和六三年一月二九日から、内一〇〇万円に対する平成元年三月二九日から、各支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告その余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを三分し、その一を原告の、その余を被告らの各負担とする。

四  原告勝訴部分に限り仮に執行できる。

事実及び理由

第一請求

被告らは連帯して原告に対し、一五六一万九九一四円及び内一四一九万九九一四円に対する昭和六三年一月二九日から、内一四二万円に対する平成元年三月二九日から支払済みまで、年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は普通乗用自動車と衝突して負傷した自動二輪車の運転者が、相手車両の運転手に対し民法七〇九条に、その所有者に対し自賠法三条に基づき損害賠償を請求した事件である。

一  争いのない事実

1  事故

昭和六二年一二月二九日午前一一時四〇分頃、横浜市緑区三保町二七一〇番地五九先の交通整理の行われていない交差点で、いずれも直進する原告運転の自動二輪車と、被告秀晃運転、被告晃所有の普通乗用自動車とが出合頭に衝突し、原告が負傷した。

2  原告の傷害等

傷病名 左大腿骨骨折、左足関節両踝開放性骨折、左肩甲骨骨折、左外傷性気胸

入院 八五日 昭和六二年一二月二九日~六三年三月一二日

昭和六三年八月二五日~九月三日

通院 昭和六三年三月一三日~六四年一月一七日(実日数二四日)

3  責任

被告らは民法七〇九条、自賠法三条により責任を負う。

二  争点

被告らは後遺症の程度を争い(原告の主張は併合九級、被告らの主張は一二級である。)かつ過失相殺の主張をする。

第三争点に対する判断

一  損害額

1  治療費 二三六万七二三七円

二三三万五六九二円については争いがなく、これを越える部分は被告の自認するところである。

2  付き添い看護料 一一万五五〇〇円

争いがない。

3  入院雑費 五万九五〇〇円

争いがない。

4  交通費 三六〇〇円

弁論の全趣旨により認める。

5  後遺症による逸失利益 一二〇八万五七〇〇円

証拠(甲二、五、六、弁論の全趣旨)によれば、原告には平成元年一月一七日症状固定した、

(1) 左足関節の機能障害

(2) 顔面左下顎部の創瘢痕(二×〇・五センチメートル)

(3) 左踝部瘢痕(六×〇・五センチメートル手術瘢痕、二×〇・五センチメートルの創瘢痕)

(4) 足関節周径(右二二センチメートル、左二四センチメートル)の後遺症があり、このうち(1)は足関節の可動域が<1>背屈、<2>底屈、<3>内反、<4>外反の順に、他動の場合で<1>(右三〇度・左一五度)、<2>(右八〇度・左五〇度)、<3>(右八〇度・左四〇度)、<4>(右五〇度・左三〇度)、自動の場合には<1>(右二〇度・左五度)、<2>(右七〇度・左四五度)、<3>(右七〇度、左二〇度)、<4>(右三〇度・左二〇度)であり、調査事務所で自賠法施行令二条後遺障害別等級表一二級七号に該当すると認定されたことが認められる。

右の事実によれば、原告の後遺障害の程度は一二級相当であり、これによる労働能力喪失率は、上記障害の内容に照らし、六七才まで一四パーセントであると推認するのが相当である。また、原告は症状固定当時二〇才の高卒者であると認められるから、賃金センサス平成二年第一巻第一表、企業規模計、産業計、男子労働者新高卒の平給与額四八〇万一〇〇〇円を基礎として、ライプニツツ方式により中間利息を控除して逸失利益現価を算出すべきである。

4,801,000×0.14×17.981=12,085,749.34

6  慰謝料 四〇〇万円

上記入通院期間、後遺症その他本件諸般の事情に照らして四〇〇万円を相当と認める。

二  当事者の過失割合

証拠(甲四の一ないし九、乙一ないし五)によると、本件事故現場付近の状況は別紙交通事故現場見取図のとおりであるところ、被告秀晃は<1>から左右の見通しがきかない交差点に進入して直進するにあたり、徐行せず時速約二〇キロメートルで進行し、<×>地点で右方から進行して来た原告車と衝突したこと、原告は明らかに広い道路を進行していたが、やはり左方の見通しがきかない交差点に進入するにあたり、徐行せず時速約四〇キロメートルで進行したことが認められる。

右の事実を前提すると、被告秀晃に過失があつたことは明らかであるが、原告にも過失があつたと認められ、その斟酌すべき割合は概ね三割であると見るのが相当である。

三  損害相殺 二九三万五六九二円

原告の自認するところである。

四  以上の事実を前提とすると、被告が原告に支払うべき損害額は、一〇一〇万六三八四円となる。

18,631,537×(1-0.3)-2,935,692=10,106,384

五  弁護士費用中一〇〇万円を、本件事故と相当因果関係に立つ損害と認める。

(裁判官 清水悠爾)

別紙 <省略>

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