大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

横浜地方裁判所 平成元年(行ウ)19号 判決 1991年9月09日

原告

司城重義

右訴訟代理人弁護士

河野敬

被告

神奈川県公安委員会

右代表者委員長

小泉富太郎

右訴訟代理人弁護士

福田恆二

右指定代理人

小林明

外八名

主文

一  本件訴えを却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

被告が有限会社平成企画に対し、平成元年五月一六日付けでした営業許可処分(営業所の名称及び所在地 元町セブン 横浜市中区石川町一―一、風俗営業七号営業(回胴式遊技機専業店))を取り消す。

第二事案の概要

本件は、被告がした営業許可処分が風俗営業法の規定をうけて制定された神奈川県条例の定める距離制限に違反したものであるとして、原告がその取消しを求めた事案である。

一争いのない事実

1  神奈川県は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という。)四条二項二号の規定をうけて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和五九年一二月二七日神奈川県条例第四四号。以下「条例」という。)を制定し、その三条一項三号は、営業所の設置を制限する地域として、「図書館、児童福祉施設、病院(医療法(昭和二三年法律第二〇五号)第一条の二第一項に規定するものをいう。以下同じ。)及び診療所(同条第二項に規定するもの(患者の収容施設を有するものに限る。)をいう。以下同じ。)の敷地の周囲七〇メートル以内の地域(当該営業所が商業地域に所在することとなる場合にあっては、当該施設の敷地の周囲三〇メートル以内の地域)」と定めている(以下、条例三条一項三号に規定する各施設を「診療所等」という。)。

2  被告は、有限会社平成企画に対し、風俗営業法三条一項に基づいて、同法二条一項七号所定の営業につき、平成元年五月一六日付けで「営業所の名称および所在地 元町セブン 横浜市中区石川町一―一」とする「風俗営業七号営業(回胴式遊技機専業店)」(いわゆるパチスロ店)の営業許可処分(以下「本件処分」という。)をした。

本件処分は、パチンコ、ゲーム機、麻雀等の遊技場の経営等を目的とする有限会社元町サンプラザが、商業地域である中区石川町一丁目一番地において所有する、地下一階、地上一一階の建物「カーサ元町」の地下一階部分(以下、単に「地下一階部分」という。)東側の店舗を営業所としてされたものである。

3  原告は、横浜市中区石川町一丁目四番地一及び同四番地四所在の六階建て建物(コンコルドTKビル)の二階部分において、司城耳鼻咽喉科医院(以下「司城医院」という。)を開業する医師である。

司城医院は、神奈川県知事の許可を受けた患者の収容施設を有する診療所であり、条例三条一項三号により、その敷地の周囲三〇メートル以内の地域における風俗営業の許可は許されない。

二原告の主張(本件処分の違法事由)

1  本件処分は、商業地域において診療所の施設周辺の静穏や清浄な風俗環境を保持するために設けられた距離制限である「患者の収容施設を有する診療所の敷地の周囲三〇メートル以内の地域」に風俗営業の許可をしてはならない旨の条例の規定に違背し、ひいては風俗営業法四条二項二号に違反する違法がある。

すなわち、診療所等の敷地の周囲三〇メートル以内の地域とは、その敷地の外周から直線距離で三〇メートル以内の場所を意味するから、司城医院側は、同医院の存するコンコルドTKビルの敷地の外周を基点にとるべきである。また、元町セブン側については、元町セブンは、地下一階部分の一角にすぎないから、地下一階部分の最も司城医院に近い場所を基点とすべきである。これによると、司城医院から元町セブンまでの直線距離は、約一二メートルしかない。

2  また、本件処分の申請書に添付された営業所の平面図は、別紙図面一のとおりであるが、地下一階部分の内装がこのように区画されたことは一度もなく、元町セブン開業時の地下一階部分の状況とは異なるものであり、本件処分は、誤った事実を前提にしている。

3  カーサ元町のある石川町一丁目町内会は、以前から商店街において風俗営業を行わない旨申し合わせており、カーサ元町管理組合管理規約においても、地下一階部分を遊興施設や風俗営業等に使用することを禁止している。ところが、地下一階部分店舗関係者は、本件処分以前に、地下一階部分を営業所として、風俗営業法二条一項七号の営業許可取得を試み、原告の診療所周囲の制限地域に該当するとの理由で許可を得るに至らなかった。その後、地下一階部分の一部を間仕切りによって区画してされた申請に対し、本件処分が行われた。右申請は、風俗営業の制限地域設置の趣旨を潜脱する脱法的形態の申請であり、本件処分はそれを容認するものである。

三被告の主張(本件処分における距離測定の基点等について)

司城医院側の本件処分における距離測定の基点は、別紙図面二のDであり、元町セブンに最も近接している同医院東側外壁面上の点である。

元町セブン側の基点は、同図面二のBであり、同図面一中央を縦に走るビリヤード場と元町セブンとの間の仕切り(以下「間仕切り」という。同図面一青色部分。)のうち、司城医院の敷地に最も近接している西側の壁面上の点である。

BとDの距離は約三一メートルである。

四争点

1  本件の争点は、条例に定める制限地域を決定する距離の測定基点をどこにおくかであり、具体的には次のとおりであるが、当事者がそれぞれ主張する基点は、別紙図面三のとおりである。

(一) 条例三条一項三号の「当該施設の敷地の周囲三〇メートル以内の地域」を確定するに当たり、司城医院側の測定の基点を同医院の専用部分の敷地の外周に置くか、コンコルドTKビルの敷地の外周に置くか。

(二) 同じく、元町セブン側の基点を、地下一階部分全部を営業所とみてカーサ元町の西側の外壁(ビリヤード場西側)に置くか、間仕切りの東側部分を元町セブンの独立の営業所とみて間仕切り部分に置くか。

2  争点に対する原告の主張

(一) 司城医院側の基点について

距離制限の趣旨は、診療所等の施設の設置目的を十分に達成できるようにするため、その施設の周辺の静穏や清浄な風俗環境を保持することにある。すなわち、距離制限は、単に営業所自体から発せられる騒音や享楽的な雰囲気等のみならず、その営業所に出入りする客によって生ずる雑踏やけん騒あるいは享楽的な雰囲気等からも、これらの施設を保護し、また、診療所等の施設自体の静穏や清浄な風俗環境のみならず、診療所等の施設の周辺におけるそれらも保持するためのものである。

司城医院は、鉄筋コンクリート造六階建てのビルの二階部分138.01平方メートルのうち54.84平方メートルを占めるものであり、大きなビルの一角にあるとはいえず、また、同医院へ至る通路は、建物一階中央部の階段あるいはエレベーター一か所しかなく、建物の出入口は同医院の出入口といってもよい構造であるから、同医院の施設自体の静穏や清浄な風俗環境は、同医院所在の建物全体のそれと密接不可分である。

したがって、同医院所在のコンコルドTKビルの敷地の外周を基点とすべきである。

(二) 元町セブン側の基点について

(1) 風俗営業法にいう営業所の意義

風俗営業法にいう営業所といいうるためには、当該部分が区画されているだけでは足りず、当該部分が独立の出入口を有しており、直接外部に通じること、すなわち、外部から当該施設の専用部分以外の部分を通行することなしに当該施設に到達することが可能な、利用上の独立性を具備していることが必要である。他の専用部分を利用しなければ外部に通じることができない場合は、利用上の独立性があるとはいえない。

また、営業所とは、直接に風俗営業の用に供する建物又はその他の物的施設をいうが、直接に風俗営業を行う建物又はその他の物的施設に隣接し、あるいは、周辺に存在する建物あるいは物的施設であっても、直接に風俗営業を行う建物又は物的施設と区画・構造上も管理・利用上も截然と区別されず、社会通念上、両者が一体とみられ、区別することができないような場合には、これらの建物あるいは物的施設は、風俗営業法にいう営業所に含まれるから、そのような場合、営業の専用に係る部分のみを営業所とみなすことは誤りである。

(2) 元町セブンの構造について

地下一階部分は、構造的には303.96平方メートルの店舗一区画のみであり、内部を間仕切りによって区切り、西側をビリヤード場とし、東側にパチスロ(回胴式遊技機)を設置して、同一店舗内において二種類の営業を行う形態をとっている。

また、右店舗内に通路、出入口は設けられておらず、地上からの出入りは、店舗の両側に一か所ずつ、計二か所設置された階段を利用して、地上から直接に店舗内に至る構造となっており、ビリヤード場と元町セブンの客の相互の往来が可能な構造になっている。現実にも、一階部分の階段入口は、店舗の入口となっていて、元町セブンの客もビリヤード場側の別紙図面二のB階段を利用しており、B階段入口にはパチスロの表示を、また、A階段入口にはビリヤードの看板を出していた。

本件処分後、非常扉(別紙図面一中央下側赤色部分)が設置されたが、ビリヤード店側の仕切り壁(別紙図面一のB店舗と供用通路を隔てる壁(黄色部分)のこと。以下同じ。)は当初から存在しなかった。

(3) 平成企画と元町サンプラザの関係について

有限会社平成企画は、有限会社元町サンプラザから地下一階部分の一部を借りて元町セブンの営業をしているが、元町サンプラザの取締役谷口ヤイは、平成企画の代表取締役谷口洋一の妻であり、元町サンプラザの取締役金山富士夫(本名金鍾植)は、平成企画取締役関田憲弘の義父にあたる。地下一階部分の所有者元町サンプラザと平成企画とは密接な関係にあり、実質的に共同して元町セブンを経営しているとみるべきである。

(4) 基点について

地下一階店舗は、もともと全体をビリヤード場として営業していたが、その一部であるパチスロ設置部分の周囲を間仕切りで囲って区画し、元町セブンとしてパチスロ営業を始めたものである。本件処分当時、供用通路は存在せず、ビリヤード場部分を通行して初めて外部へ通じることができる状態であったから、元町セブンからは直接に外部へ通じることができなかった。

元町セブンとビリヤード場との区画は、一室内の間仕切りにすぎず、右間仕切りは、容易に移動・改変の可能な設備であり、内装にすぎない。

地下一階部分を元町サンプラザが管理しており、元町サンプラザと平成企画とは密接な関係にある。

以上の事実に鑑みれば、元町セブンとビリヤード場とは、あくまでも同一店舗内の区分にすぎず、元町セブンに利用上の独立性が認められないから、当該部分が区画されていたとしても独立した施設ということができない。したがって、地下一階部分全体が営業所というべきであり、そのいずれかの部分が制限地域内に位置しているか否かが問題とされるべきである。

3  争点に対する被告の主張

(一) 雑居ビル内の診療所及び営業所の基点について

司城医院及び元町セブンは、共に雑居ビルの一角に存在する。このような場合、条例三条一項三号の適用にあたっては、診療所等の施設の各専用部分の敷地の周囲七〇メートル又は三〇メートル以内の地域に、当該風俗営業の営業所の専用部分が存在するか否かを問題とすべきであり、雑居ビル自体の敷地から測るべきではない。

なぜなら、右条例は、診療所等の施設の敷地の周囲三〇メートルと規定していて、診療所等の所在する一棟の建物の敷地の周囲三〇メートルとは規定しておらず、また、同規定は、診療所等の施設自体の静穏や清浄な風俗環境を保持するためのものであって、雑居ビルそのものの静穏や清浄な風俗環境を保持するためのものではないからである。さらに、風俗営業法施行令六条三号には、「制限地域の指定は、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであること」と規定されている。

元町セブンと司城医院の各専用部分の敷地間の距離を計測すると、三〇メートルを超えている。

(二) 元町セブン側の基点について

(1) 風俗営業法の営業所について

風俗営業法に定める営業所とは、社会通念上一つの営業の単位といいうる程度に外形的に独立した施設をいう。看板等の表示、従業員の服装、営業時間の独立性等の実態から判断して、一つの営業の単位として、他の売り場等から独立した性格を有していれば、一つの営業所として扱うべきである。かような独立性があれば、間仕切りで区画されたものでもよく、構造上独立した建物であることは要しない。

また、風俗営業法所定の営業所とは、直接風俗営業の用に供する建物又はその他の物的施設を意味する。元町セブンにおいては、間仕切りの東側部分に回胴式遊技機及び客席等が設置され、右遊技が行われる状態になっているから、この部分が右遊技をさせる建物又はその他の物的施設として営業所に該当するというべきである。

(2) 元町セブンの構造等について

地下一階部分には元町セブンとビリヤード場が隣合って存在しているが、両者は間仕切りによって区画され、経営者も異なり、利用客は共用通路を通じてのみ各店舗に出入りすることが可能である。出入口も別々であって、元町セブンの客は別紙図面二のA階段を、ビリヤード場の客は同図面のB階段を利用しており、A階段入口には元町セブンの看板、B階段入口にはビリヤード場の看板しか表示されておらず、相互に利用客が往来できる構造になっていない。

ビリヤード場の仕切り壁が設置されたのは、平成元年四月上旬である。その後、ビリヤード場は、店舗拡張のため、ビリヤード場側の仕切り壁を取りはずす必要が生じ、同年五月二五日、有限会社仲尾工務店に工事の見積りをさせ、同年六月一五日ころ着工し、同月下旬ころ、これを取りはずした。よって、本件処分当時、仕切り壁は存在した。なお、元町セブン経営者は、両店舗の境界部分を明確にするために非常扉を設置した。

間仕切りは、平成元年四月中旬設置され、長さ四メートル、幅六センチメートル、厚さ四ミリメートルの鉄製スタット材による柱を建て、その柱に長さ0.9メートル、幅四五センチメートル、厚さ五センチメートルの耐熱材グラスウールを挟み込んで固定したうえ、右グラスウールの上に補強及び化粧材として、①厚さ1.2センチメートルの石膏製耐火ボード、②厚さ0.5ミリメートルの防音シート、③厚さ九ミリメートルの耐火ボードの三枚を張り付け、床から天井に至るまで四重張りとしてあるから、これによって元町セブンの店舗は完全に区画され、独立した状態になっている。

元町サンプラザが地下一階部分全体を管理しているというのは、原告の推測に過ぎず、また、たとえそうだとしても、そのことと、どの範囲を元町セブンの営業所とみるかとは別問題である。さもないと、雑居ビルについては、ほとんどの場合に全体が一つの営業所となってしまう。

また、平成企画と元町サンプラザとの間に人的関係があったとしても、法人としては別個独立の存在であり、このことと営業所の範囲とは次元が異なる問題である。

第三争点に対する判断

一司城医院側の基点について

いわゆる雑居ビルの一角に診療所等がある場合において、条例三条一項三号の制限地域を決定するに当たっては、当該診療所等の施設の専用部分の敷地の外周を基点として距離を計測すれば足り、当該診療所等とそれ以外の部分の面積比や構造等の観点からみて、当該診療所等が雑居ビルそのものと同視できるか、あるいは、当該診療所等以外の部分を無視できるような特別の場合を除き、診療所等を含むビルそれ自体の敷地の外周を基点とすべき合理性はないというべきである。その理由は、基本的には被告主張のとおりである。殊に条例三条一項三号が医療施設につき、もともと患者二〇人以上の収容施設を有することを概念要素とする病院(医療法一条の二第一項)と、患者の収容施設を有する診療所のみを掲げているのは、これらの施設に収容される患者を念頭に置き、これに良好な風俗環境を保全する必要があるとの趣旨に出たものと解され、このことに十分考慮を払うべきである。

司城医院は、鉄筋コンクリート造六階建てコンコルドTKビルの二階部分138.01平方メートルの西側半分の54.84平方メートルを占めるが(<書証番号略>)、同医院の二階部分に占める割合は、約四〇パーセントにすぎず、二階部分の東半分には同医院と同程度の面積の店舗部分が存在するのであるから、同医院をコンコルドTKビルの二階部分そのものと同視することはできず、計測の基点は、同医院の専用部分の敷地の外周に置くべきである。

二元町セブン側の基点について

風俗営業法に定める営業所とは、社会通念上一つの営業の単位といいうる程度に他の部分から外形的に独立した施設をいい、建物の構造上完全に他から独立分離していることを要しないというべきである。

元町セブンとビリヤード場は、隣合って存在しているが、両者は間仕切りによって区画され、間仕切りの西側をビリヤード場(ただし、現在はカラオケボックスになっている。)とし、東側には回胴式遊技機が設置されている(争いがない。)。

また、間仕切りは、平成元年四月中旬に設置され、スタット材(長さ四メートル、幅六センチメートル、厚さ四ミリメートルの鉄製)の柱の間に長さ0.9メートル、幅四五センチメートル、厚さ五センチメートルの耐熱材グラスウールを挟み込んで固定したうえ、右グラスウールの上に補強及び化粧材として、厚さ1.2センチメートルの石膏製耐火ボード、厚さ0.5ミリメートルの防音シート、厚さ九ミリメートルの耐火ボードの三枚を張り付け、四重張りにしたものである(<書証番号略>)。

元町セブンの南側部分は、間仕切りとは異なる壁で他の部分と区画されている(<書証番号略>)。

以上の事実によれば、元町セブンの店舗は、社会通念上一つの営業の単位といいうる程度に他の部分から外形的に独立した状態であるから、条例三条一項三号の制限地域の計測の基点は、間仕切り部分に置くべきである。

なお、右結論は、仕切り壁の存否、地下一階部分の管理者如何及び平成企画と元町サンプラザとの人的関係の有無によって左右されるものではない。

三両基点間の距離について

司城医院の専用部分の敷地の外周の東側部分と元町セブンの間仕切りとの間の距離は、31.11メートルないし32.20メートルであり、コンコルドTKビルの中央仕切り部分と元町セブンの間仕切りとの間の距離を計測しても30.39メートルである(<書証番号略>、証人矢野和良)。

第四ところで、行政事件訴訟法九条は、取消訴訟の原告適格について、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、これを提起することができる旨規定し、ここに「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解されるところ、原告は、本件処分の相手方でないだけでなく、本件処分により許可された営業所である元町セブンから条例三条一項三号所定の範囲内に診療所を設置する者にも該当しないのであるから、本件処分の取消訴訟につき原告適格を欠き、これを提起することができないものというべきである。

そして、本件許可に係る営業所が原告の設置する診療所の敷地の周囲三〇メートル以内の地域にあることは、営業不許可条件のひとつであり、この点に関する争いは、本件処分が違法か否かの実体問題でもあるが、原告になりうる者の範囲が法律上制限されている取消訴訟においては、それが同時に原告適格の問題でもある以上、ここで実体判断をすることは許されず、それに先立って、本件訴えを却下すべきものである。

(裁判長裁判官佐久間重吉 裁判官辻次郎 裁判官伊藤敏孝)

別紙<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例