横浜地方裁判所 平成15年(わ)2729号 判決 2004年9月30日
主文
被告人aを懲役6年に,被告人○山一郎を懲役1年8月に,それぞれ処する。
被告人両名に対し,未決勾留日数中各300日をそれぞれその刑に算入する。
理由
(認定犯罪事実)
被告人両名は,いずれも後記団体の一員であり,その団体は,横浜市港北区新横浜<番地略>所在「○○ビル」8階(803・805号室)に事務所を置くV株式会社(以下「本件会社」という。)において,正常な商取引を装って仕入名目でパソコン等を騙し取り,売却して不法な利益を上げることを共同の目的とし,その目的のため,買掛で新品のパソコン等を仕入れるや直ちに売却会社を通じて廉価売却し,その売却損及び経費等を賄えるようにさらに多額の商品を仕入れて同様に廉価売却し,入手した現金を当初の買掛代金の支払に充てて仕入先を信用させながら仕入の量を増大させる仕入管理をして多数の商品を騙し取り,そのような仕入増加が困難とみるやその仕入先への支払を止めるとともにその支払請求に対し種々申し欺いて支払意思を仮装し債権者に分割弁済案を示し,その一部を弁済するなどして捜査機関への被害申告を防ぐなどの債権者対策を行う一方,他の仕入れ先を開拓してさらなる取り込み詐欺を継続するなどとの犯行計画の下に,被告人aをリーダーとしてその指揮命令に基づき,b(本件会社代表取締役,後記cが代表取締役就任後は取締役本部長),分離前の相被告人c(平成12年5月11日本件会社代表取締役に就任して参加)及びd(同年11月下旬ころ参加)がいずれも債権者対策を担当し,eことfが前記債権者対策及び前記仕入管理を担当し,分離前の相被告人gことhが同仕入管理及び仕入れたパソコン等の入出荷の管理を担当し,分離前の相被告人i(同年5月初旬ころ参加)が本件会社の経理全般を担当し,分離前の相被告人j(販売企画室長。同月中・下旬ころ参加)及び分離前の相被告人k(同室長代理。同年6月初旬以降)が,いずれも前記債権者対策及び仕入を担当し,○山二郎(有限会社Wの実質的経営者)及びその弟である被告人○山一郎(同社代表取締役)が前記パソコン等の売却を担当するなど,あらかじめ定められた任務分担に従ってその構成員らが一体として行動して,組織的に前記詐欺を反復して行う被告人両名を含む前記11名によって構成された継続的結合体であるが,いずれも,その団体の意思決定に基づく行為であって,騙し取った商品は直ちに換金しその利益を同団体に帰属させる目的で,被告人aの指揮命令の下,前記任務分担に従い,同団体の活動として,以下の各行為に及んだ。
被告人両名は,
第1 前記b,c,f,h,i,j,k及び○山二郎と共謀(ただし,c,j及びiは前記各参加以降)のうえ,平成12年4月3日ころ,前記V株式会社事務所において,真実は代金を支払う意思及び能力がなく,受領した商品は直ちに廉価処分する意図であるのにその事情を隠し,kにおいて,東京都千代田区<番地略>「××ビル」1005号室T株式会社(当時)システム事業部東京営業所長p(当時37歳)に対し,代金支払は納品月末日締めの翌月末日払いとの約定により同社からパソコン等を購入したい旨の嘘を記載した稟議添付書を本件会社から前記東京営業所にファクシミリ送信するなどして正常な商取引を装ったうえ,別紙1犯罪事実一覧表記載のとおり,同年9月26日から同年10月25日までの間,7回にわたり,本件会社から前記東京営業所にパソコン等合計90点を注文する旨の注文書をファクシミリで送信し,pをして,確実に代金の支払を受けられるものと誤信させて,同月4日から同月26日までの間,7回にわたり,本件会社事務所において,合計パソコン84台,プリンタ4台及びメモリ2点(仕入価格合計2387万3600円)の交付を受け,
第2 前記bほか7名と共謀のうえ,平成12年7月3日ころ,本件会社事務所において,前記第1同様にその事情を隠し,その事情を知らない同社販売企画室所属の従業員mをして,株式会社X営業部長n(当時53歳)に対し,代金支払は納期月末日締めの翌月末日払いとの約定により同社からパソコン等を購入したい旨の嘘を言わせて正常な商取引を装ったうえ,別紙2犯罪事実一覧表記載のとおり,同年10月25日から同年12月1日までの間,7回にわたり,本件会社から前記X(横浜市鶴見区鶴見中央<番地略>「△△ビル」2階所在)にパソコン等合計95台を注文する旨の注文書をファクシミリで送信し,nをして,確実に代金の支払を受けられるものと誤信させて,同年10月31日から同年12月6日までの間,8回にわたり,本件会社事務所において,合計パソコン90台及びプリンタ5台(仕入価格合計2540万4800円)の交付を受け,
第3 前記bほか7名と共謀のうえ,平成12年11月中旬ころ,本件会社事務所において,前記第1同様にその事情を隠し,その事情を知らないmをして,Y有限会社取締役n(前記第2の営業部長と兼職)に対し,前記第1同様の約定により同社からパソコン等を購入したい旨の嘘を言わせたうえ,同月下旬ころさらに前記dと共謀のうえ,別紙3犯罪事実一覧表記載のとおり,同年12月4日及び同月14日にわたり,本件会社から前記Y横浜営業所(前記Xと同一所在地)にパソコン等合計60台を注文する旨の注文書をファクシミリで送信し,nをして,確実に代金の支払を受けられるものと誤信させて,同月6日及び同月19日,本件会社事務所において,合計パソコン57台及びプリンタ3台(仕入価格合計1481万4000円)の交付を受け,
もって,いずれも,団体の活動として,詐欺の罪に当たる行為を実行するための組織により,人を欺いて財物を交付させた。
(証拠)<省略>
(法令の適用)
被告人両名の第1ないし第3の各行為はいずれも包括して刑法60条,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律3条1項9号,刑法246条1項にそれぞれ該当するところ,以上はいずれも同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条によりいずれも犯情の最も重い第2の罪の刑に同法14条の制限内でそれぞれ法定の加重をした刑期の範囲内で,被告人aを懲役6年に,被告人○山一郎を懲役1年8月にそれぞれ処し,同法21条を適用して被告人両名に対し未決勾留日数中各300日をそれぞれその刑に算入することとする。
(補足説明)
弁護人らは,○山二郎(以下「二郎」という。)及び被告人○山一郎(以下「被告人○山」という。)は,被告人aらの前記団体が騙し取った商品の単なる売却先に過ぎず,同団体の構成員ではないなどとして,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)には当たらず,詐欺罪の限度で共謀共同正犯が成立するにとどまる旨主張し,被告人両名もこれに沿う供述をしている。
しかしながら,関係証拠によれば,被告人aは,f及びhらを引き連れ,S1株式会社(平成10年2月ころから同年12月ころまで。途中でS2株式会社に商号変更。以下「S」という。),株式会社Z(平成10年12月ころから平成11年末ころまで。以下「Z」という。)を経て本件会社において本件犯行を含む取り込み詐欺を行うに至ったこと,二郎は,Sの時,被告人aから取り込み詐欺を行う旨説明を受けて勧誘されて以後,S及びZにおいて,被告人aの指揮下で仕入れ管理・対策等に従事するとともに騙し取った商品全てを有限会社W(以下「W」という。)名でバッタ屋に換金する役割(手数料は換金価格の約2パーセント)を引き受けたが,本件会社の分については換金のみを引き受けることとしたこと,被告人○山は,二郎から,平成10年3月ころ,被告人aの関係で仕入れた新品パソコン等を,その仕入価格の75パーセント以上を目安にバッタ屋で売ってきて欲しい旨依頼されて了承し,以後継続して運搬・換金を全て任されてこれに従事し,前記手数料等を原資に月約30万円の報酬を二郎から受け取り,その間,詐取した商品を受け取る際はもとより,被告人aら側の詐取商品入出荷管理担当・会計担当の者と多数回連絡を取るなどしていたこと,被告人○山は,平成12年初めころ,二郎から,本件会社が買い掛けで取得したパソコン等も依頼されて以降,本件各犯行の全てを含め,前記同様にその商品の引き取り,販売に従事していたこと,Wは,その実質的経営者が二郎,実質的従業員が被告人○山一人という個人会社であったこと,以上の事実が認められる。
これらの事実のみによっても,被告人○山が,新品のパソコン等を仕入原価割れでバッタ屋に長期間継続的に売却し続け,会社が変わっても被告人aらを中心としたほぼ同一スタッフが同様の買い掛け取引を続けていることなどから,遅くとも本件会社の活動開始時点までには,自分が換金している商品が取り込み詐欺にかかるものであると確定的に認識していたものと強く推認することができる。加えて,被告人○山は,Sのころ,バッタ屋の経営者からパクリ屋ではないかと指摘を受けたことを契機に疑問を懐くようになったなどと具体的な経過を説明したうえで平成11年5月か6月ころには被告人aらが取り込み詐欺を行っていると確信するに至った旨,捜査段階において供述しており,その内容が自然で前記各事実とも整合していることなどに照らし,この供述(自白)は十分信用することができる。これに反する被告人○山の公判供述は,捜査段階の供述と変遷した理由について合理的な説明がないうえ,前記各事実に整合しない点が多々あり,到底信用できない。
そうすると,本件各犯行との関係においても,被告人aの指揮命令の下,その配下の者らがそれぞれ任務を分担して取り込み詐欺を営業的に累行する中で,被告人○山においては,Wの名義で騙し取った商品を換金し,二郎においては,その換金で得られた金員を,自己らの取り分を差し引いて被告人aらに交付するという定められた役割を分担して遂行する旨の共謀が,被告人aらと二郎の間には明示的に,被告人○山については二郎を介して,いずれもあったことを優に認めることができる。また,このような被告人○山及び二郎の換金処分等が被告人aらと同様に組織的犯罪処罰法に当たる行為であることも明らかというべきである。この点,弁護人らは,①本件会社とWが別法人であること,②二郎及び被告人○山について,被告人aが主催した債権者対策会議等に呼ばれていないこと,③取り込み詐欺を終えた時点での利益分配も受けていないこと,④被告人○山には組織的犯罪処罰法に違反するという主観的認識を欠くなどと指摘する。しかし,①については,組織的詐欺の団体の構成員に当たるか否かは,その犯罪組織及び各人の役割や行為の実態等に応じて定めるべきであって,法人の形態やその同一性が直ちにその団体構成員の範囲を画するものではない。本件において,二郎らは,被告人aの配下の者らが取り込んだ商品の換金処分を一手に引き受けていた(売却額の下限を指定されたうえ換金額に応じて一定の手数料等を保障されていたのであるから売買相手ではなく換金代行者というべきである。)ところ,取り込み詐欺において換金処分は不法な利益の現実化のため重要な行為といえるが,とりわけ,本件のような継続的かつ営業的な取り込み詐欺においては,換金処分による資金が得られなければ,その犯行遂行自体が困難になるのであるから,被告人○山らは本件犯行遂行において重要かつ不可欠な役割を分担していたというべきであり,その実態において本件犯罪団体の構成員といえることは明らかである。②について,前記会議等は仕入れや債権者対策のためのものであって,運搬・換金に関するものではなく,二郎及び被告人○山らの役割遂行のためには必要とはいえないから,二郎らが参加しないことは何ら前記団体構成員であることと矛盾しない(換金に関するルールは事前に被告人aと二郎の間で定められ,これを前提に被告人aの部下らと連絡等を取りながら実行されている。)。③について,二郎及び被告人○山は,換金金額の概ね2パーセント,合計すれば相当額を受け取っているのであるから,最終時の利益分配がない点も,何ら団体構成員であることを妨げるものとはいえない。④についても,被告人○山は,被告人aを頂点としてその指揮命令のもとS時代からいたf,hらをはじめ複数関係者がそれぞれ任務を分担して取り込み詐欺を行い,その利益はこれら人的結合体に帰属していることを認識していたものと認められるから,共犯者それぞれの具体的な任務等について詳細かつ確定的な認識まで有していなかったとしても,本件組織的犯罪処罰法違反の犯意等に欠けるところはないというべきである。結局,弁護人らの主張はいずれも採用の限りでない。
なお,二郎及び被告人○山が,被告人aらに秘してパソコン等の処分額から利得していた事実も認められるが,包括的な共謀関係自体に影響はないというべきであり,また,本件メモリについては換金処分していない可能性も窺えるが,通常の取引を装って換金処分されているパソコン等と一括して騙取されていることは明らかであるから,いずれも,本件各犯行及びその共謀の成否には消長を及ぼさないというべきである。
(量刑の事情)
本件は,被告人aを頂点とする集団が,団体の活動として,正規の事業活動を装って,3社から合計6409万2400円相当(税抜仕入価格)の新品パソコン231台・プリンタ12台・メモリ2点を組織的かつ営業的に騙し取った組織的犯罪処罰法違反の事案であり,その罪質が重いことはいうまでもない。
その経緯等は,コンピュータソフト開発会社を経営していたが,資金繰りに窮し,経済的にほぼ破綻した状態に立ち至ったbが,取り込み詐欺の経験のある被告人aに依頼して,自社を舞台とした取り込み詐欺を組織的に行い,その経費等を差し引いた利得を折半する約束で,その会社を提供するとともに被害商品の納入業者への対応(債権者対策)をし,被告人aが取り込み詐欺のリーダーとしてその方法等を教示し,指揮監督等を行うことで合意し,被告人aが配下のf,hらを派遣し,bがj,cらを参加させるなどして最終的には被告人両名を含む11名がそれぞれ任務を分担し,組織を構成しながら,事情を知らない同会社従業員らも利用するなどして,正常な商取引を装いながら取り込み詐欺を営業的に累行し,高額かつ多数の商品を騙し取ったというものである。その態様は,前記のとおり,実績がある会社を舞台として利用し,優良な法人の顧客が多数あり,商品納入後もソフトの修正やサポートなどの利益率の高い仕事を発注する可能性が高いなどと虚言を並べるセールストークを準備し,これを駆使させて仕入先を開拓し,正常な商取引を装って買掛で新品のパソコン等を仕入れるや,これを直ちに現金問屋等に仕入値の7割程度で廉価売却し,その売却損及び経費等を賄えるように,その翌月の仕入額を6割以上増加させて同様の仕入れ売却・換金を繰り返し,これにより得た現金を当初の買掛代金の支払いに充てて仕入先を信用させてその仕入量を増大させながら取引を継続させて,パソコン等の商品を騙し取り,そのような仕入増加が困難となるや以降の支払を止め,その代金請求に対しては,資金繰りの悪化等,言を左右にして虚偽の理由を並べ,内容虚偽の書面を適宜作成交付するなどして,単なる債務不履行で支払意思があるように欺きながら分割弁済案を示し,その当初の一部だけを弁済するなどして捜査機関への被害申告等を防ぐ一方,別途の仕入先を開拓して同様の取り込み詐欺を続けるというもので,計画的かつ組織的であるのはもちろん,周到,巧妙であり,その常習性も顕著である。本件各犯行は,8か月間余と長期にわたって累行され,その財産的損害は,前記のようにパソコン等高価な商品多数で合計6400万円余にのぼっており,結果も重大というほかない。各被害会社の経営にも重大な支障を生じさせたものと窺え,その各関係者らが被告人らの厳罰を望んでいるのも当然である。また,本件犯行の性質上模倣性も窺え,一般予防の見地からも厳しく臨むべきものと考えられる。
被告人aは,平成8年ころ,取り込み詐欺を持ちかけられて株式会社Uを舞台に主に債権者対策役として関与し,その経験をもとに,以後,前記2つの会社を舞台に首謀者としてスタッフを確保して取り込み詐欺を重ね,さらに,平成11年11月ころ,本件会社を経営するbから前記のとおり取り込み詐欺を提案されるや最終利益を折半する約束でこれに応じ,以後,スタッフを確保・派遣するなどして同社を舞台とした取り込み詐欺,本件犯行を主導し,本件犯行による利益を含めた詐欺による利得から経費を差し引いたその約半分(約8000万円等)を受領していること,本件の後にも同様な詐欺の犯行を主導していることなどを考え併せると,その責任は相当重いというべきである。
被告人○山は,兄である二郎に誘われ,当初こそ明確な認識がなかったとはいえ,長期間継続的に換金処分に関わる中でその違法性を確信した後も,本件を含め,騙し取った商品を運搬・換金するという犯行遂行において重要な役割を果たし,本件犯行による利益を含め詐欺によって得られた利益から相当額の金員(兄が手数料名目に換金額から天引きした金員から月給約30万円等)を受領していること,本件の後にも同様な詐欺の犯行にも関与していることなどを考え併せると,その責任には軽視し難いものがある。
他方,債権者対策としてではあるが,第1の被害会社に対し,平成12年12月28日及び平成13年1月31日に各69万円余の支払いがなされていること,被告人aは,被害弁償金の一部として第2,第3の各被害会社にそれぞれ50万円を支払っているうえ,第1の被害会社にも50万円を支払う見込みであること,その母・妹が当公判廷において被告人の更生に協力する旨述べていること,約30年前に業務上過失傷害罪で罰金刑に処せられたほかには前科はないこと,本件各犯行のみならず余罪を含め進んで供述するなどして捜査に協力し,本件犯行の全容解明に寄与するなど,改悛の情が顕著に認められること(本件証拠関係に照らすと,組織的かつ継続的に敢行された本件詐欺の詳細について比較的早期に解明されたのは被告人aの供述による部分が大きいと窺え,この点は量刑上相応に斟酌すべきである。)などの有利な事情も認められ,これらに共犯者との刑の均衡をも考え併せると,被告人aに対しては懲役6年の刑が相当と思われる。また,被告人○山については,事情を知らずに兄に誘われるまま騙し取った商品の運搬・換金行為に従事するようになったなど,経緯において酌むべき点もないでもないこと,もとより本件各犯行の首謀者は被告人aであり,被告人○山の関与は,その兄が被告人aから引き受けた運搬・換金の任務を孫請けしたに近いものであって,被告人aないしその指揮・命令を受けた共犯者の指示に従っていたものであること,詐欺による利得の大半が被告人a及びbに分配されているうえ,運搬・換金についての報酬の大半もその兄に帰属していること,被害弁償金の一部として第2,第3の各被害会社に合計30万円を支払っていること,その妻・父・母が当公判廷において被告人の更生に協力する旨述べていること,幼い子二人がいること,取り込み詐欺に関わる以前は,真面目に稼働していた時期もあり,前科もないこと,客観的事実自体は本件各犯行のみならず余罪を含めてほぼ全て認めて反省の弁を述べていることなどの有利な事情が認められ,これらを十分考慮し,共犯者との刑の均衡を考え併せても,被告人○山に対し,その刑の執行を猶予すべき事情は到底見出し難く,被告人○山に対しては主文の実刑が相当と思われる。
(裁判長裁判官・廣瀬健二,裁判官・片山隆夫,裁判官・西村真人)
別紙1〜3 犯罪事実一覧表<省略>