横浜地方裁判所 平成15年(行ウ)28号 判決 2004年10月06日
原告 甲
訴訟代理人弁護士 龍村全
同 堤健太郎
被告 大和税務署長 山下政治
指定代理人 本田利美
同 中村芳一
同 玉山浩
同 中村豊
同 上村剛
同 北村勝
同 出田潤二
主文
1 原告の各請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨
(1) 被告が平成14年3月8日付けで原告の平成10年分の所得税についてした更正処分のうち、総所得金額が1427万0147円を超える部分、還付金の額に相当する税額が12万6600円を下回る部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし、いずれも平成15年8月22日付けの再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分により変更された後のもの)を取り消す。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第2 事案の骨子
原告が、平成10年4月21日から同年8月13日までの間の計4回にわたり、アメリカ合衆国のナスダック株式店頭市場において自己の所有する株式を売却し、当該各株式売却に係る譲渡所得についての所得税を、租税特別措置法(金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(平成10年法律第107号)による改正前のもの。以下「措置法」という。)37条の11が規定する上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離選択課税の方式(以下「本件源泉分離選択課税制度」という。)により納付し、平成10年分の所得税について確定申告を行ったところ、被告は、上記各株式売却は措置法37条の11第1項1号の規定する「証券業者・・・への売委託」により行われた株式の譲渡には当たらず、上記各株式売却については本件源泉分離選択課税制度の適用がないとして、原告の平成10年分の所得税について更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし、後に再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分により変更された。)を行った。
これに対し、原告が、上記各株式売却はA証券株式会社(以下「A証券」という。)への売委託により行われた株式の譲渡に当たるから、本件源泉分離選択課税制度の適用を否認してされた上記更正処分等は違法であるなどと主張して、上記再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分により変更された後の上記更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めた事案である。
第3 基礎となる事実
(以下の事実は、争いのない事実又は弁論の全趣旨ないし記載した証拠により容易に認められる事実である。)
1 本件各株式売却の概要等
(1) 原告は、アメリカ合衆国(以下「米国」という。)のナスダック株式店頭市場において、その所有する株式を、以下のとおり売却した(日付けは米国での取引日。以下「本件各取引」という。) 〔乙1号証〕
ア 平成10年4月21日、B株式(以下「B株式」という。)1万株を32万5000ドルで売却した。
イ 同年6月26日、C株式2882株を8万6099.75ドルで売却した。
ウ 同年8月12日、B株式7500株を10万6250.25ドルで売却した。
エ 同年8月13日、B株式7500株を9万8375.25ドルで売却した。
(2) 本件各取引で売却された株式(以下「本件各株式」という。)は、米国ナスダック株式店頭市場の会員であるD(以下「D社」という。)の原告名義の口座に保護預かりとなっていた。
(3) 本件各取引に際して、原告は、D社の社員であり、原告とD社との間の証券取引に関する担当者であった乙(以下「乙」という。)に対して売却する株式の銘柄及び数量等を連絡、指示していた。
なお、D社は、措置法37条の11第1項1号の「証券業者」に当たらない。
2 原告とA証券との取引関係
(1) 原告は、平成10年5月8日ころ、乙を介して、A証券に「取引申込書(口座開設)」、「外国証券取引口座設定申込書」及び「上場株式に係る譲渡所得等の源泉分離課税の選択申告書」を提出し、これを受けて、A証券は、原告に係る取引口座を開設した。
(2) 本件各株式の売却代金相当額(ただし、SEC手数料控除後のもの)が、D社からA証券に開設された原告の口座に送金され、A証券は、上記原告の口座への各入金額から本件各取引に係る措置法37条の11第2項の源泉所得税相当額を控除し、日本橋税務署に納付した。
〔乙1号証〕
3 本件各課税処分等の経緯
原告の本件所得税の申告、更正処分等の経緯は、下記のとおりである(別表1「課税処分等の経緯」参照。)。
(1) 原告は、平成11年3月15日、平成10年分の所得税について、別表1「課税処分等の経緯」の「期限内申告」欄記載のとおり確定申告した(以下「本件確定申告」という。)。
(2) 被告は、平成14年3月8日付けで、原告の平成10年分の所得税について、別表1「課税処分等の経緯」の「本件各処分」欄記載のとおり、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をした。
(3) 原告は、上記各課税処分を不服として、平成14年4月25日、異議申立てをしたが、被告は、同年7月25日付けで、これらをいずれも棄却する旨の決定をした。
(4) 原告は、同年8月22日、国税不服審判所長に対し、上記各課税処分について審査請求をしたが、同所長は、平成15年1月28日付けで、これらをいずれも棄却する旨の裁決をした。
(5) 被告は、平成15年8月22日付けで、原告の平成10年分の所得税について、別表1「課税処分等の経緯」の「本件再更正処分等」欄記載のとおり、再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分をした(この再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分により変更された後の上記(2)の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を、以下「本件各課税処分」という。)。
第4 争点
本件の争点は、
① 本件各取引が、原告からA証券への措置法37条の11第1項1号が規定する「売委託」によりされた株式の譲渡に当たるかどうか
② 被告が本件各課税処分を行うことが信義則に反し許されないかどうか
③ 被告が本件各課税処分を行うことが権利濫用として許されないかどうかである。
第5 争点に関する当事者の主張
1 争点①について
《被告の主張》
そもそも、A証券は本件各取引について原告から売委託を受けていないから、本件各取引は、原告からA証券への措置法37条の11第1項1号の「売委託」により行われた株式の譲渡とはいえない。
(1) 措置法37条の11第1項1号の「売委託」の意義
措置法37条の11第1項1号に規定する「売委託」とは、平成11年課所4-9による廃止前の昭和63年3月31日付け直所3-9「租税特別措置法に係る所得税の取扱い(源泉所得課税関係)について」通達(以下「措置法通達」という。)37の11-1により、「売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をいう」と定義されている。
そして、上記「売買の媒介」とは、証券会社が第三者間の売買の成立のために仲介する行為を、上記「売買の取次ぎ」とは、証券会社が顧客から受けた注文を自己の名義でもって執行し、その損益を顧客に帰属させることを、上記「売買の代理」とは、証券会社が顧客の代理人として顧客名義で売買する行為で、その損益は顧客に帰属することをいう。
(2) 本件各取引についての検討
A証券は、本件各取引について、各取引成立後に、D社からの取引内容を記載した売買報告書がファックスで届いて初めて、その内容を知ったのであり、本件各取引について、A証券が原告から売注文を受けた事実もA証券がD社に売却指示を行った事実もなく、結局、本件各取引は、原告とD社との間で直接行われたものであり、本件各取引におけるA証券の関与は、既に本件各取引が終了した後の税務処理等に過ぎないのであるから、このような関与があったことをもって、本件各取引がA証券への「売委託」により行われたと認められないことは明らかである。
(3) 原告の主張に対する反論
ア (1)アについて
措置法通達37の11-2は、上場株式等の譲渡につき売委託を受けた証券業者等が他の証券業者を通じて当該上場株式等の譲渡を実行した場合において、源泉分離課税選択申告書の経由先及び措置法37の11第2項の規定により源泉徴収を行うべき者について、「顧客から売委託を受けた証券業者等」がこれに該当するのか、「他の証券業者」がこれに該当するのか疑義が生じることから、前者がこれに該当することを明らかにしたものであり、A証券が原告から売委託を受けたといえるか否かという本件の争点とは直接関係のない規定である。
イ (2)について
本件において、原告が主張するようなA証券とD社との「提携関係」ないし「スキーム」の存在及びその内容を立証するに足りる何らの証拠もない。
かえって、本件各取引が行われた当時のA証券における原告の取引担当者であった丙が、A証券が行った事務は、現実にはお金の処理と税務処理に尽きるのであって、売却代金の通過勘定の役割を果たしたに過ぎないこと等を述べ(乙1号証)、A証券国際法人部専任部長である丁が、D社の担当者について、A証券の代理人であることや、A証券の社員として使っていることなどの事実を明確に否定している(乙6号証)ことに照らせば、原告が主張するような「提携関係」ないし「スキーム」が存在しないことは明らかである。
ウ (3)アについて
A証券とD社は別法人であり、D社の担当者がA証券の手足であるとする主張は法的に不可能であるというほかなく、また、A証券とD社との間に代理契約の存在は認められないのであるから、原告とD社との間に成立した法律関係を原告とA証券との間に生じたものと解することができないことも明らかである。
エ (3)イについて
本件各取引が行われた当時A証券における原告の取引担当者であった丙は、D社に対し日本国内における源泉分離課税の仕組み等についての情報の提供を行ったことがないこと、及び、本件各取引については、D社から売買報告書が届いたとき、すなわち、既に本件各取引が成立した後で初めて知ったことを明確に述べており(乙1号証)、原告の主張が前提とする事実関係自体が誤りであることは明らかである。
オ (3)ウについて
原告が主張するようなA証券とD社との「提携関係」等が存在しないことは上記イのとおりである。
また、措置法37条の11第1項が対象としているのが、譲渡所得を生じる個々の取引であることは条文上明らかであり、同項の適用を受けるためには、個々の取引につき、同項に規定する「売委託」と評価できる事実が存在する必要がある。
カ (3)エ、オについて
原告が主張するようなA証券とD社との「提携関係」の存在自体が認められないことは、上記イのとおりであり、原告の主張は、そもそもその前提において誤っている。
また、原告からA証券に対する売注文がない以上、A証券が、原告の取引について、D社に「売買の委託の媒介」ないし「売買の委託の代理」をすることもあり得ない。
《原告の主張》
(1) 措置法37条の11第1項1号の「売委託」の意義
ア 措置法37条の11第1項1号が規定する本件源泉分離選択制度の適用に関連する通達としては、被告が挙げる措置法通達37の11-1の外、措置法通達37の11-2<他の証券業者等を通じて行う譲渡>があり、この規定は、措置法37条の11第1項1号に規定する証券業者等が、上場株式等の譲渡をしようとする者から売委託を受け、他の証券業者を通じて譲渡した場合であっても、同項に規定する税務署長へ提出する源泉分離課税選択申告書等の経由先並びに同条2項の規定により源泉徴収を行うべき者は、上場株式等の譲渡をしようとする者から売委託を受けた証券業者等である旨を定めている。
このように、措置法通達37の11-2は、売委託を受けた証券業者等が、当該上場株式等の有価証券市場の会員でない場合に、当該証券業者等自らではなく、当該上場株式等の有価証券市場の会員である他の証券業者等を通じて行う譲渡についても、本件源泉分離選択課税制度の適用があることを前提としている。
イ 他方、証券取引法2条8項3号は、証券業とされる行為の一つとして、外国有価証券市場における有価証券の売買の委託の媒介、取次ぎ又は代理を挙げているところ、この規定は、外国有価証券市場の会員ではない証券会社が顧客から外国有価証券市場での有価証券の売買の委託を受けても自らこれを執行することができないことから、外国有価証券市場の会員である証券会社に市場での売買等を委託することを媒介し、取り次ぎ又は代理する業務も証券業の範囲に含めたものである。
ウ したがって、措置法37条の11第1項1号に規定する「売委託」の意義も、上記措置法通達37の11-2及び証券取引法2条8項3号と関連づけて理解されるべきであり、措置法37条の11第1項1号に規定する「売委託」とは、措置法通達37の11-1が定義する「売委託」に当たる行為に加え、他の証券会社に対する上場株式等の売買の委託の媒介、取次ぎ又は代理を国内証券会社に対し委託することも含むというべきである。
(2) A証券とD社の提携関係の存在
本件各取引は、以下に述べるようなA証券とD社の提携関係に基づいて行われたものである。
ア 日本における顧客獲得のため、日本の証券業者と組むことにより米国株式の譲渡に際して本件源泉分離選択課税制度の適用を受けられるとの付加価値の提供を顧客サービスのメニューに加えることを企図したD社と、D社から上質な顧客の紹介を受け顧客層の開拓を図るとともに、海外委託取引契約の受託実績を伸ばして手数料収入等の売上げ増加を企図したA証券の利害が一致し、両者は提携関係を結んだ。
イ そして、A証券とD社は、上記提携関係の一環として、原告に本件源泉分離選択課税制度の適用を受けさせることを目的として、以下のようなスキームを策定した。
すなわち、A証券とD社が策定した内容に従って、原告はA証券にD社担当者を介して海外証券取引口座設定申込みを行って同口座を開設し、原告とA証券が海外委託取引契約を締結して、原告がA証券に本件各株式の売委託を行い、A証券においてD社を通じて本件株式を譲渡するというものであった。そして、具体的な遂行方法は、国内の税務に熟知していると当然期待されるべき国内の証券会社であるA証券の税務上の識見、及び、A証券が源泉分離課税選択申告書の受理権限や源泉徴収権限を有し、これら日本における税務上の正式な手続きを取ることができる立場にあるという裏付けの下に、A証券の担当者だけでなく、D社の担当者も、A証券の手足となって、顧客に本件源泉分離選択課税制度の適用を受けられる旨説明し、勧誘し、また、手続きの遂行にあたり顧客と直接の応対を行うというものであった。
(3) 本件各取引についての検討
ア 原告のA証券に対する「売買の取次ぎ」の委託
本件において、原告は、本件各取引について、A証券に対し「売買の取次ぎ」の委託を行っていたから、A証券への「売委託」を行っていたといえる。
この点について、被告は、本件各取引が原告のA証券に対する売委託(売買の取次ぎの委託)に当たらない理由として、個々の取引において、原告がA証券ではなくD社に対して直接売注文をしており、A証券に対しては事後報告しかしていないことを挙げている。
しかし、本件において、原告とD社との間で行われた連絡等は、上記(2)のA証券とD社との提携関係に基づき、A証券の指示の下で、D社の一担当者個人である乙がA証券における義務の履行補助者として、事務連絡等を行っていたに過ぎず、原告の売注文はあくまでもA証券に対してなされていたものである。すなわち、本件一連の事務手続きは、上記(2)のA証券とD社との連携業務の一環としてなされたものであり、D社の担当者でもあった乙が行った連絡行為はいわばA証券の手足として、履行補助者的な立場で事実上便宜を提供していたものであって、原告のD社の担当者に対する売注文の連絡が、A証券に対する売委託に該当するのである。
イ 原告のA証券に対する「売買の媒介」の委託
仮に、本件においてA証券に対する売注文がなかったとしても、A証券がした一連の行為は「売買の媒介」に当たり、原告がA証券にこれを委託することは、措置法37条の11第1項1号にいう「売委託」に該当する。
すなわち、本件における株式の売却は、単に株式の売却だけでなく、本件源泉分離選択課税制度の適用を受けさせるための手続が伴っていることが前提となっているところ、A証券は、上記(2)の提携関係に基づき、本件各株式の米国ナスダック株式店頭市場における売却に先立ち、必要不可欠な日本国内における税制に関する情報、特に源泉分離課税の仕組み等をD社にも説明指示し、原告に対し本件源泉分離選択課税制度の適用を受けさせることを前提に本件各株式の売却の周旋に尽力した結果、売却の成立に至ったものであるから、かかるA証券の行為は「売買の媒介」に当たり、原告がA証券に対しかかる行為を委託することは、措置法37条の11第1項1号の「売委託」に該当するのである。
ウ 原告のA証券に対する包括的な「売委託」
本件源泉分離選択課税制度が設けられた趣旨は、株式を売却する者、特に一般の個人には記帳慣行が無く、譲渡による収入金額及びその株式の取得価額等を体系的に把握するシステムが確立していない状況の下で、市場において転々流通する上場株式等の譲渡益に課税する方策として、実際の所得とは別に一定の所得率を設定し、源泉徴収により課税関係を終了させる分離課税の方法により課税する制度を創設しようとしたものである。そして、措置法37条の11第1項1号において国内証券業者に対する「売委託」という要件を設けたのは、国内証券業者を通じた売却により売買の対価の流れが国内証券業者の勘定を通過することで、税務当局において売却の事実とその対価の移動を客観的に把握し、もって一律的な徴収が可能となるからである。
そうであるとすれば、「売委託」という要件の意義は、国内証券業者の勘定に株式の売却による対価が通過することに重点があるのであって、売注文が直接国内証券業者に対してその都度なされるかどうかはさして重要ではない。また、源泉分離課税の選択申告書は、個々の取引の度に提出しなければならないものではなく、その提出の時以降における証券業者の営業所等における上場株式の譲渡については、源泉分離課税の選択を取りやめる旨の廃止申告書が提出されない限り、源泉徴収のみで課税関係が完結する。
したがって、「売委託」という要件は、個々の取引の実行にあたり国内証券業者に売注文がなされていることまでは要求しておらず、少なくとも包括的に国内証券業者を通じた株式の売却の実行の委託があれば足りると解すべきである。
本件においても、個々の取引においてA証券に対して直接の売注文がなくとも、顧客である原告が、A証券との間で、上記(2)のA証券とD社が締結した提携関係に基づくサービスを利用することを内容とする海外委託取引契約を締結することで、包括的にA証券に対する売委託をしたと見ることができ、その意味で、本件各取引は、措置法37条の11第1項1号の「売委託」に該当するのである。
エ 原告のA証券に対する「売買の委託の媒介」の委託
仮に、本件各取引が原告のD社に対する売却の委託により成立したものであったとしても、本件における原告のD社に対する株式の売却の委託は、単に売却の委託だけでなく、本件源泉分離選択課税制度の適用を受けさせるための手続が伴っていることが前提となっているところ、A証券は、上記(2)の提携関係に基づき、本件各株式の米国ナスダック株式店頭市場における売却の委託に先立ち、必要不可欠な日本国内における税制に関する情報、特に源泉分離課税の仕組み等をD社にも説明指示し、原告に対し本件源泉分離選択課税制度の適用を受けさせることを前提に本件各株式の売却の委託の周旋に尽力した結果、売却の成立に至ったものである。
このようなA証券の行為は「売買の委託の媒介」に当たり、原告がA証券に対しかかる行為を委託することは、措置法37条の11第1項1号の「売委託」に該当する。
この点について、被告は、原告からA証券に対する売注文がない以上、A証券が、原告の取引についてD社に「売買の委託の媒介」をすることはあり得ないと主張するが、「売買の委託の媒介」とは、本件に当てはめれば、A証券が原告のD社に対する株式の売却の委託を媒介することであって、それで足りる。したがって、「売買の委託の媒介」において、A証券に対する売注文がされないのは当然のことであり、被告の主張は失当である。
オ 原告のA証券に対する「売買の委託の代理」の委託
また、A証券は、上記(2)の提携関係に基づき、本件源泉分離選択課税制度の適用を受けさせることを目的として、原告を代理してD社に対して、原告において本件各株式について売却の希望があり次第、その売買取引を実行することを委託していた。
すなわち、上記アのとおり、乙はA証券の履行補助者としての立場にあるところ、A証券が、原告を代理して、顧客から売注文の連絡を受ける乙をしてD社に売却を指示させることは、「売買の委託の代理」にあたり、原告がA証券に対しかかる行為を委託することは、措置法37条の11第1項1号の「売委託」に該当する。この点について、被告は、原告からA証券に対する売注文がない以上、A証券が、原告の取引についてD社に「売買の委託の代理」をすることはあり得ないと主張するが、「売買の委託の代理」とは、本件に当てはめれば、A証券が、原告に代理して、D社に対して本件各株式の売却を委託することであって、それで足りる。したがって、「売買の委託の代理」において、A証券に対する売注文がないのは当然のことであり、被告の主張は失当である。
2 争点②について
《原告の主張》
被告は、本件各取引について約4年間にわたり何ら問題視せず、本件各取引に本件源泉分離選択課税制度の適用があるとの一種の法的状態に類する事実状態を作出し、原告に対してもその旨の信頼を与えていたにもかかわらず、突如、本件源泉分離選択課税制度の適用を否認して本件各課税処分を行うことは、原告の信頼を裏切り、原告に多大な不利益を与えることになるから、本件各課税処分をすることは信義則に反し、許されない。
《被告の主張》
そもそも本件確定申告がされたのは平成11年3月15日であり、本件において更正処分及び再更正処分は、国税通則法70条1項及び2項所定の更正の期間制限内に行われている上、被告において、原告に対し、本件各取引による譲渡所得について、源泉分離課税が適用される旨の発言等を行った事実は一切ない。
また、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない」(最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決・裁判集民事152号93頁)とされているところ、本件において、被告が本件各取引に係る譲渡所得について源泉分離課税の適用がある旨の公的見解を表示した事実はないから、信義則違反とされる余地はない。
3 争点③について
《原告の主張》
前記第5、1《原告の主張》(3)ウのとおり、本件源泉分離選択課税制度が設けられた趣旨は、株式を売却する者、特に一般の個人には記帳慣行が無く、譲渡による収入金額及びその株式の取得価額等を体系的に把握するシステムが確立していない状況の下で、市場において転々流通する上場株式等の譲渡益に課税する方策として、実際の所得とは別に一定の所得率を設定し、源泉徴収により課税関係を終了させる分離課税の方法により課税する制度を創設しようとしたものである。そして、措置法37条の11第1項1号において国内証券業者に対する売委託という要件を設けたのは、国内証券業者を通じた売却により売買の対価の流れが国内証券業者の勘定を通過することで、税務当局において売却の事実とその対価の移動を客観的に把握し、もって一律的な徴収が可能となるからである。したがって、「売委託」という要件は、売注文が直接国内証券業者に対してその都度なされることに重点があるのではなく、国内証券業者の勘定に株式の売却による対価が通過することに意義があるということができる。
これを本件についてみれば、本件各取引による対価の流れはA証券の勘定を通過しており、被告において本件各取引の事実と対価の移動を明確に把握できており、同条1項1号の趣旨は充足している。
そうであるとすれば、仮に被告の主張するとおり、本件各取引における売注文が、直接国内証券会社であるA証券に対してされていないために、国内証券会社に対する「売委託」という要件に形式的に該当していなかったとしても、被告において、この一点だけを取り上げて本件源泉分離選択課税制度の適用を否認し、過大な所得税を賦課することは、権利の濫用として許されない。
《被告の主張》
措置法37条の11第1項は、上場株式等の譲渡のうち、同項各号に掲げる譲渡を対象とする旨規定しており、同項の適用の可否については、個々の取引ごとに、所定の要件を充足しているか否かで決すべきことが条文上も明らかであり、これと異なる前提に立つ原告の主張は、その前提からして誤っている。
そもそも、租税法規の適用については、法的安定性の要請が強く働くから、その解釈は原則として文理解釈によるべきであり、特に租税特別措置は、担税力の点においては同様の状況にあるにもかかわらず、何らかの政策目的の実現のために、特定の要件に該当する場合に税負担の軽減又は加重をすることを内容とする措置であり、公平の観点からすれば好ましくない制度であるともされていることにもかんがみれば、そのような規定の解釈は厳格に行われるべきであるから、条文に明記されている要件について、無くてもよいとするかのような原告の主張は、この点においても誤っている。
第6 争点に関する当裁判所の判断
1 争点①(本件各取引が原告からA証券への措置法37条の11第1項1号が規定する「売委託」によりされた株式の譲渡に当たるかどうか)について
(1) 本件源泉分離選択課税制度の趣旨・目的について
措置法において本件源泉分離選択課税制度を設けた趣旨・目的は、株式等の譲渡に係る所得に対する課税に当たっては、原則として、その株式等の譲渡に係る収入金額から株式等の取得費及び譲渡に要した費用を控除してその譲渡に係る所得を算出する必要があるが、一般の個人には記帳の慣行が無く、実際の所得に応じた課税を行うために必要な株式の譲渡による収入金額及びその株式の取得価額等を体系的に把握するシステムが確立していない状況の下で、市場において転々流通する上場株式等の譲渡益を容易かつ確実に捕捉してこれに対する課税を行う方策として、実際の所得の把握とは別に、一定の所得率を設定し、これに基づき源泉徴収の方法により納税を確保し、課税関係を終了させるという源泉分離課税の方法による課税制度を設けることとしたものと解される。
(2) 措置法37条の11第1項1号の「売委託」の意義等について
ところで、措置法37条の11第1項1号に規定する「売委託」の意義について、措置法通達37の11-1は、「売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託又は売出しの取扱いの委託をいう」と定義しているが、ここでいう「売買の媒介」とは、証券会社が第三者間の売買の成立のために仲介する行為を、「売買の取次ぎ」とは、証券会社が顧客から受けた注文を自己の名義でもって執行し、その損益を顧客に帰属させることを、「売買の代理」とは、証券会社が顧客の代理人として顧客名義で売買する行為で、その損益は顧客に帰属することを、それぞれ意味するものと解される。
このように、上記の「売委託」があったというためには、顧客から、証券会社に対し、売却する株式の銘柄や数量を指定するなどして、売却の媒介、取次ぎ若しくは代理に係る委託等がされることが必要であることはいうまでもない。
そして、措置法37条の11第1項は、上場株式等の譲渡のうち、同項各号に掲げる当該株式等の譲渡を本件源泉分離選択課税制度の対象とする旨を規定していることからすると、同制度の適用を受けるためには、上場株式等の譲渡に係る個別の取引ごとに、同項1号に規定する「売委託」が存在することを要するものと解するのが相当である。
(3) 本件各取引についての検討
ア(ア) 本件各株式は、前記第3の基礎となる事実1(2)のとおり、D社の原告名義の口座に保護預かりとなっていたものであり、かつ、原告は、同事実1(3)のとおり、本件各取引に際して、いずれも、A証券の担当者に対してではなく、D社の社員であり、原告とD社との間の証券取引に関する担当者であった乙に対して、売却する株式の銘柄及び数量等を連絡、指示していたところである。
(イ) そして、乙1号証別紙4及び11ないし13の、乙が本件各取引が行われた当時のA証券における原告の取引担当者であった丙宛てに送った本件各取引に関する報告文書である「FAX COVER SHEET」(以下「本件報告書」という。)は、その体裁からすると、乙が本件各取引に関して、D社における原告の担当者として作成したものであり、かつ、その内容は、各取引の結果と、これに基づいて、D社からA証券の原告の口座に取引金額からSEC手数料を控除した金額を送金する旨を報告、連絡するものである。
(ウ) また、乙1号証によれば、上記A証券の担当者丙は、原告から売却する銘柄や株数などについて直接指示を受けたことは一度もなかったこと、A証券が、D社が保護預かりしていた原告の株式について、D社に対し売却の指示をすることは、原告から売却する銘柄や株数の指示を受けていない以上不可能であり、実際にもA証券がD社に対し売却の指示をしたことは一切ないこと、A証券は原告から直接売注文を受けていないため、D社から本件報告書がファックスで届いた時点で初めて原告が本件各株式を売却したことを知ったこと、A証券が本件各取引に関し処理した事務は、現実には、原告の口座に係る入出金の管理と源泉徴収等の税務処理に尽きるのであって、A証券としては、本件各株式の売却代金の通過勘定の役割を果たしたに過ぎないと認識していること、を申述している。
(エ) これに対し、乙第1号証別紙10の書面には、原告が、平成10年8月11日に、A証券の第一法人部長丁に対し、B株式1万5000株を成り行きで売却することを指示する旨の記載があるが、この書面の下部には、同書面がD社からファックスで送信されてきたものであることを示す印字がなされていることからすると、上記内容の原告の指示が、先ず、D社に対しなされた後に、D社の担当者が同書面をA証券にファックスで送信したものであることが窺われる。
また、上記丙は、上記書面について、既に原告からD社に売注文が出されたか、取引が成立した後に送られてきたものであると申述し〔乙1号証〕、上記丁も、D社から紹介を受けた顧客らから直接売注文を受けたことはない旨を申述しているところである〔乙6号証〕。
(オ) 上記(ア)ないし(エ)の事実関係からすると、本件各取引について、原告が、A証券に対し、措置法37条の11第1項1号に規定する「売委託」、すなわち、売却の媒介、取次ぎ若しくは代理に係る委託等を行ったものと評価することができないことは明らかであり、他に同項1号に規定する「売委託」があったものと認めるに足りる証拠はない。
イ これに対し、原告は、A証券とD社の間に「提携関係」が存在するとした上で、本件における一連の事務手続はD社とA証券との提携関係の一環として策定されたスキームに基づいてされたものであり、D社の担当者でもあった乙が行った連絡行為等は、いわばA証券の履行補助者として事実上便宜を提供していたものであって、原告の乙に対する売注文の連絡が、A証券に対する売注文に該当し、原告のA証券に対する「売買の取次ぎ」の委託が存在する旨を主張する(前記第5、1《原告の主張》(2)、(3)ア)。
確かに、甲10号証及び甲12号証によれば、D社からの提案ないし協力依頼を受けて、A証券が、D社の顧客の海外市場における株式譲渡について本件源泉分離選択課税制度の適用が受けられるように協力することとし、そのために両者が協同して一定の方策を講じていたことが窺われるところである。
しかし、上記ア(ア)、(イ)によれば、乙が、本件各取引に関して、終始、D社の担当者として行動していたことは明らかであり、A証券の履行補助者として行動していたと認めることは到底できないなど、上記以上に、原告が主張するような提携関係に基づく「スキーム」が策定されたものと認めることはできない。
なお、原告が主張する提携関係ないしスキームの内容の一つとして、D社が、A証券から、原告の売注文をA証券に代わって受ける代理権等の権限を授与されていたことを認めるに足りる証拠もない。
したがって、いずれにせよ、原告の乙に対する売注文の連絡が、A証券に対する売注文に当たると評価することができないことは明らかである。
ウ また、原告は、仮に本件において原告からA証券に対する売注文がなかったとしても、本件の事実関係の下においては、A証券のした一連の行為は「売買の媒介」に当たり、原告がA証券に対しこれを委託することは、措置法37の11第1項1号の「売委託」に該当する旨を主張する(前記第5、1《原告の主張》(3)イ)。
しかし、上記(2)のとおり、措置法37の11第1項1号の規定する「売委託」があったといえるためには、顧客から、証券会社等に対し、具体的な株式等についての売却の媒介、取次ぎ若しくは代理に係る委託がされることが必要であるところ、原告が上記主張において指摘するようなA証券の行為をもって「売買の媒介」に当たるものと評価することができるか疑問であるばかりでなく、そのようなA証券の一連の行為が存在したものと認めるに足りる的確な証拠はないし、また、それが原告の委託に基づくものと認めるに足りる的確な証拠もない。
したがって、いずれにせよ、本件各取引について原告からA証券に対する「売買の媒介」に係る委託が存在したものということはできないというほかはない。
エ さらに、原告は、措置法37条の11第1項1号の「売委託」という要件が設けられた趣旨についての原告の主張を前提として、「売委託」という要件は、国内証券業者に対するその業者を通じた株式の売却の実行についての包括的な委託があれば足りると解すべきであるころ、本件では、原告が、A証券との間で、上記のA証券とD社との提携関係に基づくサービスを利用することを内容とする海外委託取引契約を締結することで、包括的にA証券に対する売委託をしたと見ることができる旨を主張する(前記第5、1《原告の主張》(3)ウ)。
しかし、上記(2)のとおり、措置法37の11第1項1号の適用を受けるためには、上場株式等の譲渡に係る個別の取引ごとに、同項1号に規定する「売委託」が存在することを要するのであって、証券業者等に対する株式の売却の実行についての包括的な委託があれば足りるということはできないから、原告の上記の主張は、その前提において理由がないというべきである(なお、上記ア(ア)ないし(エ)の事実関係よりすれば、その主張するような趣旨の原告のA証券に対する包括的な売委託自体についても、それが存在したものと認めることはできないところである。)。
オ そのほか、原告は、措置法通達37の11-2及び証券取引法2条8項3号の規定を根拠に、措置法37の11第1項1号の「売委託」とは、「売買の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託」に加え、国内証券会社に対し他の証券会社に対する上場株式等の売買の委託の媒介、取次ぎ又は代理を委託することも含まれるとした上で、本件における原告の行為は、A証券に対する「売買の委託の媒介」の委託又は「売買の委託の代理」の委託に当たるので、結局、措置法37の11第1項1号の「売委託」に当たるとも主張する(前記第5、1《原告の主張》(1)、(3)エ、オ)。
上記の原告の主張の趣旨は必ずしも明瞭ではないが、措置法37の11第1項1号の規定する「売委託」に、その主張のような「売買の委託の媒介」の委託又は「売買の委託の代理」の委託が含まれると解することができるとしても、もともと、上記イのように、本件においては、原告の上記主張の前提となっているA証券とD社との提携関係に基づく「スキーム」が策定されたものとは認められないのであるから、その余の点について言及するまでもなく、本件において「売買の委託の媒介」又は「売買の委託の代理」の委託があったとはいえないというほかはない。
(4) 小括 上記のとおり、本件各取引は、原告からA証券への措置法37の11第1項1号が規定する「売委託」によりされた株式の譲渡には当たらないから、本件各取引について本件源泉分離選択課税制度の適用はないものというべきである。
2 争点②(本件各課税処分についての信義則違反の有無)について
原告は、被告が本件各課税処分をすることは、本件各取引について本件源泉分離選択課税制度の適用があるとの原告の信頼を裏切るものであるから信義則上許されない旨を主張する(前記第5、2《原告の主張》)。
しかし、前記第3、3のとおり、原告が、平成11年3月15日に本件確定申告をしたのに対し、被告は、平成14年3月8日付けで更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行い、平成15年8月22日付けで再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分を行っているのであって、被告が行った上記更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分並びに再更正処分及び過少申告加算税再賦課決定処分は、いずれも国税通則法70条が定める更正等の期間制限内にされているのであるから、被告が本件各取引を約4年間にわたり何ら問題視せず、本件各取引に本件源泉分離選択課税制度の適用があるとの一種の法的状態に類する事実状態を作出したなどといえないことは明らかであるから、被告が本件各課税処分をすることが信義則に反し許されない、などということは到底できない。
したがって、原告の上記主張は、理由がない。
3 争点③(本件各課税処分についての権利濫用の有無)について
原告は、本件各課税処分を課することは権利の濫用として許されないとも主張する(前記第5、3《原告の主張》)。
しかし、前記第6、1(1)、(2)のとおり、措置法37の11の規定する本件源泉分離選択課税制度の適用を受けるためには、上場株式等の譲渡について、同条1項1号に規定する「売委託」が存在する必要があるところ、前記第6、1(3)ア、(4)のとおり、本件各取引についてはこれが認められないのであるから、被告が、本件各取引についての本件源泉分離選択課税制度の適用を否認し、原告に対し本件各課税処分をすることが権利の濫用に当たらないことは明らかである。
したがって、原告の上記主張は、理由がない。
4 まとめ
上記のところからすると、本件各課税処分には原告が主張するような違法事由はないというべきであり、上記1及び弁論の全趣旨によれば、前記第3、3(5)記載の本件各課税処分に係る納付すべき税額及び過少申告加算税の額の算定は適正なものと認められるから、本件各課税処分は適法というべきである。
第7 結論
以上のとおりであって、原告の本件各請求は、いずれも理由がないからこれらを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 川勝隆之 裁判官 菊池絵理 裁判官 諸岡慎介)
別表1 課税処分等の経緯
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