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横浜地方裁判所 平成2年(わ)619号 判決 1990年11月20日

本店所在地

横浜市西区北幸二丁目一番六号 鶴見ビル四階

株式会社サンリッチ

(右代表者代表取締役 灘吉利晃)

本籍

大分県中津市四一〇番地

住居

横浜市港北区綱島西二丁目一三番三号

中銀マンション四〇一号

会社役員

灘吉利晃

昭和一七年三月六日生

本籍及び住居

横浜市港北区篠原町一二四五番地の二八

無職

中村哲

昭和一四年五月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官東弘出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社サンリッチを罰金二〇〇〇万円に、被告人灘吉利晃を懲役一年に、被告人中村哲を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人灘吉利晃及び被告人中村哲に対し、この裁判判定の日からいずれも三年間それぞれその刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社サンリッチ(以下、被告会社という。)は、横浜市西区北幸二丁目一番六号鶴見ビル四階に本店を置き、パン及び菓子類の製法の教授を目的とする教室の設置並びにその管理運営等を目的とする会社、被告人灘吉は、被告会社の代表取締役、被告人中村は、被告会社の取締役で、いずれも被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人灘吉、同中村の両名は、被告会社の法人税を免れようと企て、共謀の上、被告会社の業務に関し、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六〇年四月一日から同六一年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は五〇九二万〇五二二円で、これに対する法人税額は二〇七〇万一三〇〇円であつたにもかかわらず、同年五月三一日、横浜市中区山下町三七番地九号所在の所轄横浜中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は二四一四万九六〇七円であり、これに対する法人税額は九一二万三四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額一一五七万七九〇〇円の法人税を免れ、

第二  昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は六六一二万〇八五〇円で、これに対する法人税額は二七一七万二四〇〇円であつたにもかかわらず、同年五月二八日、前記横浜中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一六五五万九七五七円であり、これに対する法人税額は五七四万一五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額二一四三万〇九〇〇円の法人税を免れ、

第三  昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は一億一二二七万八八四〇円で、これに対する法人税額は四五八八万一六〇〇円であつたにもかかわらず、同年五月二八日、前記横浜中税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一六二四万〇〇三六円であり、これに対する法人税額は五五七万九四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額との差額四〇三〇万二二〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人灘吉及び被告人中村の当公判廷における各供述

一  被告人灘吉(五通)及び被告人中村(六通)の検察官に対する各供述調書

判示冒頭の事実につき

一  横浜地方法務局登記官作成の商業登記謄本一綴

判示第一ないし第三の各事実につき

一  村山明美、白倉明雄及び藤田房子の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の講習料売上調査書、受取利息調査書、貸付利息調査書、役員賞与調査書、損金不算入役員賞与調査書及び事業税認定損調査書

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六〇年四月一日から同六一年三月三一日までのもの)

一  押収してある確定申告書一綴(昭和六一年三月期分、平成二年押第三二八号の1)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までのもの)

一  押収してある確定申告書一綴(昭和六二年三月期分、前同号の2)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までのもの)

一  押収してある確定申告書一綴(昭和六三年三月期分、前同号の3)

(法令の適用)

判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社についてはさらに同法一六四条一項、被告人灘吉及び同中村についてはさらに刑法六〇条)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み法人税法一五九条二項を適用し、被告人灘吉及び同中村については所定刑中いずれも懲役刑を選択することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内において罰金二〇〇〇万円に、被告人灘吉及び同中村についてはいずれも同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人灘吉を懲役一年に、被告人中村を懲役一年二月にそれぞれ処し、被告人灘吉及び同中村に対しいずれも同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から各三年間それぞれその刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 小山邦和)

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