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横浜地方裁判所 平成2年(ワ)3258号 判決 1992年2月19日

原告

児玉新

ほか一名

被告

荒木聖史

主文

一  被告は原告児玉新に対し、金五四二万七一二三円及びこれに対する昭和六三年一月九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は原告福島隆に対し、金三六三万五九二四円及びこれに対する昭和六三年一月九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用はこれを五分し、その二を原告らの、その余を被告の各負担とする。

五  この判決は第一、二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告は原告児玉新に対し、金一三六三万三一七七円及びこれに対する昭和六三年一月九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告は原告福島隆に対し、金一〇八三万三三四〇円及びこれに対する昭和六三年一月九日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、普通乗用自動車と衝突事故を起こして負傷した自動二輪車の運転者とその同乗者が普通乗用自動車の運転者兼所有者に対し、それぞれ自賠法三条に基づき、治療費、休業損害等の人的損害について、民法七〇九条に基づき、物的損害について賠償を請求した事件である。

一  争いのない事実

1  事故の発生

(一) 日時 昭和六三年一月九日午前三時頃

(二) 場所 横浜市神奈川区六角橋六丁目一七番二二号先県道上(以下「本件事故現場」という)

(三) 加害車 普通乗用自動車(横浜五四ね二八四)

運転者 被告

所有者 被告

(四) 被害車 自動二輪車(横浜く一五八三)

運転者 原告児玉新(以下「原告児玉」という)

同乗者 原告福島隆(以下「原告福島」という)

(五) 態様 被告が加害車を運転して本件事故現場の道路から道路左側にあるレストランの駐車場に進入しようとしたところ、加害車の左後方から直進してきた被害車と衝突した

2  原告らの受傷内容等と入通院状況

(原告児玉)

原告児玉は、本件事故により、右膝開放脱臼骨折、前十字靱帯剥離骨折、右大腿下腿広範囲挫滅創、外側々副靱帯損傷、右大腿骨外顆骨折、右脛骨外顆骨折等の傷害を負い、左記のとおり入通院して治療を受けたが、右傷害は、右膝部より右下腿前面の醜状痕、軽度の右膝関節可動域制限の後遺障害を残して、昭和六三年一〇月三一日症状が固定し、また右後遺障害は自賠責保険横浜調査事務所において、自賠法施行令第二条別表後遺障害別等級表一四級五号に該当する旨の認定を受けた。

(一) 竹山病院

昭和六三年一月九日から同年二月二五日まで入院(四八日間)

(二) 大口東総合病院

(1) 昭和六三年二月二六日から同年三月二六日まで入院(三〇日間)

(2) 昭和六三年三月二七日から同年一〇月三一日まで通院(通院実日数一〇二日)

(三) 横浜市立港湾病院

(1) 平成元年三月二〇日から同年一一月一七日まで通院(通院実日数一六日)

(2) 同年八月一四日から同年一〇月五日まで入院(五三日間)

(原告福島)

原告福島は、本件事故により、右脛骨骨折(開放)、後十字靱帯損傷、背部挫創、頭部・左手・胸部挫傷等の傷害を負い、次のとおり入通院して治療を受けた。

(一) 竹山病院

昭和六三年一月九日から同年二月二五日まで入院(四八日間)

(二) 大口東総合病院

(1) 昭和六三年二月二六日から同月二八日まで通院(通院実日数三日)

(2) 同年二月二九日から同年三月二六日まで入院(二七日間)

(3) 同年三月二七日から平成元年三月七日まで通院(通院実日数六一日)

(4) 昭和六三年九月六日から同月一四日まで入院(九日間)

(三) 川口工業総合病院

(1) 昭和六三年一二月二七日から平成二年四月五日まで通院(通院実日数五日)

(2) 平成元年三月八日から同月一五日まで入院(八日間)

3  責任原因

被告は

(一) 加害車を所有し、自己のために運行の用に供していた者であるから、自賠法三条に基づく責任がある。

(二) また、本件事故現場の道路から左側路外のレストランの駐車場に左折進入するに際し、左後方の安全を確認しないで漫然進行した過失により本件事故を惹起したものであり、民法七〇九条に基づく責任がある。

二  争点

1  損害額

被告は「原告らは本件事故当時、いずれも大学の夜間部に在籍する学生であり、卒業が一年間遅れたことによる収入損は発生しないし、また原告児玉の後遺症は醜状痕にすぎないから、同原告について後遺障害に基づく逸失利益の損害はない」などと主張し、原告らの損害額を争う。

2  過失相殺

被告は、原告児玉にも制限速度に違反した過失及び加害車の左折の合図を発見するのが遅れた過失があり、この過失は三割程度本件事故発生に寄与している、と主張する。

第三争点に対する判断

一  原告児玉の損害

1  治療費 一八八万六〇七三円

(一) 竹山病院 一四八万二三二三円

当事者間に争いがない。

(二) 大口東総合病院 八万五五三〇円

当事者間に争いがない。

(三) 横浜市立港湾病院 三一万八二二〇円

(1) 入院分 二四万五一六〇円

当事者間に争いがない。

(2) 通院分 七万三〇六〇円

甲三の1、2により認められる。

2  診断書料 三万二五〇〇円

甲四の1ないし6により認められる。

3  看護料 三二万八七八四円

当事者間に争いがない。

なお原告児玉は、竹山病院及び大口東総合病院入院中に母親ら親族が合計五日間付き添つたとして、一日あたり五〇〇〇円で計算した二万五〇〇〇円を請求するが、これらの者による付添の必要性を認めるに足る証拠はなく、右請求は認められない。

4  入院雑費 一五万七二〇〇円

入院合計一三一日間の入院雑費は、一日あたり一二〇〇円で計算した右金額をもつて本件事故による損害と認める。

5  交通費 一三万二一八〇円

(一) 昭和六三年二月二五日から同年七月三一日までの間の通院交通費 一二万三三四〇円

原告児玉は、右の期間、タクシー、電車等を利用して竹山病院及び大口東総合病院に通院し、そのため通院時の通学に電車の利用を余儀なくされ、合計一二万三三四〇円を支出した(甲五、弁論の全趣旨)が、同原告の傷害の程度、内容等に照らし、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

(二) 平成元年七月二五日から同年一一月一七日までの間の交通費 八八四〇円

同原告は、右の期間中、バスを利用して横浜市立港湾病院に一三回通院し、一回の往復に六八〇円を要した(甲三三、原告児玉)ので、右金額は(一)と同様の理由で本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

なお同原告は、母親が見舞いのために要した交通費六万一八五〇円を請求するが、本件事故との相当因果関係を認めるに足る証拠はない。

6  装具代 八万八七二〇円

(一) 義肢代 八万三二二〇円

当事者間に争いがない。

(二) 松葉杖代 五五〇〇円

甲六により認められる。

なお同原告は、鉄アレイ購入代三九五〇円を請求するが、本件事故との相当因果関係を認めるに足る証拠はない。

7  休業損害 六八万八五九〇円

(一) ナサツト株式会社分 三八万七九三〇円

原告児玉は、本件事故当時、神奈川大学第二工学部(夜間部)の二年生で、昼間はナサツト株式会社東京支社に勤務し、日給四五三三円の収入を得ていた(甲七の1)が、本件事故により昭和六三年一〇月三一日(症状固定日)までの間、少なくとも二一〇日間は就労できなかつたと認めるのが相当であるから、その間の休業損害は九五万一九三〇円(四五三三円×二一〇日)となる。

ところで、同原告は、本件事故時から右症状固定日までの間、右会社から五六万四〇〇〇円の支払を受けている(当事者間に争いがない)ので、これを右の金額から控除すると、休業損害は三八万七九三〇円となる。

(二) セントラル設計事務所分 三〇万〇六六〇円

前認定のとおり、原告児玉は、平成元年八月一四日から同年一〇月五日まで横浜市立港湾病院に入院し、その後も同年一一月一七日まで同病院に通院したところ、右入院前にはセントラル設計事務所に勤務し、日給五〇一一円の収入を得ていた(甲九の1ないし3、原告児玉)が、右入通院のため、少なくとも六〇日間は就労できなかつたと認めるのが相当である。

そうすると、その間の休業損害は三〇万〇六六〇円となる。

8  留年による逸失利益 二二四万九七六〇円

(一) 学費一年分 二六万五〇〇〇円

原告児玉は、本件事故によつて傷害を負い、単位を取得するため一年間卒業が遅延し、遅延した一年間の授業料として二六万五〇〇〇円の支出を余儀なくされた(甲二四の1、2、原告児玉)が、この費用は本件事故による損害と認めるのが相当である。

(二) 一年分の給与損 一九八万四七〇六円

原告児玉は、一年間卒業が遅延したから、遅延しなければ得られたであろう一年分の収入を失つたことになる。

ところで同原告は、大学四年時の平成二年四月から平成三年三月までの一年間に株式会社ケンコー設備に勤務して二九五万八三七九円の収入を得ていたが、他方卒業後は正社員として引き続いて同会社に勤務し、平成三年四月から同年八月までの五か月間に二〇五万九六一九円の収入(この間の経費二五万円を控除したもの)を得ている(甲三五の2、原告児玉)から、これを一年分に換算すると年間四九四万三〇八五円(円未満切捨)を得ることになる。

したがつて、右の差額(四九四万三〇八五円-二九五万八三七九円)である一九八万四七〇六円が、一年間卒業が遅延したことによつて失つた収入となる。

9  慰謝料 二九〇万円

本件事故の態様、原告児玉の傷害の部位・程度、治療経過その他諸般の事情を考慮すると、本件事故によつて同原告が被つた精神的苦痛を慰謝すべき金額は、傷害分等として二〇〇万円、後遺症分として九〇万円をもつて相当と認める。

なお前認定の同原告の後遺障害の内容・程度等に照らすと、後遺症による逸失利益の損害を認めるのは相当でない。

10  物損 四六万円

原告児玉は、本件事故により、被害車、ヘルメツト、ブーツ、時計等が全損し、レツカー代及び被害車の登録抹消代として一万三〇〇〇円を支出した(甲一〇の1、2、二五)が、本件事故と相当因果関係のある損害額は四六万円をもつて相当と認める。

11  小計 八九二万三七五三円

以上1ないし10の合計額

二  原告福島の損害

1  治療費 二三四万九七四五円

(一) 竹山病院 二一四万七六二五円

(当事者間に争いがない)

(二) 大口東総合病院 一五万五五一〇円

一三万九一九〇円は当事者間に争いがなく、一万六三二〇円は甲一五の4により認められる。

(三) 川口工業総合病院 四万六六一〇円

甲一六の1ないし8により認められる。

2  診断書料 一万五〇〇〇円

甲一七の1ないし4により認められる。

3  看護料 三二万八七八四円

当事者間に争いがない。

なお原告福島は、竹山病院退院後、大口東総合病院に入院するまでの四日間、友人に身の回りの世話をしてもらつたとして二万円の付添看護費を請求するが、右期間の付添の必要性を認めるに足る証拠はなく、本件事故による損害とは認めがたい。

4  入院雑費 一一万〇四〇〇円

入院合計九二日間の入院雑費は、一日あたり一二〇〇円で計算した右金額をもつて本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

5  交通費 五万七四八〇円

(一) 大口東総合病院への通院交通費等 四万五四六〇円

原告福島は、右病院の通院及び通院時における通学に際し、タクシー、電車を利用して右の金額を支出した(甲二六の1ないし16、二七の1、2、二八の1ないし6、原告福島)が、同原告の傷害の程度、内容等に照らし、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

(二) 川口工業総合病院への通院交通 一万二一二〇円

同原告は右病院への五回の通院及び入院と退院に際し、バスと電車を利用したが、一回につき二〇二〇円を要した(甲一六の1ないし5、原告福島)から、交通費の合計は一万二一二〇円となり(二〇二〇円×六回)、これは本件事故による損害と認める。

なお同原告は、両親が見舞いのために右の各病院に赴いた交通費を請求するが、これらの費用は本件事故と相当因果関係のある損害とはいえない。また昭和六三年三月二九日におけるガソリン代を請求するが、その内容が不明であり、本件事故による損害とは認めがたい。

6  装具代等 一〇万八五〇〇円

(一) 装具代 八万三〇〇〇円

大口東総合病院入院時の装具代であり、当事者間に争いがない。

(二) 松葉杖代 五五〇〇円

竹山病院退院時の購入した松葉杖代金であり、甲六及び原告福島により認められる。

(三) 膝装具代 二万円

川口工業総合病院の医師の指示で購入した装具代であり、甲一九の1、2により認められる。

7  休業損害 一〇五万九六〇〇円

原告福島は、本件事故当時、神奈川大学第二工学部(夜間部)の二年生で、授業時間帯以外の昼間は協動シユツコウサービス有限会社に勤務して日給二三三〇円の収入を得、また夜間は横浜倶楽部に勤務して日給六五〇〇円の収入を得ていた(甲三〇、三一)が、本件事故により昭和六三年六月三〇日までの間、少なくとも一二〇日間は就労できなかつたと認めるのが相当であるから、その間の休業損害は次のとおり一〇五万九六〇〇円となる。(二三三〇円+六五〇〇円)×一二〇日=一〇五万九六〇〇円

8  留年による逸失利益

(一) 学費一年分等 二八万九〇〇〇円

原告福島は、本件事故によつて傷害を負い、単位を取得するため一年間卒業が遅延し、遅延した一年間の授業料として二八万五〇〇〇円を、追試試験料として四〇〇〇円の支出を余儀なくされた(甲二〇、二九の1、2、原告福島)が、これらの費用は本件事故による損害と認めるのが相当である。

(二) 一年分の給与損 二二万六〇一四円

原告福島は、一年間卒業が遅延したから、遅延しなければ得られたであろう一年分の収入を失つたことになる。

ところで原告福島は、大学四年時の平成二年四月から平成三年三月までの一年間にオーテツク株式会社にアルバイトとして勤務して五〇万二〇〇〇円の収入を得ていた(甲三二、原告福島)が、前認定のとおり、大学二年生当時には日給八八三〇円の収入を得ていたのであるから、かような事情を考慮すると、同原告は大学在学中に少なくとも平成元年賃金センサス第一巻第一表・産業計・企業規模計・男子労働者・高専・短大卒二〇歳から二四歳までの平均年収額二六四万四九〇〇円程度の収入を得ていたものと考えるのが相当である。

他方、同原告は、卒業後の平成三年四月から図書印刷株式会社に勤務して、八月までの五か月間に合計一一三万七八八一円の収入を得ている(甲三六の1ないし5)から、これを一年分に換算すると二七三万〇九一四円(円未満切捨)となり、また賞与として平成三年七月に七万円の支給を受けている(甲三六の6)ので、冬季にも少なくとも同額の賞与の支給を受けると推認するのが相当であつて、そうすると同原告の卒業後の年間収入は二八七万〇九一四円となる。

したがつて、右の差額(二八七万〇九一四円-二六四万四九〇〇円)である二二万六〇一四円が、一年間卒業が遅延したことによつて失つた収入となる。

9  慰謝料 一七〇万円

本件事故の態様、原告福島の傷害の部位・程度、治療の経過その他諸般の事情を考慮すると、本件事故によつて同原告が被つた精神的苦痛を慰謝すべき金額は、一七〇万円をもつて相当と認める。

10  物損 三万円

原告福島は本件事故により、ヘルメツト、靴、上着等が全損した(甲二一)が、本件事故と相当因果関係のある損害額は三万円をもつて相当と認める。

11  小計 六二七万四五二三円

以上1ないし10の合計額

三  過失相殺

1  証拠(甲二三、乙六、七、九、一〇、一二、一三、一五、二〇、原告児玉及び弁論の全趣旨)によれば、次の事実が認められる。

(一) 本件事故現場及び周辺の位置、距離等は別紙交通事故現場見取図(以下「見取図」という)のとおりであり、本件事故現場の道路(以下「本件道路」という)は、アスフアルト舗装された平坦な道路で、ほぼ直線であるため前方の見通しは良く、制限速度が時速四〇キロメートルに規制されている。

本件事故当時、深夜であつたことから、本件道路の交通量は極めて少なかつた。

(二) 被告は、加害車を運転し本件道路の第二車線上を東神奈川方面から小机方面に向けて進行し、本件事故現場の左前方にある路外のレストラン・ロイヤルホストの駐車場に左折進入するに際し、見取図<イ>地点で左折の合図を出したあと、左後方の安全を確認しないで、見取図<ウ>地点から時速約一〇キロメートルの速度で左折を開始したため、見取図<×>地点で、左後方の第一車線の右寄りを走行してきた児玉運転の被害車の前部に左前部を衝突させた。

(三) 一方、原告児玉は、被害車の後部座席に原告福島を同乗させ、本件道路の第一車線の右寄りを時速約五〇キロメートルの速度で被告と同方向に進行中、右前方の第二車線上を何かを探すようにゆつくりした速度で進行していた加害車を認めたが、これを左側から追い抜くため同速度で進行した。そして原告児玉は、見取図<2>地点付近に達した際、加害車が右前方約一九・四メートルの見取図<イ>地点で左折の合図を出したのを確認し、さらにその直後、加害車が見取図<ウ>地点から左折を開始するのを認めたが、加害車より先に通過しようとして見取図<3>地点で加速進行したところ、見取図<×>地点で加害車と衝突した。

2  被告が加害車を運転して路外のレストランの駐車場に左折進入するに際し、左後方の安全確認を怠つた過失により、本件事故を発生させたことは前記認定のとおりであるが、以上の認定事実によれば、原告児玉にも、被害車を運転して本件道路を直進するに際し、何かを探すようにゆつくりした速度で進行している加害車を認めたにもかかわらず、加害車の動静に意を払うことなく、漫然と制限速度を超える速度で進行した過失があるといわなければならない。

そこで、右に認定した事故態様、双方の過失の内容・程度等を検討すると、本件事故の発生についての双方の過失割合は、被告が八五パーセント、原告児玉が一五パーセントとするのが相当である。

そうすると、原告児玉の前記一の11の金額から右の割合による減額をすると、原告児玉が被告に請求できる損害額は七五八万五一九〇円(円未満切捨)となる。

四  損害の填補

原告児玉は、治療費等合計二六〇万八〇六七円の、同福島は、治療費等合計二九三万八五九九円の支払を受けた(当事者間に争いがない)。

そこで原告児玉につき、前記三の金額から右支払額を控除すると、同原告の残損害額は四九七万七一二三円に、また原告福島につき、前記二の11の金額から右支払額を控除すると、同原告の残損害額は三三三万五九二四円となる。

五  弁護士費用

本件事案の内容、訴訟の経過及び認容額その他諸般の事情を考慮すると、原告らが本件事故と相当因果関係のある弁護士費用として被告に求め得る額は、原告児玉につき四五万円、同福島につき三〇万円と認めるのが相当である。

六  結論

原告らの被告に対する請求のうち、認容額は原告児玉につき五四二万七一二三円、同福島につき三六三万五九二四円及び右各金員に対する本件事故発生の日である昭和六三年一月九日から支払ずみまで年五分の割合による金員となる。

(裁判官 前田博之)

別紙 略

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