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横浜地方裁判所 平成24年(ワ)2124号 判決 2012年11月07日

原告

同訴訟代理人弁護士

出口尚明

合田雄治郎

被告

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

同代表者理事長

同代理人

春藤直樹 <他1名>

主文

一  被告は、東日本旅客鉄道株式会社に対し、原告のために、別紙一記載の株式について、別紙二記載の失念救済請求をせよ。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

主文同旨

二  請求の趣旨に対する答弁

(1)  原告の請求を棄却する。

(2)  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求の原因

(1)  原告は、平成五年一一月ごろ、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)の株式一株(以下「本件株式」という。)を買ったが、名義書換をせず、株主名簿に記載がされていない。

(2)  本件株式の名義人は、日本国有鉄道清算事業団である。

(3)  日本国有鉄道清算事業団が行っていたJRの株式の処分等の業務は、同事業団が、平成一〇年一〇月二二日に解散したため、日本鉄道建設公団がこれを引き継ぎ、更に、平成一五年一〇月一日、被告がこれを引き継いだ。

(4)  JR東日本は、平成二一年一月四日、同社の株式について株式分割し、同月五日、株券電子化を実施し、その際、被告の特別口座が開設された。

(5)  よって、原告は、社債、株式等の振替に関する法律一三三条二項に基づき、被告に対し、本件株式について、原告のために特別口座を開設し、被告の特別口座から原告の当該特別口座に本件株式を振り替えることをJR東日本に請求するよう求める。

二  請求の原因に対する認否

(1)  請求の原因(1)は不知

(2)  請求の原因(2)は不知

(3)  請求の原因(3)のうち、被告が、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律(平成一〇年法律第一三六号)附則二条一項に基づき、日本国有鉄道清算事業団の債権及び債務を、日本鉄道建設公団を介して承継したことは認める。

(4)  請求の原因(4)のうち、被告名義の特別口座が開設されていることは認め、その余は不知

第三当裁判所の判断

一  請求の原因(1)について

証拠(甲第一から第五、第八、証人B)によれば、原告が平成五年一一月ごろ、訴外山一證券株式会社からJR東日本の本件株式一株を買ったこと、その後、名義書換がされず、株主名簿に記載がされていないことを認めることができる。

二  請求の原因(2)について

証拠(甲第一)によれば、請求の原因(2)を認めることができる。

三  請求の原因(3)について

請求の原因(3)のうち、被告が、日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律(平成一〇年法律第一三六号)附則二条一項に基づき、日本国有鉄道清算事業団の債権及び債務を、日本鉄道建設公団を介して承継したことは当事者間に争いがなく、証拠(甲第六)によれば、日本国有鉄道清算事業団が平成一〇年一〇月二二日に解散し、日本鉄道建設公団がこれを引き継ぎ、更に、平成一五年一〇月一日被告が発足したことが認められる。

四  請求の原因(4)について

請求の原因(4)のうち、社債、株式等の振替に関する法律(平成一三年六月二七日法律第七五号)一三一条三項所定の振替株式の振替を行うための被告名義の特別口座が開設されていることは当事者間に争いがなく、証拠(甲第七)によれば、JR東日本は、平成二一年一月四日、同社の株式について一株を一〇〇株に分割する株式分割をし、同月五日、株券電子化を実施したことが認められる。

五  以上のとおり、原告の請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 石原寿記)

別紙一

東日本旅客鉄道株式会社株

名義人 日本国有鉄道清算事業団

(現在 被告)

株式数 一株(現在一〇〇株)

別紙二

社債、株式等の振替に関する法律(平成一三年六月二七日法律第七五号)一三三条二項一号所定の申出をし、同項二号所定の振替の申請をするよう求める。

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