横浜地方裁判所 平成6年(わ)56号 判決 1994年6月16日
一 本店の所在地 神奈川県川崎市川崎区大島三丁目七番一四号
法人の名称
川一産業株式会社
代表者の住所
東京都大田区雪谷大塚町二一番一二号
(登記簿上 神奈川県川崎市川崎区大島三丁目七番一四号)
代表者の氏名
岩田修一
一 本籍 東京都大田区雪谷大塚町七五三番地
住居
同区雪谷大塚町二一番一二号
職業
会社役員 岩田修一
昭和三一年一二月一一日生
一 本籍 神奈川県川崎市幸区遠藤町四六番地三
住居
右同
職業
会社役員 岩田操
昭和九年一〇月三〇日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官加藤修司出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
一 被告人川一産業株式会社を罰金三〇〇〇万円に処する。
二 被告人岩田修一及び同岩田操の両名をそれぞれ懲役一年六月に処する。
被告人両名に対し、この裁判確定の日から三年間それぞれ右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人川一産業株式会社(以下「被告会社」という)は、肩書所在地に本店を置き、貨物自動車運送事業等の業務を目的とする会社であり、被告人岩田修一は、右被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているもの、被告人岩田操は、右被告会社の取締役として同会社の業務全般について右岩田修一を補佐していたものであるが、被告人岩田修一及び同岩田操は、共謀の上、右被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上
第一 昭和六三年二月一日から平成元年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際の総所得が四七二、八八六、〇一二円であったのにかかわらず、平成元年三月三一日、川崎市川崎区榎町三番一八号所在の所轄川崎南税務署において、同税務署長に対し、同事業年度における総所得金額が四〇五、二七三、八八三円で、これに対する法人税額が一六四、四四一、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額一九二、八三八、七〇〇円と右申告税額との差額二八、三九七、〇〇〇円を免れ、
第二 平成元年二月一日から同二年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際の総所得が五九四、八〇七、六三九円であったのにかかわらず、同二年三月三〇日、前記税務署において、前記税務署長に対し、同事業年度における総所得金額が四九二、三一〇、九二二円で、これに対する法人税額が二〇二、二六四、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額二四五、三一二、六〇〇円と右申告税額との差額四三、〇四八、二〇〇円を免れ
第三 平成二年二月一日から同三年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際の総所得が五九四、五三九、九八〇円であったのにかかわらず、同三年三月二九日、前記税務署において、前記税務署長に対し、同事業年度における総所得金額が四八五、〇五五、三四一円で、これに対する法人税額が一八四、六八九、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額二二八、四八二、六〇〇円と右申告税額との差額四三、七九三、三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告会社代表者兼被告人岩田修一の当公判廷における供述
一 被告人岩田操の当公判廷における供述
一 被告会社代表者兼被告人岩田修一の検察官に対する供述調書
一 被告会社代表者兼被告人岩田修一の大蔵事務官に対する質問てん末書九通
一 被告人岩田操の検察官に対する供述調書
一 被告人岩田操の大蔵事務官に対する質問てん末書四通
一 山口美明の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書六通
一 植野富夫(二通)、神野壽正及び斉藤源太郎の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の売上高調査書、燃料費調査書、傭車費調査書、車両事故費調査書、手数料調査書、賞与調査書、交際費調査書、受取利息調査書、受取利金調査書、有価証券売買益調査書、雑収入調査書、駐車場収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、交際費損金不算入額調査書、役員賞与損金不算入調査書、減価償却超過額調査書、事業税認定損調査書及び謝礼金調査書
一 検察官作成の平成六年一月一二日付捜査報告書二通
一 検察事務官作成の同五年八月五日付及び同六年一月一四日付各捜査報告書
一 商業登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 検察事務官作成の各捜査報告書(検甲三、六、七号証)
判示第二の事実につき
一 検察事務官作成の各捜査報告書(検甲四、八号証)
判示第三の事実につき
一 検察事務官作成の各捜査報告書(検甲五、九号証)
(法令の適用)
被告会社の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項、一六四条一項に、被告人岩田修一、同岩田操両名の判示各所為は、いずれも同法一五九条一項、刑法六〇条に該当するところ、被告人岩田修一、同岩田操両名の判示各所為の罪につき、懲役刑を選択し、以上は、刑法四五条前段の併合罪なので、被告会社については同法四八条二項を適用し、被告人岩田修一、同岩田操両名については、同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第三の所為の罪の刑に法定の加重をし、その所定金額及び刑期の範囲内で、被告会社を罰金三〇〇〇万円に、被告人岩田修一、同岩田操両名をそれぞれ懲役一年六月に各処し、情状により同法二五条一項を適用して被告人岩田修一、同岩田操両名に対しこの裁判確定の日から三年間それぞれ右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 畠山芳治)