横浜地方裁判所 昭和32年(わ)1450号 判決 1957年12月19日
被告人 少年(昭和一二・一一・八生)
主文
被告人を懲役六月に処する。
未決勾留日数中一五〇日を右本刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は朝鮮籍の外国人であるが外国人は本邦外の地域に赴く意図を以て出国しようとするときはその者が出国する出入国港において、入国審査官から旅券に出国の証印を受けなければならないのに拘らずその手続をしないで昭和三十二年四月二十二日頃の午後八時頃神戸港に繋留中の船長C・A・バッカーが看守するオランダ汽船チバンヂエット号の中部出入口より同船内に故なく侵入し以て出国を企てたものである。
(証拠の標目)省略
(法令の適用)
右所為中艦船侵入の点刑法第一三〇条出入国管理令違反の点出入国管理令第二五条第二項第七一条右は刑法第五四条第一項前段第一〇条により艦船侵入罪の刑に従い所定刑中懲役刑を選択し懲役六月に処する。
尚、被告人は本件と同一事実(昭和三十二年(わ)第五〇〇号艦船侵入、出入国管理令違反被告事件)につき、昭和十二年一月八日生の者として当裁判所に昭和三十二年五月八日起訴され、同年六月二十四日の第一回公判以来第六回公判まで福田裁判官により審理を受けた結果、同年十一月一日被告人が昭和十二年十一月八日生の少年であることが判明し公訴棄却の判決を受け右判決が確定し、同年十一月十六日少年として再起訴されたこと、其の間被告人は昭和三十二年五月八日以来引続き勾留されていることは本件記録により明かである。
従つて本件起訴に係る事件についての未決勾留は昭和三十二年十一月六日横浜家庭裁判所裁判官によつてなされた観護措置決定があつた日からであるが実質上同一事件につき未決勾留があり、前訴が前述の如く公訴棄却された場合には前訴につきなされた未決勾留をも算入するのが相当と考えるので、刑法第二一条によりその未決勾留をも算入すべきものとし同年五月八日以後の勾留中百五十日を右本刑に算入する、訴訟費用の負担免除については刑事訴訟法第一八一条第一項但書により主文の如く判決する。
(裁判官 福島昇)