大判例

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横浜地方裁判所 昭和40年(ヨ)972号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、さて、申請人はまず右除名がハイタク労組小田急支部の組合規約上除名事由に該由に該当しない理由を以つてなされたものであるから無効であり、したがつてこの無効な除名を前提とする右解雇も無効である旨主張するのに対し、被申請人はそもそもユニオン・シヨツプ協定のある場合使用者は組合からの被除名者たる従業員を右協定の義務履行として解雇するもので、その際使用者としては右除名の実質的理由を調査したりその当否を判断することは許されないからユニオン・シヨツプ協定に基く解雇は除名の実質的理由の有無にかかわらず有効である旨抗争する。しかしながら、ユニオン・シヨツプ協定は組合の正当な団結権維持に資するため使用者に対し被除名者たる従業員の解雇義務を課するものであるから、組合が使用者と共同連繋して使用者の不当労働行為に利用されるときは勿論、組合が団結権の内容である統制権を以つて組合員を除名するに際して、その手続を無視したり、あるいは正当な根拠なくして除名するなど統制権の濫用に亘るときは組合の正当な団結権維持の要請に反するといわねばならず、かかる場合使用者の各解雇義務は実質的に存在しないというべきである。従つて、解雇の効力はその前提たる除名の効力如何に係るところであり、他方組合の自主性の問題を考慮するも除名は刑罰でいえば死刑にも相当する最高の制裁であつて組合員の権利を全面的に剥奪するものである以上、ユニオン・シヨツプ協定に基く解雇が有効であるためには除名を有効ならしめる実質的理由が存することを要するものと解するのを相当とする。

三、そこで、被申請人主張の如く申請人を除名すべき事由があつたかどうかについて判断する。

(一)被申請人は申請人がかねてよりハイタク労組小田急支部組合員熊沢林次郎、同入倉務、同久保田弘、同虹林清治らと個人的友好グループを作つていたが昭和三九年一一月半過頃、その一一月例会を申請人宅で開催した際、その席上に神自交労組の副委員長杉本常夫、同執行委員岩井昭を招き右両名を紹介してハイタク労組を脱退して神自交労組に復帰するよう勧誘したと主張するのでこれを検討するに、申請人がかねてからハイタク労組小田急支部組合員熊沢林次郎、同入倉務、同久保田弘、同虹林清治らと友好グループを作つていたこと、昭和三九年一一月半過頃その一一月例会が催されたこと、神自交労組の執行副委員長杉本常夫、同執行委員岩井昭が出席した例会のあつたことは当事者間に争いのないところであるが、右一一月例会が申請人宅で催され、そこに右神自交労組の役員が出席して右熊沢らに対しハイタク労組を脱退して神自交労組に復帰するよう勧誘した主張事実までこれを疎明する資料はない。<中略>

(二)次に被申請人は昭和四〇年六月二九日におけるハイタク労組小田急支部の組合学習会において採択された早出出勤の決議に関連して同支部組合員森田達治に対し「俺は神自交労組からハイタク労組小田急支部の切崩しのため尖兵として派遣されている」と述べたと主張するが、<中略>右主張事実を疎明する資料はない。

(三)更に被申請人は申請人が昭和四〇年八月頃ハイタク労組小田急支部学習会においてその執行部が各組合員に対して行う諸注意に反対したり、組合機関において正式に採り上げてない事項につき早くから反対の態度を表明して他の組合員を動揺させ、組合報行部不信の念を抱かせた旨主張するので判断するに、<証拠>によればハイタク労組小田急支部の山沢副支部長が、被申請人会社以外のところでも運転手としてアルバイトをしていた同支部組合員佐藤に対し忠告をしたことがあるが、その後申請人が同支部組合員熊沢林次郎、同久保田弘と喫茶店で雑談中右忠告の態度が高圧的であつたとの話が出たので申請人が高圧的であるのはいけない旨答えたことが疎明されるけれどもこれを以つて、何ら組合執行部の不当な批判といえないのは勿論であり、他に被申請人主張の如き組合執行部に対する不当な批判の事実は疎明され得ない。<中略>

(四)なお、 <証拠>によれば申請人が昭和三九年九月末頃横須賀地区労主催の原子力潜水艦寄港阻止大会に参加したことがハイタク労組小田急支部の組合運動方針に反するとして申請人の除名事由の一つに挙げられたことが疎明されるけれども、前記疎明されたとおり当時右小田急支部は神自交労組に所属し<証拠>によれば原子力潜水艦寄港阻止は小田急支部の当時における一般的運動方針の一つであつたのみならず右小田急支部がハイタク労組に加盟した後においても右原子力潜水艦寄港阻止は組合の運動方針であつたことが疎明され、右大会参加につき特に執行部から禁じられた事項でなかつたことが疎明されるところであるから、申請人の右大会参加がハイタク労組小田急支部の運動方針に反すると判断され、右除名事由の一つに挙げられたのは不当という外はない。(久利馨 青山惟通 谷口彰)

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