横浜地方裁判所 昭和44年(ワ)1645号 判決
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〔判決理由〕一、休業補償
原告は、自家用自動車で大川商店の商品を運送し、日給金四、〇〇〇円を支給され、一ケ月の平均賃金は金一〇〇、〇〇〇円、必要経費金二〇、〇〇〇円を差引くと、一ケ月の平均純益は金八〇、〇〇〇円であると主張する。
しかしながら、自家用自動車を有償で運送の用に供することは、道路運送法第一〇一条に違反し、禁止されているところである。よつて、右違反を前提とする「得べかりし利益」は法の保護に値しない。従つて、原告の主張する右一ケ月の平均純益金八〇、〇〇〇円を、「得べかりし利益」の算定の基礎とすることはできない。
総理府統計局編日本統計年鑑(昭和四三年度版三九一頁)によると、「産業別の常用労働者一人平均月間現金給与総額」欄の、常用労働者五ないし二九人の事業所で、運輸通信業の四二年度の男子平均は金五〇、一〇〇円であることが認められる。
<証拠>によると、原告は昭和四三年七月二五日から同四四年三月三一日まで休業したことが認められるから、この間の得べかりし利益は、金四一二、一一二円(円以下切捨)である。
3 慰藉料
本件交通事故の態様、原告の被つた傷害の部位程度、治療経過、後遺症その他諸般の事情を斟酌すると、原告の精神的苦痛を慰藉すべき金額としては金六九〇、〇〇〇円が相当である。
二、本件交通事故が原告の傷害に及ぼした影響
原告が昭和四三年七月一二日追突事故による傷害を受けたことは当事者間に争いがない。そこで、右事故と本件事故が原告の傷害に与えた影響の割合について判断する。
<証拠>によると、原告は、昭和四三年七月一二日の追突事故により、頸椎を捻挫し、頭痛、左頸部から肩甲部にかけて痛みを覚え、頸椎の運動制限、肩の緊張感、頸椎の四、五番目に不安定の症状が認められた。原告は、このため、植松病院に、同月一二日、一五日、一六日、一八日、二〇日に通院して加療を受け、前記症状は軽快していたが、全治には至つていなかつた。
ところが、原告は、更に同月二四日本件追突事故により頸椎捻挫を起し、頭痛、左頸部から肩甲部にかけての痛みは、前述の痛みの箇所と重複しているが、これに加えて、背中の痛みと腰の痛みとを相当強く覚え、頸推の運動制限、肩の緊張感も強くなり、頸椎の四、五番目の不安定の度合も少し異つて来ていることが診断された。
そして、同年八月一日から吐気がでてきた為、同月三日に入院した。原告が入院して治療するに至つた直接の原因は、本件追突事故による頸椎捻挫であるが、その前の七月一二日の頸椎捻挫も或る程度その土台となつていることが認められる。
右認定事実によると、本件交通事故が原告の傷害に及ぼした影響の割合はその七割であると解するのが相当である。
(石藤太郎)
〔編注〕 判示事項一については、本誌二五三号二一六頁掲載の名地判昭四五年六月二四日および本誌二六八号一二八頁竜前・違法行為による収益の喪失を、判示事項二については本誌二六七号二八八頁横地判昭和四六年六月三〇日を参照されたい。