横浜地方裁判所 昭和49年(わ)1025号 判決 1974年10月11日
被告人
本店所在地
神奈川県川崎市川崎区東出町一〇番地二四
商号
辰康不動産株式会社
右代表者
松長智博
本籍
東京都品川区平塚一丁目八一八番地
住居
神奈川県川崎市幸区古市場二丁目七二番地
会社役員
松長智博
大正九年一二月六日生
被告事件
法人税法違反
主文
1. 被告会社を罰金六〇〇万円に処する。
2. 被告人を懲役六月に処する。
本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告会社は、川崎市川崎区東田町一〇番地二四に本店を置き、分譲住宅の販売を目的とする資本金一、二〇〇万円の株式会社、被告人松長智博は、被告会社の代表取締役として同会社の業務一切を統括しているものであるところ、被告人松長智博において、被告会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、売上金額の一部を除外して、仮名および無記名の簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、被告会社の昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度において、同会社の実際の所得金額は六二、六三五、七二九円でこれに対する法人税額は二二、二三一、三〇〇円であるのに、昭和四六年五月二九日、川崎市川崎区榎町三番一八号所在の所轄川崎南税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額は八、三一二、一一六円でこれに対する法人税額は二、三一二、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の正規の法人税額二二、二三一、三〇〇円と右申告税額との差額一九、九一八、九〇〇円ほ脱したものである。
(証拠)
一、被告人の
(イ) 当公判廷における供述
(ロ) 大蔵事務官に対する質問てん末書(七通)
(ハ) 検察官に対する供述調書
一、検察官に対する石井弘、平山正治、荒井新一、米山イチの各供述調書
一、大蔵事務官に対する高野鉄雄(二通)の質問てん末書
一、左記の者作成の各「取引内容照会に対する回答」と題する書面
(イ) 浅葉藤七、熊本清八、大槻勝、石井祺爾外一名、遠藤昭三、寺沢真一、秋元登喜男、野崎辰郎、代田国彦外一名、神田耕平、山口耕一、堀内安子、細島留四郎、穴沢安弘、清野勇外一名、熊谷長太郎、高木祥平、荒井新一、阿部勇、半田定男、栗原芳昭、古川文男、倉持浦治、菅沼薫、大野健、金子正雄、片野寅雄、大原富美子、土屋征敏、小林光夫、大谷勇(二通)小林信治郎外一名、宮内利助、田渕健夫、西郷利吉、石川和夫、中原英明、佐々木勇、井田登、和田三郎、前田哲彦、高橋久雄、佐藤仁之外一名、鈴木汎、米山陸夫、安井新吉、生田竹雄、杉原隆義、奥川悦嗣、田中初雄、宮坂喜六、山本義信
(ロ) 林弘、鮫島清、荒井仙吉(二通)
(ハ) 柳沼修一、森本美代子、川上一郎、大木豊、高橋善作、小川市太郎
一、左記の者作成の各上申書
石井弘、平山正治
一、左記の者作成の各「証明書」と題する書面
東京都民銀行蒲田支店長前田雄吾、川崎信用金庫御幸支店長秋元康人、協和銀行川崎支店長関光三(二通)太陽神戸銀行川崎支店長中原明義、三井銀行川崎支店長樋本浩二、平和相互銀行羽田支店長小倉弘二(三通)
一、大蔵事務官作成の売上除外金額調査書、簿外原価調査書、架空原価調査書、除外雑収入調査書預金期末在高および利息収入調査書、脱税額計算書(各一通宛)
一、被告会社代表者松長智博作成の昭和四五年三月三一日期の被告会社法人税修正申告書
一、押収してある封筒入り仕入売上明細表二冊、総勘定元帳二冊、金銭出納帳一冊、現場別補助元帳一冊、法人税確定申告書一冊(以上順次昭和四九年押第三五五号の1ないし5)
一、登記官作成の辰康不動産株式会社の登記簿謄本
(法令の適用)
一、判示所為 (1) 被告人につき法人税法一五九条一項、七四条一項二号(懲役刑選択)
(2) 被告会社につき同法一六四条一項、一五九条一項、二項、七四条一項二号
二、執行猶予 刑法二五条一項一号(被告人につき)
(検察官) 有賀政達 出席
(裁判官 荒木勝己)
修正損益計算書
自 昭和45年4月1日
至 昭和46年3月31日
<省略>
<省略>
(なお、上記計算書のとおり当期の利益増は55,399,823円であるが、分譲住宅建築費貸方らんの当期増減金額中1,006,200円は下請業者の請求の誤りにより、たまたま二重に経費として計上されたもので、ほ脱の犯意が認められないから、犯則所得は上記55,399,823円からこの1,006,210円を差し引いた54,323,613円と認める。)