横浜地方裁判所 昭和51年(ワ)1621号 判決 1978年6月13日
原告 東芝商事株式会社
被告 国
訴訟代理人 坂本由喜子 比嘉毅 白井文彦 細矢良次 ほか二名
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 横浜地方裁判所昭和四九年(ケ)第二五八号不動産任意競売事件につき同裁判所が作成した配当表中「原告金一七二〇万円、被告金三四〇七万八五九七円」とあるを「原告金一九二六万四〇〇〇円(遅延損書金二〇六万四〇〇〇円、元本金一七二〇万円)、被告金三二〇一万四五九七円」と変更する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨。
第二当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、昭和三四年一二月二〇日、訴外マーベル株式会社(以下、訴外会社という)との間で、電気器具の継続的取引契約並びに右取引から生ずる訴外会社の原告に対する債務を担保するため、横浜市南区花之木町二丁目二八番宅地一一〇六・〇一平方メートル外建物二棟(以下、本件不動産という)に元本極度額を金二五〇〇万円とする根抵当権設定契約をそれぞれ締結し、横浜地方法務局同三五年一月二五日受付第三三八一号をもつて右根抵当権(以下、本件根抵当権という)設定登記手続を了した。
2 訴外会社は、昭和四〇年、横浜地方裁判所に対し会社更生手続開始申立(昭和四〇年(ミ)第三号)をなし、同四二年四月二〇日、更生手続開始決定、同四三年一〇月一一日、更生計画認可決定をそれぞれ得たが、同四九年三月九日、更生手続廃止決定、次いで同月一三日、破産宣告決定がそれぞれなされるに至つた。
3 ところで、原告は、右更生手続開始決定当時、訴外会社に対し前記継続的取引による金五一九〇万九八八五円の売掛代金債権を有していたが、その内金二五〇〇万円が更生担保権として確定したので、これにつき認可せられた前記更生計画に従つて同四五年より同四八年までの間に合計金七八〇万円の支払を受け、前記破産宣告決定当時、本件根抵当権の被担保債権たる残存元本額は金一七二〇万円となつた。
4 原告は、本件不動産について右残存元本額金一七二〇万円とこれに対する更生手続廃止後の遅延損害金を申立債権額として、横浜地方裁判所に対し、本件根抵当権にもとづく競売申立(同庁同四九年(ケ)第二五八号)をなし、同裁判所は、同月六日、競売開始決定をし、競売手続を実施して、同五一年五月一四日、競落許可決定をし、同年一〇月四日、右売得金一億〇〇四三万七三九七円につき原告に対して金一七二〇万円(元本全額)、配当を受くべき最終順位者たる被告に対して金三四〇七万八五九七円(税金八四九六万一九〇〇円の内金)をそれぞれ配当するとの記載がある配当表を作成した。そこで、原告は、同月八日の配当期日において配当表のうち原告の受くべき配当金は、後記の理由により増額されるべきであるとして被告に対する配当額について異議を述べたが、被告はこれを承認せず、異議は完結しなかつた。
5 原告の異議の理由は、左記(一)、(二)のとおり前記確定せる更生担保権のうち既払分を除く金一七二〇万円が本件更生手続の廃止により遅滞に陥り、商事法定利率年六分の割合による遅延損害金が発生しているところ、本件根抵当権は更生手続の開始或いは更生計画の認可によつてはその元本が確定するということはなく、債権元本極度額金二五〇〇万円とこれに対する最後の二年分の遅延損害金を被担保債権とするものとして、依然存続しているのであるから前記残存元本額金一七二〇万円とこれに対する更生手続廃止により訴外会社が遅滞に陥つた後配当期日までの最後の二年分である同四九年一〇月九日から同五一年一〇月八日までの遅延損害金二〇六万四〇〇〇円は本件根抵当権によつて担保されており、従つて、競売裁判所は、右遅延損害金を被告に優先して原告に配当すべきであるというのである。すなわち、
(一) 認可された更生計画には、原告の更生担保権金二五〇〇万円につき「更生手続開始決定日前後の利息、損害金はすべて免除を受け、免除後の額を債権元本とする」旨記載されているが、これは、更生担保権として取扱われる範囲の利息、遅延損害金、すなわち、更生手続開始前二年間の利息、遅延損害金(本件は昭和四二年法第八八号による改正前の規定が適用される)の定めであつて、更生計画認可後更生手続が廃止され更生担保権につき債務者である訴外会社が遅滞に陥つたのちの法定の遅延損害金までをも免除しこれを請求しないことを定めたものではなく、従つて、更生手続廃止迄の間に更生計画の定めに従つて弁済を受けた額を控除した残存元本金一七二〇万円が遅滞に陥つた後は、当然、遅延損害金も発生する。
(二) 仮に、本件更生計画の右条項が更生計画認可決定後に生ずるすべての利息、遅延損害金をも含めて免除する趣旨であるとするならば、このような定めは更生担保権に関する条項において更生担保権として認められない更生手続廃止後の利息、遅延損害金についてまでをも予め定めておくことになり、その本来の目的を逸脱するもので許されず、このような条項は無効といわざるを得ない。又、根抵当権の担保すべき元本は、会社更生手続の開始によつては当然には確定しない関係上、根抵当権につき更生計画において権利を変更できるのは更生担保権としての届出した被担保債権の範囲(利息、遅延損害金についていえば、更生手続開始前二年分の利息、遅延損害金)に限られ、これを超える部分について根抵当権を消滅させるような定めをしても無効である。
6 よつて、原告は、請求の趣旨記載のとおり配当表を変更する旨の判決を求める。
二 請求原因に対する認否並びに主張
1 請求原因1ないし4項の事実は認める。
2 同5項のうち、更生計画に原告主張のような記載がなされていることは認めるが、その余の原告の主張は争う。
3 被告が原告の異議を承認しなかつたのは次の理由による。
(1) 本件更生計画には、会社更生法(以下、単に法と略記する二一二条にもとづき、原告の更生担保権について、その変更されるべき権利及び変更後の権利の内容並びに更生計画によつて影響を受けない権利を、
(イ) 更生手続開始決定前後の利息、損害金はすべて免除を受け、
(ロ) 免除後の額を債権元本金二五〇〇万円とし、右債権元本は期限の猶予をえて、同四五年六月末日を第一回とし、以後毎年六月末日を弁済期日、最終の弁済期日を同五六年六月末日として分割弁済する、
(ハ) 従来、更生会社の財産に有した担保権、更生計画認可決定後も引続き存続する、
旨明示されているのであつて、本件更生計画は、原告の更生担保権について更生手続開始決定前の利息、遅延損害金のみならず、同決定後生ずる一切の利息、遅延損害金をすべて免除することとし、原告の本件根抵当権によつて担保される債権、すなわち、更生担保権は債権元本金二五〇〇万円のみとする趣旨であることは明らかである。
原告が主張するように、もし、更生手続廃止後の利息、遅延損害金までは免除しない定めであるというのなら、更生計画にそのような趣旨の条項を明示すべきことを法が要求しているのに、本件更生計画にはかかる条項が全く存在しない。又、認可後、更生担保権につき支払遅滞になつた場合には遅延損害金を当然弁済することになるというなら、更生計画によつて影響を受けない権利としてかかる条項を明示すべきことも法が要求しているのに、かかる条項も存在しない。従つて、原告の本件根抵当権の被担保債権は、前記債権元本金一七二〇万円に限られ、利息、遅延損害金は含まれないのみならず、訴外会社は、前記免責条項により、原告に対し将来にわたつて利息、遅延損害金を支払う義務はないと解される。
(2) 本件更生計画は、同四三年一〇月一一日、認可されたので、原告の訴外会社に対する権利は本件更生計画のとおり、実体的に変更され、その効果は、更生担保権者表への記載によつて確定判決と同一の効果を生じ、その後更生手続が廃止されても存続するものであるから、更生手続が廃止されたからといつて更生計画による変更前の状態に復活するいわれはない。そもそも、法二七九条に、更生計画認可決定後の更生手続の廃止によつて、更生計画の遂行及びこの法律によつて生じた効力に影響を及ぼさないと規定されるゆえんは、更生計画認可決定の効力及びこれに基づいて発展した関係を尊重するためであつて、そう解さなければ更生計画の効力を信じて取引した第三者の権利を害する結果が生じ、取引の混乱をきたすおそれがあるからである。又、実質的にみても、更生担保権者は担保権の一部の免除に同意するか否かの自由を有していたにもかかわらず、あえて免除に同意したのであるから、たとえ破産手続に移行した場合において担保物に十分余力があるにかかわらず免除分が復活しないとしても、担保権者の利益を不当に奪うことにはならない。従つて、原告の本件根抵当権の被担保債権は、残存元本金一七二〇万円にとどまるものである。
三 抗弁
1 仮に、本件更生計画における更生担保権の利息、遅延損害金の免除が、最後の二年分に限られるものとしても、原告は更生手続廃止後の遅延損害金を請求することはできない。すなわち、原告が根抵当権者として、本件不動産の売得金から配当を受けることのできる利息、遅延損害金は民法三七四条に基づき最後の二年分に限られるものであるところ、原告は、本件更生担保権につき更生手続開始決定前二年分の利息、遅延損害金を免除したことを自認しているのであるから、更生手続が廃止されたからといつて、原告が同一の更生担保権につき配当期日以前二年分の遅延損害金を請求することは、利息、遅延損害金が元本債権の拡張たる性質を有するものであることを無視し、結局同一の債権を二重に請求することになり許されない。
2 仮に、原告の更生担保権残存額金一七二〇万円につき履行遅滞による損害賠償請求権が生じるとしても、原告は、訴外会社に対する破産手続において、同四九年四月一日、横浜地方裁判所に対し、債権総額金一九八九万一一六〇円(内訳更生担保権金一七二〇万円、更生債権金二六九万一一六〇円)の破産債権の届出をなしただけで、更生手続廃止後の利息、遅延損害金債権の届出をしていないし、債権表にも右利息、遅延損害金の記載がないまま確定しているのであるから、本件根抵当権に基づき、これを請求することはできない、
四 抗弁に対する認否
1 抗弁1項は争う。
2 同2項中、原告が訴外会社に対する破産手続において、被告主張どおり債権届出をなし、債権表が確定していることは認めるが、その余の事実は争う。
別除権は、破産手続によらずして行使することができるものであり、別除権の行使によつて完全に満足を受けられる限り、別に破産債権者として届け出て破産手続に参加する必要はないのであるから、被告の主張は理由がない。
第三証拠 <省略>
理由
一 請求原因1ないし4項の事実及び同5項のうち更生計画に原告の更生担保権の権利変更条項として、「更生手続開始決定日前後の利息、損害金はすべて免除を受け、免除後の額を債権元本とする。」旨定めてある事実はいずれも当事者間に争いがない。
二 そこで、原告の本件根抵当権によつて残存元本額金一七二〇万円のみならず、これとともに民法三七四条二項にもとづき右元本残存額に対する商事法定利率年六分の割合による遅延損害金のうち最後の二年分、すなわち、昭和四九年一〇月九日から同五一年一〇月八日までの金二〇六万四〇〇〇円までもが担保されており、従つて、これが被告租税債権に優先して原告に配当されるべきか否かにつき判断する。
1 まず、原告は、前記権利変更の条項は更正担保権とされる範囲の利息、遅延損害金、すなわち、更生手続開始前二年間の利息、遅延損害金(本件は昭和四二年法第八八号による改正前の規定が適用される事例である。)について定められたものであつて、更生計画認可後に更生手続が廃止され更生担保権につき訴外会社が遅滞に陥つた場合の法定の遅延損害金までをも免除しこれを請求しないことを定めたものではないと主張するので、この点につき検討する。
<証拠省略>によれば、原告は、訴外会社に対し、本件不動産に売掛代金を被担保債権とする債権元本極度額金二五〇〇万円の本件根抵当権を有していたが、同四二年四月二〇日の更生手続開始時には、右売掛代金債権は金五一九〇万九八八五円となり、調査の結果、うち金二五〇〇万円が更生担保権として確定した。ところで、本件更生計画によれば、更生担保権者は原告を含めて六名でいずれもその確定債権額は元本債権に限られるところ、更生担保権の権利の変更及び弁済方法として、(1)項に前記条項があるほか、(2)項以下に、(2)前項による債権元本は、本計画認可決定日から満二年目の年の六月末日を第一回とし、以後毎年同月末日を弁済期日として計一二回(原告についていえば、第一回金八〇万円、第二回から第八回まで各金二〇〇万円、第九回から第一二回まで各金二三〇万円)にわたり分割弁済する。(3)従来、更生会社の財産上に存した担保権は本計画認可後も引続き存続する。但し、担保物件を売却しその代金をもつて弁済するとき、又は、代物弁済するときは当該物件に対するすべての担保権は消滅する旨定められている。そして、被告は、本件不動産につき更生計画認可後の同四五年三月一六日及び同四九年二月一五日、それぞれ国税徴収のため差押をなし、配当期日には被告に対し金三四〇七万八五九七円を交付する旨の配当表が作成、提示された。
以上の事実が認められる。
2 ところで、法二一一条一項前段によれば、更生計画においては、全部又は一部の更生債権者、更生担保権者又は株主の権利を変更する条項及び共益債権の弁済に関する条項を定めなければならないとされ、法二一二条一項によれば、更生計画によつて更生債権者、更生担保権者又は株主の権利を変更するときは、この計画中に変更されるべき権利を明示し、且つ、変更後の権利の内容を定めることを要するとされ、変更後の権利の内容については、特に、正確且つ可及的詳細に定めることが必要とされ、同項との対比において同条二項により更生債権者、更生担保権者又は株主で更生計画によつてその権利に影響を受けないものがあるときは、その者の権利を明示しなければならないとされている。そして更生計画が認可されたときには法二四二条により更生債権者、更生担保権者及び株主の権利は、計画の定めに従い実体的に変更され、法二四一条前段により、計画の定め又はこの法律の規定によつて認められた権利を除き、更生会社は、すべての更生債権及び更生担保権につきその責を免がれ、株主の権利及び更生会社の財産の上に存した担保権はすべて消滅するとされている。
以上のような法の構成からすれば、更生担保権者がその権利を確保するためには、更生担保権とされる範囲の権利だけではなく、更生手続開始前の原因によつて生じた更生担保権者の一切の財産的請求権につき、更生計画において、すべて定めるものとしなければならない。右財産的請求権は、その発生原因が更生手続開始前であれば条件付債権であると将来の債権であるとを問わずこれに含まれることはいうまでもない。従つて、元本債権の拡張たる性質を有する利息、遅延損害金も、元本債権が右のような債権である以上、約定、法定の区別なく、当然に更生計画において定めることができるし、又、定めなければならないことは多言を要しない(これは、更生担保権とされた担保権が根抵当権であつたとしても同様であり、根抵当権の担保すべき元本が更生手続の開始によつて当然に確定すると解すべきか否かは右結論を左右するものではない。)。金銭債務の不履行についてはただちに遅滞の責任を負わされ、民法四一九条にもとづき法定利率による損害が当然に発生するものとされるとしても、これは遅延損害金について何らの約定がない場合の補充的な任意規定によるものにすぎないのであるから、法定の遅延損害金は、更生計画において変更されるべき更生担保権者の権利としては約定の遅延損害金と性質を異にする特別の債権とすることはできず、更生計画において変更されるべき権利からこれを特に除外する根拠がないものと解するのを相当とする。仮令、更生計画認可後更生手続が廃止され、更生担保権につき会社が遅滞に陥つた場合の法定の遅延損害金であつても同様であるといわねばならない。従つて、利息、遅延損害金について更生担保権となる範囲が原告主張のとおりであるとしても、更生計画認可後に更生手続が廃止され、更生担保権につき会社が遅滞に陥つた場合の法定の遅延損害金を含め右以外の利息、遅延損害金が更生計画によつて変更されるべき担保権者の権利から当然に除外されるとすることを前提とする原告の主張は、すべて失当であるし、当事者間に争いのない本件更生担保権の前記権利変更の条項及び前認定事実からすれば、本件更生計画条項中、右利息、遅延損害金について定めてあるのは前記権利変更の条項だけであり、この条項からすると、更生手続開始決定日前後の利息、遅延損害金を何らの限定もしないですべて免除しているし、更生手続が廃止され、更生担保権につき訴外会社が遅滞に陥つた場合の法定の遅延損害金については、更生計画によつて影響を受けない権利として明示されていないのであるから、原告の更生担保権は債権元本金二五〇〇万円に限られるものであることは明らかで、しかも、右免除の条項により本件更生手続が廃止となつた後においても、原告主張の残存元本額金一七二〇万円に対する法定の遅延損害金は発生しないものといわざるを得ない。
3 以上のように解しても、更生担保権者は、更生計画作成の段階で、更生担保権の範囲として債権元本のみならず、これに対する更生計画認可後の利息、遅延損害金を含めて変更を定めることができることは前記のとおりであるから、更生担保権者に対し不測の損害を負わせることにはならない。更生計画において、更生手続開始決定日前後の利息、遅延損害金をすべて免除し、免除後の額を債権元木とすることによつて更生担保権の範囲を元本債権に限ると定めるのは、一般に、これによつて更生会社の担保物件の被担保債権を減縮し、担保に余力を生じさせ後順位にもせよ、右物件に更に担保権を設定し、安定した融資を得て弁済及び営業資金に充てる手段、方法を選択したからにほかならない。ところが、仮に、右条項が、文面に記載された事項以外にも制限を伴うものであり、更生計画認可後更生手続が廃止されあるいは、更に破産原因ありとして破産手続に移行し、更生担保権につき会社が遅滞に陥つた場合の法定の遅延損害金までは免除したものではない内容であるとするならば、更生担保権者は、その担保権の実行により債権元本のみならずこれに対する遅延損害金をも民法三七四条により請求しうることになり、先順位の更生担保権者の被担保債権が元本債権に限られるものと信じ更生計画認可後担保権を設定して更生会社に融資した第三者に不測の損害を被らせる惧れは十分にあるし、又、更生会社の融資に却つて不利な結果をもたらすこととなるものともいえる。従つて、前記条項は、前述のとおり更生計画認可決定の前後を問わず、又、約定、法定の区別なくすべての利息、遅延損害金につき免除したものと解すべきである。ただ、本件においては、本件不動産につき、訴外会社があらたに担保権を設定して融資を受けることのないまま経過した間に、被告によつて国税徴収のための差押がなされたところから、原告の理解が得られなかつたと推測されるにすぎない。
三 以上のとおりであるから、原告は訴外会社に対し本件根抵当権によつて担保される残存元本額金一七二〇万円に対する同四九年一〇月九日から同五一年一〇月八日までの遅延損害金二〇六万四〇〇〇円を請求することはできないものといわなければならない。
よつて、原告の本訴請求は失当として棄却を免れず、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 高瀬秀雄 澤田英雄 費永多門)