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横浜地方裁判所 昭和52年(ワ)1716号 判決 1979年12月24日

原告

斎藤幸太郎

ほか二名

被告

鈴木幸一

ほか四名

主文

被告鈴木幸一、被告中村嘉輝、被告会社、被告茶谷洋志は各自原告斎藤幸太郎に対し、金七二三万九八七六円及び内金六五八万九八七六円に対する昭和五一年三月五日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

被告鈴木幸一、被告中村嘉輝、被告会社、被告茶谷洋志は各自原告斎藤幸博、同斎藤文隆に対し、それぞれ金五五万円及び内金五〇万円に対する昭和五一年三月五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

原告らの被告鈴木幸一、被告中村嘉輝、被告会社、被告茶谷洋志に対するその余の請求、被告中村ウタに対する請求は棄却する。

訴訟費用は、原告らと被告中村ウタとの間に生じた費用は原告らの負担とし、その余の被告らと原告らとの間に生じた費用はこれを三分し、その二を右被告らの負担とし、その一を原告らの負担とする。

この判決第一、第二項は仮りに執行することができる。

事実

第一双方の求めた裁判

一  原告ら

(一)  被告らは連帯して原告斎藤幸太郎に対し、金一九二七万二〇〇〇円及び内金一七五二万二〇〇〇円に対する昭和五一年三月五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  被告らは連帯して原告斎藤幸博、同斎藤文隆に対し、各金一六五万円及び内金一五〇万円に対する昭和五一年三月五日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

(三)  訴訟費用は被告らの負担とする。

(四)  仮執行の宣言

二  被告鈴木、同中村ウタ、同中村嘉輝

(一)  原告らの請求はいずれもこれを棄却する。

(二)  訴訟費用は原告らの負担とする。

三  被告会社、被告茶谷

(一)  原告らの請求はいずれもこれを棄却する。

(二)  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二双方の主張

一  請求原因

(一)  訴外鈴木はる(以下はるという。)は、次の交通事故によつて死亡した。

年月日 昭和五一年三月四日午前九時頃

場所 神奈川県大和市下鶴間二七五六の二

加害車 (イ)普通乗用自動車(横浜五七さ一〇八二、以下甲車という。)、運転者被告鈴木

(ロ)普通貨物自動車(相模一一さ六九一三、以下乙車という。)、運転者被告茶谷

態様 甲乙車が交差点内において出合頭の衝突をし、その衝撃等により乙車が同交差点角にある自治会館の庭に飛び込み、同庭内を歩行していたはるに衝突した。そのためはるは同日死亡した。

(二)  責任原因

1 被告中村ウタ(以下被告ウタという。)は甲車を所有し、これを長男の被告中村嘉輝(以下被告嘉輝という。)に貸し与えていたところ、被告嘉輝は更に甲車を被告鈴木に貸し与えた。本件事故は被告鈴木が甲車を運転して惹起したものであるから、右被告らはいずれも甲車の運行供用者であり、自賠法三条により、本件交通事故によつて生じた損害を賠償する義務がある。

2 被告茶谷は、被告会社所有の乙車を同会社のため運行し、左右の見通しのよくない本件事故現場の交差点を通行する際、徐行義務に違反し、漫然と高速のまま進行した過失によつて本件交通事故を惹起したものであるから、被告会社は自賠法三条により、被告茶谷は民法七〇九条により、本件交通事故によつて生じた損害を賠償する義務がある。

(三)  損害

1 逸失利益 金一五七八万六〇〇〇円

(1) はるは本件事故当時四一歳の健康な主婦で、本件事故当時三協紙工印刷に勤務し、年間一二八万円の収入を得ていたが、同人が勤務を継続していれば、ベースアツプにより、それぞれ前年度より昭和五一年四月一日から六パーセント、昭和五二年四月一日から八パーセント、昭和五三年四月一日からは一〇パーセント増加している。

従つて、はるは三協紙工印刷から、昭和五一年四月より昭和五二年三月までは金一三五万六八〇〇円、同年四月より昭和五三年三月までは金一四六万五三四四円、同年四月より六七歳まで毎年金一五八万二五七一円の所得が得られた筈である。

又はるは、原告幸太郎と共同生活をし、家事労働一切を行つていたものであるから、はるの収入算定に当つては、家事労働分を加算するべきであり、これが加算は一ケ月金五万円とするのが相当である。

右により、はるの生活費四〇パーセントを控除し、ホフマン方式により中間利息を控除して同人の六七歳までの逸失利益の現価を計算すると、金二一五八万五八二〇円となる。

(2) はるは、鈴木吉次、同志んの七女であるが、本件事故当時両親は死亡しており、はるの相続人は、姉関根せい(吉次の長女)、姉青木こよ(同次女)、姉鈴木こう(同三女)、妹鈴木くに子(同六女)及び姉の亡鈴木ゑい(同四女)の代襲相続人鈴木和子、同茂次郎であり、それぞれ法定相続分に応じて相続した。

(3) 関根せい、青木こよ、鈴木こう及び鈴木くに子は、昭和五一年一〇月一七日原告幸太郎に対し、相続によつて取得した損害賠償債権(計五分の四)を譲渡し、同年一二月二五日頃被告五名に対し、債権譲渡の通知をなし、右通知はその頃それぞれ到達した。

そこで原告幸太郎は被告らに対し、債権譲渡により取得した金一七二六万八五七八円のうち金一五七八万六〇〇〇円の支払を求める。

2 治療費 金二一万三一二三円

原告幸太郎が内縁の夫として負担した。

3 葬儀費 金六〇万円

原告幸太郎が葬儀費一切を負担した。

4 慰藉料

(1) 原告幸太郎 金一〇〇〇万円

原告幸太郎は、はるを内縁の妻として、本件事故当時まで一九年間共同生活を送つてきたが、本件事故によつてはるを失い、甚大な精神的苦痛を蒙つた。

(2) 原告幸博、同文隆 各金一五〇万円

はるが原告幸博、同文隆の父原告幸太郎と内縁関係を結んだ当時、原告幸博は六歳、同文隆は四歳であり、はるは以来二人を我子同然の愛情をもつて養育して来たもので、原告幸博、同文隆にとつては実母と何らかわらない関係にあつたもので、両名ははるの死亡によつて多大の精神的苦痛を蒙つた。

(四)  填補

原告幸太郎は、自賠責保険から金七八六万三五二七円、被告会社から金五〇万円、被告鈴木から金七一万三一二三円の支払を受けた。

(五)  弁護士費用

原告幸太郎 金一七五万円

原告幸博 金一五万円

原告文隆 金一五万円

(六)  結論

よつて原告幸太郎は被告らに対し、本件事故による損害賠償として各自金一九二七万二〇〇〇円及び弁護士費用を除く金一七五二万二〇〇〇円に対する不法行為後の昭和五一年三月五日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を、原告幸博、同文隆はそれぞれ被告らに対し、各自金一六五万円及び内金一五〇万円に対する昭和五一年三月五日から支払ずみまで、前同様年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

(一)  被告鈴木、同ウタ、同嘉輝

1 請求原因(一)の事実は認める。

2 同(二)の事実のうち、被告嘉輝が甲車を被告鈴木に貸与え、被告鈴木が本件事故を起したことは認めるが、その余の事実は否認する。

被告ウタは、被告嘉輝が甲車を取得した当時未成年者であつたため、名目上甲者の所有者として登録したもので、甲車の所有者は被告嘉輝である。

3 同(三)の1ないし4の事実のうち、原告幸太郎がはるの葬儀を行つたことは認めるが、その余の事実は不知。

4 同(四)の事実は認める。

5 同(五)の事実は不知。

6 同(六)の主張は争う。

(二)  被告鈴木、同ウタ、同嘉輝補助参加人

1 原告幸太郎とはるが、仮りに内縁関係にあつたとしても、原告幸太郎には法律上の妻斎藤みつ子があるので、右内縁関係は重婚的なものであり、法律婚主義ならびに一夫一婦制をとる我国の制度の上では法律上の保護を受けられないものである。

従つて、原告幸太郎には固有の慰藉料請求権はない。

2 原告幸博、同文隆は、はるとは法律上何らの関係がない上、親子同様の生活をしていたものではなく、民法七一〇条を類推する余地は全くない。

(三)  被告会社、被告茶谷

1 請求原因(一)の事実は認める。

2 同(二)の2の事実は認める。

3 同(三)の1ないし4の事実のうち、被告らに債権譲渡の通知がなされたこと、原告幸太郎がはるの葬儀を行つたことは認めるが、その余の事実は不知。

原告幸太郎とはるの内縁関係は、重婚的なものであつたから、同原告に固有の慰藉料は認められない。

4 同(四)の事実は認める。

なお、鈴木ゑいの代襲相続人である鈴木和子と鈴木茂次郎に対し、自賠責保険から合計金二一四万九五〇〇円(うち慰藉料が金三〇万円)が支払ずみである。

5 同(五)の事実は不知。

6 同(六)の主張は争う。

第三証拠〔略〕

理由

一  請求原因第一項の事実は当事者間に争いがない。

二  責任原因

(一)  成立に争いのない乙第一号証によると、甲車の自動車登録上の所有者が被告ウタとなつていることが認められるが、被告中村ウタ本人尋問の結果によると、甲車を買受けたのは被告ウタの子被告嘉輝であるが、当時被告嘉輝は大学一年の未成年者であつたため、登録上便宜被告ウタの名でしたこと、甲車の代金、保険料、ガソリン代等の費用はすべて被告嘉輝のアルバイトによる収入によつてまかなわれ、被告ウタやその夫が負担していないこと、甲車の保管場所は被告嘉輝が借りた駐車場におき、その費用は被告嘉輝が負担していたこと、被告ウタ方には甲車のほかに夫が所有する自動車があり、他の家族(被告ウタは運転免許がない。)が甲車を使用することはなかつたこと等の事実が認められ、これらの事実によると、乙第一号証の記載から直ちに甲車の所有者が被告ウタと認めることはできず、かえつて右認定の事実から甲車の所有者は被告嘉輝と認めるのが相当である。そして本件全証拠を検討しても他に被告ウタが甲車の運行供用者と認める資料がないので、これを前提とする被告ウタに対する請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

(二)  被告嘉輝が甲車を所有していたことは前認定のとおりであり、本件事故は甲車を被告嘉輝から借り受けた被告鈴木が運転中に惹起したものであることは当事者間に争いがないから、他に反証のない本件においては、被告嘉輝、同鈴木はともに甲車の運行供用者と認めるのが相当である。

従つて、被告嘉輝、同鈴木は自賠法三条により本件事故によつて生じた損害を賠償する義務がある。

(三)  請求原因(二)の2の被告茶谷、被告会社の責任原因は当事者間に争いがない。

従つて、被告茶谷は民法七〇九条により、被告会社は自賠法三条によつて本件事故によつて生じた損害を賠償する義務がある。

三  損害

(一)  逸失利益

1  成立に争いのない甲第四三号証、証人斎藤一夫の証言、原告幸太郎本人尋問の結果によると、はるは本件事故当時四一歳の健康な主婦で、内縁の夫である原告幸太郎との夫婦生活の家事のかたわら、原告幸太郎の実弟斎藤一夫が経営する三協紙工印刷に勤務して、毎月収入を得ていたこと、はるの勤務は内縁の夫の実弟の企業ということで、勤務時間はまちまちであつたことが認められるので、本件事故当時のはるの収入は、家事労務と右勤務による収入を合して女子の平均賃金によつて算定するのが相当である。

そこで昭和五一年度の賃金センサスによると、四一歳の女子一般労働者の平均賃金は年間金一三六万二五〇〇円であり、その生活費は五〇パーセント、稼動可能年数二六年(六七歳まで)、そのライプニツツ係数一四・三七五として、はるの逸失利益の本件事故当時の現価を計算すると、金九七九万二九六九円となる。

2  成立に争いのない甲第三、第四、第三二号証、原本の存在、成立に争いのない甲第五ないし第七号証によると、請求原因(三)の1の(2)の事実が認められる。

3  成立に争いのない甲第一〇、第一三、第一六、第一九号証、第二一ないし第二五号証ならびにこれらの証拠と原告幸太郎本人尋問の結果によつて成立を認める甲第八、第九、第一一、第一二、第一四、第一五、第一七、第一八号証、原告幸太郎本人尋問の結果によると、はるの相続人のうち、関根せい、青木こよ、鈴木こう及び鈴木くに子は、昭和五〇年一〇月一七日原告幸太郎に対し、本件事故によつてはるが死亡したことにより取得した損害賠償債権(各五分の一)を譲渡し、同年一一月二七日内容証明郵便をもつて被告らに対し右債権譲渡の通知をなしたこと、右債権譲渡通知は、被告鈴木に対し同年一一月三〇日、被告嘉輝に対し同年一二月一日それぞれ到達したことが認められ、被告茶谷、被告会社が右債権譲渡の通知を受けたことは当事者間に争いがない。

そうすると原告幸太郎は、右債権譲渡によつて、金七八三万四三七六円の債権を取得した。

(二)  治療費

原本の存在、成立に争いのない甲第二号証、成立に争いのない甲第三六号証、前掲甲第四三号証と原告幸太郎本人尋問の結果によると、はるは本件事故によつて脳挫傷の傷害を受けて大和市立病院において治療を受けたが、事故後一五時間後に死亡し、原告幸太郎はその間の治療費等として金二三万二一五〇円を支払つたことが認められる。

(三)  葬儀費

はるの葬儀を原告幸太郎が行つたことは当事者間に争いがなく、これが費用は金六〇万円と認めるのが相当である。

(四)  慰藉料

1  民法七一一条は、生命侵害の場合の慰藉料請求権者の範囲を限定したものではなく、配偶者と一親等の者に慰藉料請求権のあることを規定し、これらの者の挙証責任を軽減することを明らかにしたものであつて、準婚関係や事実上親子の関係にあるなど、民法七一一条所定の者に準ずる実質関係にある者に対して、同条を準用してこれが慰藉料請求権を認めるのを相当と解する。

2  前掲甲第三ないし第七号証、第四三号証、成立に争いのない甲第三三、第三五号証、原本の存在、成立に争いのない丙第一号証、原告幸太郎本人尋問の結果によつて成立を認める甲第二六ないし第二八号証(第二六、第二七号証については原本の存在は争いがない。)、同本人尋問の結果によると次の事実が認められる。

(1) 原告幸太郎は、昭和二五年四月二五日本間光子と婚姻して東京に住み、昭和二五年四月一七日長男の原告幸博、昭和二七年四月二〇日次男の原告文隆が出生したこと、ところが昭和二七年の夏、光子が二人の子を連れて山形の実家に移つて別居し、原告幸太郎はたまに東京から山形の妻の実家を訪ねる生活をしていたが、昭和三一年一二月の末頃山形の妻の実家を訪ねた際、ささいなことからいさかいとなり、妻光子と別れることとし、二人の子を連れて東京に戻つたこと、ところが当時二人の子は小さく、これを養育しながら働いていた原告幸太郎を見かねて、昭和三二年の初め頃世話する人があつてはると内縁関係を結び、以来内縁の夫婦として本件事故まで同居生活を続けていたこと、一方光子は原告幸太郎から籍を抜くよう申入れを受けてもこれを拒否し、時には原告方にいやがらせの電話をすることがあつたが、昭和三五年頃小此鬼豊治と同棲し、本件事故後の昭和五一年一一月一五日原告幸太郎と離婚したこと

(2) はるは原告幸太郎と内縁関係を結んでからは、幼い原告幸博、同文隆の母代りとして養育していたが、原告幸博は昭和四六年二月六日から昭和四八年一一月二七日まで光子方に住民登録を移して同居し、同年一二月二〇日結婚して他に世帯を持ち、原告文隆は本件事故当時大学卒業の年で、はると同居していたが、その後就職して原告幸太郎と別居したこと

(3) はるには民法七一一条に定める親族はなく、その相続人のうち四名の者は本件事故によつて取得した損害賠償債権全部を原告らに譲渡したこと前認定のとおりであり、残る鈴木ゑいの代理相続人に対しては、自賠責保険から金二一四万九五〇〇円(慰藉料を含む。)の支払がなされたこと他に右認定を妨げる証拠はない。

3  被告茶谷、被告会社及びその余の被告三名補助参加人は、原告幸太郎は重婚的内縁関係であり、原告幸博、同文隆ははると何等の法律上の身分関係がないものであり、いずれもはるの死亡による慰藉料請求権はないと主張する。

なる程原告幸太郎と光子の別居の原因についていま一つはつきりしない点があり、しかも長期間離婚手続をとることもなく過して来た点があるけれども、既にはるとは事実上の夫婦として一九年間同居生活を続け、光子の方は既に他の男性と同棲していたことからみれば、重婚的内縁関係であるとの一事をもつて原告幸太郎の慰藉料請求権を否定するのは相当でなく、前認定のとおりの実体を有していた原告幸太郎は、民法七一一条に定める慰藉料請求権者に準ずるものと認めるのが相当である。

又原告幸博と原告文隆ははると法律上の身分関係はないけれども、前認定のとおり、原告幸博は七歳から一四年間、原告文隆は五歳から一九年間、ともにはると事実上の親子として生活して来た実体からみれば、その額の算定に当つて考慮するのはともかく、慰藉料請求権そのものを否定するのは相当でなく、民法七一一条に定める慰藉料請求権者に準ずるものと認めるのが相当である。

そして前認定の諸般の事情を併せ考えると、はるの死亡による原告幸太郎の慰藉料は金七〇〇万円、原告幸博、同文隆の慰藉料は各金五〇万円(原告幸博が本件事故前はると別居した事実からみると、同人とはるとの間の事実上の親子としての交流が疑われるけれども、この程度のことは真実の親子の間でもあり得ることであるし、又原告幸博と原告文隆の慰藉額を定めるに当つて差を設ける理由としては十分ではない。)とするのが相当である。

四  填補

以上のとおり原告幸太郎の債権額は金一五六六万六五二六円、原告幸博、同文隆は各金五〇万円となるところ、原告幸太郎が金九〇七万六六五〇円の支払を受けたことは当事者間に争いがないので、その残額は金六五八万九八七六円となつた。

五  弁護士費用

本件事故の態様、請求額、認容額等諸般の事情を考慮すると、弁護士費用は原告幸太郎につき金六五万円、原告幸博、同文隆につき各金五万円とするのが相当である。

六  結論

以上のとおり、原告らの本訴請求は、被告鈴木、同嘉輝、被告会社、被告茶谷各自に対し、原告幸太郎は金七二三万九八七六円及び内金六五八万九八七六円に対する不法行為後の昭和五一年三月五日から支払ずみにいたるまで民法所定年五分の割合による遅延損害金、原告幸博、同文隆は各金五五万円及び内金五〇万円に対する不法行為後の昭和五一年三月五日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるので正当として認容し、その余の部分ならびに被告ウタに対する請求は理由がないので失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法九二条、九三条、八九条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 菅原敏彦)

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