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横浜地方裁判所 昭和53年(わ)363号 判決 1981年5月07日

本店所在地

神奈川県川崎市川崎区新川通四番七号

商号

有限会社新川商事

右代表者代表取締役

村野健

本籍

東京都新宿区花園町二八番地

住居

東京都新宿区新宿一丁目一六番五号

会社役員

村野健

大正八年一二月一〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺繁年出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金七〇〇万円に、被告人村野健を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人村野健に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告会社及び被告人村野健の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社新川商事は、神奈川県川崎市川崎区新川通四番七号に本店を置き、旅館業等を営業目的とする資本金二〇〇万円の有限会社であり、被告人村野健は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括掌理していたものであるが、被告人村野健は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外定期預金及び割引債券を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における右被告会社の実際の所得金額が二、〇一一万八、四六二円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五〇年二月二八日川崎市川崎区榎町三番一八号所在の所轄川崎南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二八万九、五七四円で、これに対する法人税額が三六万〇、九〇〇円である旨虚偽の事実を記載した法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額七三二万七、二〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)と右申告税額との差額六九六万六、三〇〇円を免れ、

第二  同五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二、九九三万九、五〇五円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五一年二月二八日前記川崎南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二九万四、〇〇二円で、これに対する法人税額が六四万二、三〇〇円である旨虚偽の事実を記載した法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額一、一一三万五、六〇〇円(別紙(五)脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一、〇四九万三、三〇〇円を免れ、

第三  同五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四、〇六二万二、一七五円(別紙(三)修正貸借対照表参照)あったのにかかわらず、同五二年二月二六日前記川崎南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二八万一、三四三円で、これに対する法人税額が六三万八、六〇〇円である旨虚偽の事実を記載した法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額一、五四〇万八、八〇〇円(別紙(六)脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一、四七七万〇、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実を含む判示事実全般につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(四通)に対する各供述調書

一  被告人の大蔵事務官(一四通)に対する各質問てん末書

一  第五回、第一〇回各公判調書中の証人遊佐清徳の各供述部分

一  第六回公判調書中の証人須山勇の供述部分

一  第七回公判調書中の証人寺田英男、同松本守正の各供述部分

一  小野寺一雄、砂子澤茂雄、村野繁、村岡美栄、村野弘子、桑原寛治の検察官に対する各供述調書

一  村野繁(四通)、村野万里子、村岡美栄、村野弘子(二通)、桑原寛治、松下兼二、本竹昭悟、日野原守、香川忠平及び堀越芳夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  岡田義郎、豊田完、村野繁(六通)、向山一郎、桑原寛治及び小林孝次作成の各申述書

一  尾崎正信、寺田英男及び中村雄輔作成の各上申書

一  高田悦光、大川廣、高崎利夫(二通)、岡田義郎(二通)、有倉瑛(三通)、石橋進、町田利成、(三通)、城口一男、石田剛三、西岡稔剛及び植山和樹作成の各証明書

一  有倉瑛作成の「取引内容について」と題する書面二通

一  嶋田芳之助、松下節子、中沢農夫、貫井操、沢田善五郎、山本克忠、浅川秀子、香川昭彦、倉橋順子、伊藤節子、志水正和、川崎弓彦、中沢雍夫、古平穣、菊島節子、小林幸作、前田実、森山文孝、岡下齊、福島和之、佐藤晃三、川崎明、大場寛知、酒井孫一及び芳賀京寿作成の各取引内容照会に対する回答書

一  山本克忠(二通)、吉岡親一(二通)及び正木源七郎作成の各税の納付状況照会に対する回答書

一  商業登記簿謄本二通

一  大蔵事務官作成の臨検てん末書(二通)、検査てん末書、捜索てん末書及び差押てん末書

一  大蔵事務官作成の簿外現金調査書(二通)、簿外預貯金調査書(二通)、有価証券調査書、簿外資産・負債調査書、利子所得に係る源泉所得税調査書、借入金調査書、個人収支計算調査書、簿外給与・預り源泉税調査書、事業税額調査書、未払源泉税所得税調査書、個人預金調査書、簿外現金関連収支調査書、ホテル売上調査書、簿外経費調査書、バー売上除外額調査書及び受託販売調査書

一  押収してある総勘定元帳三冊(昭和五三年押第五一〇号の一ないし三)、給与台帳一綴(同号の四)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五二年一二月一日付脱税額計算書(昭和四九年度のもの)及び同日付法人税額計算書(昭和四九年度のもの)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五三年押第五一〇号の五)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五二年一二月一日付脱税額計算書(昭和五〇年度のもの)及び同日付法人税額計算書(昭和五〇年度のもの)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五三年押第五一〇号の六)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和五三年一月二一日付脱税額計算書及び同月二三日付法人税額計算書

一  押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五三年押第五一〇号の七)

(法令の適用)

被告会社につき

判示各所為はいずれも法人税法一五九条、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金七〇〇万円に処する。

被告人につき

判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

訴訟費用につき

訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告会社及び被告人村野健に連帯して負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小川陽一 裁判官 小池勝雅 裁判官金野俊男は転任のため、署名押印することができない。裁判長裁判官 小川陽一)

別紙(一)

修正貸借対照表

昭和49年12月31日現在

<省略>

別紙(二)

修正貸借対照表

昭和50年12月31日現在

<省略>

別紙(三)

修正貸借対照表

昭和51年12月31日現在

<省略>

別紙(四)

脱税額計算書

自 昭和49年1月1日

至 昭和49年12月31日

<省略>

別紙(五)

脱税額計算書

自 昭和50年1月1日

至 昭和50年12月31日

<省略>

別紙(六)

脱税額計算書

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

<省略>

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