横浜地方裁判所 昭和53年(行ク)7号 決定 1978年8月04日
申立人 持丸秀春 ほか三九名
渡邊修
被申立人 神奈川県収用委員会
訴訟代理人 東松文雄 春田一郎 桜井卓哉 木暮栄一 星野明一 ほか三名
日本国有鉄道
主文
本件申立をいずれも却下する。
申立費用中、参加人渡邊修の訴訟参加によつて生じた費用は同参加人の負担とし、その余の費用は申立人らの負担とする。
理由
(申立の趣旨、理由及びこれに対する意見)
第一申立人らの申立の趣旨及び理由の要旨は、別紙一ないし三記載のとおりである。
第二被申立人の意見の要旨は、別紙四及び五記載のとおりである。
第三補助参加人の意見は、別紙六記載のとおりである。
(当裁判所の判断)
第一疎明資料によると、次の事実が一応認められる。
一 日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)は、昭和四〇年度を初年度とする第三次長期計画を昭和三九年一二月に策定し、これに基づき、東海道本線東京・小田原間線路増設工事のうち、鶴見・戸塚間(貨物別線)線路増設工事(鶴見・高島間の一部線路移設工事及び戸塚駅改良工事等を含む。)、羽沢貨物駅新設工事及び北横浜変電所新設工事並びにこれに伴う附帯工事(以下「本件事業」という。)を立案し、右貨物別線線路増設工事(以下「本件工事」という。)として、横浜市鶴見区から同市神奈川区子安台、神之木町、大口台、港北区菊名町、仲手原、神奈川区三枚町、羽沢町、保土ケ谷区釜台、猪久保台地を経て、戸塚・大船に至る横浜市内北部丘陵地帯を迂回する延長一三・七キロメートルに及ぶ貨物専用鉄道の敷設を定め、昭和四二年四月正式決定をした。
二 右予定路線沿線は、その大部分が住宅地域であつたところから、申立人らを含む地域住民の一部は、右計画決定をみるや、これに反対する意思を表明し、昭和四二年六月申立人横浜新貨物線反対同盟連合協議会(以下「申立人反対同盟」という。)を結成し、以来今日に至るまで、右貨物別線の建設に対する反対運動を続けている。
三 そして、申立人反対同盟を除くその余の申立人らは、いずれも肩書住所地に居住しており、また、申立人澤畠光弘、同渡邊勉、同反対同盟を除くその余の申立人らは、別紙権利目録記載のとおり、裁決対象地について権利の種類欄記載の各権利を有している。
四 建設大臣は、国鉄の申請になる本件事業につき、昭和四九年七月一七日土地収用法第二〇条の規定に基づく事業の認定をなし、同日付官報で告示をした(建設省告示第一〇〇九号)。国鉄は、同年一二月二五日から昭和五〇年七月一一日までの間に、被申立人に対して別紙裁決対象地目録記載の1ないし44の各土地(以下同目録記載の各土地をその番号により、それぞれ「1の土地」ないし「44の土地」という。)を含む右起業地の一部につき収用・使用裁決の申請及び明渡裁決の申立をなしたところ(なお、別紙裁決目録記載事件中、四九収八号、一二号、一三号は昭和四九年一二月二五日、四九収一六号は昭和五〇年一月二一日、四九収一八号は同年二月一七日、五〇収二号ないし九号は同年三月二八日、五〇収一一号は同年五月二三日、五〇収一七号は同年六月五日、五〇収一九号は同年七月四日、五〇収二〇号は同年七月一一日に各申請及び申立がなされた。)、被申立人は、昭和五三年六月三日付で、別紙裁決対象地目録記載の各土地につき、同土地を別紙裁決目録記載のとおり、収用明渡裁決にあつては、権利を取得し又は消滅させる時期、土地の引渡し及び物件移転の期限をいずれも昭和五三年七月四日とし、使用明渡裁決にあつては、権利を取得する時期、土地の引渡しの期限をいずれも右同日(ただし、五〇収一一号事件にあつては土地の引渡し期限は同年八月三日)、とする旨の収用明渡及び使用明渡の各裁決をした。なお、五〇収一九号事件では、4の土地につき、土地所有者不明ただし申立人澤畠光弘又は申立外横山イク子として、五〇収一七号事件では、3の土地につき、関係人(存する場合の土地使用借権者兼物件所有権者)不明として、それぞれ裁決した。
五 申立人渡邊勉は、五〇収八号裁決事件における使用明渡対象地(39の土地)の地上建物に住んでいる。
第二申立人らは、本件申立と同旨の理由で各関係裁決の取消を求める訴(横浜地方裁判所昭和五三年(行ウ)第二七号)を提起するとともに、右裁決の執行及び裁決後の手続の続行により回復の困難な損害を受けるとして本申立に及んだものであり、申立人らのうち申立人反対同盟は、法人格なき社団であると主張し、五〇収一七号裁決事件の関係人として本件申立をなしている。
そこで、申立人反対同盟の当事者能力の有無について判断する。
<証拠省略>によると、申立人反対同盟は、昭和四二年六月一〇日の結成以来今日に至るまで本件貨物別線の建設に対する反対運動を続け、社会的に実在する運動体として、右貨物別線沿線の住民が相当数これに関与し、代表者、事務局長等が置かれ、ある程度組織化されている団体であること、国鉄や横浜市が一時期は申立人反対同盟を右建設に関する交渉の相手方として扱つて来たことが一応認められる。しかし、右の如く、社会的には一つの団体として紛争等の解決のための当事者となりうる団体であつても、かかる団体が、直ちに、法的にも訴え又は訴えられる資格を備えた団体、すなわち権利義務の主体となりうる団体であるというまでいうことはできず、本件全資料によつても、申立人反対同盟が、構成員の変更にも拘らず権利義務の主体となる団体として存続しているものとは認められない。
なお、申立人反対同盟の規約らしいものとして<証拠省略>が存在するけれども、その表題は「規約案」となつており、果して正規の規約として成立したものか否か疑わしい。さらに、その内容を見ると、構成員は、「各地域の反対同盟又は自治会」のみで、自然人は含まれず、また、社団の存立にとつて重要な事項である財産の管理や執行機関に関する規定を欠いており、右規約から反対同盟の社団性を見出すことは困難である。また、申立人反対同盟は、昭和四七年九月二二日に開かれた連合協議会総会において、個々の住民及び同申立人主張の各地区の反対期成同盟が重畳的に申立人反対同盟の構成員となり、単一組織として整備された旨主張し、右主張にそう資料もあるが、右資料によつても、同申立人が社団性を有する団体であるものと認めるには足りない。
従つて、当事者能力を欠く申立人反対同盟の本件申立は不適法であるが、仮に右申立人が法人格のない社団であるといいうるとしても、同申立人が五〇収一七号裁決事件において主張する工作物の所有権取得原因についての疎明資料は全くないので、申立人反対同盟は、本件申立をなす適格を有しないことに帰する。
第三そこで、申立人反対同盟を除くその余の申立人らにつき、まず、執行停止の積極的要件の一つである本件裁決の執行等による「回復の困難な損害」の有無について検討する。
一 収用明渡裁決による損害について
申立人持丸秀春、同澤畠光弘は、所有土地の収用裁決によつて、その土地所有権が起業者である国鉄に移転するのみならず、その地上に貨物鉄道高架部分が建設されるのであるから、これによつて回復困難な障害を生ずると主張する。
1 前記第一の四に認定のとおり、申立人持丸秀春は、自己所有の1、2及び5の土地につき収用明渡裁決(四九収八号、五〇収二〇号)を受けたものであるが、疎明資料によれば、同申立人は右収用土地上に居住せず、同人の居住地である肩書住所地から、右1、2の土地までいずれも約五〇メートル、5の土地までは約二七〇メートルの距離があること、右1の土地及び残地五九・二一平方メートルにつき、申立外佐瀬昇が借地権を有して同土地上に木造亜鉛メツキ銅板葺平家建建物を所有し、自己の用に供していたものであり、2の土地及び残地二四四・三五平方メートルにつき、申立外山下信夫が借地権を有し右土地を使用していたこと、5の土地は、申立外藤塚彌惣吉外一一名が賃借又は転借している土地で、同土地上には右申立外一二名のうち一〇名が建物を所有し、その余の二名は、右土地の一部を通路として使用しており、右建物についても関係人として三名の賃借・使用借権者がいること、そして、本件各裁決により、1、2及び5の土地に対する前記関係人の権利が消滅することが一応認められる。
右のとおり、申立人持丸秀春は、本件工事の起業地から相当離れた地点に居住し、右収用土地を前記のとおり賃貸していたのであるから、特に疎明のない本件においては、右各土地が収用されることによつて、大きな損害を蒙るとはいい難く、また、後記二3(一)(二)認定の事実からすれば、工事の続行並びにこれに続く列車の運行により著しい生活被害を受けるとも言えないから、本件裁決の執行等により、同申立人に生ずるであろう損害が、社会通念上金銭賠償の受忍ないし許容可能性の限度を越えているものとは認められない。
従つて、申立人持丸秀春に前記回復の困難な損害が生ずるものとはいえない。
2 申立人澤畠光弘については、前記第一の四に認定のとおり、同申立人が所有権(持分一一三六分の一)ありと主張している4の土地について、土地所有者不明、ただし申立人澤畠光弘又は申立外横山イク子として収用明渡裁決(五〇収一九号)がなされている。
そして、疎明資料によると、右土地について申立人澤畠光弘が主張の如き登記名義を有することは一応認められるけれども、<証拠省略>によれば、右登記は、いわゆる一坪地主として本件工事に反対するため単に名前を連ねるだけの通謀虚偽表示に基づくものであつて、同申立人が真の権利者ではなく、申立外横山イク子が右権利を有することが一応認められる。従つて申立人澤畠光弘は、4の土地の持分権者とは言えないから、本件裁決ないしその執行等により損害を蒙るいわれはないというべきである。
また、仮に、申立人澤畠光弘が右持分を有するとしても、疎明資料によれば、同人は、いわゆる一坪地主として本件工事に反対するために持分を取得したものであり、しかも、右持分は一一三六分の一に過ぎず、さらに、自ら右土地を使用しているものでもなく、申立外蔭山信代外二名がこれを賃借利用していたものであり、かつ、申立人澤畠光弘が居住する肩書住所地は4の土地から約一三〇メートルも離れたところにあり、さしたる工事被害等もないことが一応認められるのであるから、右裁決の執行等により同申立人に生ずるであろう損害は、金銭賠償により回復しうるものと認めることができる。従つて、同申立人に前記回復の困難な損害が生ずるものとはいえない。
二 使用明渡裁決による損害について
申立人ら(申立人持丸秀春、同澤畠光弘、同反対同盟を除く。以下「申立人三七名」という。)は本件使用明渡裁決の対象地上に右申立人三七名の所有ないし居住にかかる家屋が存在し、本件工事の施工及びその完成後における貨物列車の運行によつて、必然的に騒音、振動その他の公害、環境破壊などの各種被害の発生が予想され、特に港北区仲手原地区(足洗川地域)においては、地盤が極めて軟弱であつて、すでに着工されたトンネル掘削工事により著しい地盤沈下を生じ、そのため右トンネル予定地周辺に存在する家屋その他の工作物に激甚な工事被害が現に生じているのであつて、本件使用明渡裁決対象地上及びその直近に居住する申立人三七名は、本件使用明渡裁決の執行等により回復の困難な損害を蒙むる旨主張する。
1 右申立人三七名は、前記認定の如く、別紙権利目録記載のとおり、裁決対象地について権利の種類欄記載の権利を有しているところ(ただし、申立人渡邊勉を除く。)右裁決対象地(6ないし44の土地)につき前記使用明渡の各裁決がなされたものであり、右使用裁決の内容は、疎明資料によれば、いずれも使用方法として、左記のとおり定められていることが一応認められる。また、申立人三七名は、前記認定のとおり、その肩書住所地に居住するものであり、疎明資料によれば、裁決対象地又はその直近における右申立人らの所有家屋の有無及び居住の有無、さらに、裁決対象地におけるトンネル土被りが別紙権利目録記載のとおりであり、右裁決対象地又はその直近に存在する申立人ら所有家屋の種類、構造、面積は別表3記載のとおりであることが一応認められる。
記
(一) 地下鉄道構築物設置のための地下使用とし、その使用範囲は東京湾平均海面の左記範囲(東京湾平均海面上を(十)、同海面下を(一)、単位はメートルとする。)とする。
四九収一二、一八号 (十)一七・〇五~(一)二・九五 (6、17の土地)
四九収二二、一六号 (十)一七・四二~(一)二・五八 (7ないし16の土地)
五〇収二、三号 (十)一一・〇五~(一)八・九五 (18ないし22の土地)
五〇収四ないし七号 (十)二一・一三~(一)一・一三 (23ないし36の土地)
五〇収八、九号 (十)一九・八五~(一)〇・一五 (37ないし43の土地)
五〇収一一号 (十)一六・三七~(一)二・三七 (44の土地)
(二) 地下鉄道構築物を保全するため当該土地に建物その他の工作物を設置する場合の荷量は、前記使用範囲の上限において一平方メートル当り六トン以下とする。
(三) 当該土地において、前記使用範囲の下限より下に工作物を設置する場合、地下鉄道構築物に支障を及ぼしてはならない。
(四) なお、申立人八木貞太郎が持分四六分の一を有する44の土地については、さらに地下鉄道構築物設置作業のため一時使用が付加されている。
2(一) ところで、申立人渡邊馨は、前記認定のとおり、富士市に居住するものであつて、裁決対象地(39の土地)を所有するものの、同所に家屋を所有するものでもなく、また居住するものでもないのであるから、右土地が国鉄の使用に供されることによつて損害を蒙むるとしても、右損害が社会通念上金銭賠償の受忍ないし許容可能性の限度を越えているものとは認められず、従つて、同申立人に回復の困難な損害が生ずるとはいえない。
(二) また、申立人八木貞太郎、同江田重蔵、同山形加代子、同大村富、同高見薫は、前記認定のとおり、いずれも裁決対象地又はその直近に家屋を所有するものでも、居住するものでもなく、しかも、疎明資料によれば、申立人八木貞太郎の居住地は、裁決対象地のうち、6の土地から約四〇〇メートル、44の土地から約七六〇メートル離れており、同江田重蔵の居住地は、6ないし12の土地からいずれも約一三〇メートル、同山形加代子の居住地は15の土地から約一四五メートル、同大村富の居住地は43の土地から約一七〇メートル、同高見薫の居住地は6の土地から約一三〇メートルそれぞれ離れていること、また、6の土地は、本件工事に反対するいわゆる一坪地主九〇名の共有になるもので、申立人和久井美知子がその土地使用借権を有し、同土地上に建物を所有して同人及び申立人和久井貞夫が居住していること、44の土地は、申立外合資会社大久保屋商店が土地賃借権及び使用借権を有し、同会社代表者が四六分の四五の持分を有していること、申立人八木貞太郎、同江田重蔵、同高見薫は、6の土地の共有者九〇名のうちの一人として、それぞれ二〇〇分の四、二〇〇分の一〇、二〇〇分の一の持分を有するにすぎず、また、44の土地について申立人八木貞太郎は四六分の一の持分を有するが実質的利用関係のない一坪地主であることが一応認められる。
以上の事実関係のほか、右申立人らの裁決対象地を国鉄の使用に供することにより、右申立人らの蒙むる騒音、振動等の被害が社会的に受忍の限度内とされる程度を越え、そのため右申立人らに生活権や財産権の重大な侵害をもたらすことの疎明もないから、右申立人らに前記回復の困難な損害が生ずるものとは認められない。
(三) なお、疎明資料によれば、申立人和久井美知子は、34の土地については三二分の一の持分を有するものの、同土地上に居住せず、かつ家屋を所有していないものであり、申立人荒川隆治が右土地につき三二分の三一の持分を有し、同土地上に建物を所有しかつ居住しているものであつて、申立人和久井美知子の右持分は、いわゆる一坪地主として本件工事に反対するために取得したものであること、しかも、右土地は、同申立人の住居地から約四〇〇メートルも離れていることが一応認められる。
右事実によれば、34の土地を国鉄の使用に供することによつて生ずることあるべき損害は金銭賠償をもつて足りるというべきであるから、右土地についての裁決の執行等により同申立人に回復の困難な損害が生ずるものとは認められない。
3 申立人三七名のうち、申立人渡邊馨、同八木貞太郎、同江田重蔵、同山形加代子、同大村富、同高見薫を除く申立人三一名(以下「申立人三一名」という。ただし、申立人和久井美知子については34の土地を除く。以下同じ。)は、いずれも裁判対象地又はその直近に居住ないし家屋を所有しているものであるから、右申立人三一名につき、本件工事の施工及びその完成後における列車の運行による被害の状況を検討する。
(一) 本件工事の施工による損害について
(1) 本件工事のうち、申立人三一名の裁決対象地における工事内容は、前記認定の使用範囲内にトンネル工法により地下鉄道構築物を設置するものであり、また、右裁決対象地における土被りが八・二メートルないし二五・九メートルあることは前記認定のとおりである。
(2) 岸谷二丁目地区について
疎明資料によれば、申立人野口信三、同宮田嘉一、同上村正己が居住しかつ家屋を所有している鶴見区岸谷二丁目所在の18ないし22の土地は、いずれも工事件名生麦トンネル(延長一八八一メートル)の未着工区域(延長二七メートル)内にあり、右土地の地下土被り約一〇・七メートルないし約一一・二メートルの地点にトンネル構造物が構築されること、右構造物の構築は、現在一般に用いられている山岳トンネル方式のうち、地表面等に対する影響の最も少ないとされる側壁導坑先進上部半断面工法(以下「導坑式」という。)がとられることになつており(右工法は、トンネル断面の左右に位置する側壁を構築するために導坑を設け、側壁コンクリートを打込み、これをアーチ支保工の堅固な基礎として利用し、所定の大きさに切広げてゆく工法であつて、掘削工事はそれぞれの切羽の上部に銅製の矢板を先進させ、主として人力により掘削するものである。)、その工事予定期間は約二か月であること、右生麦トンネルについては、前記導坑式により、一六三一メートルの区間(土被り最低で約一〇メートル)が既に施工済みであり、また二二三メートルが現在施工中であること、これまでに、岸谷二丁目の起業地沿の地域の一部に、右トンネルの掘削工事若しくはそれに先立つてなされた地盤改良工事(セメントミルクの注入)によると思われる若干の地盤沈下ないし隆起が生じ、このため右地域の一部に擁壁の亀裂等の被害が発生したことが一応認められるけれども、右トンネル工事による騒音や振動が地表において生活被害をもたらす程度のものであつたことの疎明はなく、また、右被害発生地区を除く施工済み区間において、その地上及び直近地に工事による被害が生じたことの疎明もない。
ところで、疎明資料によれば、右発生した被害の程度は、補修工事等により回復が可能なものと認められるうえ、18ないし22の土地の土被り、工事方法、施工済区間における被害の有無・程度等に関する前記認定事実に照らせば、生麦トンネルの右土地部分の工事が施工されることによつて、同土地直近に居住しかつ家屋を所有する前記申立人らが居住家屋や日常生活等に著しい被害を蒙むるものとは認め難く、仮に、家屋等に何らかの被害が生じたとしても、右被害は補修あるいは金銭賠償により回復しうるものと認められる。
(3) 仲手原一丁目地区について
疎明資料によれば、申立人小柳静一、同小島時之助、同岩崎善一郎、同郡司良一、同鶴見祐吉、同八木カネ、同田中政美、同八木孝幸、同吉川和三郎、同三原力、同下藤重一、同荒川隆治、同佐野卓二、同鶴田良野、同鶴田正浩、同清利彦、同鈴木敏夫、同鈴木恒子、同佐倉俊二、同渡邊勉、同黛玖仁代、同井上周が居住ないし家屋を所有している港北区仲手原一丁目所在の23ないし42の土地は、いずれも工事件名大口台トンネル(延長八〇五メートル)の未着工区域(二三六メートル)内にあり、右土地の地下土被り約一一・八メートルないし約二五・九メートルの地点にトンネル構造物が構築されること、右構造物の構築には、前記導坑式がとられることになつており、その工事予定期間は、六・七か月であること、右大口台トンネルについては、前記導坑式により掘削される区間が六五〇メートルで、そのうち三六〇メートルの区間(土被り最低一一メートル)がすでに完了し、五四メートルが現在施工中であり、仲手原一丁目の前記工事区間が残る未着工区間二三六メートルにあたるものであり、その余の一五五メートルの区間は開削工法により工事が行なわれている(その内一三五メートルは施工済みで、残り二〇メートルは施工中である。)こと、さらに、これまでに、前記導坑式によつて完成した三六〇メートルの区間においては、軽微な被害が一部に生じた程度にすぎないことが一応認められるのであつて、右認定事実によれば、大口台トンネルの右土地部分の工事が施工されることによつて、同土地もしくはその直近に居住ないし家屋を所有する前記申立人らが、右家屋や日常生活等に著しい被害を蒙むるものとは認め難く、仮に家屋等に何らかの被害が生じたとしても、それは、補修あるいは金銭賠償により回復しうるものと認められる。
(4) 仲手原二丁目地区について
疎明資料によれば、申立人和久井貞夫、同和久井美知子、同山岡光雄、同大川信、同大川博之、同戸田利雄が居住ないし家屋を所有している港北区仲手原二丁目所在の6、11、13、14、16、17の土地は、いずれも工事件名篠原トンネル(延長一三八〇メートル)の未着工区域(二一八メートル)内にあり、右土地の地下土被り約八・二メートルないし約一六・七メートルの地点にトンネル構造物が構築されること、右構造物の構築には導坑式がとられることになつており、その工事予定期間は五・七か月であること、右篠原トンネルについては、前記導坑式により、その大船側(西側)九五〇メートル(土被り最低約七メートル)がすでに施工済みであり、また二一二メートルが現在工事中であること、仲手原二丁目地域をほぼ北から南に流れている足洗川沿いの地域(とくに、仲手原二丁目二二番ないし二五番地付近)は、低湿地帯で極めて地質が悪く、そのため、本件工事のうち、右地域にまたがる東横線と交わる付近から大船方向に約一六〇メートルの区間のトンネル工事は開削方式により施工されていること、また、右一六〇メートルの区間の西方に隣接する未着工区域二一八メートルの地質は、右と異なり、表土は関東ローム層で、その下は強固な三浦層となつているため、前記導坑式を採用したこと、以上の事実が一応認められる。
ところで、<証拠省略>によれば、仲手原二丁目の開削方式による工事施工に際し、相当量の漏水があり、そのため前記足洗川流域において、足洗川の方向に傾斜して地盤沈下が生じ、その結果、不等沈下による地割が生じたり、家屋の傾斜やコンクリート土台・ブロツク塀等にひび割が入つたりするなどの本件工事に起因する各種被害が発生していること、かような工事被害の発生に対し、国鉄は、直ちに漏水を防止するための止水工法を採用して、慎重に工事を進めており、また、工事被害に対しては、応急修理を施したり、修復費用を補償するなどして対応に努めていることが一応認められる。
右事実によれば、仲手原二丁目地域に発生している各種被害は、工事による漏水が原因となつて生じた地盤沈下に起因するものであつて、右地域が極めて地質の悪い低湿地帯であることが被害を拡大した要因と考えられるところ、本件仲手原二丁目の未着工区域の地質は右と異なるものであるから、同区域の施工によつて前記申立人ら主張のような工事被害が生ずるものと推断することはできず、また、前記認定にかかる仲手原二丁目の使用裁決対象地(6、11、13、14、16、17の土地)の土被り、工法等から判断して、篠原トンネルの右土地部分の工事が行なわれることによつて、同土地上もしくはその直近に居住ないし家屋を所有する前記申立人らが、右家屋や日常生活等に著しい被害を蒙むるものとはいまだ認め難い。仮に、右工事の施工により家屋等に何らかの被害が生じたとしても、前に認定した国鉄の対応並びに後記(二)(1)認定の七項目協定等の事情によると、右被害については、国鉄としても直ちに何らかの対応策を講じることが期待できるから、右被害が社会通念上金銭賠償の受忍ないし許容可能性の限度を越えるものとは認め難い。
(二) 列車の運行による被害について
(1) 騒音、振動、日照阻害等の公害対策
疎明資料によれば、本件事業計画発表以来、申立人ら沿線住民や関係自治体の本件工事に対する対応ならびに公害防止対策に関し、次の事実が一応認められる。
イ 国鉄の本件事業計画が発表されて以来、申立人らを含む沿線住民の強い反対運動が起つた。このため、横浜市は、市公害センター及び計画局によつて既設貨物線の列車による騒音、振動の影響調査を実施し、横浜国立大学工学部交通公害研究会の協力のもとに、右測定結果の解析と本件工事による被害対策とについて検討を進め、昭和四三年八月一二日「東海道新貨物線計画による騒音、振動調査の解析に関する報告書」(以下「報告書」という。)を公表した。
ロ その後、右報告書を踏まえ、学識経験者及び住民、国鉄、神奈川県、横浜市の各関係者からなる国鉄新貨物線公害対策協議会が昭和四五年四月に設置され、右協議会は、専門委員会として、技術小委員会を設けた。
右小委員会は、同年九月二八日「国鉄横浜新貨物線建設に伴う公害対策に関する技術小委員会中間答申」(以下「中間答申」という。)を行つた。中間答申は、横浜新貨物線建設に伴つて予測される公害につき、これを最少限度にとどめるための対策を答申したもので、環境基準として、騒音については、「沿線に所住する一般民家(屋外)において、列車軌道による騒音の影響を五五ホーン(A)以下とすること。」、振動については、「沿線に所住する一般民家(屋外)の地表面において、列車軌道による振動の影響を〇・三ミリメートル/秒以下とすること。」、日照については、「沿線民家において、冬至に三時間以上の日照を確保すること。」を挙げるとともに、その実現の諸対策として、軌道構造に関しては、全線にわたり、ロングレール、砂利、砕石等の有道床、PC枕木の採用、レールと枕木との間にゴムパツトを使用すること、基礎は平地から高架に移行する部分及び高架部分において強固な支持層まで根いれする構造とすること等を、また、列車速度に関しては、高架部分等を通過する際の速度を時速五五キロメートル以下とすること、さらに、緩衝地帯及び準緩衝地帯に関しては、右騒音、振動の環境基準及び側壁の高さ等の観点から、上り下りの軌道中心より両側に緩衝地帯(原則として居住の用に供する建物を設置しない地帯)及び準緩衝地帯(周囲の状況や住民の選択により公害防止対策をすることのできる地帯)を設置することを提言しているほか、高架部分の側壁の高さ、トンネル出入口付近の吸音措置等に関しても提言を行つている。
ハ 横浜市は、右中間答申と地元住民の要望等に基づき、昭和四七年四月国鉄に対する要求、要望を整備した別紙七記載のとおりの「国鉄新貨物線部分に係る環境整備ならびに公害防止の諸条件について」(いわゆる七項目と称するものであり、以下「七項目」という。)を地元住民に提案し、申立人反対同盟の同意は得られなかつたものの、沿線地域住民により新しく発足した横浜新貨物線公害対策協議会の同意を得て、同年五月二日これを国鉄に申し入れた。これに対し、国鉄は、同年五月四日付をもつて右申し入れを基本的に了解した旨の回答を行つた。
ニ 以上の沿線住民、地方自治体との交渉経過にかんがみ、沿線地域の環境整備と公害防止のための前記諸条件を遵守すべき立場にある国鉄は、中間答申で提示された諸対策を尊重して工事を施工することとした。すなわち、国鉄は、騒音対策として、高架部分に高防音壁(一部全覆工を含む)を設置し、振動対策として、ロングレール、砕石による有道床、PC枕木、ゴムパツトを使用し、また、トンネル区間の一部には防振けたを用いた特別なバラスト軌道を採用し、さらに、高架橋や地盤軟弱で土被りの浅いトンネル区間には、六メートルないし二〇メートル幅の緩衝地帯を設置するとともに、基礎は強固な支持層まで根いれするように設計施工し、列車速度に関しても前記環境基準を満すべく定めることにしているなど各種の公害防止策を施している。
(2) 列車による騒音及び振動の影響を受ける地域
<証拠省略>によれば、防音壁、ロングレール、ゴムパツトなどの防音、防振対策が行われることを前提として、列車による騒音、振動の影響を必ずうける地域、すなわち、騒音による広範囲の苦情が必ずおき、かつ、地盤振動が基準値(〇・三ミリメートル/秒)を少くとも確実に越える地域は、列車速度を時速七〇キロメートルとした場合、平地で五〇メートル以内、高架(六メートル)で三二メートル以内、トンネルでは土被り四メートルのとき線路に直角方向に四メートル以内(土被り六メートル以上のときは右地域の対象外)、また、トンネル直上(土被り厚さ)では四メートル以内の地域であり、右地域の決定は、平地及び高架では騒音により、トンネルでは振動によつているもので、騒音だけをとらえれば、トンネルについては土被り三・五メートル以下の部分が影響圏(五〇ホーン(A)を限界とした場合)であつて、それ以上の土被りがあれば、その地表面では五〇ホーン(A)を越えるおそれが一応ないことが認められる。
また、<証拠省略>によれば、緩衝地帯は必ず基準値を越える地帯、準緩衝地帯は基準値を越えるおそれのある地帯とされているが、振動に関していえば、トンネルの場合、土被り四メートルのとき線路に直角方向に四メートル以内が緩衝地帯、四メートルないし九メートルが準緩衝地帯、土被り八メートルのとき同方向に四メートル以内が準緩衝地帯(緩衝地帯なし)であり、さらに、トンネル直上(土被り厚さ)では、土被り四メートル以内が緩衝地帯、土被り一〇メートル以内が準緩衝地帯であることが一応認められる。
(3) ところで、<証拠省略>によれば、日本鉄道建設公団の建設にかかる国鉄武蔵野南線は、昭和五一年三月に開通したが、その後間もなく沿線住民から騒音、振動被害の申出があり、川崎市公害局は、同月二六日から同年四月一二日にかけて一〇か所にわたり騒音、振動を測定した結果、開削方式による土被りの浅いトンネル部分(三か所、土被り約二・六メートルから約五・六メートル)で基準値の数倍の振動が、また、土被りが約一二メートル以上ある地点(五か所)においても基準値を上回る振動がそれぞれ測定され、騒音については、トンネル部分につき特に高い騒音が測定されなかつたものの、トンネル開口部付近では八七ホーン(A)もの騒音が測定されたこと、右振動の測定方法は、測定機器(公害用振動計とペン書きオツシログラフ)を、トンネル部分ではトンネルの直上部、開口部分では住宅敷地の地表面に置き、数時間にわたり(最短で一時間)通過する列車ごとに波形記録したものであるが、前記公団は、同年五月一九日から二五日にかけ、川崎市公害局が測定した右地点において、中央公害対策審議会騒音振動部会の昭和五一年二月二八日付報告による測定機器及び測定方法(いずれも川崎市公害局によるそれとは同一でない。)に従い振動を測定した結果、トンネル部分の振動速度平均値は、土被り四・三メートルの地点を除く七か所で〇・三ミリメートル/秒を越えていなかつたこと、ところで、右公団及び国鉄は、武蔵野南線の被害軽減策として、トンネル出口付近の騒音に対しては、軌道面に消音バラストを散布するとともに防音壁を追加設置する対策を施し、振動低減策としては、ロングレールのエキスパンシヨン・ジヨイント継目溶接や、軌道のバネ常数を低下させるための軌道パツト更換を実施し、さらに、被害家屋の補修等を行うなどの対策を講じていることが一応認められる。
右のとおり、武蔵野南線における振動被害については、川崎市公害局による測定と前記公団による測定とで、その測定結果に差異がみられるが、右差異は、測定機器及び測定方法の違いもさることながら、測定日時が異なるのであるから、測定対象である列車の編成、速度等の相違によることが考えられ、また、右測定後においては前記防振対策も行われていることからして、川崎市公害局による前記振動の測定結果が武蔵野南線の現在の状態を正しく表わしているとは必ずしもいえない。
(4) そこで、前記申立人三一名につき列車運行による被害の有無を検討すると、騒音については、前記二1で認定のとおり、右申立人らの使用裁決対象地におけるトンネルの土被りは八・二メートルないし二五・九メートルある上、騒音の影響地域や国鉄の防音対策等から考えて、中間答申で基準値とする五五ホーン(A)を越えて右裁決対象地に居住する右申立人らに影響を及ぼすものとは認め難く、その他本件の全疎明資料によつても、騒音被害をもたらすことを認めるに足りない。
次に、振動について検討すると、前記武蔵野南線において列車振動による被害が生じたことは認められるが、本件貨物別線は、武蔵野南線と異なり、前記二3(二)(1)認定の如き各種防振対策が実施されているのであつて、右武蔵野南線において生じたと同様の振動被害が本件貨物別線においても生ずるものと直ちにいうことはできない。
また、右申立人らの使用裁決対象地の土被り最低値は八・二メートルであるが、前記二3(二)(2)で認定した振動の影響地域から考察すれば、基準値(〇・三ミリメートル/秒)を確実に越えるのは土被り四メートル以下の地域であり、土被り一〇メートル以下の場合はトンネル直上で、土被り八メートルの場合は線路に直角方向に四メートルの地域で、それぞれ基準値を越す可能性があるにすぎない。
さらに、前述のとおり、国鉄は、七項目協定をなすなどしているので、被害には直ちに対応策を講ずることが考えられるから、右裁決対象地を列車が運行することにより前記振動の基準値を著しく越える事態が生ずるおそれがあるものとは認め難く、仮に、右基準を幾分上回つたとしても、それは、社会通念上受忍の限度内にあるものと認められるから、かかる被害は金銭賠償をもつて足りるものといいうる。
(三) 従つて、右申立人らに関する使用裁決の執行等により同人らに回復の困難な損害が生ずるものとはいえない。
第四 なお、仮に、本件各裁決の効力ないしその執行等が停止されるときは、左記のとおり、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある。
一 疎明資料によると一応次の事実が認められる。
1 神奈川県は、東京都中心部及び京浜工業地帯の後背地として、気象条件や交通の便にも恵まれているところから、入口の増加率が極めて高く、それにともない国鉄利用者も激増し、昭和三〇年後半に入ると、電車の編成車輌の増加、運転間隔の短縮など国鉄の努力にも拘わらず、既存の施設では飽和状態に達し輸送の安全確保が問題視されるに至つた。かかる都市集中化の傾向は全国的なことでもあつたので、昭和三九年一二月二五日に開かれた経済関係閣僚懇談会においても、「日本国有鉄道の新長期計画の実施について」と題して、昭和四〇年度から昭和四六年度までの新長期計画を決定し、そのうち神奈川県関係では、東海道本線新鶴見・小田原間(三複線化・複々線化)を策定した。
なお、昭和四〇年当時東海道本線東京・平塚間には旅客線用の複線が、平塚・小田原間には客貨併用の複線がそれぞれ存するのみであり、東京・大船間の昭和四〇年におけるラツシユ時一時間の上り通過人員は約五万一、〇〇〇人、混雑率は約二五六パーセントで、さらに、混雑が予想される状況にあつた。ちなみに、前記閣議決定では、通常通勤者の耐えうる混雑度を二六〇パーセントとしている。
2 右の様な状勢の下で、現在、東海道本線東京・大船間を従来の旅客線と併行して走る貨物線を旅客線として使用するため、昭和四一年五月に運輸大臣の認可を受け、完成予定昭和四七年一〇月と定めて計画されたのが本件貨物別線である。
ところで、東京・大船間付近の通勤、通学時のラツシユの混雑は一層その度を増し、昭和五一年には、東京・大船間のラツシユ時、一時間の上り通過人員は約八万六、〇〇〇人となり、混雑率は約三一二パーセントに達し、混雑の激しい時間帯も昭和四〇年度の一時間から二時間以上に拡大している。
そこで、神奈川県議会は、昭和五二年一〇月一一日国鉄東海道線、横須賀線の通勤、通学ラツシユ時における混雑がすでに極限状態にあるとの認識のもとに、右混雑を緩和するため、本件貨物別線の早期完成を決議している。
3 右貨物別線は、すでに全長の約九一パーセントにあたる約一二・五キロメートルが完成し、その余も漸次着工し、本件裁決部分約五〇〇メートルを含む約一キロメートル余(約九パーセント)が未完成となつているにすぎない。
本件貨物別線が完成すれば、輸送力が増強され、ラツシユ時における混雑緩和の一助となることは間違いない。
二 右認定事実によると、仮に、本件各裁決の効力ないしその執行等が停止され、右工事の完成が遅延することになれば、極限状態に達している通勤、通学時の混雑状態がさらに長期にわたつて継続し、また、深刻化することが予測されるのであつて、これに前記第三認定の事実を総合して考察すれば、本件各裁決の効力ないしその執行等を停止するときは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあることが明らかである。
第五以上の次第で、申立人反対同盟の申立は不適法であり、その余の申立人らの申立は理由がないから、本件申立をいずれも却下することとし、申立費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九三条、第九四条を各適用して、主文のとおり決定する。
昭和五三年八月四日
(裁判官 宍戸清七 三宅純一 桐ケ谷敬三)
別紙一ないし七 <省略>
裁決目録
一 収用明渡裁決
(事件番号)
(土地所有者関係人の別)
(申立人の氏名)
四九収八号
土地所有者
持丸秀春
五〇収一七号
関係人
横浜新貨物線反対
同盟連合協議会
五〇収一九号
土地所有者
澤畠光弘
五〇収二〇号
同
持丸秀春
二 使用明渡裁決
(事件番号)
(土地所有者関係人の別)
(申立人の氏名)
四九収一二号
土地所有者
八木貞太郎
同
同
和久井貞夫
四九収一二号
土地所有者
江田重蔵
同
同
高見薫
同
関係人
和久井美知子
四九収一三号
土地所有者
江田重蔵
同
関係人
山岡光雄
四九収一六号
土地所有者
山形加代子
同
同
山岡光雄
同
同
大川信
同
関係人
大川博之
四九収一八号
土地所有者及び関係人
戸田利雄
五〇収二号
関係人
野口信三
同
同
宮田嘉一
五〇収三号
同
上村正己
五〇収四号
土地所有者
小柳静一
同
同
小島時之助
同
同
岩崎善一郎
同
同
郡司良一
同
関係人
鶴見祐吉
五〇収五号
土地所有者
八木カネ
同
同
田中政美
同
同
八木孝幸
五〇収六号
同
吉川和三郎
五〇収六号
土地所有者
三原力
同
同
下藤重一
同
同
荒川隆治
同
同
和久井美知子
五〇収七号
同
佐野卓二
同
同
鶴田良野
同
関係人
鶴田正治
五〇収八号
土地所有者及び関係人
清利彦
同
土地所有者
鈴木敏夫
同
同
鈴木恒子
同
同
渡邊馨
同
関係人
佐倉俊二
同
同
渡邊勉
五〇収九号
土地所有者
黛玖仁代
同
関係人
井上周
同
土地所有者
大村富
五〇収一一号
同
八木貞太郎
以上
裁決対象地目録
事件番号
(収号)
裁決対象地の所在
(いずれも横浜市)
地番
地目
収用、使用する土地面積
(平方メートル)
公簿
現況
1
四九-八
神奈川区松見町一丁目
一六番七
宅地
宅地
四六・五八
2
〃
〃区〃
一六番八
〃
〃
三・七九
3
五〇-一七
〃区神之木町
一一四番三
山林
山林
九九・七一
4
五〇-一九
〃区〃
一一六番
宅地
宅地
二九五・一八
5
五〇-二〇
〃区西寺尾町字芋久保
七三番三
〃
〃
一五一・五六
6
四九-一二
港北区仲手原二丁目
六四三番四八
山林
宅地
九一・六六
7
四九-一三
〃区〃
六四三番五五
〃
道路
八・一九
8
〃
〃区〃
六八八番四三
〃
宅地
六四五・六二
9
〃
〃区〃
〃番四五・六四
山林
道路
二一二・六二
10
〃
〃区〃
〃番四六・六五
〃
〃
二七・七二
11
〃
〃区〃
〃番四八
宅地
宅地
八・七一
12
〃
〃区〃
七〇九番五・九
山林
〃
一六〇・九四
13
四九-一六
〃区〃
六八八番四一
〃
〃
三・八八
14
〃
〃区〃
七〇八番三四
宅地
〃
三・九九
15
〃
〃区〃
〃番三三
〃
〃
五一・一〇
16
〃
〃区〃
〃番三二
〃
〃
二五・六二
17
四九-一八
〃区〃
六四三番五三
〃
〃
三・五七
18
五〇-二
鶴見区岸谷二丁目
一九七五番八
〃
〃
一六・〇九
19
〃
〃区〃
一九六五番一一
〃
〃
一六・四四
20
〃
〃区〃
〃番一二
〃
〃
二八・二三
21
〃
〃区〃
一九七九番三
〃
〃
四・五五
22
五〇-三
〃区〃
一九六四番一四
畑
〃
四五・〇四
23
五〇-四
港北区仲手原一丁目
四七九番一九
宅地
〃
一〇八・六八
24
〃
〃区〃
〃番一六
〃
〃
二四・七五
25
〃
〃区〃
〃番一八
〃
〃
一二・七五
26
〃
〃区〃
〃番九
〃
〃
一一〇・二六
27
〃
〃区〃
〃番一七
〃
〃
四・五〇
28
五〇-五
〃区〃
四七八番三〇
〃
〃
八九・七三
29
〃
〃区〃
〃番二三
〃
〃
二二・四七
30
〃
〃区〃
〃番二七
〃
〃
一〇八・七二
31
五〇-六
〃区〃
〃番九
宅地
宅地
九七・二七
32
〃
〃区〃
〃番二五
〃
〃
一・七四
33
〃
〃区〃
〃番二九
〃
〃
二〇・七九
34
〃
〃区〃
〃番二四
〃
〃
一〇〇・七四
35
五〇-七
〃区〃
四七七番二五
〃
〃
一七五・六三
36
〃
〃区〃
〃番二四
〃
〃
五・二二
37
五〇-八
〃区〃
四七三番三三
山林
〃
八五・〇六
38
〃
〃区〃
〃番三四
〃
〃
一六九・〇六
39
〃
〃区〃
〃番三二
〃
〃
一八・六六
40
〃
〃区〃
〃番三〇
〃
〃
一三九・七二
41
五〇-九
〃区〃
〃番四二
〃
〃
一六〇・八七
42
〃
〃区〃
〃番四一
〃
〃
三八・四二
43
〃
〃区〃
〃番三六
〃
〃
七七・七六
44
五〇-一一
〃区篠原町字会下谷
一一一一番
宅地
〃
一二六・一四
権利目録
申立人
番号
申立人名
裁決対象地)
権利の種類
裁決対象地
又はその直近に
トンネル土被り
(メートル)
所有家屋
居住
1
持丸秀春
1の土地(以下番号のみ)
土地所有権
無
無
(高架)
2
〃
無
無
(〃)
5
〃
無
無
(〃)
2
八木貞太郎
6
〃(持分二〇〇分の四)
無
無
八・二
44
〃(持分四六分の一)
無
無
四・〇
3
澤畠光弘
4
〃(持分一一三六分の一)
無
無
(高架)
4
和久井貞夫
6
土地所有権(持分二〇〇分の一〇)
無
有
八・二
5
和久井美知子
6
土地使用借権、物件所有権
有
有
〃
34
土地所有権(持分三二分の一)
無
無
二四・六
6
江田重蔵
6
〃(持分二〇〇分の一〇)
無
無
八・二
7
土地所有権
無
無
一四・二
8
〃
無
無
一六・七
9
〃
無
無
一〇・五
10
〃
無
無
一四・二
11
〃
無
無
九・三
12
〃
無
無
一二・九
7
山岡光雄
11
土地賃借権、物件所有権
有
有
九・三
13
土地所有権
有
有
一〇・五
14
〃
有
有
九・三
8
山形加代子
15
〃
無
無
九・三
9
大川信
16
〃
無
有
九・四
10
大川博之
16
土地所有権、物件所有権
有
有
九・四
11
戸田利雄
17
土地所有権(持分六二分の六一)
土地使用借権、物件所有権
有
有
一六・七
12
野口信三
18
土地賃借権、物件所有権
有
有
一一・一六
19
〃
有
有
一一・一六
20
〃
有
有
一一・一六
13
宮田嘉一
21
〃
有
有
一〇・九
14
上村正己
22
〃
有
有
一〇・七二
15
小柳静一
23
土地所有権(持分三四分の三三)
有
有
二五・八
16
小島時之助
24
〃(〃)
有
有
二五・八
17
岩崎善一郎
25
〃(持分三三分の三二)
有
有
二五・九
18
郡司良一
26
〃(持分二八八分の二七九)
有
有
二五・九
19
鶴見祐吉
27
土地転賃権、物件所有権
有
有
二五・九
20
八木カネ
28
土地所有権(持分一二九分の四二)
有
有
二五・三
21
田中政美
29
土地所有権
有
有
二五・三
22
八木孝幸
30
〃
有
有
二五・四
23
吉川和三郎
31
〃
有
有
二四・五
24
三原力
32
〃
有
有
二四・五
25
下藤重一
33
〃(持分三二分の三一)
有
有
二四・八
26
荒川隆治
34
〃(〃)
有
有
二四・六
27
佐野卓二
35
〃
有
有
二三・五
28
鶴田良野
36
土地所有権
有
有
二三・六
29
鶴田正治
36
土地使用借権、物件所有権
有
有
二三・六
30
清利彦
37
土地所有権(持分九三分の九二)
土地使用借権、物件所有権
有
有
一五・二
31
鈴木敏夫
38
土地所有権(持分四分の一)
有
有
一四・〇
32
鈴木恒子
38
〃(持分四分の三)
有
有
一四・〇
33
渡邊馨
39
〃
無
無
一一・八
34
佐倉俊二
40
土地賃借権、物件所有権
有
有
一三・一
35
渡邊勉
39
〃
無
有
一一・八
36
黛玖仁代
41
土地所有権(持分九五分の九四)
有
有
一五・三
42
土地所有権
有
有
一五・四
37
井上周
41
土地使用借権、物件所有権
有
有
一五・三
42
〃
有
有
一五・四
38
大村富
43
土地所有権(持分四分の一)
無
無
一三・三
39
高見薫
6
〃(持分二〇〇分の一)
無
無
八・二
40
横浜新貨物線反対
同盟連合協議会
3
物件所有権
(高架)