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横浜地方裁判所 昭和55年(ワ)537号 判決 1980年6月27日

主文

一  被告らは、各自、原告に対し金一、六〇四万六、八〇〇円及びこれに対する昭和五二年一一月五日から右支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は被告らの連帯負担とする。

事実及び理由

一  原告は、別紙(訴状関係部分写)記載のとおり、請求の趣旨及び請求の原因を述べた。

二  被告らは、法定の手続による呼出を受けながら、本件口頭弁論期日に出頭しないし、また答弁書その他の準備書面も提出しない。

三  したがつて、被告らは原告の主張した事実を自白したものとみなす。

四  右事実からすると、原告の本訴請求は、主文一項記載の限度で認容すべきであるが、その余は棄却すべきである。

その理由は、左記のとおり訂正するほか、原告が本訴請求原因一ないし四において主張するとおりである。

1  本件請求原因三の1の入院慰謝料欄、同三の2の通院慰謝料欄、同三の3の入院附添料欄をつぎのとおり改める。

「1 入院慰謝料及び2 通院慰謝料 合計金一二〇万円

原告が受傷時から昭和五三年三月九日までの間高田中央病院に入院したその期間中の入院慰謝料、及び原告が同日から昭和五四年四月二三日治ゆまでの間同病院へ通院したその期間中の通院慰謝料については右各期間の長さ、時期、順序、本件事故の態様、程度等を勘案して右各慰謝料の合計額を金一二〇万円と定めるのが相当である。

3  入院附添料 金一四万二、五〇〇円

原告の入院期間のうち、受傷時から昭和五二年一二月三一日までの五七日間原告のために附添看護を必要としたため、原告の妻が附添看護をした。一日当り金二、五〇〇円の割合。」

2  本件請求原因三の9の後遺症慰謝料欄をつぎのとおり改める。

「9 後遺症慰謝料 金二〇一万円

原告の後遺障害は自賠法施行令二条別表第一〇級に該当するので、その慰謝料額を金二〇一万円と定めるのが相当である」

3  本件請求原因四欄冒頭の「金二二二四七九七二円」を「金二、一四二万九、四七二円」と改め、同四欄末尾の「金一六八六五三〇〇円」を「金一、六〇四万六、八〇〇円」と改める。

五  以上のとおり、被告らには各自、原告に対し、右損害金一、六〇四万六、八〇〇円とこれに対する不法行為の日である昭和五二年一一月五日から右支払済みまでの民事法定利率年五分の遅延損害金の各支払をなすべき義務があり、本訴請求は右義務の履行を求める限度で理由があるが、その余は理由がない。

六  訴訟費用の負担につき、民訴法八九条、九二条但書、九三条一項但書に従い、なお、本件については仮執行の宣言を付するのを不相当と認めてこれをつけないことにする。

(裁判官 海老塚和衛)

請求の趣旨

被告らは、各自、原告に対し金一六八六五三〇〇円と、これに対する、昭和五二年一一月五日以降支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

請求原因

一 原告は次の交通事故により傷害をうけた。

1 発生日時 昭和五二年一一月五日午前八時ころ

2 発生地 横浜市港北区綱島西二丁目二三番二四号先市道上の道路端

3 加害車両 自動二輪車

車両番号 横浜み四三一〇

4 加害車両運転者 被告納満英

5 事故の態様 右日時場所において、道路端を原告が歩行していたところ、進路後方から走行してきた被告納満英運転の加害車両により衝突された。

6 受傷の内容 右足関節脱臼骨折、頭部外傷、右拇指打撲

二 被告納満英は、自己のために前記加害車両を運行の用に供する者であるから自動車損害賠償保障法三条により、本件事故により生じた原告の損害を賠償する責任があり、又、被告納武盛及び被告納ウメは、被告納満英の親権者として、事故当時一六歳であつた同人が、交通事故発生の危険性の著しく高い自動二輪車を運転するに当り、肉体的精神的成熟度が未だ低い同人が事故を起すことのないよう充分に指導監督すべき義務があるのに、これを怠り、同人の加害車両運転を放任していた結果本件事故が発生したのであるから、民法七〇九条により本件事故により生じた原告の損害を賠償する責任がある。

三 本件事故により原告のうけた損害は次のとおりである。

1 入院慰謝料 金一〇二〇〇〇〇円

原告が受傷時から昭和五三年三月九日までの間高田中央病院に入院したその期間中の慰謝料額

2 通院慰謝料 金五六〇〇〇〇円

原告が昭和五三年三月九日高田中央病院退院後昭和五四年四月二三日治ゆまでの間、同病院への通院期間中の慰謝料額

3 入院附添料 金一七一〇〇〇円

原告の入院期間中のうち、受傷時より昭和五二年一二月三一日までの五七日間原告のために附添看護を必要としたため、原告の妻が附添看護をした。一日当り三〇〇〇円。

4 入院雑費 金七五〇〇〇円

原告の入院期間一二五日の雑費である。一日当り六〇〇円。

5 治療関係費 金二三七三九円

原告は昭和五三年三月二五日から同年一一月四日までの間の通院治療費として頭書金員を支出した。右以降は労災保険に切換した。

6 通院交通費 金八九二〇円

原告は昭和五三年三月九日から同年五月二四日までの通院交通費として頭書金員を支出した。

7 休業補償費 金六一七〇八二二円

原告は、受傷時から昭和五三年四月二三日治ゆまでの五三五日間就労不能であり、事故発生前の昭和五一年度において年間四二一万円の収入があつたから、右期間中の休業損害は次の算式となる。

4210000円×535/365=6170822円

8 後遺症逸失利益 金一一七九八四九一円

原告の受傷状態は昭和五四年四月二三日治ゆとなつたが、後遺障害として右足関節背底屈障害が残ることになり、これは自賠法施行令別表第一〇級一一に該当する。原告の症状固定時の年齢は五二歳であり、就労可能年数はあと一五年故に、ライプニツツ係数は一〇・三七九六であるから、後遺症逸失利益は次の算式になる。

4210000×0.27×10.3796=11798491円

9 後遺症慰謝料 金二四二〇〇〇〇円

原告の後遺障害は自賠法施行令別表第一〇級に該当する。故その慰謝料額は頭書金額となる。

四 以上の損害額を合計すると、金二二二四七九七二円となるが、原告は次のとおり一部弁済をうけている。

1 被告らよりの受領額計金三四〇〇〇〇円

内訳

治療費分として 金一〇〇〇〇円

休業補償費分として 金三三〇〇〇〇円

2 自賠責保険からの受領額計金三五二七七五〇円

内訳

逸失利益分として 金一八一〇〇〇〇円

慰謝料分として 金一二一〇〇〇〇円

休業補償費として 金五〇七七五〇円

3 労災保険から休業補償費としての受領額金一五一四九二二円

それ故、右合計金額金五三八二六七二円を差し引くと残額は金一六八六五三〇〇円となる。

五 よつて、原告は、被告らに対し、各自、右損害賠償金一六八六五三〇〇円と、これに対する不法行為の日である昭和五二年一一月五日以降支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の各支払をなすことを求める。

以上

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