横浜地方裁判所 昭和56年(ワ)645号 判決
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【説明】
〔請求原因〕
「2 原告と被告は昭和五二年一二月二〇日次のような契約を締結した。
別紙物件目録記載(一)、(二)の建物(以下「本件(一)、(二)の建物」という)について訴外福清商事株式会社(以下「福清商事」という)のためになされた別紙登記目録記載(エ)の抵当権設定登記(以下「本件(エ)の登記」という。他の登記についてもこの例による)の抹消登記がなされたとき、原告は被告に対し、本件(一)の建物について木村宗民(以下「木村」という)のためになされた本件(ア)、(イ)の各仮登記及び本件(二)の建物について木村のためになされた本件(ウ)の仮登記の抹消登記手続に必要な書類を交付し、これと引換えに被告は原告に対して金五〇〇万円を支払う。
3 原告は昭和五二年一二月二一日木村から本件(ア)、(イ)、(ウ)の各仮登記の抹消登記手続に必要な登記済証二通、木村の白紙委任状を受取つた。
4 昭和五三年一月一三日本件(エ)の登記は抹消された。
5 右事実を知つた原告はその頃被告に対し再三にわたつて3記載の各書類を交付する準備をしたことを通知してその受領を催告すると共に約定の前記金五〇〇万円の支払を求めたが、被告はこれを拒絶した。
よつて原告は被告に対し、前記契約に基づき金五〇〇万円及びこれに対する昭和五三年一月一六日から支払ずみまで商事法定利率の年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。」
〔抗弁〕
「1 前記のとおり、原告が約束に反して金八〇〇万円の支払を要求し、拒絶されるや直ちに前記仮登記移転仮登記をしたことは著しく信義則に反し、被告の金五〇〇万円支払義務は各仮登記が経由されたことにより消滅した。
2 本件各建物はそれぞれ競売の申立を受け、本件(一)の建物は昭和五五年二月二九日、本件(二)の建物は昭和五四年一二月一四日それぞれ競落され、これに伴い、本件(ア)、(イ)、(ウ)の各仮登記(もつとも原告への移転仮登記を経由ずみ)もそれぞれ抹消登記がなされたので、原告の抹消登記関係書類交付義務は履行不能となつて消滅し、その反対給付たる被告の金品支払義務も消滅した。」
〔抗弁事実の認否と反論〕
「2 本件各建物が被告主張のとおりそれぞれ競落され、これにより、原告の仮登記抹消登記関係書類交付義務が履行不能となつたことは認めるが、被告の履行遅滞中に原告の責に帰せられない事由によつて、不能となつたものであるから、被告の金員支払義務にはなんらの影響はない。」
【判旨】
〔請求原因について〕
被告はその金員支払義務を履行する意思がなく、原告の抹消登記関係書類交付義務の弁済の受領を予め拒絶したものと解せられ、原告の口頭による弁済の提供は有効であるといつてよい。
〔抗弁について〕
被告の受領遅滞中に原告の責に帰せられない事由によつて、不能となつたものであるから、反対給付たる被告の金員支払義務にはなんらの消長を来さないものというべきである。
(佐藤安弘)