横浜地方裁判所小田原支部 昭和47年(ワ)245号 判決 1974年9月17日
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
(申立ならびに主張)
第一、原告は、「被告は原告に対し別紙物件目録記載の土地に対する別紙登記目録記載の所有権移転請求権移転の仮登記の抹消登記手続をせよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、請求の原因として次のとおり述べた。
一、原告は、別紙物件目録記載の土地(以下本件土地という)のうち、第一の土地を訴外杉本満義から直接昭和四三年五月五日代金五八五、〇〇〇円で買受け、
第二・第三の土地は、訴外杉本茂雄から、第四の土地は訴外杉本守から、第五の土地は訴外坂本虎雄から、第六の土地は訴外坂本実から、訴外株式会社双葉商事において、その代金は、第二・第三の土地につき合計金三、一一〇、〇〇〇円、第四の土地につき金七五〇、〇〇〇円、第五の土地につき金一、二〇〇、〇〇〇円、第六の土地につき金四、五〇〇、〇〇〇円で買受け、同訴外会社において所有権移転登記の仮登記手続を経由したものを原告において同年三月一五日右訴外会社から同一の条件で買受け、
同年一〇月二九日までの間に原告のためにその所有権移転請求権保全の仮登記手続を了した。
二、ところで、原告は、同四四年一〇月二八日被告から金一五、〇〇〇、〇〇〇円を利息月三分弁済期日同年一二月二七日の約定で借受けることを約し、二カ月分の利息名義で九〇〇、〇〇〇円、礼金名義で一、五〇〇、〇〇〇円を天引した残金一二、六〇〇、〇〇〇円の交付を受け(以下本件貸金債権又は貸金債務という)、その債権担保として原告の本件土地に対する所有権移転請求権を被告に譲渡し、被告のために別紙登記目録記載のとおり所有権移転請求権移転の仮登記(以下本件仮登記という)手続を経由した。
三、しかも、被告は、昭和四四年一二月原告においてその頃なしていた茅ケ崎市梅田地区の宅地開発の事業につき共同で完成させるべく参加することを原告に約し、その際、原告に対し、本件貸金債権に対する未支払利息は免除し元本は右事業完了時まで猶予する旨約した。
したがつて原告の被告に対する本件貸金債務は被告において利息制限法に定める超過利息を元本の支払に充当した残額というべきである。
四、よつて、原告は被告に対し本件債務の支払と引換えに本件土地に対する本件仮登記の抹消登記手続を求める。
第二、被告は主文同旨の判決を求め、請求原因に対する答弁その他の主張として次のとおり述べた。
一、一項は認める。
二、二項のうち、原告が被告からその主張の日に金一五、〇〇〇、〇〇〇円を弁済期日昭和四四年一二月二七日の約定で借受けることを約し、その債権担保として原告の本件土地に対する所有権移転請求権を被告に譲渡し本件仮登記手続を経由したとの点は認め、その余は否認する。
本件貸金に対する約定利息は月五分であつて被告が天引したのはその二カ月分金一、五〇〇、〇〇〇円のみである。
三、三項のうち、被告が原告主張の頃同主張の事業に参加し共同事業にすることを約したとの点は認め、その余は否認する。
四、四項は争う。本来貸金債務の履行とその担保のための登記の抹消とは同時履行の関係にはないから原告の主張は現実の弁済がない限り主張自体失当である。
(証拠)(省略)
物件目録
第一、 伊勢原市上粕屋字中丸二五二四番四
畑 三八六平方メートル
第二、1同市同字二五一三番二
田 一八五平方メートル
2同市同字二五二二番二
畑 一四六平方メートル
3同市同字二五二二番五
畑 七一平方メートル
4同市同字二五二三番四
畑 一六七六平方メートル
5同市同字二五二三番九
畑 五八平方メートル
第三、 同市同字二五一五番
田 二七四平方メートル
第四、 同市同字二五二四番三
畑 四九五平方メートル
第五、1同市同字二五二三番五
畑 五四平方メートル
2同市同字二五二三番一
畑 一三六平方メートル
3同市同字二五二四番五
畑 二二八平方メートル
4同市同字二五二四番一一
畑 五〇八平方メートル
第六、1伊勢原市上粕屋字中丸二五二二番一
畑 一一一三平方メートル
2同市同字二五二二番三
畑 五七平方メートル
3同市同字二五二二番四
畑 四七八平方メートル
4同市同字二五二四番六
畑 六八六平方メートル
5同市同字二五二四番一二
畑 一二九平方メートル
6同市同字二五二三番三
畑 七〇四平方メートル
7同市同字二五二三番八
畑 八一平方メートル
8同市同字二四九九番二
田 二四七平方メートル
9同市同字二四九九番三
田 一一九平方メートル
登記目録
一、別紙物件目録記載第一の物件に対する昭和四四年一〇月二九日横浜地方法務局伊勢原出張所受付第一〇六四七号所有権移転請求権移転の仮登記、
二、同目録記載第二の物件に対する同年一一月一五日同出張所受付第一一二二八号所有権移転請求権移転の仮登記、
三、同目録記載第三の物件に対する同年一〇月二九日付同出張所受付第一〇六四八号所有権移転請求権移転の仮登記、
四、同目録記載第四の物件に対する同年同月同日同出張所受付第一〇六四五号所有権移転請求権移転の仮登記、
五、同目録記載第五の物件に対する同年同月同日同出張所受付第一〇六四六号所有権移転請求権移転の仮登記、
六、同目録記載第六の物件に対する同年同月同日同出張所受付第一〇六四九号所有権移転請求権移転の仮登記、