横浜家庭裁判所 平成9年(家)409号
主文
本件申立てを却下する。
理由
1 申立ての趣旨
申立人は、遺言者が平成6年12月15日にした遺言の執行者として申立人の選任を求めた。
2 当裁判所の判断
(1) 平成8年(家)第××××号ないし××××号相続放棄申述事件、同9年(家)第×××号遺言書検認申立事件及び本件事件各記録によると、遺言者は、平成6年12月15日自筆証書による遺言書を作成し、同7年12月9日死亡したこと、相続人は妻である申立人のほか、その間の子である大竹広美、大竹住夫、大竹ともえ、大竹庄子、遺言者と先妻神田春代との子である神田理、神田尚之、古賀昭子の8名であること(相続人のうち大竹広美、大竹住夫、大竹ともえ、大竹庄子の4名は、平成8年7月10日、相続放棄の申述を受理されたこと)、申立人は、同9年2月3日、上記遺言書検認を申立てると共に、遺言執行者選任の申立もなしたこと、当裁判所において、同年3月7日検認手続きが行われたこと、上記遺言書には下記の記載の内容であり、遺言者名の後に押印があること、を認めることができる。
記
遺言書
私の遺産相続については、一切妻妙子にまかせる。
平成6年12月15日
鎌倉市○○×ノ×ノ××
大竹英
(2) 本件遺言は形式上格別問題となる点は見られない。しかし、本件遺言の内容は、妻である申立人に対し「遺産相続につき一切をまかせる」というものであり、まかせる内容は包括的白紙的であるところ、第三者に委託する行為は、分割方法の指定や相続分など具体的であることが必要であって、この点において本件遺言は無効と解されるばかりでなく、更に、仮に遺言書の「まかせる」の意味を分割方法の指定の委託と解されるとしても、民法908条の委託される「第三者」には相続人は含まれないと解すべきであるから、この点においても無効と解される。従って、有効な遺言書の存在を前提とする遺言執行者選任の申立は却下すべきものである。
3 よって、主文のとおり審判する。