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横浜家庭裁判所 昭和49年(家イ)1531号 審判 1975年1月24日

申立人 甲野花子

右代理人弁護士 成毛由和

同 逸見剛

同 立見廣志

相手方 甲野太郎

主文

申立人と相手方の昭和四九年八月二日届出の神奈川県○○市長に対する婚姻が無効であることを確認する。

理由

申立人は主文同旨の調停を求め、その原因として、申立人と相手方は昭和四七年五月頃職場を通じて知り合い、同四八年八月一五日婚約し、結納を済ませ、翌四九年九月二八日結婚式を挙げる予定でいたところ、その間同年六月末頃二人で旅行をした際相手方が性的不能者であることがわかったことから、申立人は相手方との婚姻意思が全くなくなったけれども、すでに結納も済ませ、結婚式の日取りも決っていた上その原因が上記のように公言をはばかるものであったことから誰にもうち明けられないでいるうち、相手方から再三入籍をうながされたため、同年八月二日やむなく婚姻届出をしたけれども、婚姻意思はなかったから無効である。よって本件申立に及んだ、と述べた。

本件調停期日において当事者間に主文同旨の合意が成立したが、その原因事実につき、相手方は相手方が性的不能者であるとの点については自分は異常ではないと信じていると述べ、また申立人に婚姻の意思がなくなったとの点についてはそのようなことは知らない、しかしながら申立人は相手方が婚姻届出するよう再三求めたにもかかわらず、なかなかこれに応ぜず、また申立人の住所を相手方宅に移すよう要求してもこれに応じなかったが、申立人から婚姻の意思がないというはっきりした言葉を聞いたことはなく、同年九月末頃に至ってはじめて婚姻意思のないことを聞いたと述べたが、その余の事実については争いがない。

よって検討するに当裁判所の事実調査の結果によると、相手方が性的に不能者であるか否かは別として、その余の申立人主張のような事実が認められ、これによれば結局、申立人は相手方との性関係がうまく行かなかったことから相手方と婚姻する意思がなくなったけれども前記のような事情でやむなく婚姻届出に応じたものであるから申立人の本件婚姻の意思は真意に出でたものでなかったと解するのが相当である。従って本件婚姻は無効というべきであるから、調停委員宮地勉、同富塚房子の意見を聴いたうえ、家事審判法第二四条により、主文のとおり審判する。

(家事審判官 村田長生)

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