武蔵野簡易裁判所 事件番号不詳 判決
主文
被告人を罰金弐千円に処する。
右罰金を完納し得ないときは金二百五十円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
被告人は昭和二十七年十月二十日付東京都発行第七七六七号乙種狩猟免許状を有し狩猟に従事しているものであるところ、同年十一月二十三日午前七時過頃有鶏頭二連猟銃第一一〇七六号を携行して桜井民蔵と共に東京都北多摩郡田無町所在三共製薬工場東側に在る同町千四百十六番地の雑木林内に至り狩猟を為すにあたり右桜井と並行して西方より東方に向い草叢中を進行し略ぼ中央部のボサ(茅、葦など雑草がこんもり茂れる状態を通称する)附近を通過するに際し、南方約三間位先のボサ中に小寿鶏一羽が飛び出し東北方のボサ中に飛び去るのを目撃し、その飛び去つた方向に対し自己の猟銃を以て発砲しようとしたものであるが、斯かる場合狩猟に従事する者としては、該ボサが人の隠れる程度の高さであり且つ同伴者があるので発砲に際しては、同伴者が発砲方向に居るや否につき掛声等により合図をなすか又は見透し得る地点に於て発砲する等危険を未然に防止すべき業務上の注意義務があるにも拘らず、これを怠り合図もせず漫然東北方ボサ中に向けて発砲した結果発砲地点より東北方約十七、八米離れたボサ蔭に居た(東北方より被告人の方向に向つて歩行して来たものである)右桜井の身体に弾丸を命中させ、因て同人の顔面部、胸部、腹部、右上膊部等二十一ケ所に全治約二週間を要する散弾盲貫銃創を負はしめたものである。
(証拠説明は省略する。)
法律適用
刑法第二一一条罰金等臨時措置法第二条第三条刑法第一八条刑事訴訟法第一八一条第一項
仍つて主文の通り判決する。(昭和二八年七月三一日武蔵野簡易裁判所)