水戸地方裁判所 平成2年(わ)313号 判決 1990年11月28日
本店所在地
茨城県東茨城郡茨城町上石﨑一、二〇六番地
有限会社石崎製作所
(右代表者代表取締役 石﨑次夫)
本籍
茨城県東茨城郡茨城町大字上石﨑一、二〇六番地
住居
右同所
無職
石﨑信夫
昭和二三年三月一〇年生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官丸山恭及び弁護人井坂啓各出席の上審理して、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社石崎製作所を罰金一、〇〇〇万円に、
被告人石崎信夫を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人石﨑信夫に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社石崎製作所は、茨城県東茨城郡茨城町上石崎一、二〇六番地に本店を置き、自動車部品加工業等を目的とする資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人石﨑信夫は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人石﨑信夫は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、値引き等の架空名目で売上金額の一部を除外し、架空賃金・材料費等を計上するなどの不正な方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和六〇年五月一日から昭和六一年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が六、七八一万八、八〇九円であったにもかかわらず、同年六月三〇日、水戸市北見町一番一七号所在の所轄水戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二二六万九、五六一円で、これに対する法人税額が四一三万五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二、八一八万七、九〇〇円と右申告税額との差額二、四〇五万二、七〇〇円を免れ、
第二 昭和六一年五月一日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が六、二〇九万五、四八五円であったにもかかわらず、同年六月三〇日、前記水戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、四九四万八、五四九円で、これに対する法人税額が五二三万五、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二、五〇三万七、七〇〇円と右申告税額との差額一、九八〇万一、八〇〇円を免れ、
第三 昭和六二年五月一日から昭和六三年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四、三二七万六、一六七円であったにもかかわらず、同年六月三〇日、前記水戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、二四九万六、二二六円で、これに対する法人税額が八四六万一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一、七一八万八、八〇〇円と右申告税額との差額八七二万七、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一 被告人石﨑信夫の
(一) 当公判廷における供述
(二) 検察官に対する供述調書四通
一 登記官山本善也作成の登記簿の謄本
一 水戸税務署長矢田桂一作成の回答書二通
一 検察事務官江幡正作成の電話聴取書二通
一 石崎民子(二通)、藤咲馨(三通)の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官大橋眞作成の売上高調査書、賃金調査書、接待交際費調査書、雑費調査書、雑収入調査書、交際費等の損金予算入額調査書、事業税認定損調査書及びその他所得調査書
一 大蔵事務官山口信貴作成、同木村徹男作成、同神谷一郎作成(抄本)、同佐藤英作成(抄本)の各検査てん末書
一 株式会社常陽銀行長岡支店長佐藤孝治作成、株式会社新和製作所総務部長川崎健市作成の各答申書
判示第一及び第二の各事実につき
一 大蔵事務官大橋眞作成の材料仕入高調査書及び外注加工費調査書
一 鈴木堅次、横須賀きぬ枝の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官塩原義文作成、同丸山秀春作成、同小曽戸常治作成の各検査てん末書
一 石﨑信夫作成の答申書
一 検察官吉田広司作成の報告書
判示第二及び第三の各事実につき
一 大蔵事務官大橋眞作成の特別減価償却費調査書
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官大橋眞作成の減価償却費(製造原価)調査書
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人石﨑信夫については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一、〇〇〇万円に、被告人石﨑信夫について同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人石﨑信夫に対し同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
そこで、主文のとおり判決する。
(裁判官 鈴木秀夫)