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水戸地方裁判所 平成5年(わ)274号 判決 1993年12月22日

本店の所在地

茨城県結城郡八千代町大字平塚一、八一九番地

法人の名称

大里産業株式会社

代表者の住居

同県古河市大字古河五九〇番地の一二

代表者の氏名

大里豊

本籍

茨城県古河市大字古河六六〇番地

住居

同市大字古河五九〇番地の一二

会社役員

大里豊

昭和一九年二月一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官白木功及び弁護人小林英雄各出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人大里産業株式会社を罰金二、〇〇〇万円に、被告人大里豊を懲役一年に処する。

被告人大里豊に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人大里産業株式会社(以下、「被告会社」という。)は、茨城県結城郡八千代町大字平塚一、八一九番地に本店を置き、土木工事の請負業等を目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人大里豊は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人大里豊は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外したり、架空材料費や架空経費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が四七、六三三、四二八円(別紙<1>修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、平成元年一一月三〇日、所轄税務署である同県下館市大字二木成八二三番地所在の下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇、七一〇、四七六円でこれに対する法人税額が三、四二六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一八、九三四、二〇〇円と右申告税額との差額一五、五〇七、七〇〇円(別紙<4>ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一〇二、二九六、一八九円(別紙<2>修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、平成二年一一月三〇日、前記下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一六、八一〇、四九四円でこれに対する法人税額が五、七二三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三九、九一七、九〇〇円と右申告税額との差額三四、一九四、四〇〇円(別紙<5>ほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六〇、四三六、七一三円(別紙<3>修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、平成三年一一月三〇日、前記下館税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九、四三七、一二二円でこれに対する法人税額が六、一六六、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二一、五四一、五〇〇円と右申告税額との差額一五、三七四、七〇〇円(別紙<6>ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  下館税務署長作成の回答書二通

一  大蔵事務官作成の各調査書(計一六通)

一  右同作成の査察官報告書四通

一  藤田薫作成の答申書六通

一  荻野谷君枝及び藤田薫の検察官に対する各供述調書

一  飯塚ひさ子(二通)、飯塚和英、金子要蔵、小暮博、金子勇、中島功(二通)、水書徹、諏訪賢一及び片倉章各作成の質問てん末書

一  松本たか江及び高橋昇各作成の答申書一通宛

一  被告人の検察官に対する供述調書一一通

一  被告人作成の答申書一二通

一  被告人の当公判廷における供述

(法令の適用)

被告人大里豊の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人大里豊を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文によりその一部を同被告人に負担させることとする。

更に、被告人大里豊の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二、〇〇〇万円に処することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文によりその一部を被告会社に負担させることとする。

(量刑の理由)

本件犯行は、被告人大里豊が被告会社の代表者として、その業務に関し、昭和六三年一〇月から平成三年九月末日までの三年間にわたり、売上除外あるいは架空材料費や架空経費の計上等の方法により実際の所得を隠して法人税を免れたというもので、ほ脱税額は起訴された三年分だけでも約六、五〇〇万円に上り、ほ脱率も平均して約七八パーセントに及ぶ。犯行の動機も、要するに将来に備えて個人資産を蓄積しておきたいというだけであって、特に汲むべき点は認められない。以上のような本件犯行の動機、態様、結果等からすれば、被告人の責任は重大であるが、被告人は本件が発覚するや(当然のことながら)一切の非を認めて税務調査に協力し、改悛の情も顕著であること、取引形態を一部改善し、この種事犯の再発防止を図っていること、修正申告をして本税の一部を納付し、本税の残り及び付帯税については今後分割して納付する予定であること、これまで交通事犯による罰金刑以外にはさしたる前科がないこと等を被告人に有利な事情として考慮し、刑を量定した。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 大東一雄)

別紙<1>

修正損益計算書

<省略>

別紙<2>

修正損益計算書

<省略>

別紙<3>

修正損益計算書

<省略>

別紙<4> ほ脱税額計算書

<省略>

別紙<5> ほ脱税額計算書

<省略>

別紙<6> ほ脱税額計算書

<省略>

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