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水戸地方裁判所 昭和40年(ワ)193号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕ところで成立に争いのない甲第一号証の東京手形交換所交換規則第二一条第一項には「手形の返還を受けたる銀行は所定の書式(様式18参照)により所定の時限までに其旨を当交換所に届出つることを要する、但し支収義務者の信用に関せざるものと認めたる場合は此の限に在らず」(昭和四〇・四・一改正実施)と規定されており、前記当事者間に争いのない原告による本件手形の支払拒絶は前段説示により既に正当として是認できるのであるから、右規則第二一条第一項但書にいわゆる支払義務者の信用に関しないものと解するのが相当である。然るに被告は前記のとおり右条項本文に従い前記手形交換所に対して本件手形の不渡届をしたので、<証拠>によれば、被告は右規則第二一条との関連において定められた「手形不渡届通知方式と異議申立事務等取扱い要領(交換所通知昭和四〇・四・一改正実施)(8)「異議申立提供金の返還」(A)の定めるところに従い、事故解消したものとして前記手形交換所に対し不渡処分取止め請求をしなければならないから、被告に対し右の請求をすることを求める原告の本訴請求は全部理由があるから正当としてこれを認容すべきものとする。

(本件訴訟物の価額について)

原告は本件訴訟物の価額は提供金全額によるべきではなく、右金額に対する商事法定利率年六分の割合による利息相当額に準拠すべきである旨主張するので、この点につき左に判断することとする。

およそ訴訟物の価額は原告の訴をもつて主張する利益によるものであることはいうまでもないことで、本件の場合については原告主張の右の説以外にも(一)信用に関するものであるから算定不能とする説(二)不渡処分取止め請求に要する費用によるものとする説(三)異議申立提供金全額によるものとする説等の諸説があるが、前記一、二の説はとにかくとして原告の本訴をもつて主張する直接の利益は前記当事者間に争いのない提供金五、〇〇〇万円そのものの回復にあるのではなく、前記甲第一号証によれば、前記事務等取扱い要領(8)「異議申立提供金の返還」Bの(a)の定めるところにより不渡届出銀行から不渡処分取止め請求書が提出された場合前記手形交換所は右提供金を返還しなければならないが、右Bの(d)の定めるところにより異議申立の日より満三カ年経過した場合(右期間中は無利息)にも他に特段の事情のない限り右手形交換所は右金員を返還しなければならないことを考えるときは右の利益は寧ろ不渡処分取止め請求をすることによつて取引停止処分に付されることなく、右期間中の右金員の利用価値を回復する点にあるものというべく、これを評価することは困難であるが、右の価額は概算的に少くとも右金員に対する右期間(三年間)の商事法定利率(原告が株式会社であることは当事者間に争いがない)年六分の割合による利息相当額金九〇〇万円とするのが最も合理的であると考える。なお反対説もあるが、訴訟費用負担の法則は性質上は任意的な実体規定であつて裁判所は右の点に関する当事者の合意に拘束されるものと解されるところ、当事者間に訴訟費用は各自の負担とする旨の合意が成立していること当事者間に争いがないので、訴訟費用の負担につき右の合意に従い、主文のとおり判決する。(林正行)

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