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水戸地方裁判所 昭和42年(ワ)171号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕判示の事実関係の下での本件債権譲渡行為は、弁護士法七二条の適用を免れるために信託譲渡の形式を利用したものであつて、信託法一一条で禁止されている訴訟信託に該当し無効である。

〔判決理由〕訴外会社は昭和四二年五月三一日原告に対し、前記請負代金債権および立替金償還債権を、他の回収が困難と思料される債権とともに譲渡するとともに、原告との間に、原告において以上の債権を取立てた上自己の訴外会社に対する立替金等の債権の弁済に充当し、右の取立に関する費用および報酬は訴外会社において支払うことを約した上、同年六月五日被告に対し単純な債権譲渡の通知をしたことが認められ、以上の事実に徴すると、右の債権譲渡は取立を目的とする信託的譲渡と解するのが相当である。

ところで被告は、叙上の請負代金債権および立替金債権の譲渡は、訴訟行為をなさしめることを主たる目的とするものであるから信託法第一一条に違反し無効である旨主張するので、この点につき以下判断をすすめる。

<証拠>を総合すると、つぎの事実が肯認でき、この認定を左右するに足りる証拠は存在しない。すなわち

原告は吉田豊の依頼により昭和四二年一月末頃から、当時既に資金繰りに困難を来たしていた訴外会社につき、紛争の法律的処理等に関する経験を生かして売掛代金の回収や負債の免除ないし支払の猶予のための折衝等の仕事を担当し、同年四月訴外会社の倒産後はその整理に関与してきたものであつて、被告に対する前記債権についても取立のため被告と交渉を重ねたが、双方の主張は対立し結局目的は達せられなかつた。そこで原告は昭和四二年二月七日訴外会社のため、水戸簡易裁判所に被告を相手方とする調停の申立手続をなし、調停期日には吉田豊とともにまたは単独で出頭して種々主張するところがあつたが、結局被告の容れるところとならず妥結の見通しはたたなかつた。かくするうち原告は同年五月三一日訴外会社から、前記債権を始め回収が困難と思料される債務者を異にする一三口の債権を、訴訟その他の手段により行使する目的のもとに譲受け、弁済をえた金員は訴外会社の自己に対する債務の弁済に充当し、なお権利行使に要した費用ならびに報酬は訴外会社から支払を受けることを約した。そして原告は被告に対する前記債権の実現を求めて弁護士に訴訟を委任し、同年七月一七日本件訴訟の提起を見るにいたつた(訴提起の点は記録上明らかである)。以上。

はたしてそうであるとすれば、前記請負代金債権および立替金債権の譲渡は、その一面において、信託譲渡の形式を利用して弁護士法第七二条の適用を免がれようとするいわゆる脱法行為といわざるをえないのであつて、信託法第一一条の禁止する訴訟信託に該当し、無効であるものといわなければならない。(石崎政男)

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