水戸地方裁判所 昭和48年(ワ)54号 判決
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【判旨】
力男が原告に対しその所有権取得の登記の欠缺を主張しうる正当の利益を有する第三者ではない旨の原告の主張について検討する。
<証拠>を総合すれば、力男は昭和三九年一〇月六日被告日賀野から甲地に近接する土地四反歩を買受けたが、その土地の一部を被告日賀野が他人に売却してしまい、力男に引渡しうる土地が四反歩に足りなくなつたため、力男は被告日賀野に対してその責任を強く追及し、前記二判示のとおり既に被告日賀野から原告に売渡されていたA土地部分及びB土地部分を含む甲地及び乙地を右四反歩に不足する分の代りに被告日賀野から買受けて自巳の損害を埋め合わせようとしたこと、原告は力男が被告日賀野から甲地及び乙地を買受ける以前に前記二判示のとおり甲地のうちA土地部分及び乙地のうちB土地部分を買受けてその引渡を受けたこと、原告は昭和三八年八月ころA土地部分上に居宅を建築してこれに家族ともども居住し、またA土地部分に道路を挾んで隣接する乙地のうちB土地部分を使用し、その立木を伐採したりして収益していたこと、力男は、そのことを知りながら、A土地部分及びB土地部分について被告日賀野から原告への所有権移転登記が経由されていないのを奇貨とし、自己に対する契約違背の故に拒絶しえない被告日賀野に強く要求して、原告に先じて甲地及び乙地について自己への所有権移転登記を経由することにより、原告からA土地部分及びB土地部分に対する権利を奪取しようとして前記のとおり被告日賀野から甲地及び乙地を買受けたものであることが認められ、この認定を妨げる証拠はない。
右認定事実によれば、力男は背信的悪意者というべきであつて、原告のA土地部分及びB土地部分に対する各所有権取得について登記の欠缺を主張する正当の利益を有する第三者とはいえない。そして力男の相続人として同人の権利義務をそれぞれ承継取得した被告久松及び被告ヨシも力男と同様に原告に対し右登記の欠缺を主張しえないものというべきである。
(下澤悦夫)