水戸地方裁判所 昭和52年(タ)11号 判決
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【判旨】
三右認定を総合すれば、本件婚姻は既に破綻しているものというべく、右破綻に至つた原因は、暴力や被告の女性関係に基づくものではなく、原告と被告との性格の相違、以前からの被告の原告及びその母やえに対する日常の態度に起因する原告の不満、嫌悪感情が、被告にその責任があると原告が考えている家業の薬局倒産を契機にして確定的に発現したことによるものと認めるのが相当である。
ところが性格の相違がそのまま離婚原因になるとは婚姻の性質上直ちに認め難いところであるが、婚姻は両性相互の協力、扶助により維持すべきもので、相手の性格に対する思いやりを欠き、相手方の協力要請に応ぜず、自己中心で相手方を無視ないし冷遇するような態度をとることにより、相手方が婚姻継続の意思を失うに至つたような場合には、右破綻の原因に相手方の性格が若干寄与しているとしても、前記のような態度をとつた者に主としてその破綻の原因が存するものというべきである。これを本件についてみるに本件婚姻継続の意思を原告が失つたのは、両者間の性格的な差異及び原告の過度に神経症的な性格にも一因があると推認されないでもないが、主たる原因は原告のそのような性格に対する被告の思いやりのなさと、原告を冷遇ないし無視し、家業の薬局経営やその経済状態について原告に何ら相談しないばかりか、日常の夫婦としての意思疎通、会話を求める原告の要請を受け付けず、その結果明確な理由も分らないまま先代からの家業を倒産に至らせた被告の所為によるものすなわち本件婚姻の破綻は主として被告の責に帰すべき事由に基づくものと認めるのが相当である。
四右のような事情は婚姻を継続し難い重大な事由に当たるものと認められるから、原告の離婚請求を認容することとするが、慰藉料額について検討するに本件婚姻の経過、それが破綻に至つた事情、原因、その原因には原告の神経やみ的性格と当事者間で如何ともし難い性格の不一致もその一因をなしていること、被告も倒産に至るまでは小島薬局経営に相当努力していたこと、被告には特段の資産もなく現在日傭運転手として働いていること等を考慮すれば、三〇万円が相当であると認める。
(早井博昭)