水戸地方裁判所 昭和55年(わ)179号 判決 1980年6月23日
本籍・住居
茨城県稲敷郡牛久町大字柏田三二六三番地
会社役員
蔵持実
昭和二三年一月二日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官池上政幸出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金三、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、茨城県稲敷郡牛久町大字柏田三、二六三番地に居住し、同所において不動産売買・建築業を営んでいた蔵持徳三郎の従業者で、右蔵持徳三郎から委任され、右事業の経理・出納その他業務全般を統轄していたところ、同人の業務に関し、同人の所得税を不正の行為により免れようと考え、公表経理上売上げの一部を除外するとともに、架空の経費を計上するなどした上、これによって得た収入を架空名義の銀行預金とするなどの方法で所得を秘匿し、
第一 昭和五一年中における総所得金額が五五、一三六、七七六円で、これに対する所得税額は、二九、〇三二、一〇〇円であるにもかかわらず、昭和五二年三月一五日、茨城県竜ケ崎市川原代町字古川一、一八二番地の五所在の竜ケ崎税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が五、七四三、六四九円で、これに対する所得税額が八五一、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額と右申告税額との差額二八、一八〇、九〇〇円をほ脱し、
第二 昭和五二年中における総所得金額が六〇、二四六、三二七円で、これに対する所得税額は、三二、一二一、六〇〇円であるにもかかわらず、昭和五三年三月一五日、前記竜ケ崎税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一二、九二一、八三一円で、これに対する所得税額が三、五〇八、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額と右申告税額との差額二八、六一三、三〇〇円をほ脱し、
第三 昭和五三年中における総所得金額が八五、八八八、二一〇円で、これに対する所得税額は、五〇、七五四、五〇〇円であるにもかかわらず、昭和五四年三月一五日、前記竜ケ崎税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一五、九六六、九八〇円で、これに対する所得税額が四、八九六、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額と右申告税額との差額四五、八五八、〇〇〇円をほ脱し
たものである。(なお、右各所得の内容は別紙(一)ないし(三)の各修正損益計算書記載のとおりであり、各税額の計算は別紙(四)ないし(六)の各脱税額計算書記載のとおりである。)
(証拠の標目)
判示事実全般につき
一 吉田和子の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書
一 安達智子の大蔵事務官に対する各質問てん末書(四通)及び検察官に対する供述調書
一 大山明の大蔵事務官に対する各質問てん末書(二通)及び検察官に対する供述調書
一 竜ケ崎税務署長作成の昭和五四年七月三〇日付及び同五五年二月四日付(竜所一-四四四と記載のあるもの)各証明書
一 検察事務官作成の「所在地確認について」と題する書面
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の大蔵事務官に対する昭和五四年六月一二日付、一三日付、一四日付、一五日付、一六日付、同五五年一月一八日付各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書(二通)
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の「昭和五一年分所得税の査察更正・加算税の賦課決定決議書」と題する書面
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の「昭和五二年分所得税の査察更正・加算税の賦課決定決議書」と題する書面
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の「昭和五三年分所得税の査察更正・加算税の賦課決定決議書」と題する書面
別紙(一)ないし(三)の勘定科目「売上高」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五五年一月二三日付調査書
一 被告人の大蔵事務官に対する昭和五四年一一月七日付、同年一二月二一日付及び同五五年二月一日付各質問てん末書
同勘定科目「期首たな卸高」「期末たな卸高」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五五年一月九日付、一四日付及び二五日付各調査書
一 蔵持勇の大蔵事務官に対する同年同月二一日付質問てん末書及び検察官に対する供述調書
一 被告人の大蔵事務官に対する昭和五四年一二月六日付、一八日付及び一九日付各質問てん末書
同勘定科目「仕入高」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五五年一月二二日付(浅間博作成にかかるもの)及び一〇日付各調査書
一 被告人の大蔵事務官に対する昭和五四年一二月五日付及び一四日付各質問てん末書
同勘定科目「一般経費」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五四年一二月二四日付及び同五五年一月八日付各調査書
一 被告人の大蔵事務官に対する昭和五四年一二月一七日付及び二五日付各質問てん末書
同勘定科目「減価償却費」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五四年一二月一四日付調査書
同勘定科目「給料賃金」につき
一 大蔵事務官坂詰忠夫作成の昭和五五年一月二二日付調査書
同勘定科目「支払利息」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五四年一二月一八日付調査書
同勘定科目「白色専従者控除」につき
一 大蔵事務官坂詰忠夫作成の昭和五四年一二月二五日付調査書
同勘定科目「雑収入」につき
一 大蔵事務官久我敏郎作成の昭和五四年一二月二五日付調査書
同勘定科目「譲渡所得」につき
一 大蔵事務官作成の昭和五四年一二月一五日付調査書
(法令の適用)
所得税法二三八条一項(併科)、二項、一二〇条一項三号、二四四条一項、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に法定加重)、四八条一項、二項、一八条、(懲役刑につき)二五条一項
(裁判官 小田部米彦)
別紙(一) 修正損益計算書
(事業所得)
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
<省略>
修正損益計算書
(事業所得以外の所得)
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
<省略>
修正損益計算書
(総所得)
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
<省略>
別紙(二) 修正損益計算書
(事業所得)
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
<省略>
修正損益計算書
(事業所得以外の所得)
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
<省略>
修正損益計算書
(総所得)
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
<省略>
別紙(三) 修正損益計算書
(事業所得)
自 昭和53年1月1日
至 昭和53年12月31日
<省略>
修正損益計算書
(事業所得以外の所得)
自 昭和53年1月1日
至 昭和53年12月31日
<省略>
修正損益計算書
(総所得)
自 昭和53年1月1日
至 昭和53年12月31日
<省略>
別紙(四) 脱税額計算書
自 昭和51年1月1日
至 昭和51年12月31日
<省略>
別紙(五) 脱税額計算書
自 昭和52年1月1日
至 昭和52年12月31日
<省略>
別紙(六) 脱税額計算書
自 昭和53年1月1日
至 昭和53年12月31日
<省略>