水戸地方裁判所竜ケ崎支部 昭和56年(ワ)19号 判決
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【判旨】
そこで被告らの責任原因について判断する。
1 被告関根について
<証拠>によると、甲第一号証の一、二(いずれもナショナルクレジット購入契約書)の購入者、口座名義人欄の金融機関お届印欄に顕出された「関根」の印影はいずれも被告関根の印によるものであること、右各契約書のうち、甲第一号証の二に記載された被告関根名義の銀行口座は、被告関根が開設したものであること、甲第一号証の二の保証人欄の関根澄子(被告関根の妻)の署名押印は同人がしたものであること、訴外宮川と被告関根は親類に当り、被告関根は訴外宮川から電気製品を購入する等の関係にあつたこと、被告関根は、甲第一号証の一、二の契約について自分は知らないと争い出したのは、被告宮川が倒産した昭和五五年八月からしばらく経過した後であつたことが認められる。
又<証拠>によると、旧会社は割賦販売購入契約の申込があるときは、購入契約申込者の信用、資力を調査した上で購入契約を締結するもので、一定の基準に達しないものとは契約しないこと、割賦販売契約の申込を承諾したときは、その金額を確認すると同時に、割賦代金を買受人の銀行口座から自動振込の方法で支払を受けるため、甲第九号証の一、二(ご契約のお礼、お支払のご案内)に右内容を記入し、これを必ず買受人に対し発送していること、甲第一号証の一の購入契約の割賦代金として、昭和五四年七月分から昭和五五年七月分まで、訴外宮川が開設したものと推認される被告関根名義の銀行口座から、甲第一号証の二の購入契約の割賦代金として昭和五五年七月分が被告関根の銀行口座から旧会社に自動振込されたこと、旧会社の従業員佐久間一雄は、被告関根方に甲第一号証の一、二の申込があつた都度電話したところ、被告の妻関根澄子が出て、右申込は間違いがない旨応答したこと等の事実が認められる。
これらの事実を併せ考えると、訴外宮川が被告関根の名義をもつて旧会社に割賦販売購入契約の申込をした甲第一号証の一、二は、被告関根の了解のもとになされたものと推認するのが相当であり、これに反する被告関根勇本人尋問の結果の一部は採用できず、他に右認定を妨げる証拠はない。
2 被告宮川について
<証拠>によると、旧会社の従業員である佐久間一雄は、旧会社に甲第二号証(ナショナルクレジット購入契約書)による購入契約の申込があつた当時(昭和五四年九月)、購入申込者欄に記載のあつた被告宮川方を訪ねたところ、被告宮川は不在であつたが、同人の妻宮川澄子と被告宮川と同居中の父の二人がいて、両名が甲第二号証のような申込をしたことを認めていたこと、その後旧会社の決算期である昭和五五年五月右佐久間が残高確認のため被告宮川方を訪ね、被告宮川の父から残高確認書(甲第七号証)の交付を受けたこと被告宮川の父が右残高確認書の残高を確認するに当つては、他出していた被告宮川に直接電話照会した上で作成したこと、旧会社及び原告は、訴外宮川が倒産した昭和五五年八月前に甲第二号証の契約に関し被告宮川から異議を述べられたことはなかつたこと、<証拠>によると、訴外飯田は被告宮川の父方の叔父に当ることが認められる。
以上の事実に、前認定の割賦販売契約締結に当り、申込者に対し所要の代金額、割賦代金の支払方法を記載した甲第九号証の一、二を発送している事実を併せ考えると、訴外宮川が被告宮川の名義をもつて旧会社に割賦販売購入契約の申込をした甲第二号証は、被告宮川の承諾のもとになされたものと推認するのが相当であり、これに反する<証拠>はにわかに採用できない。
3 被告飯田について
<証拠>によると、旧会社の従業員佐久間一雄は、甲第三号証(ナショナルクレジット購入契約書)による購入契約の申込があつた当時(昭和五五年一月)被告飯田方に電話照会したところ、電話に出た被告飯田の妻が申込をしたことを認めていたこと、右佐久間が船戸と同道して、昭和五五年五月頃被告飯田方を訪ね、甲第三号証の割賦販売契約の残代金の確認を求めたところ、被告飯田が残高確認書(甲第五号証)に自ら署名したこと(このことは当事者間に争いがない。)被告飯田の妻まち子と訴外宮川は従兄弟であること、旧会社及び原告は、訴外宮川が倒産した昭和五五年八月前に甲第三号証の契約に関し、被告飯田から異議を述べられたことはなかつたこと等の事実が認められ、これらの事実を併せ考えると、訴外宮川が甲第三号証の契約申込に当り、被告宮川の名義を使用したのは、被告宮川の承諾のもとでなされたものと推認するのが相当であり、この認定に反する<証拠>は、にわかに採用できない。
4 被告古川について
<証拠>によると、旧会社の従業員佐久間一雄は、甲第四号証(ナショナルクレジット購入契約書)による購入契約の申込があつた昭和五四年九月被告古川方を訪ね、同人から甲第四号証の申込は間違いない旨の確認を得、更に昭和五五年五月被告古川に甲第四号証の契約による残高確認を求めたところ、甲第六号証(残高確認書)に自ら署名押印したこと(このことは当事者間に争いがない。)、ところがその後の昭和五五年八月訴外宮川が倒産した後になつて、被告古川は訴外宮川に名義を貸しただけで品物は受取つていないとして争う態度を取るにいたつたことが認められ、この事実によると、訴外宮川が旧会社に対し、被告古川の承諾を得て、同人名義を使用して甲第四号証の契約の申込をしたものと認められ、他にこの認定を妨げる証拠はない。
5 ところで割賦販売契約は、一種の与信契約であつて、買受人の資産収入、信用等が重視されるもので、旧会社においても、一応の基準を設けてその調査をした上で割賦販売契約を締結していたものであつて、他人名義を使用して割賦販売契約の申込をするのは、相手方の右の点についての判断を誤らせる違法のものというべく、自ら債務を負担する意思がないのに他人に自己の名義を使用して割賦販売契約の申込を許諾したものは、右違法行為に加担したものとして、これによつて生じた損害を賠償する義務があると解するのが相当である。
前認定のとおり、旧会社は、甲第一号証の一、二の契約の申込名義人である被告関根甲第二号証の契約申込名義人である被告宮川、甲第三号証の契約の申込名義人である被告飯田、甲第四号証の契約の申込名義人である被告古川が、いずれも真実の買受申込人と信じてその資産、信用を前提としていろいろの契約を締結したところ、これらはいずれも訴外宮川が被告らの許諾を得て被告らの名義を使用して契約したものであるから、被告らはこれによつて生じた原告(旧会社)の損害を賠償する義務がある。 (菅原敏彦)