津地方裁判所 平成3年(わ)181号 判決 1991年12月03日
本店所在地
三重県北牟婁郡紀伊長島町東長島一一六五番地
東建生コン株式会社
(代表者代表取締役 服部隆次)
本籍
三重県北牟婁郡紀伊長島町東長島一一二二番地
住居
同 紀伊長島町東長島一一五三番地の一
会社役員
東昇
昭和九年一月二九日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社東建生コン株式会社を罰金一五〇〇万円に、同東昇を懲役一年に各処する。
被告人東昇に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人東建生コン株式会社は、三重県北牟婁郡紀伊長島町東長島一一六五番地に本店を置き、生コンクリートの製造並びに販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円の会社であり、被告人東昇は、同会社の実質上の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同会社の事実上の経理責任者樋口健一らと共謀の上、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上するなどの不正な方法により所得の一部を秘匿した上
第一 昭和六二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が、三七七一万三一六八円であり、これに対する法人税額が一四六八万六三〇〇円であるのに、昭和六三年二月二七日三重県尾鷲市末広町一番三〇号所在の所轄尾鷲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が、一三四八万七三六八円で、これに対する法人税額が四五一万一三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、正規の法人税額との差額一〇一七万五〇〇〇円を免れ
第二 昭和六三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が、五八三七万三〇八八円であり、これに対する法人税額が二三三九万四七〇〇円であるのに、平成元年二月二三日、前記尾鷲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六四五万二八八二円であり、これに対する法人税額が五七八万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、正規の法人税額との差額一七六〇万六九〇〇円を免れ
第三 昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が、六二七二万六八四五円であり、これに対する法人税額が二五一八万一八〇〇円であるのに、平成二年二月二八日、前記尾鷲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三〇二万八九〇〇円であり、これに対する法人税額が四三〇万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により、正規の法人税額との差額二〇八七万三二〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人東昇及び被告人会社代表者服部隆次の当公判廷における各供述
以上のほかは検察官請求証拠等関係カード甲番号2から11まで、13から29まで、31から37まで、40から46まで及び乙番号1から8まで記載の各証拠を、証すべき公訴事実の別欄の記載ともども、引用する。
(法令の適用)
罰条 被告人両名につき、判示の各行為はいずれも法人税法一五九条、一六四条一項、被告人東については更に刑法六〇条(被告人東につき各懲役刑選択)
併合加重 被告人会社につき同法四五条前段、四八条二項、被告人東につき同法四五条前段、四七条本文、一〇条(第三の罪の刑に)
刑の執行猶予 被告人東につき同法二五条一項
(量刑の理由)
本件は、帳簿の改ざんをも伴う三か年にわたる脱税の事犯で、脱税額・脱税率共に少なしとしないが、被告人会社、同東昇とも本件の査察摘発を契機に安易に脱税行為に及んだことを反省し、修正申告をなして正規の税額を納付したほか、所定の重加算税等も完納し、今後は脱税をしないことを誓約しているので、被告人東昇に対しては今回に限り刑の執行を猶予することとした。
よって、主文のとおり判決する。
(検察官鈴木實、被告人両名弁護人大室征男公判出席)
(裁判官 油田弘佑)