津地方裁判所 平成4年(わ)102号・平4年(わ)158号・平4年(わ)73号・平4年(わ)71号・平4年(わ)16号・平4年(わ)157号・平4年(わ)160号・平4年(わ)142号・平4年(わ)93号・平4年(わ)131号・平4年(わ)72号・平4年(わ)48号・平4年(わ)112号・平4年(わ)120号・平4年(わ)138号・平4年(わ)144号・平4年(わ)212号・平4年(わ)196号・平4年(わ)164号・平4年(わ)162号・平4年(わ)47号 判決
第一事件番号・事件名等
平成四年(わ)第一六号・平成四年二月一一日付(以下Aという)、同第四八号・同年三月二七日付(以下Bという)、同第七一号・同年五月一四日付(以下Cという)、同第七二号・同日付(以下Dという)、同第七三号・同日付(以下Eという)、同第九三号・同年六月一九日付(以下Fという)、同第一〇二号・同年七月六日付(以下Gという)、同第一一二号・同月一七日付(以下Hという)、同第一二〇号・同月二七日付(以下Iという)、同第一三一号・同年八月六日付(以下Jという)、同第一三八号・同月一四日付(以下Kという)、同第一四二号・同月二〇日付(以下Lという)、同第一四四号・同月二四日付(以下Mという)、同第一五七号・同年九月二日付(以下Nという)、同第一五八号・同日付(以下Oという)、同第一六〇号・同月三日付(以下Pという)、同第一六二号・同月四日付(以下Qという)、同第一六四号・同日付(以下Rという)、同第一九六号・同年一〇月二二日付(以下Sという)、同第二一二号・同年一一月一三日付(以下Tという)及び平成五年(わ)第四七号・同年二月一九日付(以下Uという)
各詐欺被告事件
第二被告人の表示(省略)
第三 主文
1 被告人aを懲役八年、同bを懲役五年、同cを懲役三年、同dを懲役二年、同eを懲役三年、同fを懲役二年六月に各処する。
2 未決勾留日数中、被告人a、同b及び同cに対し二二〇日、同dに対し八〇日、同e及び同fに対し一二〇日をそれぞれの刑に算入する。
3 この裁判確定の日から、被告人c及び同eに対し五年間、同d及び同fに対し三年間、それぞれの刑の執行を猶予する。
4 本件公訴事実中、Bの別表番号1から9まで、Hの別表番号1から5まで、Iの別表番号1から10まで、Mの別表番号1から12まで、Nの別表番号1、Oの別表番号1から6まで、Pの別表番号1、2、Qの別表番号1から18まで、Rの別表番号1、2、Sの別表番号1から3まで及びT第二の別表二番号1、2について、被告人fはいずれも無罪。
第四 理由
一犯罪事実
当裁判所の認定した罪となるべき事実は、表記AからUまでの起訴状記載の各公訴事実(但し、被告人fについては、Bの別表番号1から9まで、Hの別表番号1から5まで、Iの別表番号1から10まで、Mの別表番号1から12まで、Nの別表番号1、Oの別表番号1から6まで、Pの別表番号1、2、Qの別表番号1から18まで、Rの別表番号1、2、Sの別表番号1から3まで及びT第二の別表二番号1、2を除く公訴事実)と、以下のとおり付加・訂正するほかは、同一であるから、これらを引用する。
付加・訂正箇所
ア Aの本文中に「同会社営業社員g1と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g1(但し、別表番号4、5のみ)と共謀の上」と訂正
イ Bの別表番号6の欺罔文言欄に「…三〇〇〇万円になります。土地はこのままでは売ることができない…」とあるのを「…三〇〇〇万円になります。私どもはその仲介をする会社です。土地はこのままでは売ることができない…」と、同番号8の欺罔文言欄に「…測量代金は全部で一二〇万円かかります。」とあるのを「…測量代金は全部で一二〇万円かかります。測量すれば確実に売ってあげます。」と、同番号9の欺罔文言欄に「…こんなに買手があります。残りの五〇〇坪の土地も測量をお願いします。…」とあるのを「…こんなに買手があります。間違いなく売ります。残りの五〇〇坪の土地も測量をお願いします。…」と、同番号10の騙取方法欄に「協和銀行上福岡支店」とあるのを「現あさひ銀行(当時の協和銀行)上福岡支店」と各訂正
ウ Dの別表番号1の欺罔場所欄に「大阪府吹田市新芦谷上六番三号」とあるのを「大阪府吹田市新芦屋上六番三号」と、同番号11の欺罔場所欄に「名古屋市中村区剣一五四番地の三」とあるのを「「名古屋市中村区剣町一五四番地の三」と各訂正
エ Gの別表番号1の購入物件欄に「北海道虻田郡京極町字川西三九九番二八二七九、原野」とあるのを「北海道虻田郡京極町字川西三九九番二八、原野」と訂正
オ Hの別表番号7の被欺罔者現金交付者欄に「新藤隆三」とあるのを「新藤隆三」と、同騙取方法欄に「協和埼玉銀行昭島支店」とあるのを「現あさひ銀行(当時の協和埼玉銀行)昭島支店」と各訂正
カ Iの本文中に「…右鈴木ほか一一名に対し、…」とあるのを「…右鈴木ほか一二名に対し、…」と訂正、別表番号8の被欺罔者現金交付者欄に「星野泰男」を付加
キ Jの別表番号2の(目的物件)欄に「(北海道磯谷郡蘭越目名町五三〇番四五、原野)」とあるのを「(北海道磯谷郡蘭越町目名町五三〇番四五、原野)」と訂正
ク Kの本文中に「同会社営業社員g2及びg3と共謀の上」とあるのを「被告人ら六名は、同会社営業社員g2及びg3(但し、別表番号1のみ)と共謀の上」と、別表番号3の騙取方法欄に「太陽神戸三井銀行東大和支店」とあるのを「現さくら銀行(当時の太陽神戸三井銀行)東大和支店」と、同番号6の騙取方法欄に「八千代信用金庫高円寺支店」とあるのを「現八千代銀行(当時の八千代信用金庫)高円寺支店」と各訂正
ケ Lの本文中に「同会社営業社員g4、g5及びg6と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g4(但し、別表番号1、2、6、7のみ)、g5(但し、別表番号3のみ)及びg6(但し、別表番号4、5のみ)と共謀の上」と、別表番号2の欺罔文言欄に「北海道の土地を買いたいと言っている人がいるので坪五万円くらいで売ってもらいたい。客は一年以内に紹介できると思いますが、売るためには…」とあるのを「北海道の土地を買いたいと言っている人がいるので坪五万円くらいで売ってもらいたい。私どもの会社が仲介に入ります。客は一年以内に紹介できると思いますが、売るためには…」と各訂正
コ Mの本文中に「同会社営業社員g7及びg8と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g7(但し、別表番号1から17まで及び19のみ)及びg8(但し、別表番号18及び20から24までのみ)と共謀の上」と、別表番号19の欺罔文言欄に「お宅の土地は…」とあるのを「三か月以内に契約を成立させます。お宅の土地は…」と各訂正
サ Oの別表番号3、11の各騙取方法欄に「太陽神戸三井銀行」とあるのをいずれも「現さくら銀行(当時の太陽神戸三井銀行)」と、同番号6の騙取方法欄に「埼玉銀行」とあるのを「現あさひ銀行(当時の埼玉銀行)」と、同番号8、9の各騙取方法欄に「協和銀行」とあるのを「現あさひ銀行(当時の協和銀行)」と、同番号13の欺罔文言欄に「お宅の土地を一〇月末までには、間違いなく七〇〇万円で転売してあげます。…」とあるのを「これは良い場所にある土地ですので早く転売できます。一〇月末までには、間違いなく七〇〇万円で転売してあげます。…」と各訂正
シ Pの本文中に「同会社営業社員g9、g5、g10及びg11と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g9(但し、別表番号1、3、6、8、11、12のみ)、g5(但し、別表番号2、5、9のみ)、g10(但し、別表番号4、7、10、13、15のみ)及びg11(但し、別表番号14のみ)と共謀の上」と、別表番号3、5の各騙取方法欄に「埼玉銀行」とあるのを「現あさひ銀行(当時の埼玉銀行)」と、同番号7の欺罔文言欄に「お宅の土地は、八〇〇万円で売れます。…」とあるのを「お宅の土地は一〇〇〇万円か一二〇〇万円くらいで売れます。結局、八〇〇万円で売ってあげます。…」と、同騙取年月日・騙取場所・騙取金額欄に「②二・六・二七 二五万円」とあるのを「②二・六・二七・ 上記中野方 三五万円」と、同番号13の騙取方法欄に「協和銀行」とあるのを「現あさひ銀行(当時の協和銀行)」と各訂正
ス Qの本文中に「同会社営業社員g12ことg12、g13及びg3と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g12ことg12(但し、別表番号1、3から8まで、14、16、17、19のみ)、g13(但し、別表番号3から8まで、16のみ)及びg3(但し、別表番号2、9から13まで、15、18、20のみ)と共謀の上」と、別表番号11の騙取年月日・騙取場所・騙取金額欄に「②二・二・一四 三〇万円」とあるのを「②二・二・一四 上記本橋方三〇万円」と、同番号12の欺罔文言欄に「お宅の土地は、五月ころまでに坪六万九〇〇〇円で売れます。…」とあるのを「お宅の土地は、五月ころまでに坪六万九〇〇〇円で売れます。大宮に相続税の対策で困っている人がいるのでその人なら大丈夫ですよ。…」と、同番号の13の騙取方法欄に「八千代信用金庫」とあるのを「現八千代銀行(当時の八千代信用金庫)」と各訂正
セ Rの本文中に「同会社営業社員g14ことg14及びg7と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g14ことg14(但し、別表番号10から13までのみ)及びg7(但し、別表番号2から4までのみ)と共謀の上」と訂正、別表番号1から4まで、7、10、12の③購入物件欄の各末尾に「(但し、共有持分二分の一)」と付加、同番号5、6の③購入物件欄の各末尾に「(但し、共有持分三分の一)」と付加
ソ Sの本文中に「同会社営業社員g3、g5、g10、g11、g1及びg2と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g3(但し、1のみ)、g5(但し、2、4のみ)、g10(但し、3、5のみ)、g11(但し、4のみ)、g1(但し、6から8まで、10のみ)及びg2(但し3、9のみ)と共謀の上」と、別表番号3の欺罔文言欄に「お宅の土地は、三か月以内に三〇〇〇万円くらいで売れます。現地は…」とあるのを「お宅の土地は、三か月以内に三〇〇〇万円くらいで売れます。間違いなく私どもの会社で転売してあげます。現地は…」と、同番号4の(目的物件)欄に「(北海道山越郡長万部町字豊津五三番一七、原野、東忠則等名義)(右同五三番六〇、山林、東忠則等名義)…」とあるのを「(北海道山越郡長万部町字豊津五三番一七、原野、但し、共有持分二二分の一)(右同五三番六〇、山林、但し、共有持分二二分の一)…」と、同番号5の欺罔文言欄に「…、三か月以内に六八〇万円で売ることができます。」とあるのを「…、会社では三か月以内に六八〇万円で売ってあげます。」と各訂正
タ Tの本文第一中に「同会社営業社員g15、g13及びg16と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g15(但し、1、4のみ)、g13(但し、2のみ)及びg16(但し、3のみ)と共謀の上」と、同本文第二中に「同会社営業社員g5、g1及びg2と共謀の上」とあるのを「同会社営業社員g5(但し、7のみ)、g1(但し、11のみ)、g2(但し、12のみ)及びg12ことg12(但し、16のみ)と共謀の上」と、第一の別表一番号1の同騙取年月日・騙取場所・騙取金額欄に「②二・四・二三 九〇万円」とあるのを「②二・四・二三 上記高松方 九〇万円」と、同番号3の欺罔文言欄に「お宅の土地を一〇六〇万円で売ってあげます。…」とあるのを「お宅の土地を一〇〇〇万円で売ってあげます。…」と、第二の別表二番号1の③購入物件欄に「北海道虻田郡倶知安町字琴平五六一番七一、山林 右同五六一番七二、山林」とあるのを「北海道虻田郡倶知安町字琴平五六一番七一、山林、武田直也名義 右同五六一番七二、山林、武田直也名義」と各訂正、同番号2、3、9、15、16の③購入物件欄の各末尾に「(但し、共有持分二分の一)」と付加、同番号4、6、7の③購入物件欄の各末尾に「(但し、共有持分三分の二)」と付加、同番号5の③購入物件欄の末尾に「(但し、共有持分三分の一)」と付加、同番号8の③購入物件欄の末尾に「中廣幾世名義(但し、共有持分二分の一)」と付加、同番号10の③購入物件欄に「北海道余市郡余市町登町二三六三番一三二、原野…」とあるのを「北海道余市郡余市町登町二三六三番一三二、原野(但し、共有持分二分の一)…」と各訂正、同番号12の③購入物件欄の末尾に「、秋山方子名義」と付加、同番号17の③購入物件欄に「…右同二三五七番二二七、原野」とあるのを「…右同二三五七番二二七、原野(但し、共有持分二分の一)」と訂正
チ Uの本文中冒頭に「同会社総務部長d、営業社員g12ことg12、g4、g14ことg14、g7及びg13らと共謀の上」とあるのを「同会社総務部長d、営業社員g12ことg12(但し、第一の別表一番号①、④、⑥、第二の別表二番号②、③のみ)、g4(但し、第一の別表一番号②、⑥のみ)、g14ことg14(但し、第一の別表一番号③、⑨、⑩、第二の別表二番号①のみ)、g7(但し、第一の別表一番号⑤のみ)及びg13(但し、第一の別表一番号⑦、⑧、⑪のみ)らと共謀の上」と、第一の別表一番号①、⑪の各騙取方法欄に「太陽神戸三井銀行」とあるのをいずれも「現さくら銀行(当時の太陽神戸三井銀行)」と、同番号②の騙取方法欄に「協和埼玉銀行」とあるのを「現あさひ銀行(当時の協和埼玉銀行)」と、同番号③の欺罔文言欄に「パチンコ屋さんが節税対策…」とあるのを「北の開発という不動産仲介業者の社員であるが、パチンコ屋さんが節税対策…」と各訂正、同番号⑤の欺罔場所欄に「及び同町一丁目四〇番一〇号東武ハイライン一階ヒロセギャランティ」を付加、同番号⑤の目的物件欄末尾に「佐藤信子名義」を付加、同番号⑤の欺罔文言欄に「あなたがお持ちの土地を坪五万円で欲しがっている人が三人位いるのです。…」とあるのを「あなたがお持ちの土地を坪五万円で欲しがっている人が三人位いるので転売してあげます。…」と、同番号⑧の欺罔文言欄に「…土地を買っておきたいと言っているのです。ところで…」とあるのを「…土地を買っておきたいと言っているのです。私どもの会社は土地の仲介をしている会社で、できるだけ高く売るように交渉しますので。坪七万円だったらすぐ売れますので。ところで、…」と、同番号⑨の欺罔文言欄に「…杭を打ち直さなければ駄目なんです。私の会社で…」とあるのを「…杭を打ち直さなければ駄目なんです。測量さえすればすぐに坪七万円から一〇万円で売れます、お客さんも待っているんです。私の会社で…」と、同番号⑪の欺罔文言欄の前段に「…坪八万円で買いたいと言っています。土地を売るためには…」とあるのを「…坪八万円で買いたいと言っています。坪一〇万円になるよう交渉してみましょう。土地を売るためには…」と各訂正、同番号⑪の欺罔場所欄の後段末尾に「(但し、電話を受けた場所)」を付加、第二の別表二番号②の欺罔文言欄の冒頭に「この通り測量が終わりましたので、早速転売の話を進めます。」、同購入物件欄末尾に「(但し、持分二分の一)」を各付加、同番号③の購入物件欄末尾に「(但し、持分二分の一)」を付加
二証拠の標目<省略>
三補足説明及び被告人fについての一部無罪の理由
1 前掲の関係各証拠によれば、貴和美産業株式会社や北の開発株式会社は、いわゆる測量商法(被害者である北海道の原野所有者に対し「右原野を高値で転売周旋できるが、そのためには測量が必要である」などと嘘を言い、転売約束のもとに測量工事の契約を締結し、測量工事代金の名目で金員を騙し取る方法)や買増し商法(右測量工事詐欺の被害者の一部に対し「間もなく原野が高値で転売できるが、会社の所有の原野を購入したことにすると税金対策になる」などと嘘を言い、土地売買契約を締結し、売買代金の名目で金員を騙し取る方法)の名のもとに、その従業員をして判示のセールストークを用いさせ、会社ぐるみで北海道の原野所有者から金員を騙し取っており、本件各犯行もすべてその一環として行われたものであること及び被告人a、同b及び同cは右各会社の設立に関与し、また右各会社において、被告人aは会長と呼ばれ、実質的経営者の地位にあり、同bは専務と呼ばれ、営業部門を最終的に統轄し、被害者からの苦情を専権をもって処理し、同cは常務と呼ばれ、経理一切を担当していたものであることが認められる。
したがって、被告人a、同b及び同cの三名が、その軽重があるのはともかく、本件犯行につき共謀共同正犯者としての刑事責任を負うことには疑問がない。
2 被告人eは、前掲の関係各証拠によれば、貴和美産業株式会社の営業部次長、北の開発株式会社の開発事業部長などとして各会社の営業部員の統轄に当たるとともに、自らも各会社の営業活動に従事していたことが認められる。
ところで、前記のように会社ぐるみで詐欺を行っているような場合においては、そのことを認識しながら右役職に止まる以上、部下の行った詐欺行為についても、部下の行為を利用して自己の犯罪を実行したと認めるに支障はなく、詐欺罪の刑責を負うべきである。
しかして、弁護人は争うものの、被告人eにおいて貴和美産業株式会社や北の開発株式会社が前記のように会社ぐるみで詐欺を行っているということを認識していたことは前掲の関係各証拠によって優に認められ、更に同被告人が右各会社で前記の役職に止まったのみならず、上司の意向を部下の各営業課長に伝達し、部下の営業課長や営業課員を指導するなど現実にも営業部員の統轄に当たっていたことが明らかである。
したがって、被告人eは、本件各犯行につき、自己が営業活動として実行した犯行はもとより、実行に関与していないその他の犯行についても、前記被告人a、同b及び同cの三名とともに、共謀共同正犯者としての刑事責任を負うことは明白である。
3 これに反して被告人fの場合は、同被告人において、少なくとも貴和美産業株式会社設立後の平成元年七月(本件起訴にかかわる各犯行中初回の犯行時期)の段階以降にあっては、弁護人が争うにもかかわらず、貴和美産業株式会社や北の開発株式会社が前記のように会社ぐるみで詐欺を行っているということを認識していたことは前掲の関係各証拠によって明らかであるけれども、前掲関係各証拠、特に、被告人fの司法警察員に対する各供述調書(<書証番号略>)によれば、同被告人が貴和美産業株式会社において各営業課を統轄する統轄課長となったのは平成二年三月ころで、それまでは同会社において営業係長ないし営業課長の地位に過ぎなかったことが認められる。
会社ぐるみの詐欺の事犯において、そのことを認識しているだけで、単なる各営業課の課長や係長が、自己の直属の部下である各課員や各係員の犯行につき刑事責任を負うは格別、他の課の課長やその構成員の犯行、自己の上司の犯行につき刑事責任を負うことには疑問がある。蓋し、共謀共同正犯がかろうじて肯定される根拠を念頭におくとき、会社ぐるみで犯罪を行う場合において、他人の行為を利用して自己の犯罪を実行したといい得るには、その者が犯罪実行者に対して指揮命令等によりなんらかの影響力を行使できる地位、立場あることが必要と考えられる。そしてなんらかの影響力を行使できる地位、立場にあればよいのであって、現実に実行者に指揮命令等により影響力を行使するまでの必要はない。この場合会社ぐるみで犯罪を行っているという事実は、実行者と非実行者の犯罪意思の一体化ということを裏付けはするが、それ以上のものではない。したがって、この点に関する検察官の見解、すなわち「そもそも会社関係の犯罪については、社員の入社時点で上司と指示、命令関係に立つものであって、各社員がそれぞれの職務の分担により一体をなすものであるから、社員が『会社が客を騙す営業をしている』との認識を持ち、会社の業務を分担し始めた時点で、黙示的にそれぞれ分担して客から金員を騙取する旨の共謀があったと考え得るし…」との見解は、共謀共同正犯が認められる範囲が広くなり過ぎ、採用できない。
そうだとすれば、被告人fが貴和美産業株式会社において各営業課を統轄する統轄課長となったのは平成二年三月ころであるから、同月分も含めてそれ以前に実行された各詐欺の公訴事実については、同被告人が自ら犯行を実行した場合及び直属の部下の犯行の場合を除いては共謀共同正犯者としての刑事責任を負わないが、同年四月以降に実行された各詐欺の公訴事実については共謀共同正犯者としての刑事責任を負うということになる。因みに、同被告人は平成二年三月ころ統轄課長になってしばらくの間は統轄課長として他課の課長や営業社員に具体的に指揮命令を下したことはなかったことが前掲の関係各証拠から認められるが、この点は、前述のように、犯罪の成否に関係ない。
したがって、右関係各証拠によれば、g1は貴和美産業株式会社が設立されてのち被告人の直属の部下であったことが認められるから、平成二年三月以前に実行された各詐欺の公訴事実中、同被告人が自ら実行した分及び右g1が実行した分以外の公訴事実、すなわち、Bの別表番号1から9まで、Hの別表番号1から5まで、Iの別表番号1から10まで、Mの別表番号1から12まで、Nの別表番号1、Oの別表番号1から6まで、Pの別表番号1、2、Qの別表番号1から18まで、Rの別表番号1、2、Sの別表番号1から3まで及びT第二の別表二番号1、2については、結局、犯罪の証明がないことに帰する。
4 前掲関係各証拠によれば、被告人dは同aの依頼で貴和美産業株式会社の代表取締役となったが、代表取締役としての実質的権限はなく、単なる名義上の代表取締役に過ぎなかったことが認められる。しかし、右関係各証拠、被告人dの司法警察員に対する各供述調書(例えば、<書証番号略>など)により以下の事実が認められるから、同被告人にかかわる本件詐欺の公訴事実につき、同被告人が共謀共同正犯者としての刑事責任を負うことは明白である。すなわち、
① 被告人dは、平成元年三月七日貴和美産業株式会社の設立登記がなされた際、右登記簿上、代表取締役として登記されたこと
② 被告人dは、貴和美産業株式会社が営業を開始した同年三月一四日ころから名目的ではあるが社長として同会社に出勤し、当初は電話番をしていたが、その後次第に営業社員をも含む全社員のタイムカードによる出退勤状況の把握、営業社員が出張した場合の行動把握、架空の工事部を詐称してする営業社員からの電話に対する受け答え、営業社員の売上状況表の作成と事務所壁への貼付などの業務を担当するようになり、平成二年五月ころからは営業社員が詐欺行為により契約してきた測量工事を発注する仕事をも行うようになり、入社以来、手取りで月三〇数万円から四〇万円の給料と他にボーナスの収入を得てきた。
③ 被告人dにおいて、貴和美産業株式会社が営業社員を使って北海道の原野所有者に土地を転売してやると持ちかけて測量工事契約を結ばせる詐欺会社ではなかろうかとの疑問を持ったのは入社して間もなくの平成元年六月ころ(明確に詐欺会社であると認識したのは平成二年一月ころ)であった。
以上①から③までの事実にかんがみれば、被告人dは、未必的にせよ、確定的にせよ、貴和美産業株式会社が会社ぐるみでいわゆる測量商法という方式の詐欺を行っていることを認識しながら、登記簿上代表取締役の地位にあったのであるから、実質的権限の有無にかかわらず、共謀共同正犯者として詐欺の刑事責任を負うというべきである。なぜなら、代表取締役は会社を代表しかつ業務を執行する株式会社の必要常設の機関であり、かかる代表取締役の存在を前提に会社が存続機能していく反面、代表取締役を辞任することは原則として自由であって、このような地位と立場にある代表取締役が会社ぐるみで犯罪を行っていることを認識しながら辞任することもなく代表取締役の座に止まった場合は、結局は右会社が従前どおり存続機能していくことを可能にしたとして共謀共同正犯者としての刑事責任を負わせても行為者責任の原則に反することはないと考えられるからである。のみならず被告人dは、貴和美産業株式会社において現実に前記②の職務を担当し、利益を得ていたのであり、まさに営業社員等会社従業員の行為を手段として自己の犯罪(詐欺)を行ったと評価するに疑問はない。
四法令の適用
罰条
いずれも刑法二四六条一項、六〇条
観念的競合の処理
Pの別表番号1の犯行につき、同法五四条一項前段、一〇条(H2に対する詐欺罪の刑で処断)
併合加重
被告人六名につき、いずれも同法四五条前段、四七条本文、一〇条(被告人dを除く被告人五名についてはRの別表番号8の罪の刑、被告人dについてはNの別表番号1の罪の刑に)
未決勾留日数の算入
被告人六名につき、いずれも同法二一条
刑の執行猶予
被告人c、d、同e、同fにつき、同法二五条一項
一部無罪
被告人fのBの別表番号1から9まで、Hの別表番号1から5まで、Iの別表番号1から10まで、Mの別表番号1から12まで、Nの別表番号1、Oの別表番号1から6まで、Pの別表番号1、2、Qの別表番号1から18まで、Rの別表番号1、2、Sの別表番号1から3まで及びT第二の別表二番号1、2につき、いずれも刑訴法三三六条
五量刑上特に考慮した事情
1 貴和美産業株式会社や北の開発株式会社は、いわゆる測量商法や買増し商法の名のもとに、その従業員をして判示のセールストークを用いさせ、会社ぐるみで被害者から金員を騙し取っており、本件各犯行もすべてその一環として行われたものであり、起訴にかかる測量工事詐欺は一八八個、被害額合計一億八三二八万余円に、同じく税金対策詐欺は三六個、被害額合計七三五〇万円に達し、本件が社会に及ぼした影響は大きい。
2 いわゆる原野商法の被害者として警戒心の強いはずの被害者を一度ならず二度も騙した本件詐欺の手口は巧妙で、苦情処理の方法を採用し、また苦情処理に行き詰るや新たに別会社を設立するなどして詐欺の摘発を免れていた点とあいまち、狡猾このうえなく、犯行の態様は悪質であると同時に、右手口が模倣性の強いことも無視できない。
3 本件の被害者(延べ二二〇数名)の中には、一度ならず二度も騙された者もあり、しかも七〇歳を越える高齢者は延べ四〇数名に上り、被害者一人あたりの被害金額も四〇万円ないし五〇〇万円と決して少なくなく、被害者の被った財産的被害や精神的被害は大きい。
4 被告人a、同b、及び同cの三名はいずれも前記各会社の認立に関与し、また右各会社やその前身の株式会社田園都市計画において、被告人aは会長と呼ばれ、実質的経営者の地位にあり、同bは専務と呼ばれ、営業部門を最終的に統轄し、被害者からの苦情を専権をもって処理し、同cは常務と呼ばれ、経理一切を担当していた。右三名は、起訴にかかわる各詐欺について、その全部に関与していたもので、本件各犯行において、被告人aは中心的首謀者の地位、同bは同aに準ずる二番目の地位、同cは同aのもう一人の片腕的存在として三番目の地位にあり、本件各犯行の計画・実行・継続は右三名の存在と協力なくしては不可能であったと考えられ、被告人aは会社設立の際の唯一の出資者として会社に入る騙取金を自由自在に持ち帰って莫大な利益を得たほか、被告人b及び同cも給与や歩合の名目でそれぞれその役割に見合った多額の利得を手にしていた。
5 更に被告人dと同e及び同fは実の親子の関係にあり、同e及び同fの両名は、前記株式会社田園都市計画のときから営業社員として採用されて、経験と実績を積み、引続き貴和美産業株式会社と北の開発株式会社にも雇われ勤務していたもの、同dは貴和美産業株式会社設立にあたり代表取締役の名前を貸すということで同社とかかわりが生じて入社し、北の開発株式会社にも継続勤務していたものであるが、いずれも被告人a、同b、及び同cの三名のような経営者的地位にはなかった。しかし、被告人eは同bの片腕的存在として貴和美産業株式会社の営業部次長、北の開発株式会社の開発事業部長などの要職を占め、各会社の営業部員の統轄に当たり、自らも各会社の営業活動に従事したり、苦情処理に当たっており、起訴にかかわる各詐欺について、前記の三名と同様その全部に関与していたもので、本件各犯行においては第四の地位にあったといってよく、給与や歩合の名目でその役割に見合った多額の利得を手にしていた。被告人fは、前記のように、貴和美産業株式会社発足当時は一介の営業係長や営業課長に過ぎなかったが、やがて同社の営業部統轄課長、北の開発株式会社の開発事業部次長などと同eに次ぐ地位を占めるようになり、起訴にかかわる各詐欺中、前記のように、個数にして七〇個、金額にして七八三七万余円に上る一部無罪の部分もあるが、これまた給与や歩合の名目でその役割に見合った多額の利得を手にしていた。被告人dも、右両会社において前記のような仕事を担当していたもので、検察官の起訴は当初から貴和美産業株式会社における測量工事詐欺(一七七個、一億七〇四三万余円)に限定されているものの、両会社から給与の名目で名義代を優に越える多額の利得を得ていた。
6 被告人aは、詐欺会社や詐欺まがいの会社に永らくかかわっていたことを反省し、今後地道な職業につき、本件各詐欺の被害者に対しては将来相当額を弁償すると供述している。
被告人bは、同aと同様今後地道な職業に就く旨供述し、被害者H6に弁償しようとして固辞された一〇〇万円を財団法人法律扶助協会に贖罪寄付し、他の被害者一名に被害の一部五万円を弁償したほか、同bには道路交通法違反のかどによる罰金前科を除いて前科がない。
被告人cは、多額の利得は得たものの、営業部門を担当していなかった関係で歩合の名目による利得はなく、総額は同bに劣るはもとより同eやfよりも少なかったところ、本件を反省し、自宅を三八〇〇万余円で売却処分したうえ、離婚した妻と実子に渡した残二〇〇〇万円の売得金中から一八〇〇万円余りを本件各被害者に案分送金したほか、更にその残金は財団法人法律扶助協会に贖罪寄付することを誓約しており、同cには前科が見当たらない。
被告人dは業務上過失傷害のかどによる罰金前科三犯以外には前科がなく、本件を反省し、一五〇万円を財団法人法律扶助協会に贖罪寄付したほか、保釈後はペットショップの店長の職を得て稼働している。
被告人e及び同fは、いずれも業務上過失傷害のかどによる罰金前科を除いて前科がなく、本件を反省し、その証として財団法人法律扶助協会に、同eが五〇〇万円を、同fが三〇〇万円をそれぞれ贖罪寄付したほか、保釈後それぞれ就職し、地道に生活している。
7 被害弁償の点について補足するに、本件のように被害者が多数で、被害額の総計も多額に上り、かつ被害者団体といった窓口のない事案では、被害者全員に対し被害全額を弁償できる資力があるならともかく、それほど資力のない者が被害弁償を行うことは言うほど容易でなく、被告人cの被害弁償とその努力は多とすべきであり、また被告人aを除くその余の被告人らが反省の証として贖罪寄付を行ったり、行うと誓約しているのも十分理解でき、相応の被害弁償をなした場合と同様に、量刑上有利に斟酌するのを相当と考える。この点被告人aの場合は、本件の発覚後逮捕前の平成三年一一月、二億一六〇〇万余円を預金先から解約し、いずれかに持ち去ったことが日南田哲也の司法警察員に対する供述調書(<書証番号略>)等から明らかであり、この金員を被害弁償の資金として用いればかなりの被害の回復が可能なはずであるのに、同被告人は、右金員の所在は言えないと捜査段階や公判廷で供述するばかりか、前記のように被害者に対しては将来相当額を弁償すると言いつつ、他方で保釈が認められないから被害弁償ができないと強弁しており、情状芳しくない。
別表
番号
実行行為者(欺罔行為者及び現金受領者)
欺罔年月日
(平成・年・月日ころ)
欺罔場所
被欺罔者現金交付者
(目的物件)
欺罔文言
騙取年月日
(平成・年・月・日ころ)
騙取場所・騙取金額
騙取方法
1
f
元・七・一九
東京都杉並区阿佐谷北三丁目三二番六号、H1方
H1
(北海道釧路市三津浦四六番二六〇、山林)
(北海道釧路郡釧路町字トリトウシ五三番三三六、原野)
土地の買手はたくさんあります。二つの土地を二、一二五万円で九月までに売ります。しかし、土地は、このままでは売れません。測量をしてコンクリートの境界杭を打たなければなりません。 測量代金は、一〇〇万円かかります。
① 元・七・一九
上記H1方
二万円
現金交付
② 元・七・二一
四八万円
東京都杉並区阿佐谷北四丁目二一番一二号、北海道拓殖銀行阿佐谷北支店から振込送金
③ 元・七・二八
同H1方
五〇万円
(合計一〇〇万円)
現金交付
2
f
元・八・二五
元・八・二九
千葉県市川市真間一丁目一四番七号、H2方
H2
(北海道釧路市桂恋一一六番三四〇、原野)
(北海道釧路郡釧路町字床丹一一四番五七八、山林)
土地を売るたあには測量をして、測量図面を作らなければなりませんし、コンクリートの境界杭を打たなければなりません。測量代金は、七〇万円です。一年の内には四三〇万円で売ります。 二つの土地でしたら測量代金は一〇五万円にします。二つの土地を一、〇〇〇万円位で一年の内に売ります。
① 元・八・三〇
三〇万円
東京都江東区常盤二丁目九番六号、 住友銀行深川支店から振込送金
② 元・九・八
上記H2方
七五万円
(合計一〇五万円)
現金交付
3
f
元・一〇・九
元・一〇・一六
東京都葛飾区鎌倉二丁目一番二〇号、H3方
H3
(北海道中川郡幕別町字南勢四八一番二四、山林)
お宅の土地を早くて半年、遅くても一年以内に売ります。土地を売るためには、 測量をして測量図面を作らなければなりませんし、コンクリートの境界杭をうたなければなりません。最低三〇〇万円で売ります。測量代金は、七〇万円かかります。
① 元・一〇・一七
二〇万円
東京都江戸川区北小岩二丁目八番二一号、小岩信用金庫葛飾支店から振込送金
② 元・一〇・二六
上記H3方
五〇万円
(合計七〇万円)
現金交付
4
g1
二・五・一一
三重県津市大門八番五号、「中村」喫茶店内
H4
(北海道厚田郡厚田村大字望来村四〇一番二七九、原野)
北海道に持っている土地を売る気があるのでしたら、私どもでいくらでも売ってあげます、 どんなに安く見積もっても四三〇万円以上で今年の六月中に売ってあげます。売るについては現状では境界線がはっきりしないので、コンクリート杭を打ちきちんとする必要がある。測量工事代金は、一筆七〇万円となっております。
① 二・五・一四
三〇万円
三重県津市大門二一番一二号、津信用金庫本店から振込送金
② 二・五・二三
三重県津市大門二〇番七号、バーラー
「ベニーズ」店内
四〇万円
(合計七〇万円)
現金交付
5
g1
二・七・一〇
三重県津市江戸橋二丁目五九番地の四四、H5方
H5
(北海道厚田郡厚田村大字聚冨村三一一番一一二、原野)
(北海道茅部郡森町字駒ケ岳二五四番八一九、山林)
北海道の土地を売る気があるのでしたら、一、六七〇万円で確実に売ってあげます。もう一度測量をしてコンクリート杭を入れて境界をはっきりさせないと転売できません。 測量代金は、一筆七〇万円ですがお宅の土地は二筆ですから一四〇万円必要です。
① 二・七・一二
四〇万円
三重県津市栗真町屋町字東之内一、六六一番三、 三重銀行三重大学前支店から振込送金
② 二・七・一六
一〇〇万円
(合計一四〇万円)
三重県津市羽所町三九二番地、第三銀行津駅前支店から振込送金
合計四八五万円
8 以上の諸事情にその他証拠に現れた諸般の事情を併せ考慮し、主文のとおり各被告人の量刑をした。因みに、被告人cの場合、前記のように、本件で果たした役割、すなわち、本件各犯行の計画・実行・継続が同被告人の存在と協力なくしては不可能であったと考えられることにかんがみれば、実刑相当とも考えられるけれども、利得が被告人aや同bと比較して、更に同eらに比しても少ないことや被害弁償とその努力、贖罪寄付等を考慮し、今回に限り刑の執行を猶予することとした。
第五公判出席検察官及び弁護人
検察官齋藤隆博、同水谷勝彦、被告人aの弁護人室木徹亮、同bの弁護人角谷一成、同cの弁護人万代彰郎、同dの弁護人水島昇、同e及び同fの弁護人山口利昭及び同竹内知行
(裁判官油田弘佑)
別紙起訴状(A)
左記被告事件につき公訴を提起する。
被告人
国籍 韓国(慶尚南道<番地略>)
住居 大阪府<番地略>
職業 会社役員
勾留中
a
一九四六年六月一日生
本籍 奈良県<番地略>
住居 同町<番地略>
職業 会社役員
勾留中
b
昭和二一年一〇月二三日生
本籍 大阪市<番地略>
住居 同市<番地略>
職業 会社員
勾留中
c
昭和一〇年四月一八日生
本籍 鹿児島県<番地略>
住居 大阪市<番地略>
職業 会社役員
勾留中
d
昭和一五年三月七日生
本籍 鹿児島県<番地略>
住居 大阪市<番地略>
職業 会社員
勾留中
e
昭和三九年三月二三日生
本籍 大阪市<番地略>
住居 同市<番地略>
職業 会社員
勾留中
f
昭和四〇年一二月一四日生
公訴事実
被告人aは、大阪市淀川区<番地略>に本社を置く貴和美産業株式会社を実質的に経営していたもの、被告人bは、同会社の営業部門の統轄及び顧客からの苦情処理をしていたもの、被告人cは、同会社の経理一切を担当していたもの、被告人dは、同会社の代表取締役として社員の勤務状況などを管理していたもの、被告人eは、同会社の営業部次長などとして営業部員の統括及び同会社の営業活動に従事していたもの、被告人fは、同会社の営業課長などとして営業部員の指導及び同会社の営業活動に従事していたものであるが、被告人ら六名は、同会社営業社員g1と共謀の上、北海道の山林・原野所有者から、測量代金名下に金員を騙取しようと企て、別表記載のとおり、平成元年七月一九日ころから同二年七月一〇日ころまでの間、前後五回にわたり、東京都杉並区<番地略>H1方ほか四か所において、右H1ほか四名に対し、同人らが所有する北海道釧路市三津浦四六番二六〇の山林ほか七筆の山林・原野を、真実は転売を仲介する意思がないのにこれあるように装い、別表記載の実行行為者において、同表「欺罔文言」欄記載のとおり虚構の事実を申し向け、右H1らをして、その所有する山林・原野の測量工事を依頼すれば、これを同会社に転売してもらえるものと誤信させ、よって、平成元年七月一九日ころから同二年七月一六日ころまでの間、前後一一回にわたり、同表「騙取方法」欄記戴のとおり右H1方などにおいて同人らから現金の交付を受け、又は、大阪市淀川区西中島四丁目三番二号三和銀行新大阪駅前支店に開設した貴和美産業株式会社名義の普通預金口座に振込送金を受け、もって測量工事代金名下に合計四八五万円を騙取したものである。
罪名及び罰条
詐欺 刑法第二四六条第一項、第六〇条
別紙起訴状(B)ないし(U)<省略>