大判例

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津地方裁判所 昭和29年(モ)172号 判決

当裁判所が被申立人と申立人等間の当庁昭和二十九年(ヨ)第四〇号仮処分申請事件に付て昭和二十九年七月三日なした決定中申立人会社関係において別紙目録<省略>記載の物件の使用禁止の部分を申立人会社が金十万円の保証を立てることを条件として「右物件の使用をしてはならない、但し執行吏は債務者三和工機株式会社をして現状を変更しないことを条件として右物件を使用せしめねばならなぬ」と変更する。

申立人宇陀健次郎の申立を却下する。

申立費用は之を二分しその一を申立人宇陀の、その一を被申立人の負担とする。

この判決は第一項の部分に付て仮りに執行することができる。

二、事  実

申立代理人は当裁判所が被申立人と申立人等間の昭和二十九年(ヨ)第四〇号仮処分申請事件に付て昭和二十九年七月三日なした仮処分決定中別紙目録記載の物件の使用禁止の部分は担保を条件として取消す、申立費用は被申立人の負担とするとの判決並に仮執行の宣言を求め、その理由として被申立人から申立人等及び杉本源之進に対する前掲仮処分命令申請事件につき津地方裁判所は昭和二十九年七月三日別紙目録記載の物件に対する申立人等の占有を解き之を執行吏の占有保管に付し申立人等の使用、売買等一切の処分を禁止する旨の仮処分決定をなし被申立人は同年七月八日その執行をした。然しながら右物件は申立人宇陀健次郎が昭和二十八年六月十三日御影太郎より買受け更に之を御影に賃貸しておつたところ、同人は昭和二十九年一月死亡したのでその相続人から之が返還を受け、申立人三和工機株式会社にその設立された昭和二十九年四月三日より賃貸しておいたものであつて、右仮処分は不当であるのみならず申立人会社は従業員十三名あつて目下機械部品ホルダーの製作に没頭し東海機工株式会社の関係のみにても毎月三万四、五千個の注文を受け一個の工賃六円五十銭を得る関係にあつたに拘らず、右仮処分の執行に因り申立人会社は右製作不可能となり延いては右従業員及びその家族の生活の途を絶つことになり憂慮すべき事情にあるから、右仮処分決定中使用禁止の部分を担保を条件として取消を求めるため本申立に及ぶと陳述した。<立証省略>

被申立人は申立人等の申立を却下する、申立費用は申立人等の負担とするとの判決を求め、答弁として別紙目録記載の物件につき申立人等主張の如き仮処分決定があり、その執行がなされたこと、申立人会社がホルダーを製造していたことは認めるがその受注量は申立人等主張の如く多量でなくその余の事実はすべて否認すると述べた。<立証省略>

三、理  由

案ずに申立人等主張の如き仮処分決定があつてその執行がなされたこと及び申立人会社はホルダーの製造をなしてきたこと(但し受注量に争あり)は当事者間に争なきところ別紙目録記載の物件に対して就れが所有権を有するかは措く置き甲第四号証の一乃至十四並に証人中村安男の証言、申立人兼申立人会社代表者本人尋問の結果に依れば申立人会社は右物件の使用が禁止せられたためホルダーの製造が不可能となつて休業状態に陥り、延いてはその従業員が離職の憂目にあることが一応認められる。かくの如き事由は民事訴訟法第七百五十九条に所謂特別事情に該るものと解すべく申立人会社に当裁判所が相当と認むる金十万円の保証を立てることを条件とし使用禁止の例外として現状を変更しないことを条件に之が使用を許すべきものと云わねばならぬから、右使用禁止の部分をそのように変更すべきである。申立人宇陀に付ては所謂特別事情は認められないから同申立人の申立を却下すべきものとする。仍つて申立費用の負担に付き民事訴訟法第八十九条仮執行の宣言に付き同法第百九十六条に則つて主文の通り判決する。

(裁判官 西川力一)

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