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津地方裁判所 昭和46年(わ)183号 判決 1972年3月18日

本籍

三重県上野市平野六反田二一四番地

住居

同県同市平野樋之口二七七番地の一

会社役員

余野部みさ

大正四年一〇月二八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官森山英一出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年および罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、三重県上野市平野樋之口二七七番地の一に事務所をおき、同市小田町新田に上野工場、同県阿山郡伊賀町柘植に柘植工場を有し、余野部建材の名称で砕石、砂利、砂の採堀販売、土木建設機械の賃貸および土木建築の請負業を営み、その業務全般を統轄していたものであるが、不正にその所得税を免れようと企て

第一、昭和四三年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は、五、〇三五万九、五三八円であり、これに対する所得税額は二、八六九万七、五〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外するなどの方法により得た資金で簿外の定期預金や信託預金を設定するなどの不正行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和四四年三月一四日、同県上野市緑ケ丘本町一、六八〇番地所在の所轄上野税務署において、同税務署長に対し、右年度における被告人の所得金額が一、〇〇七万三六一円で、繰越損失金六二九万一、一八三円を控除した差引所得金額が三七七万九、一七八円で、これに対する所得税額が九四万二、五〇〇円である旨虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、その差額である二、七七五万五、〇〇〇円の所得税をほ脱し

第二、昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は、四、七八一万一八二円であり、これに対する所得税額は二、六七三万三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為により、その所得の一部を秘匿し、昭和四五年三月一四日前記上野税務署において、同税務署長に対し、右年度における被告人の所得金額が八三二万六四七七円で、これに対する所得税額が二八一万九、五〇〇円である旨虚偽の記載をした所得税確定申告書を提出し、その差額である二、三九一万八〇〇円の所得税をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書九通

一、被告人および中井政身作成の上申書

一、被告人作成の上申書六通

一、中井政身の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官山内義憲作成の「脱税額計算書説明資料」と題する書面

一、大蔵事務官の中井政身(七通)、中井伶子、余野部徹(四通)、余野部猛、余野部克治(昭和四五年八月二五日付)、木村弘(二通)、中島俊文(二通)、藤井昇(二通)、長谷栄二、坂本重治、家永宏美、福岡米蔵、角田富三、橋本信男、小林きよ、高崎邦臣、佐々木繁、奥村嘉郎に対する各質問てん末書

一、中井政身(七通)、余野部徹(二通)、余野部猛、余野部克治、家永宏美、谷岡隆一、池原勉、小林きよ、丸柱重嘉、沢田幸夫、末広富雄、中西克太郎、中村竹男、堀内正章、稲森春清、山本美恵子、西田勲、辻弘太郎、阿波敏子、杉森輝男、栗岡茂夫、中島俊文、戎家征晴各作成の上申書

一、城隆臣(二通)、藤沢勝美、内田久尚、島崎健(二通)、船見長繁、宮本喜美代、山本義雄、穂積寛、田中秀和、中田久吉、松永正子、竹沢枚司、上田正也、大井孝、奥永伊之助、山下恵子、杉村武、福沢まり子、川本友通、亀永嘉子、渡辺二三子、欠田修、岸美津子、古川寛、小谷やよい、坂口茂(二通)、西村良隆、西口貞子、瀬古修嗣、中西きみ子、沢亘、奥村寿子、柴田寿子、滝口幸生、杉森正、島地よし子(二通)、山田喜之、竹島三二、村田泰次、山本正義、田矢正則、藤田はるみ、窪田幹蔵、下川俊男、北川真次、比村三郎、宮崎勉、中井秀和、森岡二郎、松尾保夫、倉坂武雄、西居義久、萩野進一、服部圭一、田中政宣、服部貢、広岡喜之助、福山清、福田洋子、伊藤寛、中森繁一、桑名藤子、松並美代子、斉藤信雄、的場馨、喜多厚誠、石田利光、小川昌二、山岡久美子、三好勝之、高岡桂子、久保田一郎、高田信男、沖嶋卯之、森本岩雄、羽淵章三、杉本道孝、舟橋清子、大門士喜男、末広富雄、山本美恵子、中西克太郎、福森春清、浜政典之、山崎紀元他一名、森木俊三、平井素男、前田三樹郎、尾崎貞司、福永健、奥谷昭治、安部栄一、山田美智子、上出行雄、曽我博、山口圭司、中川豊子(二通)、吉田俊雄、東浦辰次、野中信雄、福西成美、増田福永、福森幸雄、堀義丸、松岡三男、中西伝夫、中内進、上村長三郎、石川シゲリ、脇博也、立松忠男、中村昭三、森忠則、谷口茂男、坂口一夫、船木忠治、古賀鉄雄、中田明、竹内章雄、横山景一、土生文則、戸野照夫、駒田俊子、里内実、小西和光、平岡倉吉、橋本康男、菊原信雄、勝田嘉雄、上野市南農業協同組合、竹村初男、渡辺幸司各作成の回答書

一、若林大資作成の「取引状況について」(回答)」と題する書面

一、滋賀銀行膳所支店作成の「名局査第五二号による取引状況調べにかかる参考回答について」と題する書面

一、曽我春朗、山崎紀元(四通)、南出一二(二通)、中井寛、角田富三、福本悌二、佐藤尚志、株式会社富士銀行北浜支店、中田耕作(五通)、小笠武治、舟場佑弘他一名、加藤正治、相良武郎、上野税務署長大蔵事務官山田桂茂(但し証明書七通のうち記録編綴順序第一番目から第四番目のものおよび第七番目のもの)各作成の証明書

一、大蔵事務官米山安男他一名作成の調査報告書三通

一、大蔵事務官大野克己、同二村有三、同山腰彰(二通)、同中沢祐爾、同野田文三、同山下卓志、同成瀬義郎、同山田昭、同手島英夫各作成の「現金、有価証券等現在高確認書」と題する書面

一、大蔵事務官大野克己作成の「有価証券等現在高確認書」と題する書面

一、大蔵事務官石川(二通)、同石川茂雄、同二村有三(二通)各作成の写真撮影報告書

一、奥田勉作成の電話聴取書

一、押収してある総勘定元帳三綴(昭和四七年押第一九号の一)、金銭出納帳一綴(同号の二)、銀行勘定帳三冊(同号の三、四)、手形受払帳四冊(同号の五)、売上帳八冊(同号の六)、重機台帳三冊(同号の七)、売上請求明細書二綴(同号の八)、集金帳四冊一綴(同号の九)、四三年分集金帳一冊(同号の一〇)、四三年分小口売上帳三冊(同号の一一)、領収書綴八綴(同号の一三ないし一九、三二)、請求書綴二綴(同号の二〇、二一)、売掛帳六綴(同号の二二ないし二四)、公正証書等一綴(同号の二五、)権利書等四通(同号の二六)、登記済権利証書等七綴(同号の二七ないし三〇)、領収書関係書類一綴(同号の三一)、不動産売買契約書等一綴(同号の三三)、領収書二枚(同号の三四、三五)、領収書二綴(同号の三六、三七)、領収証及びメモ綴一綴(同号の三八)、不動産売買契約書一枚(同号の三九)、同一綴(同号の四〇)、領収証等一綴(同号の四一)、請求書一綴(同号の四二)および社員貸出簿(同号の四三)

判示第一の事実について

一、大蔵事務官山内義憲作成の「脱税額計算書(昭和四三年分)」と題する書面

一、上野税務署長大蔵事務官山田桂茂作成の証明書(但し証明書七通のうち記録編綴順序五番目のもの)

判示第二の事実について

一、大蔵事務官山内義憲作成の「脱税額計算書(昭和四四年分)」と題する書面

一、上野税務署長大蔵事務官山田桂茂作成の証明書(但し証明書七通のうち記録編綴順序が第六番目のもの)

一、押収してあるメモ手帳一冊(昭和四七年押第一九号の一二)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法第二三八条に該当するところ、いずれも懲役刑と罰金刑とを併科する場合を選び、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重いと認められる判示第一の罪の刑に法定の加重をなし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期および金額の範囲内で被告人を懲役一年および罰金八〇〇万円に処し、被告人において右罰金を完納することができないときは、同法第一八条により金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、なお情状により同法第二五条第一項を適用して、この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとし、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文によりこれを被告人に負担させることとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 坪井俊輔)

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