大判例

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津家庭裁判所 事件番号不詳 決定

少年 A(昭和一三・九・一九生)

主文

本件を津地方検察庁検察官に送致する。

理由

本件送致事実の要旨は、

司法警察員作成に係る昭和三十二年三月二十五日附少年事件送致書添付別紙記載の犯罪事実の要旨のとおりであるからこれを引用する。

調査の結果によれば右事実は明白で少年の右所為は刑法第二百条に該当するところその罪質及び情状に照らし刑事処分を相当と認め少年法第二十条に則り主文のとおり決定する。

(裁判官 村上久治)

別紙(理由の要旨)

本件非行の少年Aは放縦にして放浪ぐせを有し家庭状況複雑にして小学校五年の時窃盗を行い××××学園に入園しその後家を飛出し恋人と旅館に宿泊中自殺幇助未遂にて当庁に事件が係属し不処分決定を受けた事がある(昭和三一年一〇月)。

又少年の兄は○○少年院に現在入院中である。

少年の家庭は父母が昭和二十五年六月に調停離婚し母は実家に一旦帰つた後Kと婚姻した(内縁関係)が昭和三十一年十月Kが死亡したその後母に対して父より復縁したい旨の手紙が二度ほど来た事を少年は知つていたがしかし母は離婚後は父を非常にきらつて母の前で父の事を云うと気違いの様に当りちらす有様だつた。その様な事から母は父が津に住んでいることさえいやがつていたことを知つていたので本年の一月に一回と二月に一回それぞれ父に逢い父が津にいることは母も苦しんでいるし兄弟が別れていることは世間にもはずかしいから他所へ行つてくれる様話したが聞き入れられなかつた。その様に少年にも父母の離婚、そして父の母に対する復縁について悩んでいた。たまたま本年三月父より母あて前記内容を記した手紙をかくしていたのを母に見つかり母から“再婚する気は全然ないのにお前は父の手紙をかくしているのは父の為を思つての事だろうから今日限り出て行け”といわれ憤激し母を殺す気になつたがさわがれてやめた様な事があつた。少年は本年三月十五日にもう一度だけ父に離れた所へ行つてくれとたのみ聞き入れない時は父を殺してやろうと考えた。そこで翌十六日母の家を出る時薪割り用斧を持つて同日九時頃父の家にかくしておいた。その日に父の家で父にあい“母には再婚の意思は全然ないから四日市の方に行つて家をさがしてくれ”といつたが父は相変らず「津にいる子供が可愛そうだ」といつて転居については応じなかつた。少年は母の家にも帰る事が出来ず父の家にも居る事が出来なく裏山でその一夜を明したが翌十七日父の家に行つてとめてくれとたのみ同日より父と一緒にいた。同夜父より○○少年院に入院中の兄に二十日の日に面会に行くと云う事を聞き兄に面会させてから殺そうと考えた。本年三月二十日の朝父は兄に面会のため×××に出て行つた。少年はその留守中にかくしてあつた斧を取り出し昼ねをしながら父の帰宅を待つていた。窓より見ていると父が帰つて来るのが見えたので入口ドアの附近にかくれ入つて来るのを待ちかまえ父が屋内に入るや予て用意をしていた薪割り用斧の背で父の後から後頭部を二、三回強打して土間に転倒させた上更に両手で頸部を絞める等して同人を頭頂部末梢性陥没骨折による脳挫傷により即死させたもの。

なお本件については当裁判所より検察官に逆送致後において取調べの際少年の自供により実母の教唆の疑ありとして検察官において実母を逮捕目下取調べ中のものである。

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