浦和地方裁判所 平成3年(わ)35号 判決 1992年5月12日
本店の所在地
埼玉県入間市大字上藤澤八七九番地の三
斉木清掃株式会社
(右代表者代表取締役 齋木加一)
本籍
埼玉県入間市大字上藤澤八七九番地の三
住居
埼玉県入間市大字上藤澤八七九番地三
会社役員
齋木加一
昭和一〇年九月四日生
右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中山純一出席のうえ審理して、次のとおり判決する。
主文
被告会社斉木清掃株式会社を罰金一、五〇〇万円に、被告人齋木加一を懲役一年に各処する。
被告人齋木加一に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用はその二分の一ずつを被告会社斉木清掃株式会社及び被告人齋木加一の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人斉木清掃株式会社は、埼玉県入間市大字上藤澤八七九番地の三に本店を置き、清掃業を目的とする資本金二〇〇万円の会社であり、被告人齋木加一は、同会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人齋木は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなど不正な方法により所得を秘匿した上
第一 昭和六二年五月一日から同六三年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、四二三万七、三四四円であったにもかかわらず、同年六月三〇日同県所沢市並木一丁目七番地所在の所轄所沢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六六万七、一五八円で、これに対する法人税額が四九万八、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の同事業年度における正規の法人税額一、三四一万七、九〇〇円との差額一、二九一万九、五〇〇円を免れ、
第二 昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、八四四万六、七〇七円であったにもかかわらず、同年六月三〇日前記所沢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一一万七、〇一二円で、これに対する法人税額が三三万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の同事業年度における正規の法人税額一、五一八万六、三〇〇円との差額一、四八五万二、二〇〇円を免れ、
第三 平成元年五月一日から同二年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が五、〇四七万四、五六〇円であったにもかかわらず、同年六月三〇日前記所沢税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一七一万七、一六三円で、これに対する法人税額が四九万七、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の同事業年度における正規の法人税額一、九三〇万八、八〇〇円との差額一、八八一万一、七〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人齋木加一の当公判廷における供述
一 被告人齋木加一の収税官吏及び検察官に対する各供述調書
一 杉本きよ子の収税官吏及び検察官に対する各供述調書
一 勝山健治、齋木ひろみ、岡崎利治、川井明美、小川宏之、下島忠、小川芳昭、田中准之及び渡辺昌二の収税官吏に対する各供述調書
一 所沢税務署長作成の回答書
一 収税官吏作成の検査てん末書八通
一 収税官吏作成の平成三年八月二六日付、同年九月五日付各査察官報告書、差押てん末書(二通)、現金・預金・印影ゴム印等確認書、現金・預金・有価証券・印章確認書(二通)、預金・印章確認書(五通)、預金確認書(二通)、預金等確認書、印章等確認書、現金・預金・有価証券・印章等確認書、現金・預金・印章等確認書、売上高調査書、仕入高調査書、雑給調査書、受取利息調査書、預金調査書、現金調査書、売掛金調査書、貸倒引当金繰入超過額認容調査書(二通)、事業税認定損調査書、未納事業税調査書、過払源泉税調査書、未払源泉税調査書、仮受消費税調査書、未払消費税調査書、道府県民税利子割額調査書、その他所得調査書、不突合金額調査書及び代表者勘定調査書
判示第一の事実につき
一 収税官吏作成の査察更正決議書、脱税額計算書、修正損益計算書及び修正貸借対照表(いずれも昭和六二年五月一日より同六三年四月三〇日までの事業年度にかかるもの)
判示第二の事実につき
一 収税官吏作成の査察更正決議書、脱税額計算書、修正損益計算書及び修正貸借対照表(いずれも昭和六三年五月一日より平成元年四月三〇日までの事業年度にかかるもの)判示第三の事実につき
一 収税官吏作成の査察更正決議書、脱税額計算書、修正損益計算書及び修正貸借対照表(いずれも平成元年五月一日より同二年四月三〇日までの事業年度にかかるもの)
(法令の適用)
被告人齋木の判示各所為は各事業年度毎に法人税法一五九条一項に、被告会社については同法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、被告会社については、情状により、いずれも同法一五九条二項を適用し、被告人齋木については、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、右各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については、同法四八条二項により、合算した金額の範囲内で罰金一、五〇〇万円に、被告人齋木については、同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人齋木に対し、同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文を適用してその二分の一ずつを被告会社及び被告人齋木ににそれぞれ負担させることとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 日比幹夫)