浦和地方裁判所 平成4年(わ)869号 判決 1993年3月29日
(被告会社及び被告人)
一
本店の所在地 埼玉県比企郡吉見町大字南吉見二〇八九番四四
法人の名称
有限会社西武建設信用
代表者の住所
埼玉県比企郡吉見町大字長谷一七五七番地二三三
代表者の氏名
鈴木雄一
二
本店の所在地 埼玉県比企郡吉見町大字北吉見六五〇番一六鈴木ビル二階
法人の名称
有限会社西武技工
代表者の住所
埼玉県比企郡吉見町大字北吉見二二〇一番二
代表者の氏名
北奥厚司
三
本籍 東京都新宿区歌舞伎町一丁目二八番地
住居
埼玉県比企郡吉見町大字長谷一七五七番地二三三
職業
会社役員 鈴木雄一
昭和二年二月二六日生
主文
被告会社有限会社西武建設信用を罰金四〇〇〇万円に、被告会社有限会社西武技工を罰金八〇〇万円に、被告人鈴木雄一を懲役二年にそれぞれ処する。
被告人鈴木雄一に対し、この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告会社有限会社西武建設信用(以下「西武建設信用」という。)は、埼玉県比企郡吉見町大字南吉見二〇八九番四四に本店を置き、不動産売買及び仲介等を目的とする会社、被告会社有限会社西武技工(以下「西武技工」という。)は、埼玉県比企郡吉見町大字北吉見六五〇番一六鈴木ビル二階に本店を置き、不動産売買及び土木工事の設計施工等を目的とする会社であり、被告人鈴木雄一(以下「被告人」という。)は、昭和六一年九月一〇日から平成二年九月二〇日まで西武建設信用の代表取締役の地位にあり、その後も同社の取締役としてその業務全般を統括するとともに西武技工の取締役として実質的に同社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、右両社の業務に関し、法人税を免れようと企て、外注費及び支払手数料を架空計上するなどの方法により所得を秘匿し、
第一 昭和六二年一〇月一日から昭和六三年九月三〇日までの事業年度における西武建設信用の実際所得金額が一億二六五四万八二八七円、課税土地譲渡利益金額が一億八一三八万七〇〇〇円であり、これに対する法人税額が一億六六〇万四八〇〇円であるのに、昭和六三年一一月三〇日埼玉県東松山市箭弓町一丁目八番一四号所在の所轄東松山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二〇〇五万四三七円、課税土地譲渡利益金額が二九八四万七〇〇〇円で、これに対する法人税額が一六四一万三六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額との差額九〇一九万一二〇〇円を免れ、
第二 昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における西武建設信用の実際所得金額が二億五六五八万六四九九円、課税土地譲渡利益金額が二億九六七六万三〇〇〇円であり、これに対する法人税額が一億九五八一万二四〇〇円であるのに、平成元年一一月三〇日前記東松山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四七一〇万六七九一円、課税土地譲渡利益金額が九七三六万円で、これに対する法人税額が四八〇〇万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額との差額一億四七八〇万二五〇〇円を免れ、
第三 平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における西武建設信用の実際所得金額が二〇四四万七二七一円、課税土地譲渡利益金額が七八六〇万九〇〇〇円であり、これに対する法人税額が三〇六九万二八〇〇円であるのに、平成二年一一月三〇日前記東松山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一九四一万七四四二円、課税土地譲渡利益金額が三六三七万三〇〇〇円で、これに対する法人税額が一七六一万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額との差額一三〇八万二八〇〇円を免れ、
第四 平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における西武技工の実際所得金額が八九二七万八八七八円、課税土地譲渡利益金額が九九六五万一〇〇〇円であり、これに対する法人税額が六四七二万六〇〇〇円であるのに、平成二年一一月三〇日前記東松山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一一八四万九七八円、課税土地譲渡利益金額が三二〇九万六〇〇〇円で、これに対する法人税額が一三四八万四三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額との差額五一二四万一七〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 検察事務官作成の電話聴取書
一 高野清隆及び小野寺菊雄の検察官に対する各供述調書
一 高野清隆(三通)、土田義二(三通)、藤山満男(二通)、小野寺菊雄及び島村武次の大蔵事務官に対する各供述調書
一 被告人鈴木雄一の当公判廷における供述
一 被告人鈴木雄一の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
判示第一ないし第三の事実につき
一 被告会社有限会社西武建設信用の商業登記簿謄本二通
一 大蔵事務官作成の被告会社有限会社西武建設信用の売上高、期首棚卸高、仕入高、期末棚卸高、給与手当高、福利厚生費、広告宣伝費、租税公課、交際費、支払手数料、減価償却費、外注加工費、雑収入、支払利息、交際費損金不算入(二通)、事業税認定損、利益分配金、その他所得(二通)、現金、預金、商品、仕入手付金、未収入金、仮払金、短期貸付金、役員貸付金、付器(工器具)備品、短期借入金、役員長期借入金、長期借入金、未払金、前受金、未払手数料、仮受金、未納事業税、不突合金額及び資金繰表に関する各調査書
判示第四の事実につき
一 被告会社有限会社西武技工の商業登記簿謄本二通
一 大蔵事務官作成の被告会社有限会社西武技工の不動産売上、期首棚卸高、仕入高、期末棚卸高、外注費、支払手数料、その他所得(二通)、現金、預金、商品、未収入金、短期貸付金、仮払金、未払金、前受金、短期借入金、役員長期借入金、不突合金額に関する各調査書
一 北奥厚司の大蔵事務官に対する供述調書
(法令の適用)
一 被告会社有限会社西武建設信用につき
罰条 法人税法一六四条一項、一五九条
併合罪加重 刑法四五条前段、四八条二項
二 被告会社有限会社西武技工につき
罰条 法人税法一六四条一項、一五九条
一 被告人鈴木雄一につき
罰条 法人税法一五九条(懲役刑選択)
併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)
執行猶予 刑法二五条一項
(検察官)山口晴夫 求刑 被告会社有限会社西武建設信用 罰金七、五〇〇万円
被告会社有限会社西武技工 罰金一、五〇〇万円
被告人鈴木雄一 懲役二年
(弁護人)伊藤徹雄
(裁判官 倉沢千巌)